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ロベリアが咲き乱れるお茶会へ
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青の令嬢は気分良さそうに満面の笑みでそれを頷いて見せた後、
「その関連として、私この前に。そちらの従姉妹様のお茶会に参加させて頂きまして。そこで何とも可愛らしい男爵令嬢とご一緒致しました……」
勿体付けるようにティーカップの縁をなぞっているものだから、周りは「どういうこと?」などと眉根を寄せる。
散々とリアクションを堪能して、青の令嬢は得意気に言う。
「かなりお若いですが、それはもう頭のキレる方でして。ご当主様はお忙しく、夫人は慈善団体に属しておられるため屋敷を随分と空けてらしているとか」
「まあ……」
「そこで屋敷の管理等をしてらっしゃるのが、私を招待して下さった若き茶会主の、子爵令嬢なのですわ」
ケリー伯爵家の従姉妹で子爵家の令嬢、夫人が慈善団体に属しているといえば。
「ソフィア・エバンズ」だろう、と皆が何となく思い浮かべた。
あの若い貴族令嬢の中でもダンスで右に出るものはいない、と言われるエマ・ケリーが可愛がっているという人物だ。
「だから、それがどう御伽噺と繋がるんですの!」
煮え切らない様子で、せっかちな野次が飛ぶ。
ちなみに「可愛らしいお茶」とは当時、ある茶会でそれを飲んだ令嬢が「花が咲いた様な、春に相応しいお茶ですね」と言った。
すると彼女以外の貴族令嬢達はこぞってそれを、世間知らずで「可愛らしい」と揶揄したことでその名が浸透したのは有名な話だ。
何せそれはドライフラワーにして織り交ぜたことで、粗悪な茶葉の風味を誤魔化した、保存のきく平民たちの飲み物だったのだから。
今では織り交ぜる花も選び、茶葉もある程度良いものに変わり風味豊かになったとは言え、あえてその種のフレーバーティーをティーパーティーに出す貴族は滅多にいない。
何故ならそのまま生花やその花弁を浮かべることの方が情緒的であり優美とされているからだ。
他にも砂糖漬けにした花、フルーツ、またはジャムを入れる方法などもある。
「だから、それをその男爵令嬢にのみ。勧めて飲ませたのですよ……」
つまりは、「上流階級層に粗悪品が混じっている」というソフィアからのメッセージなのだ。
「そ、それで……!?」
「ふふ。やっとご理解頂けたようで」
青の令嬢は、すこぶる機嫌が良さそうに続けた。
「ここでは皆様には注意を促す意味で名を出させて頂きますわ。何でもフラン男爵家の末娘は偽りの人間なのでは? なんて……」
一瞬、ざわめいたが納得したよう黄の令嬢が顎に指をやり頷く。
「確かに……何でも病弱で茶会、いいえ。屋敷からも出たことがないそうね。皆さん顔も知らないわね」
「ええ。ですから、その末娘に成り代わった人物だからだと……茶会主が」
「……貴族図鑑では名だけですもの。ですがそれが知れれば大変なことになりましょう?」
頷きながら、またブラックティーを一口。
皆も唾を飲み下しその続きを待った。
「その関連として、私この前に。そちらの従姉妹様のお茶会に参加させて頂きまして。そこで何とも可愛らしい男爵令嬢とご一緒致しました……」
勿体付けるようにティーカップの縁をなぞっているものだから、周りは「どういうこと?」などと眉根を寄せる。
散々とリアクションを堪能して、青の令嬢は得意気に言う。
「かなりお若いですが、それはもう頭のキレる方でして。ご当主様はお忙しく、夫人は慈善団体に属しておられるため屋敷を随分と空けてらしているとか」
「まあ……」
「そこで屋敷の管理等をしてらっしゃるのが、私を招待して下さった若き茶会主の、子爵令嬢なのですわ」
ケリー伯爵家の従姉妹で子爵家の令嬢、夫人が慈善団体に属しているといえば。
「ソフィア・エバンズ」だろう、と皆が何となく思い浮かべた。
あの若い貴族令嬢の中でもダンスで右に出るものはいない、と言われるエマ・ケリーが可愛がっているという人物だ。
「だから、それがどう御伽噺と繋がるんですの!」
煮え切らない様子で、せっかちな野次が飛ぶ。
ちなみに「可愛らしいお茶」とは当時、ある茶会でそれを飲んだ令嬢が「花が咲いた様な、春に相応しいお茶ですね」と言った。
すると彼女以外の貴族令嬢達はこぞってそれを、世間知らずで「可愛らしい」と揶揄したことでその名が浸透したのは有名な話だ。
何せそれはドライフラワーにして織り交ぜたことで、粗悪な茶葉の風味を誤魔化した、保存のきく平民たちの飲み物だったのだから。
今では織り交ぜる花も選び、茶葉もある程度良いものに変わり風味豊かになったとは言え、あえてその種のフレーバーティーをティーパーティーに出す貴族は滅多にいない。
何故ならそのまま生花やその花弁を浮かべることの方が情緒的であり優美とされているからだ。
他にも砂糖漬けにした花、フルーツ、またはジャムを入れる方法などもある。
「だから、それをその男爵令嬢にのみ。勧めて飲ませたのですよ……」
つまりは、「上流階級層に粗悪品が混じっている」というソフィアからのメッセージなのだ。
「そ、それで……!?」
「ふふ。やっとご理解頂けたようで」
青の令嬢は、すこぶる機嫌が良さそうに続けた。
「ここでは皆様には注意を促す意味で名を出させて頂きますわ。何でもフラン男爵家の末娘は偽りの人間なのでは? なんて……」
一瞬、ざわめいたが納得したよう黄の令嬢が顎に指をやり頷く。
「確かに……何でも病弱で茶会、いいえ。屋敷からも出たことがないそうね。皆さん顔も知らないわね」
「ええ。ですから、その末娘に成り代わった人物だからだと……茶会主が」
「……貴族図鑑では名だけですもの。ですがそれが知れれば大変なことになりましょう?」
頷きながら、またブラックティーを一口。
皆も唾を飲み下しその続きを待った。
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