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第一章 隣のキミは悪魔と天使
3話 何度目かの『イケメン、恐るべし!』
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「ただいま~」
あぁー、家に帰ると落ち着く……。
今日は色々あったし、疲れちゃっ──、
「おかえり、一華!」
「きゃあ!?」
入学式が終わって、私より先に家に帰っていたお父さんが、勢いよく私を抱きしめてきた。
力がっ、力が強いよお父さん!
「……もうお父さん! びっくりするから、急に抱きつかないでって言ってるでしょ! あと力が強い!」
「一華が可愛いからつい。ごめんね?」
「……はぁ」
ため息をつきつつ、ぎゅうと抱き返せば、さらにぎゅうと力を強めてくるお父さん。
「入学式どうだった? 新しいクラスには馴染めそうかい?」
「……えっと」
私は、イケメンな魔央くんたち三人と天内くんが同じクラスだったことを伝えた。
……魔央くんが私のことを「お姫様」って言っていたことは、教えなくてもいいと思ったから言わないままにしておく。
「お父さんも見てたと思うけど、校長先生が……お父さん? どうかした?」
笑顔のまま銅像のように固まっているお父さん。
話しかけても返事がない。
さっきまであんなに楽しそうに、私の話を聞いてくれていたのに。
どうしたんだろう?
「ねぇってば……」
「────かい?」
「へ?」
「その中に好きな子でも出来たのかい?」
「す、好きな子!?」
不意打ちの言葉に、私の顔は真っ赤なタコみたいになっていると思う。
頭にとっさに浮かんだのは、……って!!
「お父さん! 今日初めて会ったのに、そんなにすぐ好きになったりしないよ!?」
「僕は一華が心配なんだ。いまから、お嫁に行くことを考えると……!」
顔をおおって泣き真似をするお父さんに、私はため息をつく。
小学生の頃も、私が誰かに恋をするとめざとく気づいていた。
本当、お父さんってば子離れ出来てないんだから。
「お父さん、私はお嫁に行かないよ」
「本当かい、一華!」
瞳を輝かせて私を見るパパに一言。
「今は『まだ』ね」
ガーン、とショックを受けた顔のお父さんに、私は「じゃ、部屋に戻るね」と言いその場をあとにした。
◇◇◆◇◇
あの後、放心状態のお父さんと夕飯を食べて、お風呂にも入ってあとはもう寝るだけの状態。
私はぼふん、とベッドにダイブする。
天井を見つめていれば、魔央くんの顔が浮かんだ。
「はぁ……でも、魔央くんカッコよかったなぁ」
席が隣ってことは、これから毎日魔央くんの顔を近くで見れるってことだよね。
左は魔央くん、右は……寝てるけど界李くん。その隣には柚瑠くんだっているし。
助けてくれた天内くんだって、すごく神秘的でカッコよかった。
「これはこれで心臓がもたない……!」
私はなんとも言えない感覚に、足をバタバタさせることでそれを発散した。
◇◇◆◇◇
次の日。
なかなか決まらない前髪をやっと整えて、玄関へ向かう。
「よし、いってきまー……っ!?」
「おはよう、一華」
「ま、魔央くん!? な、なんでここに!」
玄関を開けると、なんと魔央くんが立っていた。私の家は、魔央くんに教えていないはずなのに!
「一緒に学校行こうと思って、迎えにきたんだけど……嫌だった?」
しゅんとした顔をする魔央くんに、私はぶんぶんと手を振って「そんなことない!」と言う。
そんなことないけど、なんで家を知っているのかだけが凄く気になる。
「そう? ならよかった。さ、行こう」
隣に立つのは恥ずかしくて、魔央くんの一歩後ろを歩いていると、突然くるりとうしろを振り返り、私を見つめる魔央くん。
「そうだ、言い忘れてたんだけどね」
「?」
「俺、一華に一目惚れしたんだ」
「…………はい?」
「いや、ちょっと違うかな? 本能が、君を求めたんだ」
ま、魔央くん何を言ってるの?
「俺、恋なんてしたことなかったんだ。でもいまは、心の底からわいてくる感情がある」
魔央くんの手が私の頬を撫でる。
ふに、と親指で唇を押された。
「一華を俺の愛で溺れさせたい、って」
「…………っ!」
「だから、覚悟しててね?」
どんな覚悟を持っていれば、それをお断りできますか!?
◇◇◆◇◇
──や、やっとついた……学校!
告白されて、カチコチに固まってしまった私は、学校まで魔央くんに手を引かれて登校した。
教室に入ると、柊柚瑠くんと瀬尾界李くんが魔央くんに挨拶する。
「マオ、おはよー」
「はよ……魔央」
「おはよう柚瑠、界李」
なんだかいいなぁ、仲がいい三人って感じ。しみじみ思っていると、瀬尾界李くんと目があった。
じーっと見つめられて、私はどうしていいかわからない。
とりあえず、私も見つめ返しておく。
「はよ……、一華ちゃん」
びっくりして、私は思わず魔央くんを見た。すると魔央くんは、うなずく。
「界李が、俺たち以外に自分から挨拶するなんて珍しいな」
「そうなんだ……!」
私は、瀬尾界李くん……ううん、界李くんって呼んだ方がいいかな。界李くんへ挨拶をする。
「お、おはよう界李くん?」
「なんで……疑問系?」
「あっほんとだ。なんでだろ?」
私たちは数秒見つめあったあと、どちらからともなく笑い出す。
「一華ちゃん、おもしろいね……」
「え……そ、そうかな?」
界李くんに挨拶をした後、私はまだ柊くんに挨拶をしてないことに気づく。
一人にだけしないのは悪いかなと思い、おそるおそる柊くん見るとギロリと睨まれた。
ひえっ! こ、これは怒ってるの?
魔央くんと界李くんを見れば、二人とも親指をグッと立てて応援してくれた。
ゆ、勇気を出すんだ私!
「おはようっ、柊くん」
「…………」
「柊くん……?」
「……なんで」
ぷくり、と頬をふくらませた柊くん。
「なんで──、ボクだけ下の名前で呼ばないの?」
言われたことが理解できなくて、ピシリと体が固まった私。
笑いをこらえている魔央くんが、私の肩に手を置いた。
「ふふっ……柚瑠はね、素直じゃないんだ」
「ちょっとマオっ! 余計なこと言わないでよ!?」
……柚瑠くんはツンデレらしい。
私は、顔を赤らめている柚瑠くんに、もう一度挨拶をした。
「おはようっ、柚瑠くん」
「……おはよう、イチカ」
恥ずかしそうにする柚瑠くんは、すごく可愛い。
そしてみんな、なぜか私を下の名前で呼ぶんだけど、どうして!?
やっぱり、魔央くんたちは人との距離の縮め方が違う。
イケメン、恐るべし……!!
あぁー、家に帰ると落ち着く……。
今日は色々あったし、疲れちゃっ──、
「おかえり、一華!」
「きゃあ!?」
入学式が終わって、私より先に家に帰っていたお父さんが、勢いよく私を抱きしめてきた。
力がっ、力が強いよお父さん!
「……もうお父さん! びっくりするから、急に抱きつかないでって言ってるでしょ! あと力が強い!」
「一華が可愛いからつい。ごめんね?」
「……はぁ」
ため息をつきつつ、ぎゅうと抱き返せば、さらにぎゅうと力を強めてくるお父さん。
「入学式どうだった? 新しいクラスには馴染めそうかい?」
「……えっと」
私は、イケメンな魔央くんたち三人と天内くんが同じクラスだったことを伝えた。
……魔央くんが私のことを「お姫様」って言っていたことは、教えなくてもいいと思ったから言わないままにしておく。
「お父さんも見てたと思うけど、校長先生が……お父さん? どうかした?」
笑顔のまま銅像のように固まっているお父さん。
話しかけても返事がない。
さっきまであんなに楽しそうに、私の話を聞いてくれていたのに。
どうしたんだろう?
「ねぇってば……」
「────かい?」
「へ?」
「その中に好きな子でも出来たのかい?」
「す、好きな子!?」
不意打ちの言葉に、私の顔は真っ赤なタコみたいになっていると思う。
頭にとっさに浮かんだのは、……って!!
「お父さん! 今日初めて会ったのに、そんなにすぐ好きになったりしないよ!?」
「僕は一華が心配なんだ。いまから、お嫁に行くことを考えると……!」
顔をおおって泣き真似をするお父さんに、私はため息をつく。
小学生の頃も、私が誰かに恋をするとめざとく気づいていた。
本当、お父さんってば子離れ出来てないんだから。
「お父さん、私はお嫁に行かないよ」
「本当かい、一華!」
瞳を輝かせて私を見るパパに一言。
「今は『まだ』ね」
ガーン、とショックを受けた顔のお父さんに、私は「じゃ、部屋に戻るね」と言いその場をあとにした。
◇◇◆◇◇
あの後、放心状態のお父さんと夕飯を食べて、お風呂にも入ってあとはもう寝るだけの状態。
私はぼふん、とベッドにダイブする。
天井を見つめていれば、魔央くんの顔が浮かんだ。
「はぁ……でも、魔央くんカッコよかったなぁ」
席が隣ってことは、これから毎日魔央くんの顔を近くで見れるってことだよね。
左は魔央くん、右は……寝てるけど界李くん。その隣には柚瑠くんだっているし。
助けてくれた天内くんだって、すごく神秘的でカッコよかった。
「これはこれで心臓がもたない……!」
私はなんとも言えない感覚に、足をバタバタさせることでそれを発散した。
◇◇◆◇◇
次の日。
なかなか決まらない前髪をやっと整えて、玄関へ向かう。
「よし、いってきまー……っ!?」
「おはよう、一華」
「ま、魔央くん!? な、なんでここに!」
玄関を開けると、なんと魔央くんが立っていた。私の家は、魔央くんに教えていないはずなのに!
「一緒に学校行こうと思って、迎えにきたんだけど……嫌だった?」
しゅんとした顔をする魔央くんに、私はぶんぶんと手を振って「そんなことない!」と言う。
そんなことないけど、なんで家を知っているのかだけが凄く気になる。
「そう? ならよかった。さ、行こう」
隣に立つのは恥ずかしくて、魔央くんの一歩後ろを歩いていると、突然くるりとうしろを振り返り、私を見つめる魔央くん。
「そうだ、言い忘れてたんだけどね」
「?」
「俺、一華に一目惚れしたんだ」
「…………はい?」
「いや、ちょっと違うかな? 本能が、君を求めたんだ」
ま、魔央くん何を言ってるの?
「俺、恋なんてしたことなかったんだ。でもいまは、心の底からわいてくる感情がある」
魔央くんの手が私の頬を撫でる。
ふに、と親指で唇を押された。
「一華を俺の愛で溺れさせたい、って」
「…………っ!」
「だから、覚悟しててね?」
どんな覚悟を持っていれば、それをお断りできますか!?
◇◇◆◇◇
──や、やっとついた……学校!
告白されて、カチコチに固まってしまった私は、学校まで魔央くんに手を引かれて登校した。
教室に入ると、柊柚瑠くんと瀬尾界李くんが魔央くんに挨拶する。
「マオ、おはよー」
「はよ……魔央」
「おはよう柚瑠、界李」
なんだかいいなぁ、仲がいい三人って感じ。しみじみ思っていると、瀬尾界李くんと目があった。
じーっと見つめられて、私はどうしていいかわからない。
とりあえず、私も見つめ返しておく。
「はよ……、一華ちゃん」
びっくりして、私は思わず魔央くんを見た。すると魔央くんは、うなずく。
「界李が、俺たち以外に自分から挨拶するなんて珍しいな」
「そうなんだ……!」
私は、瀬尾界李くん……ううん、界李くんって呼んだ方がいいかな。界李くんへ挨拶をする。
「お、おはよう界李くん?」
「なんで……疑問系?」
「あっほんとだ。なんでだろ?」
私たちは数秒見つめあったあと、どちらからともなく笑い出す。
「一華ちゃん、おもしろいね……」
「え……そ、そうかな?」
界李くんに挨拶をした後、私はまだ柊くんに挨拶をしてないことに気づく。
一人にだけしないのは悪いかなと思い、おそるおそる柊くん見るとギロリと睨まれた。
ひえっ! こ、これは怒ってるの?
魔央くんと界李くんを見れば、二人とも親指をグッと立てて応援してくれた。
ゆ、勇気を出すんだ私!
「おはようっ、柊くん」
「…………」
「柊くん……?」
「……なんで」
ぷくり、と頬をふくらませた柊くん。
「なんで──、ボクだけ下の名前で呼ばないの?」
言われたことが理解できなくて、ピシリと体が固まった私。
笑いをこらえている魔央くんが、私の肩に手を置いた。
「ふふっ……柚瑠はね、素直じゃないんだ」
「ちょっとマオっ! 余計なこと言わないでよ!?」
……柚瑠くんはツンデレらしい。
私は、顔を赤らめている柚瑠くんに、もう一度挨拶をした。
「おはようっ、柚瑠くん」
「……おはよう、イチカ」
恥ずかしそうにする柚瑠くんは、すごく可愛い。
そしてみんな、なぜか私を下の名前で呼ぶんだけど、どうして!?
やっぱり、魔央くんたちは人との距離の縮め方が違う。
イケメン、恐るべし……!!
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