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おまけ1 後編

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「待っ、待って……んぅ」
 最初は少し抵抗を感じたものの、オーウェンのペニスがガチガチだったお陰か、それとも柔らかく解してくれていたからか、先端さえ飲み込んでしまえばあとは楽だった。グチュン、と入口の窄まりを抜けて、ヌプヌプと中を進む。ペニスはオーウェンのまだ成長途中の体に見合った大きさだが、物足りないということはない。まだ初心者の俺にはピッタリの太さと長さだ。というか、むしろ……。
「っ!? ぅそ、な、に、これっ!?」
 前技でトロトロになった後孔を、オーウェンのペニスでグチャグチャに突かれる。その度に溢れる快感。とめどなく沸き起こる際限のない肉の喜びに、体が大きく跳ね上がる。なんだよこれ、信じられない。
 オーウェンがこういうこと初めてだからきっとモタつくって言ったやつ誰だ!? 俺だよ! この嘘つき! 全っぜん違うんだけど!? もたつくどころかオーウェンのやつ、的確に俺の感じる所を刺激してきやがる! ペニスで擦り上げる場所も、強さも、断続的な間隔も、全て完璧。非の打ち所がない。
 あまりの気持ちよさに、俺は悶えてシーツを掴む。そして、喘ぎながらも、途切れ途切れに言葉を紡いだ。
「オー、ウェ……まっ、まって、ょ、すぎ、ぃ」
「ん……俺も、気持ちぃ」
 肉と肉がぶつかり合う音。肌に指が埋まる感覚。ありありと感じるオーウェンの熱っぽい視線。そのどれもこれもから有り得ない程快感を拾い上げる。最早余裕などどこにもない。ただ、オーウェンに与えられるものだけが俺の世界の全てになる。
「あっ、んゃ、はぅ……!」
「はぁ、サリー、凄い。サリーの中、熱くて、柔らかくて、俺のペニスにキュウキュウ吸い付いてくる。最高だ」
 グッと強く腰を押し付けられた。差し込まれる角度が深くなり、オーウェンのペニスが俺のいいところをゴリィッと深く抉る。そんな事をされたら堪らない。強制的に高められた。
「あぁっ! オー、ウェン……」
 駄目だ。こんなことしてる場合じゃない。まずオーウェンの誤解をとかないと。俺の気持ちがしっかりオーウェンに向いていないなんて、そんな勘違いされたまま抱かれたくなんかない。なのに、貪欲な俺の体はとめどない快楽の波に溺れていって、理性を手放してしまう。
「ふあ、ぅ、んんっ」
 体が熱い。目に涙が浮かんで視界がボヤボヤする。それでもオーウェンの顔は視界に入れて外さない。シーツを掴んでいた手を離し、オーウェンの方に手を伸ばす。最初、触れようとした彼の顔には掠りもしなかったけれど、オーウェンは目敏く俺の動きを察して、腰を掴んでいた片手を離し指を絡めてくれた。その事に胸の内がフワッと暖かくなる。
「サリー、俺、もう……」
 オーウェンがハァ、と熱い息を吐く。俺の中でペニスが大きくなった。ピストンのスピードが速くなる。とんでもなく気持ちがいい。次々押し寄せる快感に、頭が芯から蕩けてしまう。ああ、もう限界。
「あっ、あぁ!」
「くっ──っ!」
 オーウェンがより一層強く腰を打ちつけ、俺の体を深く穿つ。それによって全身を衝撃と快感がビリビリと駆け抜けた。体の隅々まで染み渡り、細胞1つ1つを蹂躙していくかのような、その感覚。俺は反射で中に埋め込まれた熱塊をキュウッと締め付けてしまう。それに耐えかねてか、オーウェンのペニスが膨張したかと思うと、ビクビクと断続的に痙攣して俺の体内に熱を放った。
 ヤバ、腹ん中、熱……。オーウェンの奴、どんだけ出したんだ。滅茶苦茶奥まで熱を感じるぞ。ああ、俺、とうとうオーウェンの童貞食べちゃったよ。いや、この場合は俺の方が処女を食べられたと言った方がいいのか? ……そんなの、どっちでもいいな。我ながらこれは穏やかな現実逃避だな、うん。
 そんなことをなんやかや考えていると、オーウェンが俺の中から自身を引き抜いた。俺の中を満たしていたものが無くなる喪失感に、ブルリと背筋が震える。そのことを少し名残惜しく思ってしまったのは、恥ずかしいので内緒だ。
 担がれていた足が下ろされてある程度体の自由がきくようになったので、片肘をついて上体を起こす。うわぁ、俺の腹の上大惨事じゃねぇか。自分の出した精液で汚れてドロッドロ。溜め込んでたわけでもないのに、こりゃさっき中に沢山出したオーウェンのことを笑えんぞ。嫌よ嫌よも好きのうちというが、これじゃぁなんだかんだ喜んでたのがバレバレだ。我ながら業が深い。
 と、そうして俺が思考をめぐらせていた時。ふと、俺はオーウェンがさっきから少しも動かないことに気がつく。おや、と思って開いた足の間にいるオーウェンの姿を見ると、彼はガックリ肩を落とし、旋毛がこちらに見えるほど項垂れている。どうしたのだろうか? あまり調子が良くなさそうだが……。
 不思議に思って旋毛を見ていると、不意に亜麻色の髪の間から、薄明かりの中キラリと光る何かが落ちる。それはシーツに当たってパタッと軽い音を立て、直ぐに染みになって消えた。えっ、嘘、それって……!
「ちょっ、オーウェン!? なんで泣いてるんだ!?」
 あまりの驚きに事後の気だるさも忘れ、ガバッと体勢を変えて慌ててオーウェンの前に跪く。恐る恐る両手でオーウェンの顔を掬いあげると、そこにはハラハラと後から後からとめどなく涙を流す美しい一対の瞳が。マジでなんで? その美しさに見惚れそうになると同時に、絶望感と焦燥感でキュッと心臓が縮こまった。
 まずいぞ、初めて体の関係を持った時と同じ流れだ。これ、きっと何か勘違いをして擦れ違いが起きてるよな?
「どこか痛いのか? それとも気持ち悪い? あ、最中に俺が嫌がってたのが駄目だったか?」
 無言で涙を零すオーウェンを前に、俺はワタワタと狼狽えることしかできない。慌ててオーウェンの頭を引き寄せ指で目元を拭ったが、拭うそばから涙はどんどん零れていく。とうとう顔を歪めて、しゃくり上げ始める始末だ。どうしようもない無力感に苛まれながら、俺はなんとかオーウェンを泣き止ませようとする。
「そ、そうだ! 水! 水飲んだら少しは落ち着くよ! 多分! 今持ってくるから!」
「グスッ……いらない」
「じゃあ、いったん横になろう! 横になったら気分も鎮まる筈さ!」
「それも、いい」
「それなら……俺が、子守唄を歌ってみたりなんかしちゃったりして!」
「なんの意味があるの、それ?」
 にべもなし! 万事休す! パニクッた頭に浮かぶ解決策は全て却下されてしまった! もう俺には打つ手がない。どうしようもなくなって、情けない気持ちになりながらもただひたすらに溢れるオーウェンの涙を拭い続ける。
「オーウェン。どうして泣いているのか、それだけでも教えてくれないか? いや、俺のせいってことは何となく分かってるんだが、情けないことに見当がつかなくて。でも、あなたに泣かれるのはとても辛いから、泣き止んでくれるのなら俺は何でもできるよ」
 俺はとうとう白旗を上げて、直接オーウェンに泣いている理由を聞くことにした。最中に彼を泣かせた上にその理由を分かっていないなんて幻滅されること間違いなしだが、そんなことよりも今はオーウェンを泣き止ませることの方が大事だと判断したのである。
「……あなたの、せいじゃない……」
「え、でも、それならどうして?」
「全部、俺が不甲斐ないのが悪いんだ」
「……?」
 どういうことだ? オーウェンが悪い? いやいやいや、さっきまでのオーウェンの行動のどこに、泣いてしまう程の不甲斐なさがあったというのか。全く理解できない。困惑する俺を前に、オーウェンが彼の顔を包み込んでいた俺の両手をやんわりと外し、俯く。とうとう泣き顔を見せてもくれなくなったか、と密かにショックを受ける俺の前で、オーウェンはポツリ、ポツリ、とそのまま話し始めた。
「俺が15歳になるまで本番はなしって約束だったから、サリーとの初めてについて、その時を待っている間に考える時間だけは沢山あった。だから俺は、初めてがサリーにとって最っ高の思い出になるように、できる限り頑張ろうと思ってて……。いつもと違って今度は俺がサリーを存分に甘やかしてあげようとか、サリーが恥も外聞もなくなって何度も強請ってくるくらい良くしてあげようとか。そんなことばかり考えていたんだ」
「そ、そうなんだね」
 いかにもオトシゴロの男が考えそうなことである。夢いっぱい、妄想いっぱい、って感じ。いや、別に非難している訳じゃないよ? けど、凄い、なんというか、ちょっと落ち着きなさいって思います。
 そんな俺の心中なぞいざ知らず。オーウェンはグスグスしながら言葉を続ける。
「なのに、結果はどうだ? サリーのこと好き勝手揺さぶったし、嫌がってるのに腰止められないし、我慢できなくて中出ししちゃうし……。もう散々だ。昔呪いをかけられていた時の方が、まだ理性的だったよ。こんなことしたい訳じゃなかった。この夜を2人にとって、最高の思い出にしたかったのに。それなのに……」
 また、オーウェンが涙を零す。もうここまで溢れてしまえば、俺がいくら拭っても意味が無いだろう。それでもオーウェンが悲しんでいるのを呆然と見ているだけなのは嫌で、彼の両肩に手を置いた。
「オーウェン……」
「もう、最悪だ。サリーには無理を強いてしまうなんて、俺はなんてことをしてしまったんだろう。しかも、上手くいかなくて涙は出てくるし。ハハッ、これじゃあサリーに愛想をつかされる日も近いな」
「そんな、俺がオーウェンに愛想をつかすなんて、そんなこと絶対にないよ」
「今は良くても、いつか限界が来るよ」
「でも、正直さっきのそんなに悪くなかったよ。むしろ結構良かったし」
「……ありがとう、サリー。こんな時まで俺に気を使ってくれているんだね。ハァー……俺もサリーみたいに大人っぽく余裕を持って振る舞えたら良かったのに……」
 駄目だ。滅茶苦茶落ち込みまくってる。フォローしても全然信じて貰えそうにない。この様子だと、俺が何言ってもネガティブな方向に変換されてしまうことだろう。なにか、なにか挽回できるようなことは……。
 後から思えばその時の俺は、目の前でオーウェンに泣き出されてしまって、相当混乱していたのだと思う。兎に角オーウェンを泣き止ませたくて、俺の愛と思いの丈を信じてもらいたくて、ただその一心だった。だから、普段なら絶対しない、あんなトチ狂ったことをしてしまったのだろう。
 まだしゃくりあげているオーウェンに近づく。立てられた彼の膝に、優しくソッと触れた。そのまま指先で脛骨を辿るように撫で下ろす。そして下腿を半分程行ったところで、指を横にスライドさせて合わせられた足の隙間に滑り込ませた。相手に反応の隙も与えぬまま、内腿に滑らせた手で割開くようにしてオーウェンに足を開かせる。
「サ、サリー? 何を」
「いいから。俺に任せて」
 驚いてバランスを崩したのかオーウェンが後ろ手を着いたのをいいことに、その分だけ体を乗り出して距離を縮めた。シーツに手を付き、体を落とし顔を下げ、そして……。
「サリー!? 本当に何をして、っ!」
 視線の先、手の中に包み込んだオーウェンのペニスがピクリと動く。俺の熱い吐息がかかって敏感に反応したのだ。こんな時だってのに愛しさがつのり、矢も盾も堪らず俺は大口を開けてオーウェンのペニスを口に含む。
「あっ、あっ、嘘、そんな、あぁ……」
 ペニスをネットリと口内で舐め上げると、オーウェンの息が上がり、呼吸が乱れる。引き剥がそうとでもするかのように、髪に指を差し込まれた。栄養不良で歳の割に小さかった体も、今では十分大きく成長していて、そのことを頭に添えられた手の大きさでありありと実感する。それは口に含んだペニスも同じことで、いつかの日に口淫した時と比べようもない程熱くて固くて大きい。他にも、舌に感じる青臭い雄の味や、鼻に抜ける独特の匂い、頭上から聞こえてくる声変わりが済んだばかりの男らしい低い喘ぎ声など、様々なことがオーウェンが成熟した男なのだということを俺に知らしめてくる。
 オーウェンはあの日以来初めての口淫に驚いたのか、恥ずかしいのか、どうにかこうにか止めさせようと俺の頭を押しやろうとしてきた。それに対抗する為、俺は益々甘苦しくペニスを舐め、吸い上げる。忽ちペニスは固さを増し、頭上では色っぽく蕩けた呻き声が盛れた。俺の頭を遠ざけようとしていた手は、いつしかもっともっとと続きを強請るように縋るものへと変わる。
「くぅ、ん、サリー……はぁ、ど、して」
「ん、プハッ。オーウェン……俺だって、あなたの兄貴になりたい訳じゃないんだよ」
 一時的にペニスから口を離し、グチグチと鈴口を指先で虐めながら答えた。舌を出して竿を舐め上げると、オーウェンが快感から抑えた悲鳴を上げる。俺はその事に堪らなく興奮させられた。
 口淫を続けながら片手で陰嚢を弄り、同時に空いたもう片方の手をソロリと自分の下半身へと伸ばす。ユックリと指を後孔に差し込み、まだ先程の淫行の影響で敏感な肉を掻き分けながら、中に残る熱を馴染ませるようにして指を掻き回した。
「は、ぁ……」
 鎮まりかけていた快感が、再び体の中で強くなる。抜き差しする指がいい所を掠めるのが気持ちがいい。夢中になって指を動かす。
「ゃ、駄目、サリー……出ちゃう、出ちゃうから! 本当に、1回止めて!」
 頭の上でオーウェンが切羽詰まった声を上げる。別に以前と同じようにこのまま強引に責め立てても良かったのだが、そんなことすればきっとまた泣かせてしまう。そうなったら本末転倒だ。頭を押されるまま、チュポン、と音を立ててゆっくりペニスから口を離す。離れ際についつい先端を舐めてしまって、オーウェンに涙目で睨まれたのはご愛嬌だ。
「ふぅ、どう、オーウェン。気持ちよかった?」
「サリー、どうして、こんなこと」
「ねえ、オーウェン。見てよこれ」
 言いながら俺は、軽く股を開いたオーウェンの足の上に立ち膝になって跨る。そうして彼の首に腕を搦め、最近厚みが増してきた体にスリッ、と立ち上がり先走りでテラテラと光る自分のペニスを擦り付けた。オーウェンは間近に迫った俺のペニスを見下ろす。彼の体温が、僅かに上がったのを肌で感じた。自分で自分のペニスを緩く抜きつつ、先端を薄ら割れた腹筋に擦り付け、話を続ける。
「ほら、分かるでしょう、オーウェン。あなたのペニスを口に突っ込んで、後ろを弄るだけで俺はこんなにも興奮するようになったんだよ。正しく男に抱かれる為の体だ。俺をこんな体にしたのは誰だと思う?」
「……俺?」
「そうだよ、オーウェン。俺はあなたが相手だからこんなはしたない体に開発されることも受けいれたし、あなたのペニスだから口で慰めてあげたいと思うんだ。勿論、突っ込まれて中出しされて興奮する相手もあなただけ。ただ弟のように思っているだけの相手に、ここまでさせると思う?」
「でも、サリー、さっき嫌がってたし」
「それは、オーウェンが俺の気持ちを疑ったままだったから。誤解を解いてから挑みたいな、なんて思ってたからだよ。まあ、オーウェンに抱かれるのが気持ちよ過ぎてそんな拘り全部吹っ飛んじゃったけど。あ、待って。謝るのはなし。快感に負けて強く言いきれなかった俺にも非はあるよ。悪いと思ってるのなら、もう1回俺の事抱いて。仕切り直そう。それともまさか、たった1回で打ち止めなんて意地悪言わないよね?」
 ゆっくりとオーウェンを後ろに押し倒す。オーウェンはされるがまま体を倒し、肘を着いて俺を見上げる。薄ら開いた唇が扇情的だ。俺の目を見つめるその眼差しには熱が灯っている。緩慢な動きで彼に跨る俺の足に這わされた指の、なんて蠱惑的なことか。その1つ1つを確かめ、俺は恍惚とオーウェンを見下ろした。
「愛してるよ、オーウェン。あなたは俺だけの男で、俺はあなただけの男だ。俺の事、滅茶苦茶にして?」
「サリー……ん、あぁっ!」
 立ち上がったオーウェンのペニスに手を添え、グッと腰を落とす。先程の交わりで柔らかく綻んだそこは、簡単にオーウェンのペニスの侵入を許した。腰から這い上がる素晴らしい快感を、喉を逸らして受け入れる。
「あ、はぁ……サリー……!」
「オーウェン、動いて……。んぅ、そう、その調子……」
 オーウェンが腰を律動させ始めた。最初は様子を伺うように恐る恐る。そのうち快感の虜になって徐々に大胆に。夢中になって腰を振るう。
 俺は膝立ちで跨っているだけで上に座り込んでいるわけではないので、オーウェンも腰が動かしやすいようだ。いつの間にか伸ばした手で俺の尻を揉みしだきながら、ズコバコとペニスを突っ込んでくれている。と言っても欲望のまま好き勝手動いてるわけではない。ちゃんと俺も気持ちよくなれるよう、入口の近くや他の俺の感じるところを重点的に刺激してくれていた。もっとオーウェンのことをもっと感じたくて、俺は腰を曲げて前傾姿勢になる。そのままネロリとオーウェンの唇を舐めると、彼は俺の事を誘うかのように口を開けた。遠慮なく噛み付くようにしてその唇へキスをする。
「ひ、ふ、ぅあ、オー、ウェン」
「んんっ、サリー」
 結合部からたつグチュグチュという水音がこの上なくいやらしい。下から突き上げられる快感に頭が蕩けそうだ。意図的に後ろを締め付ければ、応えるように胎内のペニスが膨張する。ああ、なんて愛しい。
「サリー、サリー……愛しい人。俺の全て。あなたのこと、心から愛してるよ」
「ん、俺も……ぁっ、オーウェンのこと、とても愛してる」
 激しい快感に息を荒らげ、小さく喘ぎながら愛を囁きあう。オーウェンの上で、腰が悩ましく動き、跳ねる。肉がぶつかる時、腰を引かれる時、その都度体の奥底で叫びたくなる程の悦楽が生まれ、俺はウットリとそれに浸った。
 そうして唇を合わせながら、2人共だんだんと昂っていく。濫りがましい手付きで俺の尻を揉んでいたオーウェンの手が、腰骨の辺りに置かれた。グチュリ、と中からいくらかペニスが引き抜かれたその喪失感にブルリ、と身体を震わせた、次の瞬間。上から一気に腰を手で押し込むようにして、俺はオーウェンのペニスに刺し貫かれた。
「うっ、あっ、んん──っ!」
「っ、!」
 一際深く、オーウェンのペニスが俺の中に差し込まれる。大きく膨張したそれはゴツゴツと俺の腸壁を啄きながら進み、全部入り切った後は何度か痙攣して熱い精液をタップリ中にぶちまけた。俺はその吐精の感覚にすら感じてしまって、最初の大きな絶頂の後も何度も軽くイってしまう。堪らなく気持ちがいい。
 相変わらず凄まじい量だ。沢山中に注がれて、充足感が凄い。とめどない快感で腰に力が入らないのは気のせいじゃないだろう。身体中隅々まで絶頂の余韻で痺れるようだ。気分が高まっている。衝動に駆られ、息も整わないまま目の前の唇にかぶりつき、夢中になって貪った。
「っ、はぁ。オーウェン、最高だったよ」
「俺も。俺の上で乱れるサリーは滅茶苦茶可愛くて、エロかった」
「それを言ったらオーウェンが最中に俺の事を見つめる目、ギラギラしててとってもカッコよかったよ」
「フフッ、それってカッコイイって言えるの?」
「俺を見つめる目付きがとっても雄臭くて、1人前の男って感じで凄く興奮したんだ」
 吐息のかかる距離で見つめ合い、ウットリと睦言を囁きあう。最中にチュッ、チュッ、とリップ音をたてながらキスを交わすのも忘れない。そうしていると、またムラムラと底なしの性欲が湧いてくるのが若い恋人同士の常。だんだんと繰り出すボディータッチにキスの他にも甘い愛撫が加わり出す。
「あっ、んっ。もう、オーウェンってば。どこ触ってんの」
「サリーだって、この手は何? そんな際どい場所擦られたら堪んないって、同じ男なら分かるでしょ」
「だって、堪んなくなって欲しいんだもの」
「……もう1回、する?」
「勿論。1回と言わず、何度でもしたいな」
 夜は長い。愛し合う時間はタップリある。優しくシーツの上へ押し倒されれば、中に入ったままのオーウェンのペニスが腸壁と擦れて快感が生まれ、思わず喘ぐ。戯れに胸を啄まれればそれだけで息が荒くなり、投げ出した足を下から撫で上げられた。たったそれだけの事に気持ちよさで内腿が痙攣する。
 やられてばっかりは嫌なのと、俺もオーウェンになにか返してやりたい気持ちから、俺の体をジックリと味わっている彼の体に手を伸ばす。夢中になって俺の胸をしゃぶるオーウェンの頭を撫でたり、成長するに従って逞しくなってきた背筋をなぞったり。性的な意味合いを込めて触れるだけで、俺の中のオーウェンは面白いくらいに固さを取り戻す。
「あはっ、オーウェンの、ガッチガチ」
「仕方ないだろ。サリーが色っぽいから、直ぐ元気になるんだ。あっ、もう。サリーってば、また締め付けて。悪戯っ子には、こうしてやる」
「あぅっ、だ、駄目っ、そんな、先端弄られたりしたら……」
「フフッ、サリー、可愛い」
 そのまま2人で情事に耽溺していく。求めれば求めるだけオーウェンから与えられる愛撫も、こちらの手管で快感に彼が眉を顰める様も、全てが愛しい。やがて開始される抽挿で揺さぶられながら、ただ訪れる快感に身を任せた。
 怒張したペニスで胎内を穿ち、射抜かれそうな程鋭く熱を込めた目で見つめ、オーウェンが俺を求めてる。まるで、目の前にいる俺以外何もいらないとでも言うかのように。正しく、生まれた国も、高い地位も、得られるもの全てを捨ててオーウェンが選んだのがこの俺なのだ。それはなんと幸福なことか。
 一生をかけて、命の限り、この愛しい人を幸せにしてみせよう。オーウェンと共に歳を重ね、隣で喜びを分かち合い、どんな困難も手を取り合って乗り越えていく。その権利を俺は勝ち取った。今ではそれこそが俺の生きる意味なのだ。
 いつか、俺が死ぬべき時が来るその日まで。オーウェンの側で、精一杯笑いながら生きていこう。いつか兄さんに笑顔で沢山楽しい土産話ができるようにするのだ。でも、それはまだ先の話。今はただ、目の前のなにより愛しいこの人のことで頭をいっぱいにしようじゃないか。
「ひ、あっ、オー、ウェ……!」
「ハァ、サ、リィ。」
 互いに互いを求め、そして与えながら、夜は更けていく。触れる肌の熱を感じ、背筋を震わせながら、俺達は夢中になって互いに相手を貪るのだった。
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