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第三章 ウワサの悪魔を調査せよ
23話 ウワサの悪魔の正体は……
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「──ん、──ちゃん!」
遠くで声がする。
でもなんて言っているのか、よく聞こえない……。
必死に叫んでいるような、そんな苦しい声だ。
「──ちゃん! 一華ちゃん!」
「ん……。あれ……、ここは?」
「っ! よかった!」
「かい、りくん? ……界李くんっ!」
苦しそうに叫んでいた声は、界李くんだった。
ぎゅうと私を抱きしめる界李くんは、かすかに震えている。
「界李くん、無事だったんだねっ?」
「うん。戻ってきたら、一華ちゃんが倒れてたから。……心配した」
眉を下げる界李くん。
私は大丈夫だよっ、と微笑みかければ少し笑顔になった。
「男の人がきて、それから……あれ? 私、どうして眠っちゃってたんだろ」
「男? 誰かここにきたの?」
「うん、とっても綺麗な顔の男の人が……んん?」
綺麗な顔だったことは覚えているのに、顔の細かいところは思い出せない。
「なんで顔が思い出せないんだろ……私」
「男から、危ないことはされてない?」
「それは大丈夫だよ」
「よかった……。動けそう?」
界李くんに支えてもらい、立ち上がる。
「さっき一階で、明かりがついてる部屋を見つけた」
「ほんとっ!?」
「──校長室。とにかく、そこへ行こう」
◇◇◆◇◇
無事に一階まで下りれた私と界李くん。
校長室の方へ廊下を進んでいくと、明かりがもれていた。
「もしかしたら、校長先生がまだいるのかもっ!」
「そうだね、行こう」
──ガラッ。
私たちが近づく前に、校長室の扉が開いて中から人が出てきた。
中から出てきたのは……。
「魔央、くん?」
ゆっくりと、こちらを向く魔央くん。
「一華、逃げて……んぐっ!」
「魔央くんっ!」
後ろから、魔央くんの首に腕がまわされた。
校長室の中に、またナニカがいるの……!?
「──なぁに、逃げようとしてるのかしらぁん?」
「……校長、先生?」
魔央くんを後ろから捕獲したのは、……校長先生だった!
校長は私と界李くんに気づくと、「おいでおいで」と手招きした。
「一華ちゃん。遅かったわねぇ。界李くんも」
「(ど、どうなってるの!?)」
「とりあえず部屋に入りなさい。ほら、こっちこっちー」
ずるずると、魔央くんを引きずって戻る校長先生。
言われるがまま私と界李くんも、校長室の中にはいる。
校長室の真ん中には、テーブルがあって両側には大きなソファーが置かれていた。
一番奥には、校長先生の机がドンと構えてある。
そしてソファーには、会いたかった人達がいた。
「天内くんっ! 柚瑠くんっ!」
「神城さん。すまない、心配させただろう?」
「やっほー……、イチカ」
でも、どこか元気のない天内くんと柚瑠くん。
「そうだ……、校長先生! 階段っ! あと、じ、人体模型がっ!」
「──ふふっ」
「……へ?」
もしかして今、校長先生は……笑った?
「おっと、ごめんなさい。さ、座って一華ちゃん、界李くん」
校長先生は豪華なクルッとまわる椅子に座ると、私達にもソファーに座るようにうながした。
私は空いているソファーに、魔央くんと界李くんに挟まれて座った。
机に肘をついて、組んだ手にあごを乗せた校長先生。
「不気味な声がする男子トイレ。どこまで行っても二階から動けない階段。走る人体模型……」
「そうです! 人体模型がっ──」
「あれは全部、アタシの仕業なのよ」
「…………え?」
驚く私を見て、校長先生はニヤリと笑う。
「最近、夜の学校に忍びこむ生徒が多くてねぇ。なんでも、『悪魔』が出るってウサワが流れてからは特に多いのよ」
ウワサがウワサを呼んで、『悪魔』が出るという騒ぎにまでなってしまったのだろうか?
「あの、じゃあ人体模型も全部……、生徒を怖がらせるためのものだったんですか?」
「──そうなの。怖がらせようとしたら、ウワサが広がって逆効果になっちゃったわ」
てへっ、とする校長先生は可愛らしい。
でも魔央くんたちは「いい歳して……」と、呆れた顔をした。
「でも一華、ウワサはあながち間違ってないよ」
「そうなの? 魔央くん」
魔央くんは肩をすくめると、校長先生へ視線を向ける。
「だって、校長先生は──『悪魔』なんだから」
遠くで声がする。
でもなんて言っているのか、よく聞こえない……。
必死に叫んでいるような、そんな苦しい声だ。
「──ちゃん! 一華ちゃん!」
「ん……。あれ……、ここは?」
「っ! よかった!」
「かい、りくん? ……界李くんっ!」
苦しそうに叫んでいた声は、界李くんだった。
ぎゅうと私を抱きしめる界李くんは、かすかに震えている。
「界李くん、無事だったんだねっ?」
「うん。戻ってきたら、一華ちゃんが倒れてたから。……心配した」
眉を下げる界李くん。
私は大丈夫だよっ、と微笑みかければ少し笑顔になった。
「男の人がきて、それから……あれ? 私、どうして眠っちゃってたんだろ」
「男? 誰かここにきたの?」
「うん、とっても綺麗な顔の男の人が……んん?」
綺麗な顔だったことは覚えているのに、顔の細かいところは思い出せない。
「なんで顔が思い出せないんだろ……私」
「男から、危ないことはされてない?」
「それは大丈夫だよ」
「よかった……。動けそう?」
界李くんに支えてもらい、立ち上がる。
「さっき一階で、明かりがついてる部屋を見つけた」
「ほんとっ!?」
「──校長室。とにかく、そこへ行こう」
◇◇◆◇◇
無事に一階まで下りれた私と界李くん。
校長室の方へ廊下を進んでいくと、明かりがもれていた。
「もしかしたら、校長先生がまだいるのかもっ!」
「そうだね、行こう」
──ガラッ。
私たちが近づく前に、校長室の扉が開いて中から人が出てきた。
中から出てきたのは……。
「魔央、くん?」
ゆっくりと、こちらを向く魔央くん。
「一華、逃げて……んぐっ!」
「魔央くんっ!」
後ろから、魔央くんの首に腕がまわされた。
校長室の中に、またナニカがいるの……!?
「──なぁに、逃げようとしてるのかしらぁん?」
「……校長、先生?」
魔央くんを後ろから捕獲したのは、……校長先生だった!
校長は私と界李くんに気づくと、「おいでおいで」と手招きした。
「一華ちゃん。遅かったわねぇ。界李くんも」
「(ど、どうなってるの!?)」
「とりあえず部屋に入りなさい。ほら、こっちこっちー」
ずるずると、魔央くんを引きずって戻る校長先生。
言われるがまま私と界李くんも、校長室の中にはいる。
校長室の真ん中には、テーブルがあって両側には大きなソファーが置かれていた。
一番奥には、校長先生の机がドンと構えてある。
そしてソファーには、会いたかった人達がいた。
「天内くんっ! 柚瑠くんっ!」
「神城さん。すまない、心配させただろう?」
「やっほー……、イチカ」
でも、どこか元気のない天内くんと柚瑠くん。
「そうだ……、校長先生! 階段っ! あと、じ、人体模型がっ!」
「──ふふっ」
「……へ?」
もしかして今、校長先生は……笑った?
「おっと、ごめんなさい。さ、座って一華ちゃん、界李くん」
校長先生は豪華なクルッとまわる椅子に座ると、私達にもソファーに座るようにうながした。
私は空いているソファーに、魔央くんと界李くんに挟まれて座った。
机に肘をついて、組んだ手にあごを乗せた校長先生。
「不気味な声がする男子トイレ。どこまで行っても二階から動けない階段。走る人体模型……」
「そうです! 人体模型がっ──」
「あれは全部、アタシの仕業なのよ」
「…………え?」
驚く私を見て、校長先生はニヤリと笑う。
「最近、夜の学校に忍びこむ生徒が多くてねぇ。なんでも、『悪魔』が出るってウサワが流れてからは特に多いのよ」
ウワサがウワサを呼んで、『悪魔』が出るという騒ぎにまでなってしまったのだろうか?
「あの、じゃあ人体模型も全部……、生徒を怖がらせるためのものだったんですか?」
「──そうなの。怖がらせようとしたら、ウワサが広がって逆効果になっちゃったわ」
てへっ、とする校長先生は可愛らしい。
でも魔央くんたちは「いい歳して……」と、呆れた顔をした。
「でも一華、ウワサはあながち間違ってないよ」
「そうなの? 魔央くん」
魔央くんは肩をすくめると、校長先生へ視線を向ける。
「だって、校長先生は──『悪魔』なんだから」
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