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序章 転生前の独裁者
1話 試練
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目を開けると、目の前に映るのは真っ白な空間であり、周囲を見渡しても人の気配がなくただ真っ白い光景。
「ここは一体…天国か?まさか、たくさんの命を奪い奪わせた私がか?それともここは地獄か?」
私はこの真っ白な空間を呆然と立つ、もう私のいた世界とは関係ない、何も考えなくていい、ただ私の行く末に従うだけ。
「とりあえず適当に歩くか」
私は真っ白い空間の中で一歩踏み出そうとしたそのとき、私の脳内に話しかけるような声がした。
***よ、今向いてる方向へ歩きなさい。
脳内で言われた私は言葉の通りに今向いてる方向へと歩く、しばらく歩くとそこに白い布を纏った女性が一人ぽつりと椅子に座っていた。
その女性はまるで女神のような佇まいで神々しく、座っている椅子も豪華である。
私はその女性をぼーっと見つめると、突如私に話しかけて来た。
「あなたの犯した罪、言われなくてもおわかりですね?」
女性の質問に私は「はい」と答える。
女性は椅子の肘掛けに肘を置いて私に言う。
「あなた以外ね、私一応心の中読めるんだけど、あなたのようなちゃんと心から反省してる人間久々に見たわ、3200年ぶりかしら」
「普通はそういうものではないのか、それより、あなたは……?」
私がそう聞くと、女神はフッ…と鼻で笑い、私に視線を向ける。
「あなたの思っている通り、人間たちからは”神”と呼ばれる存在…私はあなたの住んでた世界を創造した神たちのうち一人である」
女神は薄ら不気味な笑みで私を見下ろす。
結局…神も人間同様、自分より下の者がいなければ自己肯定できないのだろう…かつての私のように……。
「あなた……よくこの神と呼ばれる私を前で馬鹿にできたものね」
「ああ…そうだった、女神は私の心読めるんでしたね、今更……あなたに媚び売ってもメリットもなにもないでしょう」
私がそう言うと、女神は突如「ハハハハッ!」と高らかに笑いだし、思っていた反応と違った光景に私は呆然となる。
笑い終えた女神は私に向けて指さしながら高らかに言う。
「おもしろい、神をも恐れぬその精神気に入った、あなたに一つ、チャンスを与えよう」
そう言って女神は立ち上がり、私に歩を進めて近づいて来る。
私の目の前で止まった女神は人差し指を突き立てて私の唇に触れる。
「今からあなたに与える試練をクリアすれば、天国行きへの道を私の一存で特別に認めてあげる」
女神の言葉に私は戸惑ったが、冷静に戻り、私の唇に触れている手をどけて女神に言う。
「私は天国になんていかなくていい、多くの人を死に追いやったのだから……お前の言う試練というやつは受けない」
私がそう言った瞬間、いつ移動したのか、気づけば私の前に女神が立っていた。
「あなたに選択権はないわ、あなたへの神判を下すのはこの私…神なのだから」
「つまり私に拒否権はないってことか……」
「それに、あなたにとっても悪くない条件だと思うよ」
「それはどういうことだ?」
女神に質問すると、女神は「えーっどうしよっかな~」とは言いながらも、女神の言う試練とやらの概要を聞いた。
「先程言ったように、試練をクリアすれば天国行きを約束するわ、それで…肝心の試練というのは―」
女神は私に与える試練の内容説明を始めた。
「あなたへの試練は至って簡単!あなたは転生先で真っ当な人生を送る、それだけ」
女神が話した試練の内容に私は耳を疑った、内容を聞くかぎり、思ってたのよりは難しくなさそうな試練だったからだ。
いや…案外難しいのか?私のような者が真っ当な人生を送ろうとすること自体が……。
「転生先でつねに正しく生きろということか?」
「いいえ、つねに正しくなくていいのです、なにせ人間は永遠に正しく生きれるわけではないのですし…ただ普通に生きればいいのです、一般的な生き方をすればいいだけです、しいて言うなら凶悪犯罪さえ起こさなければいいだけです、それくらい簡単でしょ?」
「まあ…それくらいならできなくはないが…お前にとってはそれでいいのか?私のような大罪人が天国に行く可能性が上がっても…」
私の問いに女神は元いた場所に戻って椅子に座り、私に向けて口を開く。
「私には関係ないことだからです、大罪人が天国に行こうが…善人が地獄に行こうが…ね」
「でもなぜ私に?」
「ただの…神の気まぐれです」
女神がそう言うと同時に私は突如眠気に襲われる、一瞬でも気を抜いたら眠ってしまう。
「”二度目の人生で真っ当に生きる”それが神である私があなたに与えた試練です、***よ…健闘を祈ります」
その言葉を最後に私の視界は真っ暗になった。
「ここは一体…天国か?まさか、たくさんの命を奪い奪わせた私がか?それともここは地獄か?」
私はこの真っ白な空間を呆然と立つ、もう私のいた世界とは関係ない、何も考えなくていい、ただ私の行く末に従うだけ。
「とりあえず適当に歩くか」
私は真っ白い空間の中で一歩踏み出そうとしたそのとき、私の脳内に話しかけるような声がした。
***よ、今向いてる方向へ歩きなさい。
脳内で言われた私は言葉の通りに今向いてる方向へと歩く、しばらく歩くとそこに白い布を纏った女性が一人ぽつりと椅子に座っていた。
その女性はまるで女神のような佇まいで神々しく、座っている椅子も豪華である。
私はその女性をぼーっと見つめると、突如私に話しかけて来た。
「あなたの犯した罪、言われなくてもおわかりですね?」
女性の質問に私は「はい」と答える。
女性は椅子の肘掛けに肘を置いて私に言う。
「あなた以外ね、私一応心の中読めるんだけど、あなたのようなちゃんと心から反省してる人間久々に見たわ、3200年ぶりかしら」
「普通はそういうものではないのか、それより、あなたは……?」
私がそう聞くと、女神はフッ…と鼻で笑い、私に視線を向ける。
「あなたの思っている通り、人間たちからは”神”と呼ばれる存在…私はあなたの住んでた世界を創造した神たちのうち一人である」
女神は薄ら不気味な笑みで私を見下ろす。
結局…神も人間同様、自分より下の者がいなければ自己肯定できないのだろう…かつての私のように……。
「あなた……よくこの神と呼ばれる私を前で馬鹿にできたものね」
「ああ…そうだった、女神は私の心読めるんでしたね、今更……あなたに媚び売ってもメリットもなにもないでしょう」
私がそう言うと、女神は突如「ハハハハッ!」と高らかに笑いだし、思っていた反応と違った光景に私は呆然となる。
笑い終えた女神は私に向けて指さしながら高らかに言う。
「おもしろい、神をも恐れぬその精神気に入った、あなたに一つ、チャンスを与えよう」
そう言って女神は立ち上がり、私に歩を進めて近づいて来る。
私の目の前で止まった女神は人差し指を突き立てて私の唇に触れる。
「今からあなたに与える試練をクリアすれば、天国行きへの道を私の一存で特別に認めてあげる」
女神の言葉に私は戸惑ったが、冷静に戻り、私の唇に触れている手をどけて女神に言う。
「私は天国になんていかなくていい、多くの人を死に追いやったのだから……お前の言う試練というやつは受けない」
私がそう言った瞬間、いつ移動したのか、気づけば私の前に女神が立っていた。
「あなたに選択権はないわ、あなたへの神判を下すのはこの私…神なのだから」
「つまり私に拒否権はないってことか……」
「それに、あなたにとっても悪くない条件だと思うよ」
「それはどういうことだ?」
女神に質問すると、女神は「えーっどうしよっかな~」とは言いながらも、女神の言う試練とやらの概要を聞いた。
「先程言ったように、試練をクリアすれば天国行きを約束するわ、それで…肝心の試練というのは―」
女神は私に与える試練の内容説明を始めた。
「あなたへの試練は至って簡単!あなたは転生先で真っ当な人生を送る、それだけ」
女神が話した試練の内容に私は耳を疑った、内容を聞くかぎり、思ってたのよりは難しくなさそうな試練だったからだ。
いや…案外難しいのか?私のような者が真っ当な人生を送ろうとすること自体が……。
「転生先でつねに正しく生きろということか?」
「いいえ、つねに正しくなくていいのです、なにせ人間は永遠に正しく生きれるわけではないのですし…ただ普通に生きればいいのです、一般的な生き方をすればいいだけです、しいて言うなら凶悪犯罪さえ起こさなければいいだけです、それくらい簡単でしょ?」
「まあ…それくらいならできなくはないが…お前にとってはそれでいいのか?私のような大罪人が天国に行く可能性が上がっても…」
私の問いに女神は元いた場所に戻って椅子に座り、私に向けて口を開く。
「私には関係ないことだからです、大罪人が天国に行こうが…善人が地獄に行こうが…ね」
「でもなぜ私に?」
「ただの…神の気まぐれです」
女神がそう言うと同時に私は突如眠気に襲われる、一瞬でも気を抜いたら眠ってしまう。
「”二度目の人生で真っ当に生きる”それが神である私があなたに与えた試練です、***よ…健闘を祈ります」
その言葉を最後に私の視界は真っ暗になった。
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