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第三章 小さな神様の、探し人
19話
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お、送り屋を出禁になるくらい、なにかをしでかした神様がいるなんて……。
もうワケがわからなくて怖い!
さっきまでとは打って変わって、私は恐ろしさを感じながら土地神様に視線を向けた。
すると土地神様は、ぷくりと頬をふくらませている。
次第に目を潤ませて、袖で口元を隠しながら「およよ」と泣きはじめてしまった!
手のひらに乗るサイズの小さな女の子が泣いてる姿は、なんだか胸が痛い。
私は土地神様へ向かって両手を差し出す。
不思議そうに私を見上げた土地神様は、すこし迷って『よいしょ』と手のひらに乗った。
「土地神様。ぜひ、お話を聞かせてください。私でよければ聞きますから」
『ぐすん……な、なんてっ、なんていい子なんじゃぁぁぁ! そこの狐たちより、お主は百億倍いい子じゃぞぉぉぉぉ』
また『およよよ~』と泣きはじめてしまった。
というか、土地神様には二人が狐のあやかしだって言ってないのに、わかっていたことがびっくり。
やっばり本物の神様なんだ……!
泣いている土地神様をどうにか落ち着かせて、数分後に話を聞くこと成功した。
『ぐすん……。実はの、妾は現世を去る前に心残りが一つあるのじゃ──』
土地神様のお話を聞いていくと、それはどうやら一人の女の子に会いたい、と言うものだった。
……ある日、土地神様の元に一人の女の子がやってきたそう。
その子は恋のお祈りをしに来ていたみたいで、『理人くんと両想いになれますように』と毎日、土地神様に向かって手を合わせていたらしい。
土地神様には恋愛成就の力はないけど、毎日来るものだから、次第にその女の子のことを好きなっていったんだって。
一週間ほど経ったある日。
女の子が『神様。私、明日理人くんに告白します』と言う。
土地神様は『おぉ、ついにか! 頑張るのじゃぞ!』と女の子を送り出した。
……でも次の日、女の子は祠にやってこなかったらしい。
次の日も、また次の日も。
どれだけ待っても、女の子は来なかった。
『──あの恋が成就したのか、妾は気になって気になって……夜しか眠れないのじゃ』
「それ寝れてるじゃん」
『妾の話の腰を折るでない、白いの!』
ツッコミを入れた星守くんを「白いの」と呼んだ土地神様。
星守くんは一瞬、自分のことだと気づかなくてワンテンポ遅れて「はぁ!?」とキレた。
「ボクが『白いの』なら、烈央はなんなのさ!」
ピシッと星守くんから指をさされた烈央くんは、やれやれ……と首を横にふった。
『そっちのは、もちろん『黒いの』じゃ』
「そのまますぎるでしょ! じゃあ結花は!?」
「へ、わっ私?」
たしかになんて呼ばれるのかなと、ドキドキしながら手のひらの上の土地神様を見る。
土地神様もじーっと私を見つめてきた。
『お主、結花というのか。では……結花じゃの!』
「──なんっっでだよ! ならボク、星守って名前があるんだから星守って呼んでくれる!?」
星守くんは大声を出しすぎたのか、疲れた様子ではぁはぁと肩で息をしている。
「だ、大丈夫? 星守くん」
「星守、興奮しすぎ。相手は神様なんだから、気まぐれなのも仕方ないよ。まぁ、あやかしだって相当きまぐれだけど」
「……そうだけどさぁ」
納得がいってなさそうな星守くん。
たしかに土地神様はすごくノリがいいというか、気まぐれというかなんというか……?
『はぁ~星守、お主うるさいのぉ? ちょっとは静かにせんか』
「──どうしよう烈央、結花。ボク、この土地神と仲良くなれる気がしないんだけど?」
むすりとした星守くんをどうにかなだめて、私たちはまず自己紹介をすることになった。
「俺は朝霧烈央」
「……星守だよ」
「私の名前は長月結花です。土地神様の名前は、なんていうんですか?」
『妾か? 妾は鈴葉じゃ。気軽に鈴葉様と呼んでいいぞ、結花』
「はい! じゃあ、鈴葉様の元に来た女の子を探すために、その女の子の特徴を教えてほしいです」
『うむ、良いぞ結花』
鈴葉様は両手を鎖骨のあたりでヒラヒラとさせて、ジェスチャーをはじめた。
『肩につかないくらいの髪の長さで、とても優しげな女の子じゃった!』
土地神様は、『ふぅ、いまので肩がこったわい』とやり遂げた感じで座りこむ。
──しーん。
なんとも言えない空気が流れた。
「…………そ、それだけですか?」
「む、まだ望むか? 欲張りじゃのぉ結花は。そうじゃなぁ。あ、可愛らしい白のワンピースを着ておったぞ!」
私たち三人は顔を見合わせた。
──どうしよう、鈴葉様が言う女の子の特徴が少なすぎる!
女の子が誰なのかを特定できる情報が少なすぎて、不安になってきた。
うぅ、ちゃんと見つけられるかな?
もうワケがわからなくて怖い!
さっきまでとは打って変わって、私は恐ろしさを感じながら土地神様に視線を向けた。
すると土地神様は、ぷくりと頬をふくらませている。
次第に目を潤ませて、袖で口元を隠しながら「およよ」と泣きはじめてしまった!
手のひらに乗るサイズの小さな女の子が泣いてる姿は、なんだか胸が痛い。
私は土地神様へ向かって両手を差し出す。
不思議そうに私を見上げた土地神様は、すこし迷って『よいしょ』と手のひらに乗った。
「土地神様。ぜひ、お話を聞かせてください。私でよければ聞きますから」
『ぐすん……な、なんてっ、なんていい子なんじゃぁぁぁ! そこの狐たちより、お主は百億倍いい子じゃぞぉぉぉぉ』
また『およよよ~』と泣きはじめてしまった。
というか、土地神様には二人が狐のあやかしだって言ってないのに、わかっていたことがびっくり。
やっばり本物の神様なんだ……!
泣いている土地神様をどうにか落ち着かせて、数分後に話を聞くこと成功した。
『ぐすん……。実はの、妾は現世を去る前に心残りが一つあるのじゃ──』
土地神様のお話を聞いていくと、それはどうやら一人の女の子に会いたい、と言うものだった。
……ある日、土地神様の元に一人の女の子がやってきたそう。
その子は恋のお祈りをしに来ていたみたいで、『理人くんと両想いになれますように』と毎日、土地神様に向かって手を合わせていたらしい。
土地神様には恋愛成就の力はないけど、毎日来るものだから、次第にその女の子のことを好きなっていったんだって。
一週間ほど経ったある日。
女の子が『神様。私、明日理人くんに告白します』と言う。
土地神様は『おぉ、ついにか! 頑張るのじゃぞ!』と女の子を送り出した。
……でも次の日、女の子は祠にやってこなかったらしい。
次の日も、また次の日も。
どれだけ待っても、女の子は来なかった。
『──あの恋が成就したのか、妾は気になって気になって……夜しか眠れないのじゃ』
「それ寝れてるじゃん」
『妾の話の腰を折るでない、白いの!』
ツッコミを入れた星守くんを「白いの」と呼んだ土地神様。
星守くんは一瞬、自分のことだと気づかなくてワンテンポ遅れて「はぁ!?」とキレた。
「ボクが『白いの』なら、烈央はなんなのさ!」
ピシッと星守くんから指をさされた烈央くんは、やれやれ……と首を横にふった。
『そっちのは、もちろん『黒いの』じゃ』
「そのまますぎるでしょ! じゃあ結花は!?」
「へ、わっ私?」
たしかになんて呼ばれるのかなと、ドキドキしながら手のひらの上の土地神様を見る。
土地神様もじーっと私を見つめてきた。
『お主、結花というのか。では……結花じゃの!』
「──なんっっでだよ! ならボク、星守って名前があるんだから星守って呼んでくれる!?」
星守くんは大声を出しすぎたのか、疲れた様子ではぁはぁと肩で息をしている。
「だ、大丈夫? 星守くん」
「星守、興奮しすぎ。相手は神様なんだから、気まぐれなのも仕方ないよ。まぁ、あやかしだって相当きまぐれだけど」
「……そうだけどさぁ」
納得がいってなさそうな星守くん。
たしかに土地神様はすごくノリがいいというか、気まぐれというかなんというか……?
『はぁ~星守、お主うるさいのぉ? ちょっとは静かにせんか』
「──どうしよう烈央、結花。ボク、この土地神と仲良くなれる気がしないんだけど?」
むすりとした星守くんをどうにかなだめて、私たちはまず自己紹介をすることになった。
「俺は朝霧烈央」
「……星守だよ」
「私の名前は長月結花です。土地神様の名前は、なんていうんですか?」
『妾か? 妾は鈴葉じゃ。気軽に鈴葉様と呼んでいいぞ、結花』
「はい! じゃあ、鈴葉様の元に来た女の子を探すために、その女の子の特徴を教えてほしいです」
『うむ、良いぞ結花』
鈴葉様は両手を鎖骨のあたりでヒラヒラとさせて、ジェスチャーをはじめた。
『肩につかないくらいの髪の長さで、とても優しげな女の子じゃった!』
土地神様は、『ふぅ、いまので肩がこったわい』とやり遂げた感じで座りこむ。
──しーん。
なんとも言えない空気が流れた。
「…………そ、それだけですか?」
「む、まだ望むか? 欲張りじゃのぉ結花は。そうじゃなぁ。あ、可愛らしい白のワンピースを着ておったぞ!」
私たち三人は顔を見合わせた。
──どうしよう、鈴葉様が言う女の子の特徴が少なすぎる!
女の子が誰なのかを特定できる情報が少なすぎて、不安になってきた。
うぅ、ちゃんと見つけられるかな?
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