女の子にされちゃう！？「……男の子やめる？」彼女は優しく撫でた。

女性体験プログラム

電話に出た看護婦さんであろう人物はテキパキと事務的に応える。
「少子化対策庁の女性体験プログラムをまだ受講されてない方は女性化手術を受けることはできませんので、まずはそちらに行っていただけると助かります」

そっか、麻里の言う通りまずはあの施設にいくことが女性になるための第一歩なのか。

男性としてこの過酷な世界を生きる自信をなくした僕はトボトボと吸い込まれるように少子化対策庁の施設へと足を向ける。

「こんにちは！」
明るく受付の女性が挨拶する。

「女性化プログラムを受けたいということですね、しばらくしたらカウンセラーとお話できます」

カウンセラーとの面談までドギマギしながら、アンケート用紙に記入していく。

「できれば男性のままでいたいという気持ちはありますか？」
もう、そんな気持ちは毛ほども残っていなかった。いいえ、にマルをつける。

「男性と結婚することに抵抗はありませんか？」
あるに決まっている。あります、にマル。

そうこうしているうちに面談の時間になった。
僕は疲れた足で面談ルームへと向かいドアを開けた。

するとそこにいたのは、どう言うわけか麻里だった。
「アンケートを拝見いたしますね？」
と他人行儀な麻里。

「結婚生活に疲れたとありますが、ネガティブな理由で女性化するのはあまりオススメしません」
と自分がススメたのにしらっと言う麻里。

僕はあまりな展開に号泣してしまった。
「麻里ゆるしてくれ！」

すると麻里は優しくにっこり微笑んで僕をナデナデしてくれた。
「まぁまぁ、リラックスしてください」
といいながら麻里は僕を優しくマッサージしてくれた。

このマッサージが終わったら執刀されるのだろうか。

「まずは女性としてVR世界で１ヶ月間生活することをオススメします。あなたのパートナーになる男性候補も一緒にVR世界で暮らすことができます。そこでご自身のジェンダーについて良く考えられると良いと思いますよ」

「VR世界にいる間、僕の本当の体はどうなるのでしょうか？」
不安を隠せず僕は質問した。

「睡眠状態です。同意書にサインしていただければ痛くないように執刀されます。もちろん、あなたの精神が女性の体に適合すると認められたときのみですが」

（ああ、やっぱり女性になるのか）

僕はサラサラと麻里の出した同意書にサインした。
そして奇妙なカプセルの中に横たわると眠りに入った。
目覚めるときっと僕は女性になっているのだろう。

……目を覚ますと僕は女神の前にいた。

女神はにっこりと笑い。
「受け入れがたいでしょうがあなたは死にました」
と恐ろしい宣告をした。

「はぁぁあ？」
「女性化の手術は難易度が高くて失敗した、といえばご理解いただけますでしょうか？」

「ちょっと待て、何が名医じゃい！」
僕が激昂すると女神は

「あんまりなんで、異世界に転生させてあげましょう！」
とありきたりのセリフを僕に向かってのたまった。