鬼ごっこ

夕暮れ

2
朝が来た。
いつもと同じ灰色だ。
眩しくて溶けそうだ。
「おはよう」
いつも僕のことを気にかけてくれているA氏だ。
彼のことは詳しくは知らない。しかし、かれこれ彼との付き合いは今年で3年ほどになる。
見た感じは僕より年上で背も高い。
普段は何をやっている人なのか。気になったことは何度かある。
しかし、日を跨げばその気持ちも薄れ聞けずじまいが続く。
そんな説明をしているこの瞬間は、僕の好奇心が盛んな瞬間だ。
「そうだ、今日こそ聞いてみよう」
そう呟いてみたりする。
「昨日はどっか行ってたみたいだけど  どこ行ってたの？」
A氏が僕に問う。
「ちょっとね」
答えになっていない返事が続く
「そうか、ならいいけど」
その後しばらく沈黙が続き、
日が暮れた。
カラスの鳴き声と共に太陽が沈んでいく。