異世界の神様

神町 恵

文字の大きさ
上 下
3 / 8
序章 神となった青年

俺、神になる(前半)

しおりを挟む
 「あなた、もしよかったら私の代わりに”神務”をやってくれない?」

 少女が発した一言に俺はその言葉の意味がわからなかった。

 「言ってることはわからんが、まず”神務”ってなんだ?」

 俺の問いに少女は白々しい感じにアヒル口で答える。

 「そのままの意味だよ、”神の務め”と書いて”神務”」

 「その”神の務め”とやらをなんで俺がやんなきゃいけないんだ?」

 俺の問いに対し少女は答える。

 「神もね、人間の世界と同様働き手が足りない状況なのよ、しかも数多の仕事をこなしてきた優秀な女神がこうして監禁の身だから神界ではさらに深刻なのよ」

 「お前が招いた種だろ」

 「それに……」

 少女はいつの間に移動したのか、俺の後ろに回り耳打ちした。

 「もしかしたら、あなたがいた世界も担当できるかもよ」

 「俺のいた…世界!?」

 少女は続けて俺に耳打ちする。

 「あなたのいた世界にいけば、もしかすれば……あなたのことも、記憶も蘇るかもしれないよ、あくまで…可能性の話だけどね」

 こいつの話に乗れば…俺の記憶も、俺自身のことも、わかるかもしれないってことか!?

 「名も自身のこともわからぬ人よ、あなたにとっていい話だと思うけど、どうかな?」

 いや待て、そう簡単にこいつを信用していいのか?きっと何か企んでいることだってあるかもしれない。

 「もし、俺がお前の提案を断ったらどうする?」

 「もし私の提案を断れば……あなたはどうなるのかしら」

 「どういうことだ?」

 「まずあなたは、人間であるにもかかわらず勝手に私のいるここ白い監獄に入ったこと、つまり不法侵入ってこと、そしたらあなたの行く末は地獄か…私と同じ監獄に入れられるか、どっちかになるね」

 「それは…脅しか?」

 「私は事実を言ったまでよ、それに…ここに踏み入れたあなたが悪いのだから」

 「俺は…なぜかここに倒れていただけだ!なんで俺がこんなところにいるのかわからない!それともまさか、お前が仕組んだのか!?」

 少女はため息を吐く。

 「一体何のメリットがあってそうするの?下手すれば私まで人間を許可なくここに連れてきた疑いで罰せられてもおかしくない状況だから、ね♪」

 「俺を利用するってわけか?」

 「人聞きが悪いわね、お互いの利害を達成するために協力するだけよ」

 俺はどうすれば良いんだ?こいつの話に乗るべきか……確かにこのままだと俺は酷い目に遭うかもしれない、どうする?俺!

 俺は少女の提案に乗るか乗らないかで迷った、考えに考えて俺は結論を出した。

 「わかった、その”神務”というやつをやってやろうじゃないか」

 承諾すると少女は目を輝かせ、笑顔を俺に向ける。

 「ありがとう、乗ってくれると信じてたよ」

 そう言って少女はルンルンッと走ってどっかへと消えていった。
 同時に俺はしゃがみ込んで深いため息を吐いた。

 「俺、あいつの提案に乗っちゃったけど、大丈夫かな(汗)」

 俺は少女が再び姿を現すまで何もない空間で一人仮眠をとった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

かつて最弱だった魔獣4匹は、最強の頂きまで上り詰めたので同窓会をするようです。

カモミール
ファンタジー
「最強になったらまた会おう」 かつて親友だったスライム、蜘蛛、鳥、ドラゴン、 4匹は最弱ランクのモンスターは、 強さを求めて別々に旅に出る。 そして13年後、 最強になり、魔獣四王と恐れられるようになった彼女ら は再び集う。 しかし、それは世界中の人々にとって脅威だった。 世間は4匹が好き勝手楽しむ度に 世界の危機と勘違いをしてしまうようで・・・? *不定期更新です。 *スピンオフ(完結済み) ヴァイロン家の少女が探す夢の続き~名家から追放された天才女騎士が最強の冒険者を目指すまでの物語~ 掲載中です。

攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。-俺は何度でも救うとそう決めた-

水無月いい人(minazuki)
ファンタジー
 【HOTランキング第1位獲得作品】 ★毎日19:02頃更新★ ---    『才能』が無ければ魔法が使えない世界で類まれなる回復魔法の『才能』を持って生まれた少年アスフィ。 喜んだのも束の間、彼は″回復魔法以外が全く使えない″。 冒険者を目指し、両親からも応援されていたアスフィ。 何事も無く平和な日々が続くかと思われていたが事態は一変する。母親であるアリアが生涯眠り続けるという『呪い』にかかってしまう。アスフィは『呪い』を解呪する為、剣術に自信のある幼馴染みの少女レイラと共に旅に出る。 そして、彼は世界の真実を知る――  ---------  最後まで読んで頂けたら嬉しいです。  小説家になろう、カクヨムにも掲載しています。   ♥や感想、応援頂けると大変励みになります。  2024/4/7 第一部完結。  2024/5/25第二部完結。  2024/8/27第三部開始。

ゲノム~失われた大陸の秘密~

Deckbrush0408
ファンタジー
青年海外協力隊としてアフリカに派遣された村田俊は、突如として起きた飛行機事故により神秘の大陸「アドリア大陸」に漂着する。 未知の土地で目を覚ました彼は、魔法を操る不思議な少年、ライト・サノヴァと出会う。 ライトは自分の過去を探るために、二人は共に冒険を始めることに。 果たして、二人はアドリア大陸の謎を解き明かし、元の世界に帰る方法を見つけることができるのか?そして、ライトの出生にまつわる真実とは何なのか? 冒険の果てに待ち受ける真実が、彼らの運命を大きく変えていく。

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います

霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。 得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。 しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。 傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。 基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。 が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

beat down

もち
ファンタジー
 たった1人の家族である妹を探すため、『スノウ』は列車で政府の避難所へ向かっていた。そんな彼女は政府への疑念を胸に秘めており、列車内を巡回している政府の兵士へ反逆の機会をうかがっていた。  見事スノウが兵士を打ち倒すと、隣に座っていた黒い長髪に青い瞳の『フラム』という男が協力を申し出てきた。それを渋々承諾したスノウは、彼と共に列車内で政府の兵士へ喧嘩売るが、出会って間も無いフラムは瀕死の重傷を負ってしまう。  そんな彼女の前に、鳥の形を模した戦闘用の機械が現る。彼女は自身の武器である『パンドラボックス』を振るい、機械の鳥と対峙する一一!  バトル、武器、戦い方に男のロマンを詰め込んだアクションバトル作品です。

平凡冒険者のスローライフ

上田なごむ
ファンタジー
26歳独身動物好きの主人公大和希は、神様によって魔物・魔法・獣人等ファンタジーな世界観の異世界に転移させられる。 平凡な能力値、野望など抱いていない彼は、冒険者としてスローライフを目標に日々を過ごしていく。 果たして、彼を待ち受ける出会いや試練は如何なるものか…… ファンタジー世界に向き合う、平凡な冒険者の物語。

王宮で汚職を告発したら逆に指名手配されて殺されかけたけど、たまたま出会ったメイドロボに転生者の技術力を借りて反撃します

有賀冬馬
ファンタジー
王国貴族ヘンリー・レンは大臣と宰相の汚職を告発したが、逆に濡れ衣を着せられてしまい、追われる身になってしまう。 妻は宰相側に寝返り、ヘンリーは女性不信になってしまう。 さらに差し向けられた追手によって左腕切断、毒、呪い状態という満身創痍で、命からがら雪山に逃げ込む。 そこで力尽き、倒れたヘンリーを助けたのは、奇妙なメイド型アンドロイドだった。 そのアンドロイドは、かつて大賢者と呼ばれた転生者の技術で作られたメイドロボだったのだ。 現代知識チートと魔法の融合技術で作られた義手を与えられたヘンリーが、独立勢力となって王国の悪を蹴散らしていく!

王女、騎士と結婚させられイかされまくる

ぺこ
恋愛
髪の色と出自から差別されてきた騎士さまにベタ惚れされて愛されまくる王女のお話。 性描写激しめですが、甘々の溺愛です。 ※原文(♡乱舞淫語まみれバージョン)はpixivの方で見られます。

処理中です...