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第四章 大型連休は遊園地デートです!?

39話 遊園地にハプニングはつきもの?《side帝》 6

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 歩き出した神城かみしろさんは、急に立ち止まり振り返った。
 そして僕を見てブンブンと手を振ってくれた。

「ウサギさん! またどこかで会えたら、その時は素顔を見せてくださいね!」

 僕が手を振り返せば、今度こそ神城かみしろさんは走っていく。
 名残なごりしさから、しばらくその背中を眺める。

「(もう少し、一緒に居たかっ……)」
「こんなところで何してるの? 天内あまない

 ──耳元で声がした。
 まさか……と思い横を向けば、笑みを浮かべた悪魔がいる。

「っ黒羽くろばね!? さっき、あっちに居たはずじゃ……!」

 顔は笑っているのに、目が笑っていない。
 そんな器用なことをする黒羽くろばねは、ため息をつくと呆れた顔をした。
 黒羽くろばねがスッと指さした方を見れば、神城かみしろさんが誰かに頭を下げて謝っている。
 ……どうやらさっき黒羽くろばねだと思った人物は、人違いだったらしい。
 
「おおかた、柚瑠ゆずふあたりに連れ出されたんでしょ?」
「うっ、それは……」
図星ずぼしだろ。しかも俺から、一華いちかを横取り?」
「そんなつもりはっ! ……だいたい、お前が神城かみしろさんを置いていくからだろ!」
「べつに、好きでそうした訳じゃない。コソコソついてくる柚瑠ゆずるたちを見つけたから、こらしめに行ってた」
ひいらぎくんたちを? ……だからトイレに行ったきり、中々戻って来なかったのか」
柚瑠ゆずるが無駄に引き止めてくるから、なにかあるとは思ってたけど。……ねぇ、ホラーハウス楽しかった?」

 ジト目で僕を見てくる黒羽くろばねは、圧がすごい。

「……ふ、普通だったが?」
「ふーん? そのわりには……顔が赤いけど?」
「っ!?」

 黒羽くろばねの指摘に、頬を手で押さえる。
 いつもより、熱を持っている気がした。
 自覚してしまい慌てる僕を見て、黒羽くろばねは首を振る。


「あー、やだやだ。はやく一華いちかいやされに行こうっと」

 くるりと方向転換し、黒羽くろばねはそう言って神城かみしろさんの元へ向かう。
 後ろからおどろかせるように黒羽くろばねが行けば、びっくりしながらも嬉しそうな顔をする神城かみしろさん。

「(……僕も、ひいらぎくんと瀬尾せおくんのところへ戻ろう)」

◇◇◆◇◇

「あ、やっと帰ってきたミカド」

 ベンチに座わっていてるひいらぎくんが僕に手をふる。瀬尾せおくんも、となりで何かを食べていた。

「どうだった? イチカとホラーハウス」
「やっぱり君の仕業しわざか……」
「大変だったんだからねー? マオを引きとめるの……って。あれ?」

 ズイッと顔を近づけてくるひいらぎくん。

「な、なんだ?」
「──ミカド、顔赤くない?」
「え……?」
「本当だ。天内あまないくん、顔赤いね」
瀬尾せおくんまで!」
「暑いならジュース飲む? はい」

 瀬尾せおくんに差し出されたジュースを受けとり、とりあえず一口飲む。

「……それで、これからどうするつもりだ? ひいらぎくん」
「うーん。マオには、もうついてくるなって怒られちゃったんだよねー」
「だろうね。黒羽くろばねが二人をこらしめたと言っていたよ」
「だからさぁ、──普通にアトラクション乗って楽しも?」
「最初から、そうすればよかったんじゃないか!?」
「ねぇカイリー。どれ乗る?」
「俺は……これがいい」
「僕の話を聞いてくれ、二人ともー!」

 僕の声は聞こえていないのか、パンフレットのようなものを見て、あーだこーだ言っている二人。
 ……なんだろうか。
 僕はすごく疲れた気がする。

「(まぁでも……)」

 ──神城かみしろさんとのホラーハウスは、悪くなかったな。
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