殿方逢瀬(短編集)

九条 いち

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店員さん~?~

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店の住所をマップで調べてその通りの様子を画像で見る。こんな通りにあったとは。知り合いに見られたらなかなか恥ずかしい場所にあるので対策を取らなくちゃと急いで洗面所を出た。

****

 通りの中で少し異質なお店があった。
カフェのような外観で間口はガラス張りになっている。
地上から一メートルから二メートルの間だけすりガラスにして、中にいる人の顔は見えないように配慮されていた。
お店の前に出されたA型黒板には筆記体で店名が書かれていた。

――Love Goods Store――

 周りには小さな観葉植物が置かれている。きっとここだ。
真由美が客は女性の方が多いと言っていたのが分かった気がする。
すごく入りやすい。オシャレな雑貨屋のような感じさえする。
私はオレンジのダウンライトが照らす店内に吸い込まれるように入っていった。

 木で囲われたガラスのドアを開けて入ると、ピアノの軽やかなBGMが耳を掠めていく。店内はお客さんが三人入ったら混んでるなと感じるぐらいこじんまりとしている。木目調の床と壁に囲まれ、天井はアイアン調のブラックのファンがゆっくり回っていた。

 二人組の若い女の子が男性の店員さんを囲んで楽しそうに会話していた。私は他の店員さんがいるか探して店内へと進む。どうやら誰もいない様だった。

 とりあえずレジ前で待っていようと歩き出したところにさっきの店員さんが棚からひょこっと現れた。驚いてビクッと体が跳ねて一瞬硬直する。

「いらっしゃいま……すいません! 驚かせちゃいましたね」

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