この物語はSFなのかファンタジーなのかよくわからん世界

神町 恵

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序章 なんでも探偵団始動編

嘘をついて何が悪い!

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 「あー----……、暇だ…」

 「今日もこれといった依頼はなさそうですね、俺自身は主に事務仕事しかしてないので経営はどうなのか把握してませんが、実際は大丈夫なんですか?」

 「あーそれは大丈夫だ、俺が脱税……貯蓄と株で貯めておいた資金を切り崩してるからなんとか経営を維持できてるぞ」

 鑑太郎さんはそう言ってはいたが(結局脱税してたんかい!)やはり心配だ、そろそろYou○ubeとかでこの探偵事務所の宣伝をして、少しでも依頼人を獲得していかないと。

 「鑑太郎さん、俺たちもそろそろユーチューバーデビューする時ではー」

 俺が鑑太郎さんに案を持ちかけようとした瞬間、突如入口のドアが開いた。
 そしてそこには、最高裁の裁判官であり、鑑太郎さんの先輩でもある長瀬冬美が立っていた。

 「鑑太郎君!また来ちゃった!」

 長瀬冬美が事務所を訪ねて来たのに対し、鑑太郎さんは嫌そーな顔をする。

 「またお前かよ、二度と来るなっていたはずなんだが」

 「いいじゃないですか鑑太郎さん、それに…もしかしたら依頼に来たのかもしれないですよ」

 「あいつの依頼なんて受けたくもないわ!どうせエグイ依頼なんだろ!どんなに金を積まれようと俺は絶対に依頼を引き受けな―」

 すると、長瀬さんがキャリーケースを鑑太郎の机の上に置きキャリーケースを開けると、そこには万札がびっしり詰まれていた、おそらく額は約一億はあるだろうと思われるくらいの量だった。

 「これなら依頼引き受けてくれる?鑑太郎君?」

 「お、お、お、俺がたかが一億で、う、う、う、動くと、お、お、お、思ってるのか!?」

 動揺しすぎです鑑太郎さん、口ではああ言ってるけど、すっごく欲しそうな顔してるし。

 「これでも引き受けてくれないの?じゃあ…」

 長瀬さんが指でパチンッと鳴らすと、入口からもう一人、黒いサングラスを付けた黒服の男がキャリーケースを持って入ってきた。
 黒服の男がキャリーケースを長瀬さんに渡すと、長瀬さんは黒服の男が持ってきたもう一つのキャリーケースを開けるとそこにも万札が積まれていた。

 「これで合わせて二億…話…聞いてくれる?」

 「どうぞどうぞ!お座りください!」

 結局金に目がくらんだ鑑太郎さんであった。

 
 「あのう…ご依頼内容はなんでしょうか?長瀬さん」

 俺が依頼内容について質問すると、長瀬さんは答えた。

 「あなたたちにはある会場の調査と潜入をして、そこでの悪事の証拠を押さえて欲しい…もちろん会場の場所もね」

 「ある会場とは一体なんですか?」

 またさらに質問すると、長瀬さんは"ある会場"についての説明を始めた。

 「その会場ではどうやら違法なデスゲームが行われているとのこと、警察が捜査しても尻尾を掴めず、実態は謎に包まれてるの、だから鑑太郎君たちにはそのデスゲームに参加(潜入)して、デスゲームの運営者を暴いて欲しい」

 「そうかそうか……えっ?」

 鑑太郎さんは一瞬拍子抜けたような顔をし、正気に戻ると長瀬さんに質問した。

 「あのう…俺命までは懸けたくないんだけど…やっぱりこの件はなかったことに…」

 「そっか~残念、じゃあこの2億もなかったことに…」

 長瀬さんがそう言うと、鑑太郎さんの机に置いていた1億円が入っているキャリーケース2つを下げる。
 すると突然、鑑太郎さんが2つのキャリーケースを掴んだ。

 「やっぱり引き受けましょう!俺の優秀な部下である柳崎透に全てお任せを!」

 鑑太郎さんのその一言に俺は鑑太郎さんの顔面に蹴りを入れた。

 「うおーーい!!なに俺に全部やらせようとしてんだよ!あんたもやるんだよ!!」

 「なんだよ!お前は俺の部下だろ!?全ての決定権は経営者である俺にあるんだぞ!」

 「嫌ですよ!そんな命賭けてまで仕事したくありませんよ!依頼を引き受けたあんたがやればいいだろ!」

 「じゃあお前はクビだ!」

 「えっと確か弁護士会の電話番号はっと―」

 俺は携帯電話を取り出し、弁護士会の電話番号を入力し始める。

 「待って待って透!やっぱ今の無し!こいつの依頼の件は俺も協力しよう!なっ!」

 「依頼は受ける前提なんですね」

 結局長瀬さんの依頼を俺と鑑太郎で引き受けることになった


 「それで、そのデスゲームというのはどういうことが行われてるんですか?」

 俺は長瀬さんに質問すると、長瀬さんは俺たちへ説明を始める。

 「デスゲームの詳しいことはまだはっきりしてないけど、参加者が100人ていうのと、最終的に生き残れるのは1人だけってくらいしかわからない」

 「ちょ待てよ!」

 キム〇クみたいな顔で鑑太郎さんが長瀬さんに言う。

 「それってつまり、最後は俺と透どっちかしか生き残れねえってことか、鬼畜だろそれ」

 「あと確かデスゲームの勝者は賞金1億ドル(推定100~130億円)だとか」

 鑑太郎さんが突如俺の方を向く。

 「よし透!最終的に俺とお前が残ったら、わかるな?」

 「はいわかりました…て言うと思ってんのかお前はーーーーー!!!」

 鑑太郎さんの顔面に思いっ切り蹴りをぶち込む。
 
 「お前…バコバコ人の顔面に蹴り入れやがって…お前を雇った恩を忘れたのか」

 「社員を大事にしない時点で恩なんてありませんよ」

 俺と鑑太郎さんとでギャーギャー言ってると、長瀬さんが俺たちに声をかけて依頼の説明を続ける。

 「鑑太郎君たちの他にも助っ人2人もいるから、デスゲーム会場で会ったら協力してね」

 「なんだよ、いるならいっそそいつらに任せればいいじゃねえかよ」

 「2人だけじゃ決定的証拠掴むの難しいからね、それに…私は鑑太郎君を信じてるから」

 「だからって面倒な依頼をするなよ、命がいくつあっても足りねえよ」

 「じゃあ依頼は受けないの?」

 「それとこれは別だ」

 こうして俺たちは長瀬さんの計らいで、俺たちはそのデスゲームへの参加エントリーをした。

 
 「そういえば、彼にはまだ話してないの?」

 「あ?何がだ?」

 私は柳崎透が買い物に行くのを見届けた後、ふと思い出すように後輩の鑑太郎君に話す。

 「あなたの助手…柳崎君には元弁護士とは言ってるようだけど、鑑太郎君本当は探偵事務所立ち上げる前は高等裁判所の判事だったよね、どうして柳崎君に嘘ついてるの?」

 「…んなもんお前には関係ねえ」

 「あとどうして司法試験を5回浪人して受かったっていう嘘もつくの?本当は史上最年少で司法試験に一発合格しかも裁判官になれた経歴を持ってるのに」

 「ちょおいおいおい待て待て待て、その嘘はお前に話した覚えがないのだが、何?盗聴してんの?」

 「……」

 とりあえず私は笑顔で無言を貫く。

 「おいおい図星かよ、ていうかいつから仕掛けたんだ?」

 「……」

 「いやだから無言やめてくれるマジで、しかも笑顔で、なんか怖いんだけど」

 少し怯える様子を見せる鑑太郎君に私は笑顔から真顔に戻り、口を開く。

 「今回の件、柳崎君や他の潜入組もだけど、鑑太郎君、生きて帰ってきてね」

 私がそう言うと、鑑太郎君は頭をかく仕草をした後、私に言った。

 「当たり前だ、俺はまだくたばるわけにはいかないからな」

 そう答えた鑑太郎君はテーブルに置いてあったお茶のペットボトルを掴んで一気に飲み干した。

 「あと、無事にこの件が済んだら、柳崎君に本当のこと話したら?」

 「んーー…気が向いたらな」

 鑑太郎君はポッケからスマホを取り出し、何かを探すように画面をスライドさせる動作をした。

 「何か探してるの?」

 「盗聴器発見器」

 「……」

 場の空気が不思議と静かになった。

 
 次回、第1章デスゲーム会場潜入編”デスゲーム?これ一応ファンタジー小説のはずだが…”だ!公開前に番外編が出るらしいが、更新されるまで待っててくれ!!
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