プロポーズの夜に~交際ゼロ日婚~

さとう涼

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プロポーズの夜に~交際ゼロ日婚~(5)

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 押し寄せる波が限界に近づき、彼にそろそろとおねだりをした。
 指なんかじゃなく、あなた自身がほしい。
 だけど入ってくる質量感は想像以上。久しぶりに受け入れた男の人の身体に緊張を感じ、手で彼の胸を押し返すように待ったをかけた。

「痛いか?」
「ううん、なんだか怖くて」

 さっきまでの前戯でそこはすっかり潤って、彼を受け入れる準備は整っているのに。彼の肉体的なたくましさがわたしとは釣り合わないような気もして、気持ちごと萎縮してしまう。

「大丈夫だ」

 彼はわたしがなにに不安がっているのかがわかるのだろうか。そう思うくらいに、わたしを強くかき抱いた。
 その包容力が愛に溢れていて涙が出そうになった。

「やさしくする。だから大丈夫だよ、あい

 えっ……。
 そのときに呼ばれた自分の名前に、これだったのだとはっきりと気がついた。

「もう一度、呼んで」

 わたしの名前を。

 そう、つまりわたしだけに向けた言葉がほしかったのだ。ひとつになる瞬間も、わたしだけを愛していると、その愛おしい声で聞きたかった。

「愛……」

 彼の背中に腕をまわし、その筋肉質な肌を撫でる。
 十代の頃とは違う。いつの間に……。
 鍛えられた肉体は服を着ていてはわからなかった。

「もう少し力抜いて」
「……うん」

 その身体に包まれながら、熱くなる奥にどんどんと沈んでいく彼自身。そこはとろけるほどにとろとろで、怖さから解放されたわたしの身体はすんなりと受け入れていた。

「おまえは俺だけのものだから。二度とほかの男に触れさせないよ」

 甘い声が落とされ、ふたりで溶け合っていく。身体も心も満たされるって、こういうことなのだと生まれて初めて知った。

「ん、はぁっ……」

 息を吐くと、彼がぐっと詰めてきた。

「ん、奥まで入った」

 楽しそうに彼が言った。
 そんな彼の顔に官能さが色濃く映り、わたしも徐々に性を解放していく。
 意識的に締めつけると、吐息を漏らし、顔をゆがめた。それを見たくてもっと締めつけた。

「強力だな」

 絞り出すように言う。
 だけどそう言ったあと、「それなら俺も遠慮なく」と力いっぱいさらに奥をめがけてくるものだから、わたしは慌てて彼にしがみついた。

「──んっ、ああっ……」

 胸を揉まれながらの、振り幅の大きい腰の動きに嬌声が上がる。
 固いものが壁面を擦り、お腹の裏側のあたりをめがけてガンガン突いてくる。しばらくすると足を抱えられ、角度を変えてまた突かれた。
 彼の熱情が最奥に届くたびに、どうしようもないほど震えてしまう。全身が性感帯になったみたいになって、手のひらが触れただけ、吐息が耳に届いただけでも激しい愉悦に狂わされた。

「だめっ……そんなにされると……」

 感じすぎてコントロールができなくなりそう。こんなのが続いてしまうとたぶん長くもたない。簡単に終わらせたくないのに……。
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