39 / 44
第四章 大型連休は遊園地デートです!?
39話 遊園地にハプニングはつきもの?《side帝》 6
しおりを挟む
歩き出した神城さんは、急に立ち止まり振り返った。
そして僕を見てブンブンと手を振ってくれた。
「ウサギさん! またどこかで会えたら、その時は素顔を見せてくださいね!」
僕が手を振り返せば、今度こそ神城さんは走っていく。
名残惜しさから、しばらくその背中を眺める。
「(もう少し、一緒に居たかっ……)」
「こんなところで何してるの? 天内」
──耳元で声がした。
まさか……と思い横を向けば、笑みを浮かべた悪魔がいる。
「っ黒羽!? さっき、あっちに居たはずじゃ……!」
顔は笑っているのに、目が笑っていない。
そんな器用なことをする黒羽は、ため息をつくと呆れた顔をした。
黒羽がスッと指さした方を見れば、神城さんが誰かに頭を下げて謝っている。
……どうやらさっき黒羽だと思った人物は、人違いだったらしい。
「おおかた、柚瑠あたりに連れ出されたんでしょ?」
「うっ、それは……」
「図星だろ。しかも俺から、一華を横取り?」
「そんなつもりはっ! ……だいたい、お前が神城さんを置いていくからだろ!」
「べつに、好きでそうした訳じゃない。コソコソついてくる柚瑠たちを見つけたから、こらしめに行ってた」
「柊くんたちを? ……だからトイレに行ったきり、中々戻って来なかったのか」
「柚瑠が無駄に引き止めてくるから、なにかあるとは思ってたけど。……ねぇ、ホラーハウス楽しかった?」
ジト目で僕を見てくる黒羽は、圧がすごい。
「……ふ、普通だったが?」
「ふーん? そのわりには……顔が赤いけど?」
「っ!?」
黒羽の指摘に、頬を手で押さえる。
いつもより、熱を持っている気がした。
自覚してしまい慌てる僕を見て、黒羽は首を振る。
「あー、やだやだ。はやく一華に癒されに行こうっと」
くるりと方向転換し、黒羽はそう言って神城さんの元へ向かう。
後ろから驚かせるように黒羽が行けば、びっくりしながらも嬉しそうな顔をする神城さん。
「(……僕も、柊くんと瀬尾くんのところへ戻ろう)」
◇◇◆◇◇
「あ、やっと帰ってきたミカド」
ベンチに座わっていてる柊くんが僕に手をふる。瀬尾くんも、隣で何かを食べていた。
「どうだった? イチカとホラーハウス」
「やっぱり君の仕業か……」
「大変だったんだからねー? マオを引きとめるの……って。あれ?」
ズイッと顔を近づけてくる柊くん。
「な、なんだ?」
「──ミカド、顔赤くない?」
「え……?」
「本当だ。天内くん、顔赤いね」
「瀬尾くんまで!」
「暑いならジュース飲む? はい」
瀬尾くんに差し出されたジュースを受けとり、とりあえず一口飲む。
「……それで、これからどうするつもりだ? 柊くん」
「うーん。マオには、もうついてくるなって怒られちゃったんだよねー」
「だろうね。黒羽が二人をこらしめたと言っていたよ」
「だからさぁ、──普通にアトラクション乗って楽しも?」
「最初から、そうすればよかったんじゃないか!?」
「ねぇカイリー。どれ乗る?」
「俺は……これがいい」
「僕の話を聞いてくれ、二人ともー!」
僕の声は聞こえていないのか、パンフレットのようなものを見て、あーだこーだ言っている二人。
……なんだろうか。
僕はすごく疲れた気がする。
「(まぁでも……)」
──神城さんとのホラーハウスは、悪くなかったな。
そして僕を見てブンブンと手を振ってくれた。
「ウサギさん! またどこかで会えたら、その時は素顔を見せてくださいね!」
僕が手を振り返せば、今度こそ神城さんは走っていく。
名残惜しさから、しばらくその背中を眺める。
「(もう少し、一緒に居たかっ……)」
「こんなところで何してるの? 天内」
──耳元で声がした。
まさか……と思い横を向けば、笑みを浮かべた悪魔がいる。
「っ黒羽!? さっき、あっちに居たはずじゃ……!」
顔は笑っているのに、目が笑っていない。
そんな器用なことをする黒羽は、ため息をつくと呆れた顔をした。
黒羽がスッと指さした方を見れば、神城さんが誰かに頭を下げて謝っている。
……どうやらさっき黒羽だと思った人物は、人違いだったらしい。
「おおかた、柚瑠あたりに連れ出されたんでしょ?」
「うっ、それは……」
「図星だろ。しかも俺から、一華を横取り?」
「そんなつもりはっ! ……だいたい、お前が神城さんを置いていくからだろ!」
「べつに、好きでそうした訳じゃない。コソコソついてくる柚瑠たちを見つけたから、こらしめに行ってた」
「柊くんたちを? ……だからトイレに行ったきり、中々戻って来なかったのか」
「柚瑠が無駄に引き止めてくるから、なにかあるとは思ってたけど。……ねぇ、ホラーハウス楽しかった?」
ジト目で僕を見てくる黒羽は、圧がすごい。
「……ふ、普通だったが?」
「ふーん? そのわりには……顔が赤いけど?」
「っ!?」
黒羽の指摘に、頬を手で押さえる。
いつもより、熱を持っている気がした。
自覚してしまい慌てる僕を見て、黒羽は首を振る。
「あー、やだやだ。はやく一華に癒されに行こうっと」
くるりと方向転換し、黒羽はそう言って神城さんの元へ向かう。
後ろから驚かせるように黒羽が行けば、びっくりしながらも嬉しそうな顔をする神城さん。
「(……僕も、柊くんと瀬尾くんのところへ戻ろう)」
◇◇◆◇◇
「あ、やっと帰ってきたミカド」
ベンチに座わっていてる柊くんが僕に手をふる。瀬尾くんも、隣で何かを食べていた。
「どうだった? イチカとホラーハウス」
「やっぱり君の仕業か……」
「大変だったんだからねー? マオを引きとめるの……って。あれ?」
ズイッと顔を近づけてくる柊くん。
「な、なんだ?」
「──ミカド、顔赤くない?」
「え……?」
「本当だ。天内くん、顔赤いね」
「瀬尾くんまで!」
「暑いならジュース飲む? はい」
瀬尾くんに差し出されたジュースを受けとり、とりあえず一口飲む。
「……それで、これからどうするつもりだ? 柊くん」
「うーん。マオには、もうついてくるなって怒られちゃったんだよねー」
「だろうね。黒羽が二人をこらしめたと言っていたよ」
「だからさぁ、──普通にアトラクション乗って楽しも?」
「最初から、そうすればよかったんじゃないか!?」
「ねぇカイリー。どれ乗る?」
「俺は……これがいい」
「僕の話を聞いてくれ、二人ともー!」
僕の声は聞こえていないのか、パンフレットのようなものを見て、あーだこーだ言っている二人。
……なんだろうか。
僕はすごく疲れた気がする。
「(まぁでも……)」
──神城さんとのホラーハウスは、悪くなかったな。
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
イケメン男子とドキドキ同居!? ~ぽっちゃりさんの学園リデビュー計画~
友野紅子
児童書・童話
ぽっちゃりヒロインがイケメン男子と同居しながらダイエットして綺麗になって、学園リデビューと恋、さらには将来の夢までゲットする成長の物語。
全編通し、基本的にドタバタのラブコメディ。時々、シリアス。
左左左右右左左 ~いらないモノ、売ります~
菱沼あゆ
児童書・童話
菜乃たちの通う中学校にはあるウワサがあった。
『しとしとと雨が降る十三日の金曜日。
旧校舎の地下にヒミツの購買部があらわれる』
大富豪で負けた菜乃は、ひとりで旧校舎の地下に下りるはめになるが――。
魔法少女はまだ翔べない
東 里胡
児童書・童話
第15回絵本・児童書大賞、奨励賞をいただきました、応援下さった皆様、ありがとうございます!
中学一年生のキラリが転校先で出会ったのは、キラという男の子。
キラキラコンビと名付けられた二人とクラスの仲間たちは、ケンカしたり和解をして絆を深め合うが、キラリはとある事情で一時的に転校してきただけ。
駄菓子屋を営む、おばあちゃんや仲間たちと過ごす海辺の町、ひと夏の思い出。
そこで知った自分の家にまつわる秘密にキラリも覚醒して……。
果たしてキラリの夏は、キラキラになるのか、それとも?
表紙はpixivてんぱる様にお借りしております。
山姥(やまんば)
野松 彦秋
児童書・童話
小学校5年生の仲良し3人組の、テッカ(佐上哲也)、カッチ(野田克彦)、ナオケン(犬塚直哉)。
実は3人とも、同じクラスの女委員長の松本いずみに片思いをしている。
小学校の宿泊研修を楽しみにしていた4人。ある日、宿泊研修の目的地が3枚の御札の昔話が生まれた山である事が分かる。
しかも、10年前自分達の学校の先輩がその山で失踪していた事実がわかる。
行方不明者3名のうち、一人だけ帰って来た先輩がいるという事を知り、興味本位でその人に会いに行く事を思いつく3人。
3人の意中の女の子、委員長松本いずみもその計画に興味を持ち、4人はその先輩に会いに行く事にする。
それが、恐怖の夏休みの始まりであった。
山姥が実在し、4人に危険が迫る。
4人は、信頼する大人達に助けを求めるが、その結果大事な人を失う事に、状況はどんどん悪くなる。
山姥の執拗な追跡に、彼らは生き残る事が出来るのか!
超イケメン男子たちと、ナイショで同居することになりました!?
またり鈴春
児童書・童話
好きな事を極めるナツ校、
ひたすら勉強するフユ校。
これら2校には共同寮が存在する。
そこで学校も学年も性格も、全てがバラバラなイケメン男子たちと同じ部屋で過ごすことになったひなる。とある目的を果たすため、同居スタート!なんだけど…ナイショの同居は想像以上にドキドキで、胸キュンいっぱいの極甘生活だった!
こわモテ男子と激あま婚!? 〜2人を繋ぐ1on1、ブザービートからはじまる恋〜
おうぎまちこ(あきたこまち)
児童書・童話
お母さんを失くし、ひとりぼっちになってしまったワケアリ女子高生の百合(ゆり)。
とある事情で百合が一緒に住むことになったのは、学校で一番人気、百合の推しに似ているんだけど偉そうで怖いイケメン・瀬戸先輩だった。
最初は怖くて仕方がなかったけれど、「好きなものは好きでいて良い」って言って励ましてくれたり、困った時には優しいし、「俺から離れるなよ」って、いつも一緒にいてくれる先輩から段々目が離せなくなっていって……。
先輩、毎日バスケをするくせに「バスケが嫌い」だっていうのは、どうして――?
推しによく似た こわモテ不良イケメン御曹司×真面目なワケアリ貧乏女子高生との、大豪邸で繰り広げられる溺愛同居生活開幕!
※じれじれ?
※ヒーローは第2話から登場。
※5万字前後で完結予定。
※1日1話更新。
※第15回童話・児童書大賞用作品のため、アルファポリス様のみで掲載中。→noichigoさんに転載。
10歳差の王子様
めぇ
児童書・童話
おれには彼女を守るための鉄則がある。
大切な女の子がいるから。
津倉碧斗(つくらあおと)、小学校1年生。
誰がなんと言おうと隣に住んでる幼馴染の村瀬あさひ(むらせあさひ)は大切な女の子。
たとえ10歳の差があっても関係ないし、 どんなに身長差があったってすぐに追いつくし追い越せるから全然困ったことじゃない。
今は小学生のチビだけど、 中学生、高校生になっていつかは大人になるんだから。
少しづつ大人になっていく2人のラブコメディでありラブストーリーなちょっと切ないお話。
※こちらは他サイト様で掲載したお話を加筆したものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる