異世界の神様

神町 恵

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序章 神となった青年

俺、神になる(前半)

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 「あなた、もしよかったら私の代わりに”神務”をやってくれない?」

 少女が発した一言に俺はその言葉の意味がわからなかった。

 「言ってることはわからんが、まず”神務”ってなんだ?」

 俺の問いに少女は白々しい感じにアヒル口で答える。

 「そのままの意味だよ、”神の務め”と書いて”神務”」

 「その”神の務め”とやらをなんで俺がやんなきゃいけないんだ?」

 俺の問いに対し少女は答える。

 「神もね、人間の世界と同様働き手が足りない状況なのよ、しかも数多の仕事をこなしてきた優秀な女神がこうして監禁の身だから神界ではさらに深刻なのよ」

 「お前が招いた種だろ」

 「それに……」

 少女はいつの間に移動したのか、俺の後ろに回り耳打ちした。

 「もしかしたら、あなたがいた世界も担当できるかもよ」

 「俺のいた…世界!?」

 少女は続けて俺に耳打ちする。

 「あなたのいた世界にいけば、もしかすれば……あなたのことも、記憶も蘇るかもしれないよ、あくまで…可能性の話だけどね」

 こいつの話に乗れば…俺の記憶も、俺自身のことも、わかるかもしれないってことか!?

 「名も自身のこともわからぬ人よ、あなたにとっていい話だと思うけど、どうかな?」

 いや待て、そう簡単にこいつを信用していいのか?きっと何か企んでいることだってあるかもしれない。

 「もし、俺がお前の提案を断ったらどうする?」

 「もし私の提案を断れば……あなたはどうなるのかしら」

 「どういうことだ?」

 「まずあなたは、人間であるにもかかわらず勝手に私のいるここ白い監獄に入ったこと、つまり不法侵入ってこと、そしたらあなたの行く末は地獄か…私と同じ監獄に入れられるか、どっちかになるね」

 「それは…脅しか?」

 「私は事実を言ったまでよ、それに…ここに踏み入れたあなたが悪いのだから」

 「俺は…なぜかここに倒れていただけだ!なんで俺がこんなところにいるのかわからない!それともまさか、お前が仕組んだのか!?」

 少女はため息を吐く。

 「一体何のメリットがあってそうするの?下手すれば私まで人間を許可なくここに連れてきた疑いで罰せられてもおかしくない状況だから、ね♪」

 「俺を利用するってわけか?」

 「人聞きが悪いわね、お互いの利害を達成するために協力するだけよ」

 俺はどうすれば良いんだ?こいつの話に乗るべきか……確かにこのままだと俺は酷い目に遭うかもしれない、どうする?俺!

 俺は少女の提案に乗るか乗らないかで迷った、考えに考えて俺は結論を出した。

 「わかった、その”神務”というやつをやってやろうじゃないか」

 承諾すると少女は目を輝かせ、笑顔を俺に向ける。

 「ありがとう、乗ってくれると信じてたよ」

 そう言って少女はルンルンッと走ってどっかへと消えていった。
 同時に俺はしゃがみ込んで深いため息を吐いた。

 「俺、あいつの提案に乗っちゃったけど、大丈夫かな(汗)」

 俺は少女が再び姿を現すまで何もない空間で一人仮眠をとった。
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