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#17 3話 「三人の他人家族」Part2
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便利だなぁ~~と訪れた人は呟くが、相手は精霊であり人間ではない為、社会の違いから齟齬そごが生まれる。例えば、「居間の掃除をしといて~」と頼んでから、外出して戻ってくると家具も含めて、綺麗さっぱり消えていたり「侵入者は拘束しといて~」とセキュリティーに関して指示を出したら、サイトと一緒に家の中に入ったソウに対して一瞬で拘束具を装着したりと極大解釈が多く見られた。
なので、これは動かさない、あれはそこに置く、初めて来る客人は事前登録しなくてはならない。非常に面倒なのだ、精霊という生命体は・・・・・。
◇
「ピ~~コ~~ピ~~コ~~~ピィーーーー」と摩訶不思議な音が響く居間。
「主様。お風呂が沸きました。適温で保持致します」と守護精霊カイルからの報告が響く。
「ハギとサクラ、先に風呂入ったら?俺は後でいいから」とサイトが話しかけた。
向かい側のソファーに座っていたハギとサクラはチラッとサイトの方を見てから、「「うん」」と頷きソファーから立ち上がった。
ハギとサクラが、居間の奥へと消えていったのを確認してから、溜まった書類に目を落とした。各拠点から、上げられた報告書を処理していく。でも、頭の中で考えているのは、ハギの事だ。
サイトの、部下という表現に反応したことを「ただの言葉の綾だろう?」とは決して言えない。
家族という言葉は、俺たちには根っこで絡み合って決して剥がせない関係のことを指す。人からは重いと指摘されてしまうかもしれないが、これが、俺たちの家族だとはっきりと答えられる。
なので、ふと出てしまった言葉とはいえ、失言だったと思う。いや、失言であり、あの娘らへの裏切り行為だなと自分の愚かさに嫌気がさす。許してくれるか分からないが、後で謝罪しなければと書類の処理を早めた。
◇
湯船に向かい合って浸かるハギとサクラ。約40℃だろう湯は、冷えた体を徐々に温めていく。二人とも無言だ。しばらくして、この空気に耐えられなくなった長いピンク髪をお団子状に結んだサクラがハギに話しかけた。
「今日は久しぶりにサイトにぃの料理が食べられてよかったね!煮込みハンバーグ、思い出したらお腹すいてきちゃった~~」
「そうね」
「あとさ、ラガルガ大将を相手にマーキングを掛けられたのは、もっと褒められてもいい功績だよね!私~」
「そうね」
「で、でさ!え~~とね・・・・・・」
いつもの姉に戻ってほしくて、他愛もない話題を出していくが、返しが一言だけなので、こっちの手札が急速に無くなっていく。
「ねぇ。サイトにぃは私たちの事をどうでも良く思ってはいないはずだよ?それは、日々の生活で分かるでしょ?・・・・・こんなことで、塞ぎ込んでいたら嫌気をさされちゃうよ?」
「っ!!!」
サクラの嫌気をさす発言に反応したハギは、遠くを見ていた瞳をサクラに向けた。
「そんなに睨んでも、状況は変わらないよ?ハギねぇは深く考えすぎなんだよ。重い女だと思われちゃうよ?まぁ~遅いかもだけど」
「サクラはどうなの!・・・・不安にはならないの?私たちは家族であって部下じゃない!それなのに、部下って言われて・・・もう、ぼくは・・・・」
大きな声を出したと思ったら、最後は小さくなっていく。そして、軍に入る前のサイトと旅をしていた幼い頃の口癖である一人称‘‘ぼく‘‘が表に出てくる。精神が不安定な状態だと誰から見ても分かってしまう状況だ。
「私?私は特に気にしてないわ。だって、そんな一言で崩れる関係じゃないでしょ?私たちとサイトにぃの10年間はやわじゃないわ。ってか、そんなことで、キレてるハギねぇこそ!どうかしてる」
とサクラは姉に対してきつい言葉を浴びせた。
キレてない!サクラこそ、赤の他人みたいな呼ばれ方して嫌じゃなかったの!?僕達は家族なんだよ?怒って当然だよ!!!!」
なので、これは動かさない、あれはそこに置く、初めて来る客人は事前登録しなくてはならない。非常に面倒なのだ、精霊という生命体は・・・・・。
◇
「ピ~~コ~~ピ~~コ~~~ピィーーーー」と摩訶不思議な音が響く居間。
「主様。お風呂が沸きました。適温で保持致します」と守護精霊カイルからの報告が響く。
「ハギとサクラ、先に風呂入ったら?俺は後でいいから」とサイトが話しかけた。
向かい側のソファーに座っていたハギとサクラはチラッとサイトの方を見てから、「「うん」」と頷きソファーから立ち上がった。
ハギとサクラが、居間の奥へと消えていったのを確認してから、溜まった書類に目を落とした。各拠点から、上げられた報告書を処理していく。でも、頭の中で考えているのは、ハギの事だ。
サイトの、部下という表現に反応したことを「ただの言葉の綾だろう?」とは決して言えない。
家族という言葉は、俺たちには根っこで絡み合って決して剥がせない関係のことを指す。人からは重いと指摘されてしまうかもしれないが、これが、俺たちの家族だとはっきりと答えられる。
なので、ふと出てしまった言葉とはいえ、失言だったと思う。いや、失言であり、あの娘らへの裏切り行為だなと自分の愚かさに嫌気がさす。許してくれるか分からないが、後で謝罪しなければと書類の処理を早めた。
◇
湯船に向かい合って浸かるハギとサクラ。約40℃だろう湯は、冷えた体を徐々に温めていく。二人とも無言だ。しばらくして、この空気に耐えられなくなった長いピンク髪をお団子状に結んだサクラがハギに話しかけた。
「今日は久しぶりにサイトにぃの料理が食べられてよかったね!煮込みハンバーグ、思い出したらお腹すいてきちゃった~~」
「そうね」
「あとさ、ラガルガ大将を相手にマーキングを掛けられたのは、もっと褒められてもいい功績だよね!私~」
「そうね」
「で、でさ!え~~とね・・・・・・」
いつもの姉に戻ってほしくて、他愛もない話題を出していくが、返しが一言だけなので、こっちの手札が急速に無くなっていく。
「ねぇ。サイトにぃは私たちの事をどうでも良く思ってはいないはずだよ?それは、日々の生活で分かるでしょ?・・・・・こんなことで、塞ぎ込んでいたら嫌気をさされちゃうよ?」
「っ!!!」
サクラの嫌気をさす発言に反応したハギは、遠くを見ていた瞳をサクラに向けた。
「そんなに睨んでも、状況は変わらないよ?ハギねぇは深く考えすぎなんだよ。重い女だと思われちゃうよ?まぁ~遅いかもだけど」
「サクラはどうなの!・・・・不安にはならないの?私たちは家族であって部下じゃない!それなのに、部下って言われて・・・もう、ぼくは・・・・」
大きな声を出したと思ったら、最後は小さくなっていく。そして、軍に入る前のサイトと旅をしていた幼い頃の口癖である一人称‘‘ぼく‘‘が表に出てくる。精神が不安定な状態だと誰から見ても分かってしまう状況だ。
「私?私は特に気にしてないわ。だって、そんな一言で崩れる関係じゃないでしょ?私たちとサイトにぃの10年間はやわじゃないわ。ってか、そんなことで、キレてるハギねぇこそ!どうかしてる」
とサクラは姉に対してきつい言葉を浴びせた。
キレてない!サクラこそ、赤の他人みたいな呼ばれ方して嫌じゃなかったの!?僕達は家族なんだよ?怒って当然だよ!!!!」
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