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第六章 試練編
第226話 試練を経て得たもの
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「エア!」
俺はすぐにエアの容態を確認した。
まだ息はある。だが、もうあと何秒もつかも分からない。
俺はとっさに天使のミトンに手を伸ばすが、この空間では天使のミトンの効果は発動しないし、ここを出たとしても天使のミトンの効果が回復していない。
「大丈夫だよ、ゲス・エスト」
ネアが俺とは反対側から来てエアの横に屈んだ。右手をエアの横腹の穴にあてがう。すると手の下が白い光を放ち、手が離れたときにはエアの腹から穴が消えていた。
さらにネアは、エアの体から離れたところで手を掲げた。するとエアの体全体が白い光で包まれ、蒼白していたエアの顔が血色を取り戻した。
俺はひとまず胸を撫で下ろした。
ただ、いまの俺はネアに対して複雑な感情を抱いている。
「エアを治してくれたことには感謝する。けどな、やりすぎなんじゃないのか? 試練だ? 俺たちは何度も命を落としかけたぞ」
どちらかというと、俺の顔は感謝よりも怒りの成分を色濃く出していただろう。
しかしネアは、眼を閉じて小刻みに首を振った。
「いいや、むしろ僕はこれでも足りないとさえ思っているよ。でもこれで打ち止めだ。もうじき紅い狂気は君の前に姿を現し、そして牙を向く」
「もうじきってどれくらいだよ。なぜ分かる?」
「三日以内だよ。僕には視えるんだ。未来が。漠然と、だけどね」
「三日……以内……」
まだ準備ができていない。特に心の準備が。
運命の決戦はまだ先の未来のことだと思っていた。しかし心の奥底では、それが現実逃避だということにも気づいていた。
「そう。明日か、明後日か、明々後日かだ。今日ではないから、そこは安心していい」
放心している場合ではない。なにが安心だ。状況はまったく逆ではないか。
「安心できるか! だったら一刻も早く準備を……」
「まあまあ、待ちなさい。これも準備の一環なんだから」
ネアが俺とエアに右手と左手をそれぞれ掲げた。すると、俺たちの体は白く発光した。
疲労感がじんわりと抜けていき、体が軽くなっていく。しかも頭のほうもどんどんクリアになっていく。
さっきまでの俺は取り乱していた。冷静さを欠いても何もいいことはない。
発光がやんだとき、ネアが俺に向けてニコッと微笑んだ。
それはまるで「僕が回復してあげたから休む必要はないだろう?」とでも言いたげだった。
ひと息つきたい気持ちはあったが、ここでの用事をさっさと終わらせたい気持ちのほうが強い。
エアが意識を取り戻すと、ネアはテーブルと椅子を生み出して俺とエアをそこへ座らせた。
「さて、ゲス・エスト。この第三の試練は紅い狂気との戦いで勝つためのヒントを与えるためのものだったんだけれど、この戦いを通して君は何かを得られたかい?」
知るか! と突っぱねたくなるが、はっきりとコレというものが思い当たらないながらも、候補は思いつく。
「概念化魔法の応用力、あるいは恐ろしい相手への心構え、そんなところか?」
「そうだね、前者も重要だけれど、後者が正解に近いね」
むしろ前者がメインだと俺は思っていた。はっきり言って、空気の概念化魔法は使いにくい。
発生型や操作型の魔法が概念化した場合、端的に言うと慣用句を実現させることができる能力になる。
しかし空気に関しては意外と慣用句が少ないのだ。少なくとも俺はあまり思いつかない。
ゆえに俺の魔法のバリエーションはあまり増えない。
「心構えのための試練だと? 精神論なんて俺に説くんじゃねーよ。第三の試練は概念化魔法の練習にはなったが、ただそれだけだ」
「そうだね。残念なことに、そのとおりなんだよ。つまり、試練はクリアしたけれど、僕の期待どおりの成果じゃなかった。厳密に言うと、テリブルドラゴンの正しい倒し方じゃなかった。空気の概念化魔法で無理矢理倒してしまったからね」
「それでもテリブルドラゴンを倒せるなら、紅い狂気だって倒せるんじゃないのかよ」
「そうでないことは君もよく分かっているはずだけれどね」
「チッ」
そうだよ。分かっているとも。
そのことを見透かされていることに腹が立つ。
空気の概念化魔法は使いにくいが、最後に使った技はとてつもなく強い。
テリブルドラゴンに勝ったときの技、超絶必殺技 《勝利への道程》。
この技は、とある条件を満たすことで勝利する流れ――雰囲気という意味での空気――を作り、絶対に勝利を得ることができるというものである。
その条件というのは、次の五つ。
一、空気の魔法が概念化していること
二、自分または味方から白いオーラが出ていること
三、自分およびその場にいる味方全員に勝利への強い意志があること
四、自分およびその場にいる味方全員が勝利を信じていること
五、相手に攻撃してわずかでもダメージを与えること
この五つの条件をすべて満たすことによって、不死身だろうが無敵だろうが、相手の性質を無視してどんな強い相手をも倒すことができる。
ただ、カケラが相手となると、四と五の条件を満たすハードルが極めて高くなってしまう。
それに、ベスト・クライマックス頼みになるとせっかく苦労して固めた戦う意志が弱まってしまいそうだ。それがなければ勝てないと思ってしまうからだ。その時点で精神的に劣勢になり、勝機を失ってしまう。
だからベスト・クライマックスに頼るべきではない。
「じゃあ、本当はどうやってテリブルドラゴンを倒すべきだったんだ?」
「これは紅い狂気の弱点について話しているときに言ったことだが、教えることで効果が弱まってしまうから教えられない。ただ、教えるまでもなく、君は戦いの最中で答えに辿り着いていたよ」
思い返してみるが、確信めいた部分には思い至らない。
テリブルドラゴンはおそらく鳴き声を克服しなければ絶対に倒せないようになっていた。そして俺は鳴き声を克服した。
何が違ったというのか。克服の仕方か?
「ゲス・エスト。無理に答えを出す必要はない。答えが分かったところで、備えられるようなものでもないからね。それより報酬の話をしよう」
ネアの報酬というひと言が、俺の心のモヤをどこかへ押しやってしまった。最後の試練の報酬だ。期待せざるを得ない。
それはエアも同じのようだ。
「ねえ、私にもある? 第一と第二の試練の報酬はエストしかもらってないからね!」
俺はすぐにエアの容態を確認した。
まだ息はある。だが、もうあと何秒もつかも分からない。
俺はとっさに天使のミトンに手を伸ばすが、この空間では天使のミトンの効果は発動しないし、ここを出たとしても天使のミトンの効果が回復していない。
「大丈夫だよ、ゲス・エスト」
ネアが俺とは反対側から来てエアの横に屈んだ。右手をエアの横腹の穴にあてがう。すると手の下が白い光を放ち、手が離れたときにはエアの腹から穴が消えていた。
さらにネアは、エアの体から離れたところで手を掲げた。するとエアの体全体が白い光で包まれ、蒼白していたエアの顔が血色を取り戻した。
俺はひとまず胸を撫で下ろした。
ただ、いまの俺はネアに対して複雑な感情を抱いている。
「エアを治してくれたことには感謝する。けどな、やりすぎなんじゃないのか? 試練だ? 俺たちは何度も命を落としかけたぞ」
どちらかというと、俺の顔は感謝よりも怒りの成分を色濃く出していただろう。
しかしネアは、眼を閉じて小刻みに首を振った。
「いいや、むしろ僕はこれでも足りないとさえ思っているよ。でもこれで打ち止めだ。もうじき紅い狂気は君の前に姿を現し、そして牙を向く」
「もうじきってどれくらいだよ。なぜ分かる?」
「三日以内だよ。僕には視えるんだ。未来が。漠然と、だけどね」
「三日……以内……」
まだ準備ができていない。特に心の準備が。
運命の決戦はまだ先の未来のことだと思っていた。しかし心の奥底では、それが現実逃避だということにも気づいていた。
「そう。明日か、明後日か、明々後日かだ。今日ではないから、そこは安心していい」
放心している場合ではない。なにが安心だ。状況はまったく逆ではないか。
「安心できるか! だったら一刻も早く準備を……」
「まあまあ、待ちなさい。これも準備の一環なんだから」
ネアが俺とエアに右手と左手をそれぞれ掲げた。すると、俺たちの体は白く発光した。
疲労感がじんわりと抜けていき、体が軽くなっていく。しかも頭のほうもどんどんクリアになっていく。
さっきまでの俺は取り乱していた。冷静さを欠いても何もいいことはない。
発光がやんだとき、ネアが俺に向けてニコッと微笑んだ。
それはまるで「僕が回復してあげたから休む必要はないだろう?」とでも言いたげだった。
ひと息つきたい気持ちはあったが、ここでの用事をさっさと終わらせたい気持ちのほうが強い。
エアが意識を取り戻すと、ネアはテーブルと椅子を生み出して俺とエアをそこへ座らせた。
「さて、ゲス・エスト。この第三の試練は紅い狂気との戦いで勝つためのヒントを与えるためのものだったんだけれど、この戦いを通して君は何かを得られたかい?」
知るか! と突っぱねたくなるが、はっきりとコレというものが思い当たらないながらも、候補は思いつく。
「概念化魔法の応用力、あるいは恐ろしい相手への心構え、そんなところか?」
「そうだね、前者も重要だけれど、後者が正解に近いね」
むしろ前者がメインだと俺は思っていた。はっきり言って、空気の概念化魔法は使いにくい。
発生型や操作型の魔法が概念化した場合、端的に言うと慣用句を実現させることができる能力になる。
しかし空気に関しては意外と慣用句が少ないのだ。少なくとも俺はあまり思いつかない。
ゆえに俺の魔法のバリエーションはあまり増えない。
「心構えのための試練だと? 精神論なんて俺に説くんじゃねーよ。第三の試練は概念化魔法の練習にはなったが、ただそれだけだ」
「そうだね。残念なことに、そのとおりなんだよ。つまり、試練はクリアしたけれど、僕の期待どおりの成果じゃなかった。厳密に言うと、テリブルドラゴンの正しい倒し方じゃなかった。空気の概念化魔法で無理矢理倒してしまったからね」
「それでもテリブルドラゴンを倒せるなら、紅い狂気だって倒せるんじゃないのかよ」
「そうでないことは君もよく分かっているはずだけれどね」
「チッ」
そうだよ。分かっているとも。
そのことを見透かされていることに腹が立つ。
空気の概念化魔法は使いにくいが、最後に使った技はとてつもなく強い。
テリブルドラゴンに勝ったときの技、超絶必殺技 《勝利への道程》。
この技は、とある条件を満たすことで勝利する流れ――雰囲気という意味での空気――を作り、絶対に勝利を得ることができるというものである。
その条件というのは、次の五つ。
一、空気の魔法が概念化していること
二、自分または味方から白いオーラが出ていること
三、自分およびその場にいる味方全員に勝利への強い意志があること
四、自分およびその場にいる味方全員が勝利を信じていること
五、相手に攻撃してわずかでもダメージを与えること
この五つの条件をすべて満たすことによって、不死身だろうが無敵だろうが、相手の性質を無視してどんな強い相手をも倒すことができる。
ただ、カケラが相手となると、四と五の条件を満たすハードルが極めて高くなってしまう。
それに、ベスト・クライマックス頼みになるとせっかく苦労して固めた戦う意志が弱まってしまいそうだ。それがなければ勝てないと思ってしまうからだ。その時点で精神的に劣勢になり、勝機を失ってしまう。
だからベスト・クライマックスに頼るべきではない。
「じゃあ、本当はどうやってテリブルドラゴンを倒すべきだったんだ?」
「これは紅い狂気の弱点について話しているときに言ったことだが、教えることで効果が弱まってしまうから教えられない。ただ、教えるまでもなく、君は戦いの最中で答えに辿り着いていたよ」
思い返してみるが、確信めいた部分には思い至らない。
テリブルドラゴンはおそらく鳴き声を克服しなければ絶対に倒せないようになっていた。そして俺は鳴き声を克服した。
何が違ったというのか。克服の仕方か?
「ゲス・エスト。無理に答えを出す必要はない。答えが分かったところで、備えられるようなものでもないからね。それより報酬の話をしよう」
ネアの報酬というひと言が、俺の心のモヤをどこかへ押しやってしまった。最後の試練の報酬だ。期待せざるを得ない。
それはエアも同じのようだ。
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