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十五章 絶滅願望
98、雨曇りの下をつつがなく
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ノノバラらを乗せたヘリコプターは、雨曇りの下をつつがなく飛行して、シチューリアの街中に着陸した。島の周囲には、水精霊が作り出した渦潮がいくつも渦巻いていて、一切の外敵を寄せ付けないというのに、またしても沈黙を貫いていた事を、ノノバラは不思議に思った。強運が働いているだけなのか、それとも、水精霊の母たるIDの思惑によるものなのか、いくら考えても不毛であったため、この場は単なる強運として割り切っておき、これから起こるであろう襲撃に集中する事にした。天上に広がる黒雲は、霊感によって脳裏に浮かんだ光景にも見られたため、雨が降りしきる頃には、敵襲があるだろうから。
皆は、ヘリコプターを降機して、街の一画に繰り出した矢先、アナウンシアと鉢合わせになった。彼女は、時計台での次第を既にユウカリから聞いているようで、そのせいか、やたらと意気込んだような凛々しい表情をしていた。いよいよ満を持して戦いに臨む事ができるから、対女王戦陣の真価を遺憾なく発揮して、水精霊を退治してみせる所存であった。約束の地にはびこる水精霊の動向は、チマリが見張っているので、襲撃の兆しが認められれば、すぐに知らせてくれる。だから、シシタとメロウには、それまで待機しているよう命じた。
そんなアナウンシアに、ミキキは、街の人々を守るために対女王戦陣の力を貸してほしいと頼んだ。水精霊が大挙して押し寄せる前に人々を避難させたいと主張して、頭を下げてまで頼み込んだ。ところが、アナウンシアは、芳しくない表情でもって応え、そっけなく断った。対女王戦陣は、あくまでも水精霊の討伐、ひいてはIDの打倒を掲げており、それらが何よりも優先されるべきだと主張した。人命を顧みないアナウンシアの姿勢に、ミキキは、雷に打たれたように驚愕し、ただちに改めさせようと躍起になって説得を開始した。力ある者に課せられた責務として、弱者に対して誠意をもって尽くす事を懸命に説いてみせたものの、それでもアナウンシアは、断固として揺るがなかった。この世界から水精霊を絶滅させるためには、その生みの親であるIDを討ち取るのが最も手っ取り早く、そのためには犠牲を厭わないとまで言い切った。
皆は、ヘリコプターを降機して、街の一画に繰り出した矢先、アナウンシアと鉢合わせになった。彼女は、時計台での次第を既にユウカリから聞いているようで、そのせいか、やたらと意気込んだような凛々しい表情をしていた。いよいよ満を持して戦いに臨む事ができるから、対女王戦陣の真価を遺憾なく発揮して、水精霊を退治してみせる所存であった。約束の地にはびこる水精霊の動向は、チマリが見張っているので、襲撃の兆しが認められれば、すぐに知らせてくれる。だから、シシタとメロウには、それまで待機しているよう命じた。
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