あやかし達の送り屋をやっています! 〜正反対な狐のあやかし双子との出会い〜

巴藍

文字の大きさ
上 下
46 / 53
第七章 旧校舎の花子さん

46話

しおりを挟む
「アラン、ベイカーさんあなた達には本当に呆れました…」

セバスさんがアランとベイカーがご飯を食べているところに急にやってきた…

「一体藪から棒になんだ?まぁ…思い当たる節はなくはない!」

アランが持っていた肉を食べると

「そうだよ、アランさんならまだしも俺何かしましたっけ?」

ベイカーは身に覚えがないと言いながら肉を食った。

「それです!その食欲です!あなた達この前隣町に依頼に行った時に何かしましたよね…」

セバスさんが二人を睨みつける。

「なんか?依頼をこなして…飯食って帰ってきたよな?」

「ああ、いつも通りだ」

二人が頷くと

「その隣町から被害届が届いています!男の二人組が食い逃げを繰り返していると…」

「「食い逃げ!?」」

「ベイカーさん!アランさん!」

話を聞いてたミヅキが大声をあげる!

「いや!まて!知らんぞ食い逃げなんてするかよ」

してないと否定するベイカーに大してアランは思案顔を見せる。

「それって…どの店?」

伺うようにアランが聞くと

「確か…肉をメインに出している。肉肉パラダイスとお酒が飲めるリトリップと言うお店ですね…」

「おい…アランさん…」

ベイカーとアランの顔が曇ると…

「俺達は確かにその店に行った…行ったけどちゃんと金は払ったぞ!」

「ミヅキさんは同行してないのですか?」

「ミヅキがシルバ達と寝てから行ったから…」

気まずそうにベイカーが言うと…

「えー!二人共いつの間に!私もいきたかったー!」

ミヅキが仲間外れにされた事で膨れていると

「悪かったよ、今度は連れていくからさ」

ベイカーが謝ると

「では証言出来るのはお互いだけなのですね」

「まぁそうなるな…知り合いがいた訳でもねぇし」

「お金を払い忘れたとかじゃないんですか?」

ミヅキが聞くと

「それが定員が少し目を離した隙に凄い速さで逃げ出したと…」

「そんな事するかよ!」

「全くだ!」

二人が憤怒すると

「それ本当に俺達か?」

「ええ、赤髪の冒険者と明るい茶髪の男だったと…かなり強そうな冒険者達であの町では見ない顔だと…」

「ベイカーさん達にそっくりだね」

ミヅキが寂しそうに二人を見つめる…

「ベイカーさん達にはお腹いっぱい食べてもらってると思ってたのに…」

「いや!ミヅキの飯美味いよ!満足だけど…あの夜中に空く小腹に酒とツマミを食べるは…」

「そうだな…やめられん」

アランがうんうんと頷く。

「やはりお前達が…」

セバスが眉間を押さえると

「先方には謝罪をしておきます…お金はお前達の依頼分から差し引いて払っておく!いいか?二度とそんな事をするなよ」

セバスさんは二人をギロっと睨むと帰っていった…

「こっわ!なんだあれ!俺たちを犯人って決めつけてたぞ!」

アランが怒りのあまり目の前の肉を食べ尽くす!

「でも、ベイカーさん達がそんな事するとはやっぱり思えないなぁ…」

ミヅキが二人を見ると

「だからやってないんだよ!」

ベイカーはミヅキを見つめると

「本当?」

ミヅキはじっとベイカーの目を見つめる。

「ああ!誓ってもいい、俺はやってない」

「俺はじゃなくて俺達だろ!」

アランが文句を言うと

「酔って忘れてたって事はないの?」

「そこまで飲んでねぇよ、ミヅキを宿に残してたしな」

「ああ、ちゃんと帰ってきてミヅキが寝てるのを確認した」

「えっ…寝顔…見たの?」

ミヅキが睨むと

「いや!暗いしな…そこまでは…ちゃんといるか見ただけだよ。親として当然だろ?」

ベイカーさんがそっと目をそらすと

「ふーん…まぁいいけどね」

ミヅキがしょうがないと渋々頷く。

「なら、やっぱりベイカーさん達はじゃないのかな?」

「まぁ俺達と勘違いしたのかもな…」

「でも二軒も?」

「「うーん…」」

二人は頭を抱えたが思い当たる節はやはりなかった。


数日後…

「ベイカー!」

ドンッ!

怒濤の声と共に外に雷が落ちてきた…

「ま、また何かしたの?」

ミヅキは家の中で震えると…

「し、知らんぞ」

ベイカーはミヅキの後ろに隠れた…

扉が開くと…アランさんを引きずって怒りの表情のセバスさんが部屋に怒鳴り込んできた。

「ミヅキさん、その馬鹿を渡して下さい」

セバスさんは私にいつものようににっこりと笑ってお願いしてくる。

「ま、待ってセバスさん、ベイカーさん何したの?それだけ聞かせてもらってから…」

お願いと手を合わせると、セバスさんの勢いが止まった。

「あれほど気をつけるように言いましたが…また食い逃げをしたんです」

「えっ!?また!」

ミヅキが振り返ってベイカーを見ると

「いや!してないぞ!」

ブルブルと首を振っている。

「今度は違う町だけでなく、村からも来ているんですよ!」

「えっ…ちょっと待てよ。どの村だよ」

「あなた達が依頼に向かったところですよ!」

「おかしいぞ俺達あんな事があったから夜は食べに出てないぞ」

「ああ、そうだな。行ってもミヅキ達と一緒だった」

「えっ」

セバスさんが私を見つめると

「はい!確かに一緒に行きました!夜は…寝ちゃった後は分からないけど…」

【確かに居たぞこいつら】

シルバが口を挟む

【えっ本当に?】

私は驚いてシルバを見つめると

【ああ、俺に黙って飯を食いに行ってたなんて…許さんと思って注意して見てたんだ】

【そ、そうなんだ…】

苦笑しながらその事をセバスさんに伝えると

「ほら見ろ!俺達じゃねぇだろ!」

アランさんがドヤ顔で答えると

「では一体誰が…報告によると自分達の事をアラン、ベイカーと呼び合っていたそうですよ」

「はぁ?なんだそりゃ」

「なんかおかしいよね、食い逃げするのにわざわざ名前を言うなんて…わざととしか思えないなぁ」

「確かに…少し冷静になってみると、アランにそんな芸当ができるとも思えませんね」

「おい!」

アランが突っ込むと

「しかし許さん…俺達の名を語って食い逃げだと…何処のどいつだ!」

「しかし…真犯人か居ない今とりあえず名前が出ているあなた達を野放しにしておく訳にも行かないのですよ」

「やってないのにか?」

「名指してアランとベイカーを捕まえてくれと依頼が来ているのです」

二人に依頼書を見せると…

「とりあえず先方には私から事情を説明しますので、少しギルドに付き合って下さい」

セバスさんの言葉にアランさんとベイカーさんは納得いかない表情でついて行った。

「ミヅキはシルバ達と大人しくしてろよ」

「デボット達にお願いしておきますので…ミヅキさん…静かにここにいて下さいね」

「はーい…」

ミヅキはとりあえず頷いた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

中学生ユーチューバーの心霊スポットMAP

じゅん
児童書・童話
【第1回「きずな児童書大賞」大賞 受賞👑】  悪霊のいる場所では、居合わせた人に「霊障」を可視化させる体質を持つ「霊感少女」のアカリ(中学1年生)。  「ユーチューバーになりたい」幼なじみと、「心霊スポットMAPを作りたい」友達に巻き込まれて、心霊現象を検証することになる。  いくつか心霊スポットを回るうちに、最近増えている心霊現象の原因は、霊を悪霊化させている「ボス」のせいだとわかり――  クスっと笑えながらも、ゾッとする連作短編。

四尾がつむぐえにし、そこかしこ

月芝
児童書・童話
その日、小学校に激震が走った。 憧れのキラキラ王子さまが転校する。 女子たちの嘆きはひとしお。 彼に淡い想いを抱いていたユイもまた動揺を隠せない。 だからとてどうこうする勇気もない。 うつむき複雑な気持ちを抱えたままの帰り道。 家の近所に見覚えのない小路を見つけたユイは、少し寄り道してみることにする。 まさかそんな小さな冒険が、あんなに大ごとになるなんて……。 ひょんなことから石の祠に祀られた三尾の稲荷にコンコン見込まれて、 三つのお仕事を手伝うことになったユイ。 達成すれば、なんと一つだけ何でも願い事を叶えてくれるという。 もしかしたら、もしかしちゃうかも? そこかしこにて泡沫のごとくあらわれては消えてゆく、えにしたち。 結んで、切って、ほどいて、繋いで、笑って、泣いて。 いろんな不思議を知り、数多のえにしを目にし、触れた先にて、 はたしてユイは何を求め願うのか。 少女のちょっと不思議な冒険譚。 ここに開幕。

こわモテ男子と激あま婚!? 〜2人を繋ぐ1on1、ブザービートからはじまる恋〜

おうぎまちこ(あきたこまち)
児童書・童話
 お母さんを失くし、ひとりぼっちになってしまったワケアリ女子高生の百合(ゆり)。  とある事情で百合が一緒に住むことになったのは、学校で一番人気、百合の推しに似ているんだけど偉そうで怖いイケメン・瀬戸先輩だった。  最初は怖くて仕方がなかったけれど、「好きなものは好きでいて良い」って言って励ましてくれたり、困った時には優しいし、「俺から離れるなよ」って、いつも一緒にいてくれる先輩から段々目が離せなくなっていって……。    先輩、毎日バスケをするくせに「バスケが嫌い」だっていうのは、どうして――?    推しによく似た こわモテ不良イケメン御曹司×真面目なワケアリ貧乏女子高生との、大豪邸で繰り広げられる溺愛同居生活開幕! ※じれじれ? ※ヒーローは第2話から登場。 ※5万字前後で完結予定。 ※1日1話更新。 ※第15回童話・児童書大賞用作品のため、アルファポリス様のみで掲載中。→noichigoさんに転載。

小さな王子さまのお話

佐宗
児童書・童話
『これだけは覚えていて。あなたの命にはわたしたちの祈りがこめられているの』…… **あらすじ** 昔むかし、あるところに小さな王子さまがいました。 珠のようにかわいらしい黒髪の王子さまです。 王子さまの住む国は、生きた人間には決してたどりつけません。 なぜなら、その国は……、人間たちが恐れている、三途の河の向こう側にあるからです。 「あの世の国」の小さな王子さまにはお母さまはいませんが、お父さまや家臣たちとたのしく暮らしていました。 ある日、狩りの最中に、一行からはぐれてやんちゃな友達と冒険することに…? 『そなたはこの世で唯一の、何物にも代えがたい宝』―― 亡き母の想い、父神の愛。くらがりの世界に生きる小さな王子さまの家族愛と成長。 全年齢の童話風ファンタジーになります。

村から追い出された変わり者の僕は、なぜかみんなの人気者になりました~異種族わちゃわちゃ冒険ものがたり~

めーぷる
児童書・童話
グラム村で変わり者扱いされていた少年フィロは村長の家で小間使いとして、生まれてから10年間馬小屋で暮らしてきた。フィロには生き物たちの言葉が分かるという不思議な力があった。そのせいで同年代の子どもたちにも仲良くしてもらえず、友達は森で助けた赤い鳥のポイと馬小屋の馬と村で飼われている鶏くらいだ。 いつもと変わらない日々を送っていたフィロだったが、ある日村に黒くて大きなドラゴンがやってくる。ドラゴンは怒り村人たちでは歯が立たない。石を投げつけて何とか追い返そうとするが、必死に何かを訴えている. 気になったフィロが村長に申し出てドラゴンの話を聞くと、ドラゴンの巣を荒らした者が村にいることが分かる。ドラゴンは知らぬふりをする村人たちの態度に怒り、炎を噴いて暴れまわる。フィロの必死の説得に漸く耳を傾けて大人しくなるドラゴンだったが、フィロとドラゴンを見た村人たちは、フィロこそドラゴンを招き入れた張本人であり実は魔物の生まれ変わりだったのだと決めつけてフィロを村を追い出してしまう。 途方に暮れるフィロを見たドラゴンは、フィロに謝ってくるのだがその姿がみるみる美しい黒髪の女性へと変化して……。 「ドラゴンがお姉さんになった?」 「フィロ、これから私と一緒に旅をしよう」 変わり者の少年フィロと異種族の仲間たちが繰り広げる、自分探しと人助けの冒険ものがたり。 ・毎日7時投稿予定です。間に合わない場合は別の時間や次の日になる場合もあります。

妖精の風の吹くまま~家を追われた元伯爵令嬢は行き倒れたわけあり青年貴族を拾いました~

狭山ひびき@バカふり200万部突破
児童書・童話
妖精女王の逆鱗に触れた人間が妖精を見ることができなくなって久しい。 そんな中、妖精が見える「妖精に愛されし」少女エマは、仲良しの妖精アーサーとポリーとともに友人を探す旅の途中、行き倒れの青年貴族ユーインを拾う。彼は病に倒れた友人を助けるために、万能薬(パナセア)を探して旅をしているらしい。「友人のために」というユーインのことが放っておけなくなったエマは、「おいエマ、やめとけって!」というアーサーの制止を振り切り、ユーインの薬探しを手伝うことにする。昔から妖精が見えることを人から気味悪がられるエマは、ユーインにはそのことを告げなかったが、伝説の万能薬に代わる特別な妖精の秘薬があるのだ。その薬なら、ユーインの友人の病気も治せるかもしれない。エマは薬の手掛かりを持っている妖精女王に会いに行くことに決める。穏やかで優しく、そしてちょっと抜けているユーインに、次第に心惹かれていくエマ。けれども、妖精女王に会いに行った山で、ついにユーインにエマの妖精が見える体質のことを知られてしまう。 「……わたしは、妖精が見えるの」 気味悪がられることを覚悟で告げたエマに、ユーインは―― 心に傷を抱える妖精が見える少女エマと、心優しくもちょっとした秘密を抱えた青年貴族ユーイン、それからにぎやかな妖精たちのラブコメディです。

運よく生まれ変われたので、今度は思いっきり身体を動かします!

克全
児童書・童話
「第1回きずな児童書大賞」重度の心臓病のため、生まれてからずっと病院のベッドから動けなかった少年が12歳で亡くなりました。両親と両祖父母は毎日のように妾(氏神)に奇跡を願いましたが、叶えてあげられませんでした。神々の定めで、現世では奇跡を起こせなかったのです。ですが、記憶を残したまま転生させる事はできました。ほんの少しだけですが、運動が苦にならない健康な身体と神与スキルをおまけに付けてあげました。(氏神談)

極甘独占欲持ち王子様は、優しくて甘すぎて。

猫菜こん
児童書・童話
 私は人より目立たずに、ひっそりと生きていたい。  だから大きな伊達眼鏡で、毎日を静かに過ごしていたのに――……。 「それじゃあこの子は、俺がもらうよ。」  優しく引き寄せられ、“王子様”の腕の中に閉じ込められ。  ……これは一体どういう状況なんですか!?  静かな場所が好きで大人しめな地味子ちゃん  できるだけ目立たないように過ごしたい  湖宮結衣(こみやゆい)  ×  文武両道な学園の王子様  実は、好きな子を誰よりも独り占めしたがり……?  氷堂秦斗(ひょうどうかなと)  最初は【仮】のはずだった。 「結衣さん……って呼んでもいい?  だから、俺のことも名前で呼んでほしいな。」 「さっきので嫉妬したから、ちょっとだけ抱きしめられてて。」 「俺は前から結衣さんのことが好きだったし、  今もどうしようもないくらい好きなんだ。」  ……でもいつの間にか、どうしようもないくらい溺れていた。

処理中です...