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第二章 ウワサの"のっぺらぼう"を捕まえろ!
15話
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「えー、なになに? 気になっちゃうよ」
「なんでもないよ、結花ちゃん。ただ、星守があんこに嫉妬──」
「はぁ!? なに言ってんの、烈央!」
「ちょ、やめろってば」
顔を赤くした星守くんが、烈央くんを後ろから羽交い締めにする。
なにがなんだかわからなくて、私とあんこくんは顔を見合わせた。
『あのー烈央様、星守様? ワタクシ、はやく任務を終わらせたいのですが』
あんこくんの言葉に、二人はピタリと争いをやめた。
二人の喧嘩を一瞬にしてやめさせるなんてっ。
あんこくんすごい……!!
私の中であんこくんへの好感度が、さらにぐいーんと上がった。
「コホン。……さて結花ちゃん、君の出番だよ。導きの鍵を出してくれるかな?」
「わ、わかった!」
そう言われて、ちょっぴり緊張してきた。
私は胸元に手を当てながら『出てきて』と念じる。
胸元が光って、一本の鍵が出てきた。
無事に出てきてくれたことに、ほっとする。
私の体から出てきた鍵をあんこくんが、じーっと見つめていた。
『これは。……本当に導きの鍵が、結花様の体の中にあるのですね』
驚いた様子のあんこくん。
なんて言いったらいいかわからなくて、あはは……と笑い返しておく。
「いまから隠世への門を呼び出すよ。結花ちゃん、俺が言ったことをくり返して。鍵に集中しながら、を忘れずにね」
「うん……! やってみる」
これから私は初めて隠世への門を出現させる。
ドッドッと心臓の音が速くなった。
もし間違えちゃったらどうしよう?
鍵は私しか触れないのに、門が出現しなかったら?
悪い考えばかりが、浮かんでは消えをくり返していく。
うぅ、不安で押しつぶされそう……。
「──っ、星守くん?」
隣に星守くんが来てくれた。
驚いて星守くんの顔を見れば、力強く頷いてくれる。
ガンバレって、言われたような気がした。
いま両隣には星守くんと烈央くんがいる。
後ろには、あんこくんだっている。
それだけですごく、心強いって思えた。
「結花ちゃん、準備はいいかい?」
「うん!」
「ふふ。大丈夫、結花ちゃんならできるよ」
「あ、あがとう!」
……烈央くんは本当に、私を安心させるのが上手いなぁ。
「それじゃあ行くよ。──正しき道、隠世へ導きたまえ」
はぁ、と息を吐き出してお腹に力を入れる。
目を閉じて鍵を強く握り、私は唱えた。
「正しき道、隠世へ導きたまえ!」
ふわりと、どこからか甘い金木犀の香りがした。
不思議と安心できる、いい香り。
目を開ければ、廊下の壁に神社の赤い鳥居のような物が現れていた。
「でき……、た?」
「やったじゃん、結花!」
「わっ?」
ぎゅっと星守くんが私に抱きついてきた。
「せ、星守くん!?」
私は目をパチパチさせて、驚く。
星守くんは私の声を聞いて、シュパッと素早く離れていった。
「……ゔゔんっ。ゆ、結花にしてはまぁ、頑張ったんじゃないの?」
プイッとそっぽを向いて言う星守くん。
すこしだけ見えている頬は、ほんのり赤く染まっていた。
「……えへへ。ありがとう」
「別にほめてない! 事実を言っただけだし!」
「えぇ? いま絶対にほめてくれてたよ!」
「いいや、ほめてない!」
「いいや、ほめてくれた──」
「はい、二人とも。まだ終わってないよ?」
「あうっ!」
「痛ッ! うぐ、烈央ひどーい!」
烈央くんは、私と星守くんに軽いデコピンをした。
二人しておでこを押さえながらも烈央くんにバレないように、お互いの顔を見て「んべー」と舌を出し合う。
でもヒヤリと烈央くんの方から冷たい視線を感じて、すぐさま舌を出すのをやめる。
「さぁ結花ちゃん。鍵を差しこんで、門を開けてみて」
いけないっ、いまは目の前のことに集中しないと!
鍵をぎゅっと握って、鍵穴に差しこむ。
そしてゆっくりと回していく。
ガチャリと鍵があいた。
キィィィと開いた門の中は真っ暗で、床があるのかさえもわからない。
中に入って門を閉めたら、真っ暗で上下左右もわからなくなりそう。
あんこくんはのっぺらぼうを背中にかついで、トコトコと歩いて門をくぐった。
途中でふり返ると、ぺこりと私たちに頭を下げる。
『では烈央様、星守様、そして結花様。またお会いしましょう!』
「うんっ! またね、あんこくん」
名残惜しいけれど、きっとまた会えるよね。
真っ暗な中でもあんこくんには道がわかるのか、まっすぐ歩いていく。
トコトコと歩くあんこくんの姿が小さくなっていき、キィとひとりでに門が閉まった。
烈央くんに言われて、門に鍵をかけると赤い鳥居はスゥと消えていく。
ふぅぅと息を吐くと「お疲れ様」と二人が言ってくれた。
「ありがとう。烈央くんや星守くんこそ、今日は刀を振ったりクナイの炎の術とかすごかったよ!」
「ま、ボクたちは強いからね~」
「ほめてくれてありがとう。そして星守は、お礼くらいちゃんと言いなさい」
「イテッ」
チョップされて、頭をさすっている星守くん。
「あのね……ひとつ聞いてもいい?」
二人は首をかしげつつも、話を聞いてくれた。
「のっぺらぼうに抱っこされてた時、居なくなってってお守りに念じたの。でも効いてなくて……、強力な守護のお守りのはずなのになんでだったんだろう」
私を付け狙っているあの黒い影のように「あっちに行って」って、念じればどこかにいくと思ってたのに。
でものっぺらぼうに対しては、効いている様子もなかったし私に触ることもできていた。
「これは俺の推測でしかないんだけど……多分、結花ちゃんが心を許したからじゃないかな? 一瞬でも心を許せばお守りは、相手を排除する対象だとカウントしない、とか」
「結花ったら、のっぺらぼうに心を許したの?」
「ええっ、そんなはず──あ」
教室で足音を聞いた時、はじめはのっぺらぼうだと思って怖かったけど烈央くんだとわかって、ほっとしてしまったのを思いだす。
……あの一度だけでも、心を許したことになるの?
今回みたいにはじめは害があるかわかりにくいあやかしには、お守りが効かないこともあるなんて怖すぎる……!
「より一層、結花自身も気をつけるんだねー」
「ううっ、わかった……」
「とりあえず反省会! は、また今度するとして。……烈央、結花、もう帰ろー? ボク、疲れたぁ」
「まったく、向上心があるんだかないんだか……。でもそうだね、時間的にもそろそろ帰ったほうが良さそうだ」
窓の外を見ると、空がオレンジ色になっていた。
遠くの方には夜の気配が近づいている。
「じゃあ、ランドセルを取りに教室に戻らなきゃ──うん?」
とんとん、と肩を叩かれてふり向けば、星守くんが悪い笑みを浮かべていた。
「結花、教室までどっちが速いか競争しよ。はい、よーいドン!」
「ええっ! ちょ、待ってよ星守くん! ズルい~!」
スタートの合図と同時に走り出した星守くん。
私はちょっと遅れて、その背中を追いかけた。
「廊下は走っちゃ駄目だろう二人とも! ……って聞いてないか」
後ろからそんな烈央くんの声が聞こえたけど、いまだけは許してほしい。
……私、意外と負けず嫌いな所もあるの!
「──そういえば俺は今回、星守を囮に使ってもいいと思ってたんだ。のっぺらぼうに襲われる星守、ふふ」
「はぁぁぁぁぁぁああ!?」
星守くんが大声をあげて立ち止まる。
「ちょっと烈央! いまの、聞き捨てならないんだけど!?」
「あぁごめん」
「ごめんが軽い! ぜんっぜん思ってないでしょ!」
「おや、バレた? ──星守、そんなとこで突っ立ってても良いのかい」
「え? ……ああああっ!? 待って結花!」
「うぎゃ、もうバレた!」
私は必死に足を動かす。
星守くんが烈央くんに気を取られている間に、こっそり追い抜かしていたのに。
ぐふふ、でも星守くんとは距離が離れてるしこれなら勝てそうだ!
「ふふ。結花ちゃん? レースはゴールするまで油断しちゃいけないんだよ」
「へ?」
──ビュン!
気づけば、烈央くんがものすごいスピードで私の横を通り過ぎていく。
そのままゴールして、一位は烈央くんに決まってしまった。
二位は星守くん、そして三位が私。
「くっ、烈央は反則負けでしょ!」
「星守くんは二位だからまだいいじゃんっ。私なんて、一位だったのに二人に追い抜かされて騒いだよ……!」
「ダメだよ、結花ちゃん。油断するとこうなるからね? ふふ。悪いあやかしが、君を食べちゃうかもしれないんだから」
「うぐっ。は、はい……」
烈央くんは足が速い。
そして、笑顔が怖い……!
「なんでもないよ、結花ちゃん。ただ、星守があんこに嫉妬──」
「はぁ!? なに言ってんの、烈央!」
「ちょ、やめろってば」
顔を赤くした星守くんが、烈央くんを後ろから羽交い締めにする。
なにがなんだかわからなくて、私とあんこくんは顔を見合わせた。
『あのー烈央様、星守様? ワタクシ、はやく任務を終わらせたいのですが』
あんこくんの言葉に、二人はピタリと争いをやめた。
二人の喧嘩を一瞬にしてやめさせるなんてっ。
あんこくんすごい……!!
私の中であんこくんへの好感度が、さらにぐいーんと上がった。
「コホン。……さて結花ちゃん、君の出番だよ。導きの鍵を出してくれるかな?」
「わ、わかった!」
そう言われて、ちょっぴり緊張してきた。
私は胸元に手を当てながら『出てきて』と念じる。
胸元が光って、一本の鍵が出てきた。
無事に出てきてくれたことに、ほっとする。
私の体から出てきた鍵をあんこくんが、じーっと見つめていた。
『これは。……本当に導きの鍵が、結花様の体の中にあるのですね』
驚いた様子のあんこくん。
なんて言いったらいいかわからなくて、あはは……と笑い返しておく。
「いまから隠世への門を呼び出すよ。結花ちゃん、俺が言ったことをくり返して。鍵に集中しながら、を忘れずにね」
「うん……! やってみる」
これから私は初めて隠世への門を出現させる。
ドッドッと心臓の音が速くなった。
もし間違えちゃったらどうしよう?
鍵は私しか触れないのに、門が出現しなかったら?
悪い考えばかりが、浮かんでは消えをくり返していく。
うぅ、不安で押しつぶされそう……。
「──っ、星守くん?」
隣に星守くんが来てくれた。
驚いて星守くんの顔を見れば、力強く頷いてくれる。
ガンバレって、言われたような気がした。
いま両隣には星守くんと烈央くんがいる。
後ろには、あんこくんだっている。
それだけですごく、心強いって思えた。
「結花ちゃん、準備はいいかい?」
「うん!」
「ふふ。大丈夫、結花ちゃんならできるよ」
「あ、あがとう!」
……烈央くんは本当に、私を安心させるのが上手いなぁ。
「それじゃあ行くよ。──正しき道、隠世へ導きたまえ」
はぁ、と息を吐き出してお腹に力を入れる。
目を閉じて鍵を強く握り、私は唱えた。
「正しき道、隠世へ導きたまえ!」
ふわりと、どこからか甘い金木犀の香りがした。
不思議と安心できる、いい香り。
目を開ければ、廊下の壁に神社の赤い鳥居のような物が現れていた。
「でき……、た?」
「やったじゃん、結花!」
「わっ?」
ぎゅっと星守くんが私に抱きついてきた。
「せ、星守くん!?」
私は目をパチパチさせて、驚く。
星守くんは私の声を聞いて、シュパッと素早く離れていった。
「……ゔゔんっ。ゆ、結花にしてはまぁ、頑張ったんじゃないの?」
プイッとそっぽを向いて言う星守くん。
すこしだけ見えている頬は、ほんのり赤く染まっていた。
「……えへへ。ありがとう」
「別にほめてない! 事実を言っただけだし!」
「えぇ? いま絶対にほめてくれてたよ!」
「いいや、ほめてない!」
「いいや、ほめてくれた──」
「はい、二人とも。まだ終わってないよ?」
「あうっ!」
「痛ッ! うぐ、烈央ひどーい!」
烈央くんは、私と星守くんに軽いデコピンをした。
二人しておでこを押さえながらも烈央くんにバレないように、お互いの顔を見て「んべー」と舌を出し合う。
でもヒヤリと烈央くんの方から冷たい視線を感じて、すぐさま舌を出すのをやめる。
「さぁ結花ちゃん。鍵を差しこんで、門を開けてみて」
いけないっ、いまは目の前のことに集中しないと!
鍵をぎゅっと握って、鍵穴に差しこむ。
そしてゆっくりと回していく。
ガチャリと鍵があいた。
キィィィと開いた門の中は真っ暗で、床があるのかさえもわからない。
中に入って門を閉めたら、真っ暗で上下左右もわからなくなりそう。
あんこくんはのっぺらぼうを背中にかついで、トコトコと歩いて門をくぐった。
途中でふり返ると、ぺこりと私たちに頭を下げる。
『では烈央様、星守様、そして結花様。またお会いしましょう!』
「うんっ! またね、あんこくん」
名残惜しいけれど、きっとまた会えるよね。
真っ暗な中でもあんこくんには道がわかるのか、まっすぐ歩いていく。
トコトコと歩くあんこくんの姿が小さくなっていき、キィとひとりでに門が閉まった。
烈央くんに言われて、門に鍵をかけると赤い鳥居はスゥと消えていく。
ふぅぅと息を吐くと「お疲れ様」と二人が言ってくれた。
「ありがとう。烈央くんや星守くんこそ、今日は刀を振ったりクナイの炎の術とかすごかったよ!」
「ま、ボクたちは強いからね~」
「ほめてくれてありがとう。そして星守は、お礼くらいちゃんと言いなさい」
「イテッ」
チョップされて、頭をさすっている星守くん。
「あのね……ひとつ聞いてもいい?」
二人は首をかしげつつも、話を聞いてくれた。
「のっぺらぼうに抱っこされてた時、居なくなってってお守りに念じたの。でも効いてなくて……、強力な守護のお守りのはずなのになんでだったんだろう」
私を付け狙っているあの黒い影のように「あっちに行って」って、念じればどこかにいくと思ってたのに。
でものっぺらぼうに対しては、効いている様子もなかったし私に触ることもできていた。
「これは俺の推測でしかないんだけど……多分、結花ちゃんが心を許したからじゃないかな? 一瞬でも心を許せばお守りは、相手を排除する対象だとカウントしない、とか」
「結花ったら、のっぺらぼうに心を許したの?」
「ええっ、そんなはず──あ」
教室で足音を聞いた時、はじめはのっぺらぼうだと思って怖かったけど烈央くんだとわかって、ほっとしてしまったのを思いだす。
……あの一度だけでも、心を許したことになるの?
今回みたいにはじめは害があるかわかりにくいあやかしには、お守りが効かないこともあるなんて怖すぎる……!
「より一層、結花自身も気をつけるんだねー」
「ううっ、わかった……」
「とりあえず反省会! は、また今度するとして。……烈央、結花、もう帰ろー? ボク、疲れたぁ」
「まったく、向上心があるんだかないんだか……。でもそうだね、時間的にもそろそろ帰ったほうが良さそうだ」
窓の外を見ると、空がオレンジ色になっていた。
遠くの方には夜の気配が近づいている。
「じゃあ、ランドセルを取りに教室に戻らなきゃ──うん?」
とんとん、と肩を叩かれてふり向けば、星守くんが悪い笑みを浮かべていた。
「結花、教室までどっちが速いか競争しよ。はい、よーいドン!」
「ええっ! ちょ、待ってよ星守くん! ズルい~!」
スタートの合図と同時に走り出した星守くん。
私はちょっと遅れて、その背中を追いかけた。
「廊下は走っちゃ駄目だろう二人とも! ……って聞いてないか」
後ろからそんな烈央くんの声が聞こえたけど、いまだけは許してほしい。
……私、意外と負けず嫌いな所もあるの!
「──そういえば俺は今回、星守を囮に使ってもいいと思ってたんだ。のっぺらぼうに襲われる星守、ふふ」
「はぁぁぁぁぁぁああ!?」
星守くんが大声をあげて立ち止まる。
「ちょっと烈央! いまの、聞き捨てならないんだけど!?」
「あぁごめん」
「ごめんが軽い! ぜんっぜん思ってないでしょ!」
「おや、バレた? ──星守、そんなとこで突っ立ってても良いのかい」
「え? ……ああああっ!? 待って結花!」
「うぎゃ、もうバレた!」
私は必死に足を動かす。
星守くんが烈央くんに気を取られている間に、こっそり追い抜かしていたのに。
ぐふふ、でも星守くんとは距離が離れてるしこれなら勝てそうだ!
「ふふ。結花ちゃん? レースはゴールするまで油断しちゃいけないんだよ」
「へ?」
──ビュン!
気づけば、烈央くんがものすごいスピードで私の横を通り過ぎていく。
そのままゴールして、一位は烈央くんに決まってしまった。
二位は星守くん、そして三位が私。
「くっ、烈央は反則負けでしょ!」
「星守くんは二位だからまだいいじゃんっ。私なんて、一位だったのに二人に追い抜かされて騒いだよ……!」
「ダメだよ、結花ちゃん。油断するとこうなるからね? ふふ。悪いあやかしが、君を食べちゃうかもしれないんだから」
「うぐっ。は、はい……」
烈央くんは足が速い。
そして、笑顔が怖い……!
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