62 / 86
瀬崎さん~口下手な彼~
24
しおりを挟む「……今までしたことなかったんです。初めてなんです、だから「悠衣、はよせえ」
掛布団の中のモノを見せる他はないと悟った私は、せめて前置きをと早口で説明しようとした。でも、それも彼に許されなかった。
観念した私はバサッと勢いよく布団を剥がす。ベッドの中央に一つ、決して殿方には見せられない――。
私は俯き、目をきつく瞑る。何を言われてもいいように。
「ディルドか。誰と使ってたんや」
「へっ」
見当はずれなリアクションに目を大きく開き、素っ頓狂な声を出してしまった。もっと驚いて、罵倒されるか呆れられると思っていた。
――『誰と』って、
「浮気を疑ってたんですか?」
「ああ。ちゃうんか」
「ちっ、違いますよ! 瀬崎さん一筋ですよ! ずっと!」
とっさに言ってしまったけど『ずっと一筋』って、前から行為を抱いていたのがバレただろうか。気持ち悪がられるだろうかと少し不安になった。
瀬崎さんは下を向き、少し考えていた。
ゆっくりと顔を上げ、私の目を見る。
「……ほんまか」
「……はい」
信じてもらえただろうか。私の気持ちが伝わるように、彼の目を見て、はっきりと答えた。
瀬崎さんは立ち上がり、掛布団の端を持ったまま立ち竦んでいる私のもとに来て、ゆっくり抱きしめる。
「……すまんな」
ふわっと瀬崎さんの香りが私を包む。
大きな手で私の頭を撫でながら、私の腰に回した手に力が込められる。
「俺が満足させてやれないばっかりに」
「? ……瀬崎さん、私が欲求不満で買ったと思ってますか?」
「ちゃうんか」
「ちが! うとも言い切れないですけど、一番は、その、瀬崎さんのモノが入るように自分で、広げよう、と……」
瀬崎さんは目を大きく開き、その後に申し訳なさそうな顔になった。
そして痛いくらいに強く私を抱きしめる
「……ほんますまん。俺のために」
瀬崎さんは宝物を抱きしめるように優しく、形を確かめるように私に触れる。
彼を抱きしめ返そうと体勢を変えようとしたら、私のお腹の辺りに彼の硬いモノが当たる。
「……瀬崎さん?」
私は彼の顔を見る。
「すまん、悠衣が俺のために一人でしてるとこ想像して勃ってしもた」
瀬崎さんは私から顔を背けてしまった。
彼の耳は朱色に染まっていて、彼がとてもかわいく感じた。
0
お気に入りに追加
46
あなたにおすすめの小説


ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる