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第二章 ウワサの"のっぺらぼう"を捕まえろ!
10話
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「ボクはあっちの方に隠れるから、結花は同じ方に来ないでよねっ!」
「むぅ。わかってるよ!」
走っていく星守くんの背中を見送る。
ぽつんと廊下に一人になると少し怖い。
外はまだ明るいけど、校舎の三階には私たち以外の人の気配がないのだ。
結界札の効果を実感してきた。
──さてと、どこに隠れよう?
「うーん……。あ」
いくあてもなく、とりあえず教室から離れようと歩いているといつの間にか、物置として使われている教室の前まで来ていた。
この教室は普段使わないものや、予備の机や椅子がたくさん置かれている。
基本的にいつも鍵が閉まってるから、きっといまも中には入れない。
「でも一応、ね」
もしかしたら先生が鍵をかけ忘れているかもしれないから、ちゃんと鍵がかかっているか確認しておかないと。
別に、開いていたらラッキーとか思ってないから……!
なーんて言い訳をしつつ、開かないとわかっていても私は教室の扉に手をかけてグッと力を入れる。
「……あ、れ?」
驚くことに、スムーズに扉が開いていった。
中をのぞいてみても誰もいない。
「これはラッキー、かも?」
私はそーっと中に入って、大きな机の下に隠れた。
隠れ場所が見つかったことに、ふぅと息をはく。
……でも、なんで開いていたんだろ?
最後に使った先生が鍵をかけ忘れちゃったのかな。
まぁいいやと、一旦考えることをやめたその時。
──ヒタッ、ヒタッと足音が聞こえてきた。
「……来たっ」
廊下を歩く足音に私は息をひそめる。
──ガラガラ。
教室の扉が開く音がした。
……あれ?
さっきまるで、廊下を裸足で歩いたような足音がしていた。
でも烈央くんと星守くんは、ちゃんと上履きを履いていたはず。
じゃ、じゃあ……この足音は誰のもの?
──ヒタ、ヒタヒタ。
──ヒタッ。
足音が、私が隠れている机のそばで止まった。
ドドドドッと心臓が速くなって、ぶわりと汗が出てくる。
いやだっ怖い……!
涙目になりながら口元を手で塞いで、音を立てないようにする。
その時。
バッと机の上から逆さに顔が出てきた!
「──バア」
「きゃぁぁぁぁああ!!」
私は大声を出して、目を閉じた。
でも少ししてから、あれ? と首をかしげて、聞き覚えのある声に目を開ける。
だって、いまの声は。
「──お、おどかさないでよ烈央くん!」
「ふふっ」
声の正体は、烈央くんだった。
ひとまず、のっぺらぼうじゃないことに安心して胸を撫で下ろす。
「ごめんごめん。まさか結花ちゃんが、そんなに驚くとは思わなくて」
やわらかく笑う烈央くん。
私は机の下から這い出て、烈央くんにムッとした顔を向ける。
「もう! 私、もしかしたら、のっぺらぼうが来たんじゃないかって怖かったんだよ!」
私がそう言うと、さっきまでほほ笑んでいたのに急に、スッと目を細めた烈央くん。
がらりと変わった雰囲気に、ヒヤリと背中に冷たいものが伝った。
「れ、烈央くん? どうかした?」
「──結花ちゃん」
「うん?」
返事をしたのに、何も言ってくれない烈央くん。
気のせいじゃないなら、烈央くんの瞳に光が無くなった気がする。
いつもと違う……すごく不気味な黒い瞳。
「……あっそうだ! 星守くんを一緒に探しに行こうよ。ふふ、びっくりさせちゃおう?」
そんな烈央くんが怖くなって、私は早口で喋りかける。
「──ううん。もう帰ろうか」
「え、星守くんは? それに、のっぺらぼ……きゃっ!」
──ぐいっ!
強い力で烈央くんに腕を引っ張られて、ぐらりと体がかたむく。
「さぁ、行こうか。結花ちゃん」
気づいたら、ふわりと体が浮いていた。
そして至近距離に烈央くんの綺麗な顔がある。
こ、これってお姫様抱っこ……だよね?
烈央くんは私を抱えたまま、教室を出た。
「ま、待って烈央くん!」
私がそう言っても、烈央くんは無言でずんずん進んでいく。
烈央くんの耳には私の声が届いてないみたいだ。
私はふと思い出す。
烈央くんは上履きを履いていたのに、なんでさっき教室に入ってきた時、裸足のような足音がしたんだろう?
烈央くんがいま上履きを履いているかどうかを確かめるために、耳をすませてみた。
──ヒタッ、ヒタッ。
やっぱり裸足のような足音。
とある一つの可能性が見えてきて、サァァと血の気が引いていく。
ても、でもまだっ!
そうと決まったわけじゃない。
落ち着つけ、私。
「烈央くんっ」
呼んでも、やっぱり烈央くんは歩みを止めてはくれない。
「烈央くんってば!」
「──なあに、結花ちゃん」
やっと立ち止まってくれた烈央くんは、私に顔を近づけてきた。
さらさらとした黒髪、パチリと大きな瞳。
いつもと違う不気味な雰囲気でも、烈央くんはすごくカッコいい。
唇がくっついちゃいそうなほど近くにあるその顔に、ひゅっと喉がなる。
至近距離で烈央くんを見てしまい、そんな場合じゃないのにドッドッと胸がはやくなった。
「私、おっ重たいから! おろして、ねっ?」
私がそう言うと、烈央くんはきょとんとした顔をした。
すぐに「ふふっ」と笑って、歩き出す。
「そんなことはないよ」
「…………っ!」
さらりとそんなことを言うから、恥ずかしくて頬が熱くなった。
「むぅ。わかってるよ!」
走っていく星守くんの背中を見送る。
ぽつんと廊下に一人になると少し怖い。
外はまだ明るいけど、校舎の三階には私たち以外の人の気配がないのだ。
結界札の効果を実感してきた。
──さてと、どこに隠れよう?
「うーん……。あ」
いくあてもなく、とりあえず教室から離れようと歩いているといつの間にか、物置として使われている教室の前まで来ていた。
この教室は普段使わないものや、予備の机や椅子がたくさん置かれている。
基本的にいつも鍵が閉まってるから、きっといまも中には入れない。
「でも一応、ね」
もしかしたら先生が鍵をかけ忘れているかもしれないから、ちゃんと鍵がかかっているか確認しておかないと。
別に、開いていたらラッキーとか思ってないから……!
なーんて言い訳をしつつ、開かないとわかっていても私は教室の扉に手をかけてグッと力を入れる。
「……あ、れ?」
驚くことに、スムーズに扉が開いていった。
中をのぞいてみても誰もいない。
「これはラッキー、かも?」
私はそーっと中に入って、大きな机の下に隠れた。
隠れ場所が見つかったことに、ふぅと息をはく。
……でも、なんで開いていたんだろ?
最後に使った先生が鍵をかけ忘れちゃったのかな。
まぁいいやと、一旦考えることをやめたその時。
──ヒタッ、ヒタッと足音が聞こえてきた。
「……来たっ」
廊下を歩く足音に私は息をひそめる。
──ガラガラ。
教室の扉が開く音がした。
……あれ?
さっきまるで、廊下を裸足で歩いたような足音がしていた。
でも烈央くんと星守くんは、ちゃんと上履きを履いていたはず。
じゃ、じゃあ……この足音は誰のもの?
──ヒタ、ヒタヒタ。
──ヒタッ。
足音が、私が隠れている机のそばで止まった。
ドドドドッと心臓が速くなって、ぶわりと汗が出てくる。
いやだっ怖い……!
涙目になりながら口元を手で塞いで、音を立てないようにする。
その時。
バッと机の上から逆さに顔が出てきた!
「──バア」
「きゃぁぁぁぁああ!!」
私は大声を出して、目を閉じた。
でも少ししてから、あれ? と首をかしげて、聞き覚えのある声に目を開ける。
だって、いまの声は。
「──お、おどかさないでよ烈央くん!」
「ふふっ」
声の正体は、烈央くんだった。
ひとまず、のっぺらぼうじゃないことに安心して胸を撫で下ろす。
「ごめんごめん。まさか結花ちゃんが、そんなに驚くとは思わなくて」
やわらかく笑う烈央くん。
私は机の下から這い出て、烈央くんにムッとした顔を向ける。
「もう! 私、もしかしたら、のっぺらぼうが来たんじゃないかって怖かったんだよ!」
私がそう言うと、さっきまでほほ笑んでいたのに急に、スッと目を細めた烈央くん。
がらりと変わった雰囲気に、ヒヤリと背中に冷たいものが伝った。
「れ、烈央くん? どうかした?」
「──結花ちゃん」
「うん?」
返事をしたのに、何も言ってくれない烈央くん。
気のせいじゃないなら、烈央くんの瞳に光が無くなった気がする。
いつもと違う……すごく不気味な黒い瞳。
「……あっそうだ! 星守くんを一緒に探しに行こうよ。ふふ、びっくりさせちゃおう?」
そんな烈央くんが怖くなって、私は早口で喋りかける。
「──ううん。もう帰ろうか」
「え、星守くんは? それに、のっぺらぼ……きゃっ!」
──ぐいっ!
強い力で烈央くんに腕を引っ張られて、ぐらりと体がかたむく。
「さぁ、行こうか。結花ちゃん」
気づいたら、ふわりと体が浮いていた。
そして至近距離に烈央くんの綺麗な顔がある。
こ、これってお姫様抱っこ……だよね?
烈央くんは私を抱えたまま、教室を出た。
「ま、待って烈央くん!」
私がそう言っても、烈央くんは無言でずんずん進んでいく。
烈央くんの耳には私の声が届いてないみたいだ。
私はふと思い出す。
烈央くんは上履きを履いていたのに、なんでさっき教室に入ってきた時、裸足のような足音がしたんだろう?
烈央くんがいま上履きを履いているかどうかを確かめるために、耳をすませてみた。
──ヒタッ、ヒタッ。
やっぱり裸足のような足音。
とある一つの可能性が見えてきて、サァァと血の気が引いていく。
ても、でもまだっ!
そうと決まったわけじゃない。
落ち着つけ、私。
「烈央くんっ」
呼んでも、やっぱり烈央くんは歩みを止めてはくれない。
「烈央くんってば!」
「──なあに、結花ちゃん」
やっと立ち止まってくれた烈央くんは、私に顔を近づけてきた。
さらさらとした黒髪、パチリと大きな瞳。
いつもと違う不気味な雰囲気でも、烈央くんはすごくカッコいい。
唇がくっついちゃいそうなほど近くにあるその顔に、ひゅっと喉がなる。
至近距離で烈央くんを見てしまい、そんな場合じゃないのにドッドッと胸がはやくなった。
「私、おっ重たいから! おろして、ねっ?」
私がそう言うと、烈央くんはきょとんとした顔をした。
すぐに「ふふっ」と笑って、歩き出す。
「そんなことはないよ」
「…………っ!」
さらりとそんなことを言うから、恥ずかしくて頬が熱くなった。
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