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由樹の外付け思考回路
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新学期が始まってから三週間が過ぎた。秋月さんともその間ずっと、一緒に登校し続けている。幸いにもうちの学生があまり登校していないルートなので、まだ他の奴にはバレていないようだ。最初の二週間くらいは、気持ちよくしゃべらせておいたのち、突っ込んだ話が来そうなら、距離を詰めたり意味深な反応を返したりしているだけで、面白い反応を見せつつ上手く誤魔化されていてくれたが、ここ一週間は少し様子が変わってきた。
話をぶった切ってカラオケに誘ってきたり、あいさつ代わりにもっつぁりくんのストラップをくれたりと、なにか上手く踊らされているのを回避しようといった感じが出てきた。こうなってくるとちょっと困る。天然で鈍いけどいいやつ的なキャラで登校中だけいい感じにおちょくるつもりだったのだが、他の部分にも波及してきてしまう。もっつぁりくんストラップも、あんなにキラキラした目でぜひつけて欲しいと言われてしまったら流石につけざるを得ない。迂闊に好きとかいうんじゃなかった...。
カラオケは用事があると言って乗り切ったが、そう毎回毎回用事では乗り切れない。あんまり雑な断り方ばかりしていると、わかってておちょくってるクソ野郎だとバレかねない。あくまでいいやつだが、鈍感で気の利かないことを言ってる感を演じ切らなければならない。しかしそうなるとあまり邪険にはできない...普通にそんなことしたらかわいそうだというのもある。別に女の子とカラオケに行きたくないってわけでもないしな!
そんなことを考えながら歩いていると秋月さんの家に着いた。
お!今日は秋月さんのほうが先に待ってる。いつもより早く家を出たんだけど負けたな。
「おはよう秋月さん。」
「おはよう!滝口君!」
いつものように元気だな秋月さんは...
=====================================
ブレインミホちゃんの効果は絶大だ。録音データから私が流されやすいパターンを完全に分析して、ベストなアプローチ方法を模索してくれている。プレゼントは話を始める前に渡すとか、カラオケ番組の話の流れからカラオケに誘えとか、料理の話から昼ご飯を一緒に食べる約束を取り付けろだとか、他にも先生にばれない範囲でナチュラルメイクをしてアピールとか、有効な作戦を次々と打ち立ててくれる。さすが理系だ(?)
そして今回は特別任務が与えられた。その任務とは朝にいつも用事があると言って、すぐどこかに行ってしまう滝口君の後をこっそりとつけることだ。正直ついていきづらい雰囲気はあるけど、任務だから仕方がない!いつも通り別れた後、距離をとって後をつけてみた。
すると滝口君は結構な早歩きでどんどんと校舎の裏手の山のほうに進んでいった。私はというと距離を開けすぎたせいで滝口君を見失ってしまった...。慌てて距離を詰めてあたりを見回した...するといた!黒いボサボサ髪が、奥まったほとんどだれも通らないあたりからチラチラ見え隠れしている。何をしているのか見たいけれどもあんまり近づきすぎるとバレてしまう。私はちょうど滝口君の後ろ少し離れたあたりにある木の後ろに身を隠した。後ろなので姿は見えないが声は聞こえてくる。
「...そうさ隣にいるだけでいい」
「君に気持ちが伝わらなくたっていい!ただ僕は...君の隣にいるだけで愛を...感じられるんだ...」
ん?これは演技かな?中々いい演技だけど、ドラマを見まくってる私《ワタクシ》から言わせてもらうと、愛を感じられるのあたりがちとぎこちない感じがするのお。まだまだ精進ですな......じゃない!演技の練習!?もしかして滝口君って役者志望?でもなんでこんなところで練習を?...謎を解くために後をつけたのになんだか謎が深まった気がする...。
放課後、早速ミホちゃんに報告をした。
「なるほど...演技の練習をしていたと。」
「そうなの!そこまで上手いわけではなかったんだけど。」
「惚れてるわりにはそういうところはちゃんと判断するのね。」
「自分に嘘はつけませんよ監督ぅ!」
「誰が監督だ。」
そういってからミホちゃんは考え始めた。
「う~んもしかしたら演劇好きなのかも...だとしたらミュージカルか映画か...」
「ミホちゃん?どうしたの?」
「ユキ、もうすぐゴールデンウィークね。」
「そ、そうだね。」
いやな予感がする...
「そこでミッションを与える!題して滝口君を誘ってゴールデンウィークに映画デートでいい感じ作戦よ!!」
「デート!?ちょっと難易度が高くないですか監督!」
「そう、ただのデートならね。」
「どういうことですか監督!」
「ズバリ!滝口君はあなたと二人でいるところを見られるのを嫌がっている!」
「えええええ!!!そうなのぉ!?」
「ユキのことを嫌っているわけじゃなさそうだし、何か理由があるのかもしれないわ。単純に登校だけの関係と割り切られている可能性もある。」
「そんな!」
「しかぁし!映画ならば問題なし!映画館は暗いし、集合と解散の場所を映画館にしてしまえば一緒にいるところを見られる危険性は低い!」
「えーなんだかなぁ...」
「その顔は折角デートに行くならもっといろいろやりたいって顔ね。」
「はい!その通りです...」
「でも大丈夫一回誘えてしまえばこっちのもんよ!映画を見終わった後に、お腹すいたからご飯食べに行こうよ~ってな感じで延長デートをしてしまえばいいの!」
「なるほど!でも先生!断られたらどうするんですか!」
「大丈夫!聞いてる感じだと滝口君は押しに弱い!ユキは純粋だしそういうまっすぐな好意は断りづらいタイプだと見た。あと私は先生でも監督でもない!」
「すいませんでした師匠!取り敢えず映画に誘えばいいんですね!」
「まあそういうことね。向こうもカラオケを断った罪悪感が少しはあるはず、そこにリスクの低い映画話が飛び込んで来たらほぼ間違いなく乗ってくるわ。」
さすがミホちゃんだ。私じゃ絶対こんなの思いつかない。でも大変なことになっちゃったなぁ...ほぼ受けてくれるらしいとはいえデートのお誘いかぁ...。いやでもがんばらなくちゃいつまでたっても先に進めないよ!よーし!いっちょやりますか!
話をぶった切ってカラオケに誘ってきたり、あいさつ代わりにもっつぁりくんのストラップをくれたりと、なにか上手く踊らされているのを回避しようといった感じが出てきた。こうなってくるとちょっと困る。天然で鈍いけどいいやつ的なキャラで登校中だけいい感じにおちょくるつもりだったのだが、他の部分にも波及してきてしまう。もっつぁりくんストラップも、あんなにキラキラした目でぜひつけて欲しいと言われてしまったら流石につけざるを得ない。迂闊に好きとかいうんじゃなかった...。
カラオケは用事があると言って乗り切ったが、そう毎回毎回用事では乗り切れない。あんまり雑な断り方ばかりしていると、わかってておちょくってるクソ野郎だとバレかねない。あくまでいいやつだが、鈍感で気の利かないことを言ってる感を演じ切らなければならない。しかしそうなるとあまり邪険にはできない...普通にそんなことしたらかわいそうだというのもある。別に女の子とカラオケに行きたくないってわけでもないしな!
そんなことを考えながら歩いていると秋月さんの家に着いた。
お!今日は秋月さんのほうが先に待ってる。いつもより早く家を出たんだけど負けたな。
「おはよう秋月さん。」
「おはよう!滝口君!」
いつものように元気だな秋月さんは...
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ブレインミホちゃんの効果は絶大だ。録音データから私が流されやすいパターンを完全に分析して、ベストなアプローチ方法を模索してくれている。プレゼントは話を始める前に渡すとか、カラオケ番組の話の流れからカラオケに誘えとか、料理の話から昼ご飯を一緒に食べる約束を取り付けろだとか、他にも先生にばれない範囲でナチュラルメイクをしてアピールとか、有効な作戦を次々と打ち立ててくれる。さすが理系だ(?)
そして今回は特別任務が与えられた。その任務とは朝にいつも用事があると言って、すぐどこかに行ってしまう滝口君の後をこっそりとつけることだ。正直ついていきづらい雰囲気はあるけど、任務だから仕方がない!いつも通り別れた後、距離をとって後をつけてみた。
すると滝口君は結構な早歩きでどんどんと校舎の裏手の山のほうに進んでいった。私はというと距離を開けすぎたせいで滝口君を見失ってしまった...。慌てて距離を詰めてあたりを見回した...するといた!黒いボサボサ髪が、奥まったほとんどだれも通らないあたりからチラチラ見え隠れしている。何をしているのか見たいけれどもあんまり近づきすぎるとバレてしまう。私はちょうど滝口君の後ろ少し離れたあたりにある木の後ろに身を隠した。後ろなので姿は見えないが声は聞こえてくる。
「...そうさ隣にいるだけでいい」
「君に気持ちが伝わらなくたっていい!ただ僕は...君の隣にいるだけで愛を...感じられるんだ...」
ん?これは演技かな?中々いい演技だけど、ドラマを見まくってる私《ワタクシ》から言わせてもらうと、愛を感じられるのあたりがちとぎこちない感じがするのお。まだまだ精進ですな......じゃない!演技の練習!?もしかして滝口君って役者志望?でもなんでこんなところで練習を?...謎を解くために後をつけたのになんだか謎が深まった気がする...。
放課後、早速ミホちゃんに報告をした。
「なるほど...演技の練習をしていたと。」
「そうなの!そこまで上手いわけではなかったんだけど。」
「惚れてるわりにはそういうところはちゃんと判断するのね。」
「自分に嘘はつけませんよ監督ぅ!」
「誰が監督だ。」
そういってからミホちゃんは考え始めた。
「う~んもしかしたら演劇好きなのかも...だとしたらミュージカルか映画か...」
「ミホちゃん?どうしたの?」
「ユキ、もうすぐゴールデンウィークね。」
「そ、そうだね。」
いやな予感がする...
「そこでミッションを与える!題して滝口君を誘ってゴールデンウィークに映画デートでいい感じ作戦よ!!」
「デート!?ちょっと難易度が高くないですか監督!」
「そう、ただのデートならね。」
「どういうことですか監督!」
「ズバリ!滝口君はあなたと二人でいるところを見られるのを嫌がっている!」
「えええええ!!!そうなのぉ!?」
「ユキのことを嫌っているわけじゃなさそうだし、何か理由があるのかもしれないわ。単純に登校だけの関係と割り切られている可能性もある。」
「そんな!」
「しかぁし!映画ならば問題なし!映画館は暗いし、集合と解散の場所を映画館にしてしまえば一緒にいるところを見られる危険性は低い!」
「えーなんだかなぁ...」
「その顔は折角デートに行くならもっといろいろやりたいって顔ね。」
「はい!その通りです...」
「でも大丈夫一回誘えてしまえばこっちのもんよ!映画を見終わった後に、お腹すいたからご飯食べに行こうよ~ってな感じで延長デートをしてしまえばいいの!」
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