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5話「逃走劇 ~聖剣卿の苦悩~」
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「なぜ!それを先に言わないんだ~~~~!!」
メラニーから時間的な事情の話があり、頭を抱えるリードリッヒ。
その反応に・・・・・・
「だって、聞かれなかったんですもの」
「哀れね」
「大丈夫だって!何とかなる!」
「・・・・・・サイファー姉さんに・・・・・同意」
「ぐすん、ぐすん。ごめんなさい~~~」
最後のチューリッヒは自分がこの事態を起こした張本人だと理解していた為、泣きながら謝罪した。
この謝罪を可愛く感じるのは、まだ魔法が抜けていないのかもしれない・・・・はっ!いけない!意識が飛ぶところだった。
絶望的とチューリッヒの魔法残滓によって、意識が飛びかけた状況に深い、深~~い、深呼吸をすることで立ち直ったリードリッヒは自分の前に並んでいる娘達に
「ふっ!ふぅぅ~~~。そう悲観的になるな!ただ、逃げればいいんだ。
魔王と戦うより断然に楽な状況なんだ。よし!行くか!」
と自分に言い聞かせるように娘達を元気づけた。
(((((いや、悲観的になっているのはあなたの方)))))
総ツッコミされていることにリードリッヒは気付かなかった。
―――――宿舎を出て、駐屯地を覆う壁沿いに走っている一行。
唯一の出入口である門の付近までたどり着いたが、ここで足止めを食らう。
なぜなら、門前には守護兵以外にも兵団員が集まっていたからだ。
この状況を建物の影から1人と5体が伺っていた。
(え~~!なんか多っ!。どういうことよ・・・・)
リードリッヒの突貫工事で建てた作戦はこうだ。
名付けて「堂々と退去作戦!!」
聖剣卿はリードリッヒが駐屯地の外に逃げているだろうと考え、捕縛部隊を編成するだろう。
アクシデントにより半日も駐屯地内にいたので、もう捕縛部隊は外を探していると思われる。
それならば、駐屯地内での警備は手薄というか強化されないのでは?と・・・。
門の守護兵は通常2人態勢。2人だけなら、チューリッヒの魔法で眠らせるなんて朝飯前だ。
よし!これで行こう!
実状は・・・・?
人が多い多い。逃亡犯リードリッヒからすれば、なんじゃこりゃ?状態だ。
これでは、作戦が成り立たない。
はっ!まさか、捕縛部隊を出して駐屯地内は警備の強化を続けているのか?
そこまで・・・・人員を割くなんて、くっそ!本気なんだな聖剣卿!
突貫で立案した作戦が破綻したことを認める。だが、これでは終わらないのがリードリッヒ・クレパス。脳みそをフル回転し、次の作戦を特急で練るのであった。
―――― 一方、団長室横の仮眠室に入ってさらに扉を開けた奥に、リードリッヒでさえ知らない隠し部屋がある。そこで、一人の男が鼻歌を歌いながらリラックスしていた。
この部屋・・・っというか浴室は聖剣卿がお抱えの建築家に作らせた特級品で、なんと!浴槽入れた水に魔力を流し込むことで、人肌に温めることが可能だ。
戦闘後や嫌なことがあった時に浴槽に水を張り、1時間程度浸かるのが習慣となっている。今日に限って言えば、リードリッヒが嫌なことに部類される。
「はぁ~~~~~~~~~~~~~~~
浸かれた心と体に染みる~~~。主に心だけど」
人前では厳格な指揮官を演じている聖剣卿は、この時だけ素に戻る。この湯船に浸かる行為は、精神的なストレスによる疲れを取るのが目的で、いつもなら疲れが取れた表情となれるのだが、今日にいたっては疲れ顔がなかなか取れない。
「あんなに怒らなくていいじゃないか・・・・ぶくぶく」
リードリッヒに「おい!コラァ!」 と言われたことで、心に大きなダメージを負ったみたいだ。
顔下半分を湯船に浸けて、ぶくぶくしていた聖剣卿。少し時間が経つと、ぶくぶくに飽きたのか上を見上げ、天井に着いた染みを見つめる。
「でも・・・リードリッヒのやつ、軍を抜けてどうするつもりなんだか。行く当てはあるのか?
まぁ~あるか。あんだけの戦闘能力に研究者としての知識、誰もが欲しがるだろう」
すんなりとリードリッヒを優秀だと認めた彼・・・・いや、分厚く銀色に光る甲冑を脱いで、素肌を晒している状態なのだから、【彼女】と表現しても差し支えないだろう。
普段は甲冑で隠れている整った顔と長い金髪、豊満と言えるほどではないが、男心に刺激を与える胸、キメ細かい肌は湯を弾く度に光り輝いている。
彼女は水面に反射した顔を覗き込み、自分の疲れ顔に溜息を着いた。
この溜息が何なのか自分では理解しているつもりだ。それは自分がリードリッヒに対して、強い憧れを持っているがゆえに、期待が大きかった・・・・事だと思う。今回の離脱は想定外であったのだ。
私とリードリッヒが居れば、百人力!だと思っていたのは、自分だけだったのだと気付かされ、寂しいさ・・と裏切られた・・思いが、心から溢れて、挑発的な返しをしてしまった。
更には、リードリッヒの離脱をダシに人員補給の算段まで立ててしまうなんて、なんて!薄情な奴なのだ私は!と自己嫌悪にも陥った。
だから、精神疲労が頂点に達した聖剣卿は、湯に浸かっている。
「明日には、捕縛部隊を出さないといけないよね。さすがに、何もしなかったら、本部に要らぬ誤解を抱かれてしまうかもしれないし。はぁ~気が引けるなぁ~」
本来であれば、敵前逃亡罪なのだから即捕縛で軍事裁判と教会での断罪裁判に掛けられるリードリッヒだが、聖剣卿の想いが捕縛指示を出しにくくしていた。
だから、明日でいいやっ!って、先延ばしになってしまっている。
ん?ここで疑問が浮かぶ。
聖剣卿は捕縛部隊を出していないし、駐屯地内での警備強化の指示もしていない。
では?門前に集まった兵たちは一体・・・・?
メラニーから時間的な事情の話があり、頭を抱えるリードリッヒ。
その反応に・・・・・・
「だって、聞かれなかったんですもの」
「哀れね」
「大丈夫だって!何とかなる!」
「・・・・・・サイファー姉さんに・・・・・同意」
「ぐすん、ぐすん。ごめんなさい~~~」
最後のチューリッヒは自分がこの事態を起こした張本人だと理解していた為、泣きながら謝罪した。
この謝罪を可愛く感じるのは、まだ魔法が抜けていないのかもしれない・・・・はっ!いけない!意識が飛ぶところだった。
絶望的とチューリッヒの魔法残滓によって、意識が飛びかけた状況に深い、深~~い、深呼吸をすることで立ち直ったリードリッヒは自分の前に並んでいる娘達に
「ふっ!ふぅぅ~~~。そう悲観的になるな!ただ、逃げればいいんだ。
魔王と戦うより断然に楽な状況なんだ。よし!行くか!」
と自分に言い聞かせるように娘達を元気づけた。
(((((いや、悲観的になっているのはあなたの方)))))
総ツッコミされていることにリードリッヒは気付かなかった。
―――――宿舎を出て、駐屯地を覆う壁沿いに走っている一行。
唯一の出入口である門の付近までたどり着いたが、ここで足止めを食らう。
なぜなら、門前には守護兵以外にも兵団員が集まっていたからだ。
この状況を建物の影から1人と5体が伺っていた。
(え~~!なんか多っ!。どういうことよ・・・・)
リードリッヒの突貫工事で建てた作戦はこうだ。
名付けて「堂々と退去作戦!!」
聖剣卿はリードリッヒが駐屯地の外に逃げているだろうと考え、捕縛部隊を編成するだろう。
アクシデントにより半日も駐屯地内にいたので、もう捕縛部隊は外を探していると思われる。
それならば、駐屯地内での警備は手薄というか強化されないのでは?と・・・。
門の守護兵は通常2人態勢。2人だけなら、チューリッヒの魔法で眠らせるなんて朝飯前だ。
よし!これで行こう!
実状は・・・・?
人が多い多い。逃亡犯リードリッヒからすれば、なんじゃこりゃ?状態だ。
これでは、作戦が成り立たない。
はっ!まさか、捕縛部隊を出して駐屯地内は警備の強化を続けているのか?
そこまで・・・・人員を割くなんて、くっそ!本気なんだな聖剣卿!
突貫で立案した作戦が破綻したことを認める。だが、これでは終わらないのがリードリッヒ・クレパス。脳みそをフル回転し、次の作戦を特急で練るのであった。
―――― 一方、団長室横の仮眠室に入ってさらに扉を開けた奥に、リードリッヒでさえ知らない隠し部屋がある。そこで、一人の男が鼻歌を歌いながらリラックスしていた。
この部屋・・・っというか浴室は聖剣卿がお抱えの建築家に作らせた特級品で、なんと!浴槽入れた水に魔力を流し込むことで、人肌に温めることが可能だ。
戦闘後や嫌なことがあった時に浴槽に水を張り、1時間程度浸かるのが習慣となっている。今日に限って言えば、リードリッヒが嫌なことに部類される。
「はぁ~~~~~~~~~~~~~~~
浸かれた心と体に染みる~~~。主に心だけど」
人前では厳格な指揮官を演じている聖剣卿は、この時だけ素に戻る。この湯船に浸かる行為は、精神的なストレスによる疲れを取るのが目的で、いつもなら疲れが取れた表情となれるのだが、今日にいたっては疲れ顔がなかなか取れない。
「あんなに怒らなくていいじゃないか・・・・ぶくぶく」
リードリッヒに「おい!コラァ!」 と言われたことで、心に大きなダメージを負ったみたいだ。
顔下半分を湯船に浸けて、ぶくぶくしていた聖剣卿。少し時間が経つと、ぶくぶくに飽きたのか上を見上げ、天井に着いた染みを見つめる。
「でも・・・リードリッヒのやつ、軍を抜けてどうするつもりなんだか。行く当てはあるのか?
まぁ~あるか。あんだけの戦闘能力に研究者としての知識、誰もが欲しがるだろう」
すんなりとリードリッヒを優秀だと認めた彼・・・・いや、分厚く銀色に光る甲冑を脱いで、素肌を晒している状態なのだから、【彼女】と表現しても差し支えないだろう。
普段は甲冑で隠れている整った顔と長い金髪、豊満と言えるほどではないが、男心に刺激を与える胸、キメ細かい肌は湯を弾く度に光り輝いている。
彼女は水面に反射した顔を覗き込み、自分の疲れ顔に溜息を着いた。
この溜息が何なのか自分では理解しているつもりだ。それは自分がリードリッヒに対して、強い憧れを持っているがゆえに、期待が大きかった・・・・事だと思う。今回の離脱は想定外であったのだ。
私とリードリッヒが居れば、百人力!だと思っていたのは、自分だけだったのだと気付かされ、寂しいさ・・と裏切られた・・思いが、心から溢れて、挑発的な返しをしてしまった。
更には、リードリッヒの離脱をダシに人員補給の算段まで立ててしまうなんて、なんて!薄情な奴なのだ私は!と自己嫌悪にも陥った。
だから、精神疲労が頂点に達した聖剣卿は、湯に浸かっている。
「明日には、捕縛部隊を出さないといけないよね。さすがに、何もしなかったら、本部に要らぬ誤解を抱かれてしまうかもしれないし。はぁ~気が引けるなぁ~」
本来であれば、敵前逃亡罪なのだから即捕縛で軍事裁判と教会での断罪裁判に掛けられるリードリッヒだが、聖剣卿の想いが捕縛指示を出しにくくしていた。
だから、明日でいいやっ!って、先延ばしになってしまっている。
ん?ここで疑問が浮かぶ。
聖剣卿は捕縛部隊を出していないし、駐屯地内での警備強化の指示もしていない。
では?門前に集まった兵たちは一体・・・・?
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