赤獣の女王

しろくじちゅう

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十七章 エデンの園

107、乱り足で広場に

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 IDと入れ替わるようにして、ミキキが、みだり足で広場に現れて、ようやくノノバラに追いつくと、その傍らで荒れた息を整えようと懸命になった。肩息が収まってから、ノノバラに向かって弱々しい語勢で文句を言った。
「もう、ノノバラさん…。わたしを置いて行かないでください。ここに来るまでの間、生きた心地がしませんでした」
「IDから貰った」ノノバラは、IDに持たされた三つの聖碑石をミキキに手渡した。「誰にも渡したりするなよ。きちんとお前が抱えてろ」
ミキキは、きょとんとしたけれど、すぐに気を引き締めた。「はい!きちんとわたしが管理します!誰にも渡したりしません!」
 ノノバラは、ミキキに頷いてから、ヴァレエタインに進み出て、いくつかの質問を重ねた。
「お前は、僕の父親を知っているのか?」
「もちろんです。何を隠そう、幽体離脱装置を設計したのは、君の父であるシンラなのですから。私は、その研究成果を引き継ぎ、形にしたに過ぎません。シンラ・メデロ氏は、抜きんでて優れた科学者でした。打倒ルージュを掲げ、そのための研究に心血を注いでいました。私はね、そんな彼に憧れを抱いているのです。心から尊敬しているのですよ。死して私に取り憑いた今でもね」
「じゃあ、僕たちが聖碑石を触れ合わせたあの時、カノンと一緒に現れた男が、僕の父親だったってのか!?」
「ええ。君はカノンばかりに気を取られていましたから、実に寂しい思いをしたと思いますよ。いくら触れ合う機会が少なかったとはいえ、我が子を想うのが父親のさがというものです。シンラ、もといメデロ夫妻は、幼い我が子に危険が及ばぬよう、あえて自分たちから遠ざけていたのです」
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