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流せ、綴れ、情愛
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甦った怪自然は、積年の恨みを晴らすべく人間に襲いかかった。シュラプルの住人は、武器を手に取り、怪自然と戦ったが、これまで聖なる箱に頼ってきた手前、その敵に関する造詣や戦闘経験は皆無であった。それでも奮闘を続けたものの、斬っても刺してもまるで手応えがない。彼らは、怪自然が不死である事を失念しており、無策にも奮闘を続けた結果、やがて次々と倒れていく始末であった。圧倒的な劣勢に追い込まれ、さらには廻仔ですら苦戦を強いられ、遂には観念する者まで現れた。
「おお、神よ!!これが悪行の報いなのですか!!」ポワソンは、怪自然を殴りつけつつも神頼みした。
「弱気になってんじゃないよ!!こんな時こそ根性を見せつけんだよ!!」クレアは、怪自然を次々と斬り伏せていったが、不死の敵は即座に起き上がるばかりであった。
「おかしい…!これらは、なぜ俺にまで牙を剥くのだ!?」オッド=アインは、苔生す槍で怪自然と戦っていたが、父であるはずの自然に憎悪を向けられていると思い込み、ひどく狼狽しているようだった。
アンデスは、倒された住人の使っていた剣を拝借し、不慣れながらも戦う最中、怪自然についての考察を深め、遂には一つの結論に至ると、皆にこう伝えた。
「これらの自然は、ただ操られているだけですね…!恐らくは、上空に浮かぶ憎悪思念体ですか、あれを何とかしなければ倒す事はできません…!聖なる箱に封じられた自然は、箱の中で一生を遂げており、それ故に不死なのです…!ならば、それらを操る存在である思念体を倒さなければ怪自然を止める事はできないでしょう…!」
それを聞いた住人は、上空に浮かぶ憎悪思念体に向かって剣や槍を投げつけたが、思念に実体があるはずもなく、ことごとく空を切るばかりであった。いかなる達人であろうと、思念体に傷一つ負わせる事はできないのである。そこでエシレウスは決意した。思念には思念をぶつけてやろうと思い立ったのだ。不幸中の幸い、彼もまた、現世に留まる思念の霊なのである。怪自然を一通り蹴散らし、一時的に淘汰してみせると、皆に向かって声を張り上げた。
「ここは、この神速のエシレウスが引き受けた!!全身全霊を懸け、あの憎悪もろとも天へ還ってみせようぞ!!」
そして、エシレウスの魂は、天へと駆け上がった。その白光りする霊魂は、タフの肉体を抜け出ると、天上の憎悪思念体に向かって駆け上がった。意識なく横たわるタフには目もくれず、無我夢中で駆け上がった。彼は、シュラプルを守るためにその身を投げ打ち、己の存在を賭して戦う事をためらわなかった。そんな尊い精神を前に、皆は脱帽した。エシレウスは死してもなお愛深く、人類のためなら自己犠牲も厭わないのだ。しかし、いくら愛に満ち満ちていようと、たかが人間の感情には限度があり、募りに募った憎悪の塊である思念体に比べれば、エシレウスの霊魂など蟻のように小さく、その力量差は歴然としていた。憎悪思念体に捨て身の体当たりをかましたものの、まるで通用せず、悪魔の形相は依然として嘲笑を浮かべていたが、それでもエシレウスは諦めなかった。幾度となく体当たりを繰り返し、決死の猛攻撃を加え続けたのだ。その光景を皆は指を咥えて静観しているしかなかったが、ただ一人、クレアだけは激しい闘志を燃え上がらせていた。彼女だけがエシレウスに力添えをする事ができたのだ。
「いいかい、あんたら!!」クレアは、息子らに向かって息巻いた。「あたしがいなくたって、あんたらは十二分に戦えるはずなんだから、これからは堂々と皆を導いていきな!!」
「は…母上!?まさか、また皆のために犠牲になるつもりなのですか!?」ポワソンは、涙声で訴えた。「だったら、今度は僕も戦います!!もう僕は、あの時の僕とは違う!!二度とあなたを見殺しにはしない!!」
「馬鹿言ってんじゃないよ!!」クレアは、ポワソンを叱りつけた。「あんたは生きてんだから、生きて戦いな!!それに、あたしは見殺しにされたなんて思っちゃいないさ!!むしろ本望のままに死ねた事を喜んでるくらいだよ!!だって、あたしが命懸けで守ろうとした皆が無事でいてくれているばかりか、新たな故郷の礎となってくれてるんだからね!!」
「しかし、あの思念体に勝つ算段があるとは到底思えません…!」アンデスは母を見くびった。
「たとえどんなに儚い希望だろうと、それを胸に抱き続ける限りは、やってみせるんだよ!!見てな、自然にも勝る人間の力を!!」
クレアは、メルヘンの肉体から抜け出ると、天へ昇っていき、エシレウスと共に憎悪思念体に対する体当たりを繰り返したが、やはりアンデスの危惧していた通り、効き目は極めて薄かった。しかし、足止めにはなっているせいか、ようやく起き上がってきた怪自然の動きが今までにないほど鈍くなっていた。不死である怪自然が淘汰される事はなく、憎悪の感情に操られるままにうごめくその様は、まさしくゾンビであった。ふらふらと立ち尽くす様は、恐怖すら覚えるほどに奇異であった。
「あの時と同じだ…!!五感が俺に危機を告げているようなこの感覚…!もうダメだ…!!」ブブゼラは、怪自然に怖気づき、つい弱音を吐いた。
「まだ終わってはおらん!!将軍やクレアは、まだ戦いをやめてはおらんのだぞ!!」アスレチックは、ブブゼラだけでなく、挫けそうな皆の心を励ました。「不死が何だと言うのだ!!こちらには、何者にも屈せぬ強き魂があるのだぞ!!」
雄叫びを上げ、弱った心を奮い立たせる住人の群れを冷めた目で見ていたオッド=アインは、「なんにせよ、このまま事が進めば、まもなくシュラプルは自然に帰るだろう…」と呟くと、怪自然に背を向け、この場からの逃亡を図った。
「あっ、逃げやがったぞ!!」ブブゼラは、颯爽と走り去っていくオッド=アインに気付くと、その背中を指差し、皆に伝えようと叫んだ。
聖なる箱を壊し、この危機を招いた張本人を逃がしてなるものか。住人は、故郷の仇敵でもあるオッド=アインを捕えるべく、躍起になって追いかけようと試みた矢先、「あの男は、放っておいてください!!」と珍しくアンデスが大声を出したので、つい立ち止まってしまった。それから、ふいに語り出したので、その言葉に耳を傾けた。
「今は私怨よりも、シュラプルを死守する事だけを考えてください。しかし、敵は不死の怪自然と、それらを操りし憎悪思念体、今のままではシュラプルに勝ち目はありません。我々は無策ではありますが、それでも今は戦わなければ、かつてのような繁栄をシュラプルにもたらす事はできません。だから、ただ戦ってください。お願いします」
その口下手ぶりにポワソンは、ふっと薄笑いを浮かべると、「飾り気のない言葉では、人々の士気を上げる事は難しいというのに…。あいかわらず、舌足らずな兄だ。だけど、いつも通りでよかったのさ。ただ、いつも通りで…」
「俺は……」ブブゼラは、言いかけたと同時に口ごもりかけたが、勇気を振り絞ると「兄上たちに謝らないといけなかったんだ…。自分一人が強くなったってシュラプルが強くなるわけじゃないのに…。皆で力を合わせて強くなっていかないといけなかったのに…。なのに、いつまでも意地ばかり張って、兄上たちを拒んで……どうしようもないヤツだよ、俺は」
アンデスもまた、勇気をもって弟たちに口を利いてみせた。「わかっています。皆、一歩踏み出す事を恐れていたのです。しかし、長兄である自分の不徳の致す所です。気持ちや考えを皆に伝えずにいた、自分が悪かったのです」
エラクレス三兄弟は、顔を見合わせると、うんと小さく頷いた。その表情には、わずかばかりの陰りもなく、ただ喜色に染まっていた。
あっぱれ、万歳。そんな悦喜の声が住人から飛び出すと、今にも怪自然が皆に襲いかかろうとしているのにもかかわらず、アスレチックは感涙を浮かべて喜んだ。シフォンもまた、満面の笑みをたたえていた。そんな妹を見て、トロンは心なしか胸が熱くなった。これまでの苦労が報われた気がしたのだ。ようやく三兄弟を隔てていたわだかまりが消え、シュラプルは新たな歴史を刻み始める準備を整えた。しかし、シュラプルの門出を妨害するどころか破滅させようと目論み、人目をはばからずにあざ笑う者がいる。その悪魔の嘲笑を滅ぼさない限りは、シュラプルの再興は臨めない。だからこそ、仲間のため、故郷のため、彼らは紅き血を流し、最後まで戦う決意をした。たとえ不死を相手取ろうとも、一致団結を成し遂げたシュラプルに死角はない。それほどまでに皆の士気が高まっていたのだ。そんな時、憎悪思念体の周囲を駆け巡る霊魂の一つから声が響いてきた。それはタフのものではなく、トロンにとっては誰とも知れぬ初老の声ではあったが、感覚的にエシレウスの肉声だと悟る事は容易であった。
「希望とは、人類の教本だ。確かに、一人一人の希望は薄っぺらいかもしれない。だが、皆の力を結集させれば、本のように分厚い希望となり、やがては紅き文字が綴られる。それこそが愛。愛の在りし姿なのだ」
「おお、神よ!!これが悪行の報いなのですか!!」ポワソンは、怪自然を殴りつけつつも神頼みした。
「弱気になってんじゃないよ!!こんな時こそ根性を見せつけんだよ!!」クレアは、怪自然を次々と斬り伏せていったが、不死の敵は即座に起き上がるばかりであった。
「おかしい…!これらは、なぜ俺にまで牙を剥くのだ!?」オッド=アインは、苔生す槍で怪自然と戦っていたが、父であるはずの自然に憎悪を向けられていると思い込み、ひどく狼狽しているようだった。
アンデスは、倒された住人の使っていた剣を拝借し、不慣れながらも戦う最中、怪自然についての考察を深め、遂には一つの結論に至ると、皆にこう伝えた。
「これらの自然は、ただ操られているだけですね…!恐らくは、上空に浮かぶ憎悪思念体ですか、あれを何とかしなければ倒す事はできません…!聖なる箱に封じられた自然は、箱の中で一生を遂げており、それ故に不死なのです…!ならば、それらを操る存在である思念体を倒さなければ怪自然を止める事はできないでしょう…!」
それを聞いた住人は、上空に浮かぶ憎悪思念体に向かって剣や槍を投げつけたが、思念に実体があるはずもなく、ことごとく空を切るばかりであった。いかなる達人であろうと、思念体に傷一つ負わせる事はできないのである。そこでエシレウスは決意した。思念には思念をぶつけてやろうと思い立ったのだ。不幸中の幸い、彼もまた、現世に留まる思念の霊なのである。怪自然を一通り蹴散らし、一時的に淘汰してみせると、皆に向かって声を張り上げた。
「ここは、この神速のエシレウスが引き受けた!!全身全霊を懸け、あの憎悪もろとも天へ還ってみせようぞ!!」
そして、エシレウスの魂は、天へと駆け上がった。その白光りする霊魂は、タフの肉体を抜け出ると、天上の憎悪思念体に向かって駆け上がった。意識なく横たわるタフには目もくれず、無我夢中で駆け上がった。彼は、シュラプルを守るためにその身を投げ打ち、己の存在を賭して戦う事をためらわなかった。そんな尊い精神を前に、皆は脱帽した。エシレウスは死してもなお愛深く、人類のためなら自己犠牲も厭わないのだ。しかし、いくら愛に満ち満ちていようと、たかが人間の感情には限度があり、募りに募った憎悪の塊である思念体に比べれば、エシレウスの霊魂など蟻のように小さく、その力量差は歴然としていた。憎悪思念体に捨て身の体当たりをかましたものの、まるで通用せず、悪魔の形相は依然として嘲笑を浮かべていたが、それでもエシレウスは諦めなかった。幾度となく体当たりを繰り返し、決死の猛攻撃を加え続けたのだ。その光景を皆は指を咥えて静観しているしかなかったが、ただ一人、クレアだけは激しい闘志を燃え上がらせていた。彼女だけがエシレウスに力添えをする事ができたのだ。
「いいかい、あんたら!!」クレアは、息子らに向かって息巻いた。「あたしがいなくたって、あんたらは十二分に戦えるはずなんだから、これからは堂々と皆を導いていきな!!」
「は…母上!?まさか、また皆のために犠牲になるつもりなのですか!?」ポワソンは、涙声で訴えた。「だったら、今度は僕も戦います!!もう僕は、あの時の僕とは違う!!二度とあなたを見殺しにはしない!!」
「馬鹿言ってんじゃないよ!!」クレアは、ポワソンを叱りつけた。「あんたは生きてんだから、生きて戦いな!!それに、あたしは見殺しにされたなんて思っちゃいないさ!!むしろ本望のままに死ねた事を喜んでるくらいだよ!!だって、あたしが命懸けで守ろうとした皆が無事でいてくれているばかりか、新たな故郷の礎となってくれてるんだからね!!」
「しかし、あの思念体に勝つ算段があるとは到底思えません…!」アンデスは母を見くびった。
「たとえどんなに儚い希望だろうと、それを胸に抱き続ける限りは、やってみせるんだよ!!見てな、自然にも勝る人間の力を!!」
クレアは、メルヘンの肉体から抜け出ると、天へ昇っていき、エシレウスと共に憎悪思念体に対する体当たりを繰り返したが、やはりアンデスの危惧していた通り、効き目は極めて薄かった。しかし、足止めにはなっているせいか、ようやく起き上がってきた怪自然の動きが今までにないほど鈍くなっていた。不死である怪自然が淘汰される事はなく、憎悪の感情に操られるままにうごめくその様は、まさしくゾンビであった。ふらふらと立ち尽くす様は、恐怖すら覚えるほどに奇異であった。
「あの時と同じだ…!!五感が俺に危機を告げているようなこの感覚…!もうダメだ…!!」ブブゼラは、怪自然に怖気づき、つい弱音を吐いた。
「まだ終わってはおらん!!将軍やクレアは、まだ戦いをやめてはおらんのだぞ!!」アスレチックは、ブブゼラだけでなく、挫けそうな皆の心を励ました。「不死が何だと言うのだ!!こちらには、何者にも屈せぬ強き魂があるのだぞ!!」
雄叫びを上げ、弱った心を奮い立たせる住人の群れを冷めた目で見ていたオッド=アインは、「なんにせよ、このまま事が進めば、まもなくシュラプルは自然に帰るだろう…」と呟くと、怪自然に背を向け、この場からの逃亡を図った。
「あっ、逃げやがったぞ!!」ブブゼラは、颯爽と走り去っていくオッド=アインに気付くと、その背中を指差し、皆に伝えようと叫んだ。
聖なる箱を壊し、この危機を招いた張本人を逃がしてなるものか。住人は、故郷の仇敵でもあるオッド=アインを捕えるべく、躍起になって追いかけようと試みた矢先、「あの男は、放っておいてください!!」と珍しくアンデスが大声を出したので、つい立ち止まってしまった。それから、ふいに語り出したので、その言葉に耳を傾けた。
「今は私怨よりも、シュラプルを死守する事だけを考えてください。しかし、敵は不死の怪自然と、それらを操りし憎悪思念体、今のままではシュラプルに勝ち目はありません。我々は無策ではありますが、それでも今は戦わなければ、かつてのような繁栄をシュラプルにもたらす事はできません。だから、ただ戦ってください。お願いします」
その口下手ぶりにポワソンは、ふっと薄笑いを浮かべると、「飾り気のない言葉では、人々の士気を上げる事は難しいというのに…。あいかわらず、舌足らずな兄だ。だけど、いつも通りでよかったのさ。ただ、いつも通りで…」
「俺は……」ブブゼラは、言いかけたと同時に口ごもりかけたが、勇気を振り絞ると「兄上たちに謝らないといけなかったんだ…。自分一人が強くなったってシュラプルが強くなるわけじゃないのに…。皆で力を合わせて強くなっていかないといけなかったのに…。なのに、いつまでも意地ばかり張って、兄上たちを拒んで……どうしようもないヤツだよ、俺は」
アンデスもまた、勇気をもって弟たちに口を利いてみせた。「わかっています。皆、一歩踏み出す事を恐れていたのです。しかし、長兄である自分の不徳の致す所です。気持ちや考えを皆に伝えずにいた、自分が悪かったのです」
エラクレス三兄弟は、顔を見合わせると、うんと小さく頷いた。その表情には、わずかばかりの陰りもなく、ただ喜色に染まっていた。
あっぱれ、万歳。そんな悦喜の声が住人から飛び出すと、今にも怪自然が皆に襲いかかろうとしているのにもかかわらず、アスレチックは感涙を浮かべて喜んだ。シフォンもまた、満面の笑みをたたえていた。そんな妹を見て、トロンは心なしか胸が熱くなった。これまでの苦労が報われた気がしたのだ。ようやく三兄弟を隔てていたわだかまりが消え、シュラプルは新たな歴史を刻み始める準備を整えた。しかし、シュラプルの門出を妨害するどころか破滅させようと目論み、人目をはばからずにあざ笑う者がいる。その悪魔の嘲笑を滅ぼさない限りは、シュラプルの再興は臨めない。だからこそ、仲間のため、故郷のため、彼らは紅き血を流し、最後まで戦う決意をした。たとえ不死を相手取ろうとも、一致団結を成し遂げたシュラプルに死角はない。それほどまでに皆の士気が高まっていたのだ。そんな時、憎悪思念体の周囲を駆け巡る霊魂の一つから声が響いてきた。それはタフのものではなく、トロンにとっては誰とも知れぬ初老の声ではあったが、感覚的にエシレウスの肉声だと悟る事は容易であった。
「希望とは、人類の教本だ。確かに、一人一人の希望は薄っぺらいかもしれない。だが、皆の力を結集させれば、本のように分厚い希望となり、やがては紅き文字が綴られる。それこそが愛。愛の在りし姿なのだ」
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