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第三章 小さな神様の、探し人
18話
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「──土地神様?」
うむ、と女の子……じゃなくて土地神様は大きくうなずく。
土地神様っていうのは、土地の守り神だそう。
なんでも土地神様は、すごく昔から封鬼小学校周辺の土地の守護をしているらしく、それはそれは偉い神様……だと言っている。
私、神様を初めて見たかも……!
と一人興奮していると、烈央くんと星守くんはいつもどおり。
二人は神様を見たことがあるのかな?
あやかしの二人には、珍しいことじゃないのかも。
でも私は、初めて見る神様だ。
興味津々に見ていると私の視線に気づいて、モデルさんのようにポーズを決めはじめた。
おぉー! と拍手をすると、ちゅっと投げキッスまでしてくれて、ファンサービスまで完璧な神様だ。
「……なるほど。相手が土地神様なら、結花ちゃんの体が勝手に操られていたのもわかる。神様だから、それくらいはやろうと思えば出来るからね」
「たしかに神様ならできるだろうけど、こんなにちっこいのがぁ? 手のひらサイズじゃん」
『な、なにを~!? 妾はの、ここら一帯の土地を守っているそれはもう、えら~い神様なんじゃぞ? ほれ、頭をたれよ』
ぺこり、と私が頭を下げると満足そうにしている土地神様。
「土地神様。なんで結花ちゃんの体を操ってまで、ここへ導いたんだい?」
烈央くんが問いかけると、一転して暗い表情になる土地神様。
『それはの……深い、深~いワケがあるのじゃ』
うつむいてしまい、声まで悲しげだ。
どんな理由があるのかと、私は固唾をのんで土地神様を見つめた。
『このままじゃ妾──消えてしまうのじゃ! プリティな妾がじゃぞ!? そんなの嫌じゃ、隠世に連れて行ってくれー!』
──れー! れー、れぇ、れ……。
裏山にこだましていく土地神様の声。
渾身の叫び声を出した土地神様は、疲れたのかぺたりと座りこむ。
『ふぅ……。昔はたくさんの人間が、妾のところへ手を合わせにきておったわい。じゃが、最近は誰一人来なくなっての……それでこの様じゃ』
いじけたように、指先で地面をクルクルとなぞりながら『妾は昔、お主たちよりずっと背丈があったんじゃぞ? 本当じゃぞ?』と小さな声をこぼす。
『──信仰されなくなった神はいずれ消える。いまはまだ持ちこたえておるが、妾ももう長くはないじゃろう。……そこで妾は考えた。人間は短命じゃ。でも隠世に行けば何百年、何千年と生きるあやかしばかり! 一人でも手を合わせにくるあやかしを捕まえ──ゴホンッ。ゲットできれば、妾は消えずにすむという算段なのじゃ!」
「……いまこの神様、ゲットって言った? ボクらあやかしのことを長生きするペットくらいに思ってるんだけど?」
「星守、色々と土地神様も大変なんだよ。もう少し話を聞いてあげよう」
天才じゃろ? と土地神様は、ドヤァァとした顔を向けてくる。
『でものぉ……』
「うわ、まだ喋るよこの神様」
「星守、もう少しの辛抱だよ」
「うへー」
──ちょいちょい、土地神様に失礼な二人はおいといて。
土地神様は急に、両手をきゅっと握り上目使いいに私たちを見てモジモジとしはじめた。
「と、土地神様? おトイレですか?」
『違うわいっ! ……その、えっと、その……のぉ? 言いにくいんじゃが……』
「──なるほど。しかと聞き届けたよ。じゃあさっそく隠世に送ってあげよう、結花ちゃん鍵を」
『待て待て待てーーい!? 話がはやすぎるぞお主! そしてまだ妾は、なにかを言いかけているじゃろうがっ!!』
「うるさいなぁ。隠世に行きたいから、ボクたち送り屋をここへ導いたんでしょ? なら、はやく隠世に行きなよ」
「ちょ、ちょっと二人とも、土地神様にあたりが強くない? 星守くんはともかく……烈央くんまで!」
二人はぐるんっとふり向いて、私に詰めよる。
「あのね結花ちゃん? 神様は面倒ごとを持ってくるって、うちの朝霧家では相場が決まってるんだ」
「そうそう。神様は、送り屋を出禁にしたいくらいだからねっ!?」
「そ、そこまで言うなんて……。いったい、朝霧家とほかの神様の間でなにがあったの? 怖い……!」
うむ、と女の子……じゃなくて土地神様は大きくうなずく。
土地神様っていうのは、土地の守り神だそう。
なんでも土地神様は、すごく昔から封鬼小学校周辺の土地の守護をしているらしく、それはそれは偉い神様……だと言っている。
私、神様を初めて見たかも……!
と一人興奮していると、烈央くんと星守くんはいつもどおり。
二人は神様を見たことがあるのかな?
あやかしの二人には、珍しいことじゃないのかも。
でも私は、初めて見る神様だ。
興味津々に見ていると私の視線に気づいて、モデルさんのようにポーズを決めはじめた。
おぉー! と拍手をすると、ちゅっと投げキッスまでしてくれて、ファンサービスまで完璧な神様だ。
「……なるほど。相手が土地神様なら、結花ちゃんの体が勝手に操られていたのもわかる。神様だから、それくらいはやろうと思えば出来るからね」
「たしかに神様ならできるだろうけど、こんなにちっこいのがぁ? 手のひらサイズじゃん」
『な、なにを~!? 妾はの、ここら一帯の土地を守っているそれはもう、えら~い神様なんじゃぞ? ほれ、頭をたれよ』
ぺこり、と私が頭を下げると満足そうにしている土地神様。
「土地神様。なんで結花ちゃんの体を操ってまで、ここへ導いたんだい?」
烈央くんが問いかけると、一転して暗い表情になる土地神様。
『それはの……深い、深~いワケがあるのじゃ』
うつむいてしまい、声まで悲しげだ。
どんな理由があるのかと、私は固唾をのんで土地神様を見つめた。
『このままじゃ妾──消えてしまうのじゃ! プリティな妾がじゃぞ!? そんなの嫌じゃ、隠世に連れて行ってくれー!』
──れー! れー、れぇ、れ……。
裏山にこだましていく土地神様の声。
渾身の叫び声を出した土地神様は、疲れたのかぺたりと座りこむ。
『ふぅ……。昔はたくさんの人間が、妾のところへ手を合わせにきておったわい。じゃが、最近は誰一人来なくなっての……それでこの様じゃ』
いじけたように、指先で地面をクルクルとなぞりながら『妾は昔、お主たちよりずっと背丈があったんじゃぞ? 本当じゃぞ?』と小さな声をこぼす。
『──信仰されなくなった神はいずれ消える。いまはまだ持ちこたえておるが、妾ももう長くはないじゃろう。……そこで妾は考えた。人間は短命じゃ。でも隠世に行けば何百年、何千年と生きるあやかしばかり! 一人でも手を合わせにくるあやかしを捕まえ──ゴホンッ。ゲットできれば、妾は消えずにすむという算段なのじゃ!」
「……いまこの神様、ゲットって言った? ボクらあやかしのことを長生きするペットくらいに思ってるんだけど?」
「星守、色々と土地神様も大変なんだよ。もう少し話を聞いてあげよう」
天才じゃろ? と土地神様は、ドヤァァとした顔を向けてくる。
『でものぉ……』
「うわ、まだ喋るよこの神様」
「星守、もう少しの辛抱だよ」
「うへー」
──ちょいちょい、土地神様に失礼な二人はおいといて。
土地神様は急に、両手をきゅっと握り上目使いいに私たちを見てモジモジとしはじめた。
「と、土地神様? おトイレですか?」
『違うわいっ! ……その、えっと、その……のぉ? 言いにくいんじゃが……』
「──なるほど。しかと聞き届けたよ。じゃあさっそく隠世に送ってあげよう、結花ちゃん鍵を」
『待て待て待てーーい!? 話がはやすぎるぞお主! そしてまだ妾は、なにかを言いかけているじゃろうがっ!!』
「うるさいなぁ。隠世に行きたいから、ボクたち送り屋をここへ導いたんでしょ? なら、はやく隠世に行きなよ」
「ちょ、ちょっと二人とも、土地神様にあたりが強くない? 星守くんはともかく……烈央くんまで!」
二人はぐるんっとふり向いて、私に詰めよる。
「あのね結花ちゃん? 神様は面倒ごとを持ってくるって、うちの朝霧家では相場が決まってるんだ」
「そうそう。神様は、送り屋を出禁にしたいくらいだからねっ!?」
「そ、そこまで言うなんて……。いったい、朝霧家とほかの神様の間でなにがあったの? 怖い……!」
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