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第七章 旧校舎の花子さん
51話
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どんなに暴れられても、絶対に離れない! ってくらい、ぎゅうぅぅぅと強く抱きつく。
『くっ、離れてよ!!』
「花子さん! 私が遊びにくるよっ!」
『な、なにをっ……!』
「旧校舎は立ち入り禁止で、先生に見つかっちゃうと怒られるから毎日は無理かもしれないけど……でも! コッソリ遊びに来るから! 絶対に! 約束する! 私がっ……私が花子さんを一人にはさせないから!」
だからどうかこの想いが伝わって……!
ぎゅうぅぅと、さらに強く抱きつく。
すると私の頭をぐいぐい押して暴れていた花子さんの手が、ぴたりと止まった。
ゆっくり顔を上げて花子さんを見ると、私の頬にポタッと涙が落ちてきた。
花子さんが……泣いている。
『ほん……と、に?』
にごった黒い瞳じゃない、キラキラと澄んだ瞳で私を見てくる花子さん。
いつのまにか、花子さんの顔や手足にあった禍々しい模様は消えていた。
心なしか、あわく花子さん自体が光っている気がする。
「うんっ、本当だよ。おしゃべりでも、指遊びでもなんでもする! 私、本が好きだからおすすめの本を読んでもいいねっ」
『……うん。…………うん、うんっ。遊ぼう、沢山おしゃべりしてねっ』
花子さんは、うわーん! と大粒の涙を流しはじめた。
よしよしと頭を撫でて、落ち着かせる。
紅魔くん見れば、襲いかかってくるガイコツや黒いモヤは消えていて危ない状況じゃないみたい。
よかった……。
「結花、よくやったな」
「私はなにもっ……。ただ、花子さんと友達になっただけだよ。寂しいって言ってるのに、無視なんてできないもん」
「……ふっ、そうか」
紅魔くんは小さく笑う。
その顔がとっても綺麗でかっこよくて、思わず見惚れてしまった。
「どうかしたか」
「……っううん、なんでもない」
あわてて顔をそらすと、バタバタと足音が聞こえた。
「結花っ!」
息を切らせた美琴ちゃんは、座りこんだ私の腰に抱きついて泣いている花子さんを見ると、きょとんとした顔をする。
「その子……花子さん、よね?」
「うん、そうだよ」
「なんで結花に抱きついて泣いてるの……?」
「えっと、お、お友達になったから?」
あはは……と笑うと、美琴ちゃんは納得がいっていないようで首を傾げている。
「……まぁ結花のことだから、多分そうなんでしょね」
「むぅ。美琴ちゃん、信じてないの?」
「いいえ信じてるわよ。──結花のこと、信じてない時はなかった……」
「み、ことちゃん……」
座りこんでいる私と視線を合わせるように、美琴ちゃんもしゃがむ。
「ごめんね、結花。私っ、あの時すごくショックで……。『こっちに来ないで』って言われて、なんで、ひどいって。でも結花はいままで喧嘩しても、一度だってそんなことを私に言わなかったから……」
──あの時あやかしが見えていたのは、本当だったんだね。
美琴ちゃんは、くしゃりと顔を歪ませて泣いた。
「あの日、あの時だけ……私はショックで結花のこと信じられなくて、ごめんなさいっ。幽霊……あやかしは本当に居るのね。……ふふ、私トイレの花子さん見ちゃった」
泣きながらも、やわらかく笑う美琴ちゃんに私も目が熱くなる。
「うん、あやかしは居るんだよっ。怖いあやかしも……可愛いあやかしも。神様だって! 今度、ましろっていうわた毛のあやかし、紹介するね」
「わた毛のあやかし……結花、昔も言ってた。うん、ぜひ紹介して」
お互いに顔を見て、えへへ、と照れくさく笑う。
あぁ、なんだかすごくなつかしいな。
美琴ちゃんとは小学校に入ってから友達になったけど、そこからずっと毎日のように一緒にいた。
だから、またその時のように喋れているのが本当に……すごく嬉しい。
「ねぇ、結花? 今度、結花のお家に──」
美琴ちゃんが喋っていると、私の腰に抱きついていた花子さんが力なく床に倒れこんだ。
「花子さんっ!?」
「結花、花子さんどうしちゃったのっ」
「わかんないっ。花子さん、花子さんっ!」
ゆさゆさと体を揺らすと、「ううっ」とうめき声が聞こえてきた。
ゆっくりとした動きで起き上がると、花子さんは私と美琴ちゃんを交互に見る。
そして目を大きく見開いた。
『わっ私、なにを……? 痛っ』
突然、頭を押さえてうずくまる花子さん。
私と美琴ちゃんは、その背中をさする。
「花子さん大丈夫っ?」
「花子さんっ聞こえますか」
『うぐっ……はぁっ、はぁ。あっ……わ、私ったらなんてことを……!?』
サァァァと血の気が引いていき、顔色が悪くなる花子さん。
口をあわあわさせて、バッと私たちを見た。
──そして。
『ももももも、申し訳ございませんでしたぁぁぁぁあ!』
華麗な土下座って、このことかな?
花子さんは私と美琴ちゃんに土下座をした。
あっけに取られちゃって、私たちはなにも喋れない。
その間も、花子さんはまさにマシンガントーク! と言った感じで喋り続けた。
『そのっ、記憶はあるんです! でも、瘴気に取り込まれて悪いことをしている間は、意識がないと言うか。記憶として覚えてはいるけど、体が別人に乗っ取られたみたいな……!』
くるくると表情が変わる花子さんは、さっきまではとは別人のよう。
なんだか、とっても可愛らしい女の子だ。
「ふ、ふふっ」
「あ、結花。笑っちゃダメだよ。ふふ」
「むぅ美琴ちゃんも笑ったよ!」
「笑ってない」
「笑ったもん!」
『お、お二人とも……? もしかして私、なにかおかしいですか!? ごめんなさい!』
ひぎゃぁぁ! と花子さんはショックを受けた顔をする。
慌てて私と美琴ちゃんは「違うよ!」と、訂正した。
「なんだか可愛くて、つい!」
「えぇ。花子さん、とっても可愛い」
『わわわわ私が可愛いっ!? そんなことないですぅぅ!!』
花子さんは赤くなった頬を隠すように、両手で頬を押さえた。
そんな仕草も可愛くて、私は美琴ちゃんと笑い合う。
「──結花ちゃん!」
「結花!」
「烈央くん、星守くん……!?」
バタバタと足音が聞こえ、はぐれてしまった二人の姿が見えた。
頭にはぴょこりと三角の耳、ピンと立ったしっぽ。
あやかし姿の烈央くんと星守くんだ。
二人とも顔色が良くなっていて、ほっとする。
はぐれる前、二人はすごく体調が悪そうだったから。星守くんなんて、床に座りこんじゃうくらいだった。
「二人とも無事だったんだねっ!? よ、よかった……!」
「あぁ、さっきから少しずつ瘴気が薄くなってきて自由に動けるようになったんだ。……結花ちゃんとはぐれてからは、星守と二人でいたけど沢山のあやかしが襲ってきて、結花ちゃんは大丈夫かなって気が気じゃなかったよ」
「──てかさ結花、その二人は? なんで人数が増えてんのっ!?」
びっくりしている星守くんと烈央くんに、私は紅魔くんと美琴ちゃん、そして花子さんのことを話した。
『くっ、離れてよ!!』
「花子さん! 私が遊びにくるよっ!」
『な、なにをっ……!』
「旧校舎は立ち入り禁止で、先生に見つかっちゃうと怒られるから毎日は無理かもしれないけど……でも! コッソリ遊びに来るから! 絶対に! 約束する! 私がっ……私が花子さんを一人にはさせないから!」
だからどうかこの想いが伝わって……!
ぎゅうぅぅと、さらに強く抱きつく。
すると私の頭をぐいぐい押して暴れていた花子さんの手が、ぴたりと止まった。
ゆっくり顔を上げて花子さんを見ると、私の頬にポタッと涙が落ちてきた。
花子さんが……泣いている。
『ほん……と、に?』
にごった黒い瞳じゃない、キラキラと澄んだ瞳で私を見てくる花子さん。
いつのまにか、花子さんの顔や手足にあった禍々しい模様は消えていた。
心なしか、あわく花子さん自体が光っている気がする。
「うんっ、本当だよ。おしゃべりでも、指遊びでもなんでもする! 私、本が好きだからおすすめの本を読んでもいいねっ」
『……うん。…………うん、うんっ。遊ぼう、沢山おしゃべりしてねっ』
花子さんは、うわーん! と大粒の涙を流しはじめた。
よしよしと頭を撫でて、落ち着かせる。
紅魔くん見れば、襲いかかってくるガイコツや黒いモヤは消えていて危ない状況じゃないみたい。
よかった……。
「結花、よくやったな」
「私はなにもっ……。ただ、花子さんと友達になっただけだよ。寂しいって言ってるのに、無視なんてできないもん」
「……ふっ、そうか」
紅魔くんは小さく笑う。
その顔がとっても綺麗でかっこよくて、思わず見惚れてしまった。
「どうかしたか」
「……っううん、なんでもない」
あわてて顔をそらすと、バタバタと足音が聞こえた。
「結花っ!」
息を切らせた美琴ちゃんは、座りこんだ私の腰に抱きついて泣いている花子さんを見ると、きょとんとした顔をする。
「その子……花子さん、よね?」
「うん、そうだよ」
「なんで結花に抱きついて泣いてるの……?」
「えっと、お、お友達になったから?」
あはは……と笑うと、美琴ちゃんは納得がいっていないようで首を傾げている。
「……まぁ結花のことだから、多分そうなんでしょね」
「むぅ。美琴ちゃん、信じてないの?」
「いいえ信じてるわよ。──結花のこと、信じてない時はなかった……」
「み、ことちゃん……」
座りこんでいる私と視線を合わせるように、美琴ちゃんもしゃがむ。
「ごめんね、結花。私っ、あの時すごくショックで……。『こっちに来ないで』って言われて、なんで、ひどいって。でも結花はいままで喧嘩しても、一度だってそんなことを私に言わなかったから……」
──あの時あやかしが見えていたのは、本当だったんだね。
美琴ちゃんは、くしゃりと顔を歪ませて泣いた。
「あの日、あの時だけ……私はショックで結花のこと信じられなくて、ごめんなさいっ。幽霊……あやかしは本当に居るのね。……ふふ、私トイレの花子さん見ちゃった」
泣きながらも、やわらかく笑う美琴ちゃんに私も目が熱くなる。
「うん、あやかしは居るんだよっ。怖いあやかしも……可愛いあやかしも。神様だって! 今度、ましろっていうわた毛のあやかし、紹介するね」
「わた毛のあやかし……結花、昔も言ってた。うん、ぜひ紹介して」
お互いに顔を見て、えへへ、と照れくさく笑う。
あぁ、なんだかすごくなつかしいな。
美琴ちゃんとは小学校に入ってから友達になったけど、そこからずっと毎日のように一緒にいた。
だから、またその時のように喋れているのが本当に……すごく嬉しい。
「ねぇ、結花? 今度、結花のお家に──」
美琴ちゃんが喋っていると、私の腰に抱きついていた花子さんが力なく床に倒れこんだ。
「花子さんっ!?」
「結花、花子さんどうしちゃったのっ」
「わかんないっ。花子さん、花子さんっ!」
ゆさゆさと体を揺らすと、「ううっ」とうめき声が聞こえてきた。
ゆっくりとした動きで起き上がると、花子さんは私と美琴ちゃんを交互に見る。
そして目を大きく見開いた。
『わっ私、なにを……? 痛っ』
突然、頭を押さえてうずくまる花子さん。
私と美琴ちゃんは、その背中をさする。
「花子さん大丈夫っ?」
「花子さんっ聞こえますか」
『うぐっ……はぁっ、はぁ。あっ……わ、私ったらなんてことを……!?』
サァァァと血の気が引いていき、顔色が悪くなる花子さん。
口をあわあわさせて、バッと私たちを見た。
──そして。
『ももももも、申し訳ございませんでしたぁぁぁぁあ!』
華麗な土下座って、このことかな?
花子さんは私と美琴ちゃんに土下座をした。
あっけに取られちゃって、私たちはなにも喋れない。
その間も、花子さんはまさにマシンガントーク! と言った感じで喋り続けた。
『そのっ、記憶はあるんです! でも、瘴気に取り込まれて悪いことをしている間は、意識がないと言うか。記憶として覚えてはいるけど、体が別人に乗っ取られたみたいな……!』
くるくると表情が変わる花子さんは、さっきまではとは別人のよう。
なんだか、とっても可愛らしい女の子だ。
「ふ、ふふっ」
「あ、結花。笑っちゃダメだよ。ふふ」
「むぅ美琴ちゃんも笑ったよ!」
「笑ってない」
「笑ったもん!」
『お、お二人とも……? もしかして私、なにかおかしいですか!? ごめんなさい!』
ひぎゃぁぁ! と花子さんはショックを受けた顔をする。
慌てて私と美琴ちゃんは「違うよ!」と、訂正した。
「なんだか可愛くて、つい!」
「えぇ。花子さん、とっても可愛い」
『わわわわ私が可愛いっ!? そんなことないですぅぅ!!』
花子さんは赤くなった頬を隠すように、両手で頬を押さえた。
そんな仕草も可愛くて、私は美琴ちゃんと笑い合う。
「──結花ちゃん!」
「結花!」
「烈央くん、星守くん……!?」
バタバタと足音が聞こえ、はぐれてしまった二人の姿が見えた。
頭にはぴょこりと三角の耳、ピンと立ったしっぽ。
あやかし姿の烈央くんと星守くんだ。
二人とも顔色が良くなっていて、ほっとする。
はぐれる前、二人はすごく体調が悪そうだったから。星守くんなんて、床に座りこんじゃうくらいだった。
「二人とも無事だったんだねっ!? よ、よかった……!」
「あぁ、さっきから少しずつ瘴気が薄くなってきて自由に動けるようになったんだ。……結花ちゃんとはぐれてからは、星守と二人でいたけど沢山のあやかしが襲ってきて、結花ちゃんは大丈夫かなって気が気じゃなかったよ」
「──てかさ結花、その二人は? なんで人数が増えてんのっ!?」
びっくりしている星守くんと烈央くんに、私は紅魔くんと美琴ちゃん、そして花子さんのことを話した。
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