楽園－ベッド・イン－

楽園－ベッド・イン－（４）

「また考えごと？」
「ごめん。だけどリクのことを考えていたの。ちなみに、さっきもだからね」

　このままだと本気で怒られそうだ。
　お詫びのつもりでリクの首に手をまわし、ぎゅっと引き寄せると、今度はわたしからキスをした。リクの真似をして、舌を駆使してがんばってみる。だけど、これがやってみるとなかなか難しい。

「ヘタクソ」

　結局、ばかにされて、主導権はあっという間にリクに移った。
　やっぱりリクは大人だ。上手にわたしをリードしてくれる。ゆらゆらと揺りかごに揺られているような、ふわふわとした感覚になっていった。

「ふっ……んぁっ……」

　リクの手がシーツと背中の間に入り込んで、わたしはゆるやかに抱きしめられていた。幸せの波間で、次第に全身がとろけていくのがわかった。スイッチが入ったのだ。
　熱い。奥が疼いている。猛烈に欲している。

「んぁっ……はぁっ……」

　わたしの反応を見て悟ったのだろう。リクが少し動きを加えながら、片方の手を伸ばしてきた。
　指先が太腿ふとももの付け根に繊細に忍び寄る。指が襞ひだに触れて、突起に辿り着いた。指の腹でそこをぐりぐりと押される。
　身体が変化していく。徐々に高揚していって、じりじりとした快楽が襲ってきた。

「あ、そこは……だめだって……」
「催促したのはそっちだろう？」
「……」

　意地悪に返されても、本当のことだから反論できない。でもこのままだと本当にだめなのは事実で、快感と不安が入り混じるなかで見上げると、リクがニヤリと笑った。

　え？　その顔って、どういう意味……？

　でも考える暇もなく、すぐさま秘部に指を差し入れてくる。

「あっ、待っ──」

　いきなりのことでとっさにあらがうも、そこはすっかり濡れていたため、するりと簡単に指を飲み込んで、さっそく蜜音を奏でる。恥ずかしいその音はスイートルームに大きく響いた。
　同時に熱くて湿った舌が耳の穴や首筋、うなじをたどっていく。ぞくぞくと震える身体はすでにコントロールを失っている。

「自分でもわかるだろう？　ひくついてる、ここ」
「や、めて……」

　だけど、それでやめてくれるはずもない。

「すごいな、こんなに濡れてる」
「そういうの、いちいち言わないで」

　恥ずかしさから身体をひねって抵抗を試みる。でも力ずくで身体を押さえつけられ、指でなかをぐるっとかきまわされ、さらにわたしの羞恥心が煽あおられた。

　涼しい顔がチラチラとこちらを見る。感じている顔を確認して楽しんでいる。
　なんて余裕。人がアップアップ状態で言い返せないのをいいことに好き勝手している。
　油断すると、とんでもない声が出そうなのが怖くて、わたしは必死に口を固く結んでいた。それを解こうと、リクはそうやってわたしをいじめているのだ。

「……リク、やめて」

　とうとう限界に達したわたしはリクを止めようと手を伸ばす。けれど、「じゃま」とひと言。あっけなくそれも跳ね返された。

「慣れさせないとだめだろう。痛くされたくなかったらおとなしく言うこと聞いてろよ」

　やさしいような、やさしくないような。けれど、もっともなことを言われて、言う通りにすることにした。

「あぁ、やだ、もう……」