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瀬崎さん~口下手な彼~
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それからお互いのことを話した。彼が消防士ということは知らなかったことにした。気持ち悪がられるかもしれないから。
彼は私のことを「消防署の前を通ってるのを何度か見たことがある」と言っていた。
少し嬉しくなって、オシャレしててよかったと心から過去の自分に感謝した。
「今日はありがとうございました」
「ああ」
会計を済ませて店の外に出る。ほろ酔い気分で2件目の店を探している人がちらほらいた。
もうそんな時間かと彼に申し訳なくなる。
「家は遠いんか?」
「いえ、歩いて20分ぐらいです」
「そうか、送ったる」
思いがけない言葉に目を丸くする。
今日はきっと、わたしにとっての年に一度の大吉日なのだろう。
頭の中で両手で扇子を持った和装束のおじさんが舞っている。
こんな日は流れに身を任せようと決意する。
「はい!ありがとうございます!」
「なんや、元気やな」
瀬崎さんは眉根に皺を寄せたまま笑った。
表情がほぐれた彼の顔はすごく人を安心させる、不思議な魅力があった。
彼は私のことを「消防署の前を通ってるのを何度か見たことがある」と言っていた。
少し嬉しくなって、オシャレしててよかったと心から過去の自分に感謝した。
「今日はありがとうございました」
「ああ」
会計を済ませて店の外に出る。ほろ酔い気分で2件目の店を探している人がちらほらいた。
もうそんな時間かと彼に申し訳なくなる。
「家は遠いんか?」
「いえ、歩いて20分ぐらいです」
「そうか、送ったる」
思いがけない言葉に目を丸くする。
今日はきっと、わたしにとっての年に一度の大吉日なのだろう。
頭の中で両手で扇子を持った和装束のおじさんが舞っている。
こんな日は流れに身を任せようと決意する。
「はい!ありがとうございます!」
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