14 / 26
14
しおりを挟む
「これ切りにするつもりはないって……どういう事……? まさかサリーは、また僕と寝てくれるの……?」
まだ涙の雫が残る目をパチクリと瞬かせ、オーウェン様がマジマジと俺の顔を見つめる。その動きで零れた涙の雫をそっと拭ってやりながら、俺は真剣な声で問いかけに答えた。
「どういうこともなにも、その通りですよ。私はこの1回コッキリではなく、また何度でもオーウェン様と褥を共にしたいと思っている、という意味です。それも、日陰者の愛人として機会を見計らってコソコソとあなたの寝所に忍んで行くことでではなく、あなたの正式な伴侶として堂々と自分に与えられた権利を行使してお会いしていくことによって、です。それだけではありません。私は欲深いので、世の人達と同じように表を手を繋いで歩いたり、一緒のベッドで寝起きしたり、時には軽い喧嘩をしたり、そういうことも沢山あなたとしたいと思っています。私はオーウェン様の全てが欲しいのです。……勿論、オーウェン様にお許しいただけるなら、ですが」
誠意を示す為、オーウェン様の手を持ち上げ、チュッと軽く誠意を込めたキスをする。本当は唇にしたかったのだが、オーウェン様の精を口で受け止めたばかりだったので、流石に遠慮して我慢をした。オーウェン様は俺のその一連の動作にも気がついているのかいないのか。驚愕の二文字を顔面に張りつけて固まっている。やがて、ギシギシと音が立ちそうな程ぎこちない動きで口を動かし、絞り出すように呟く。
「そ、そんな……。あなたとそう言う関係になれるというのなら、僕は諸手を挙げて受け入れるけれど……。それじゃあまるで、恋人みたいじゃないか」
「まるでではなくて、正しく恋人になって下さいとお願い申し上げているのですよ」
俺の答えに今度こそ、オーウェン様は石のように完全に固まってしまった。俺はそんなオーウェン様を無理に急かすことなく、彼が現実を呑み込めるようになるのを大人しく待つ。さっきは本人が許してくれたとはいえ、自制が効かなくてちょっと強引に進めちゃったからな。こういう大事な事こそオーウェン様のペースに合わせてあげるべきだろう。固まったまま俺を凝視し続けるオーウェン様に、ゆっくり言い聞かせるように、分かりやすい言葉を重ねる。
「オーウェン様には、私が自分の気持ちに気がつくのが遅れてしまったせいで、大変なご迷惑をお掛けしてしまいました。このことだけでも十分に、あなたに愛想をつかされても仕方がない事だと思います。それでも、まだ少しでも私に気持ちを残してくださっているのなら、どうかお情けを賜れませんでしょうか? 私は、あなたと一緒に居られる未来が欲しいのです」
あ、オーウェン様動いた。と、思ったらフラッ、とユックリ横に倒れていってしまったので慌てて手を伸ばして受け止める。どうやら現実を受け止めきれずキャパオーバーして一時的に気が遠くなったらしい。
大丈夫かと心配して、引き寄せて頭を抱え顔を覗き込むと、なんだかよく分からない複雑な表情をされてしまう。耐えているような、笑っているような、驚いているような、泣き出しそうな、そんな表情。オーウェンさま、それ、一体どういう感情由来の表情なんですか?
「そんな……信じられない……。こんな、なにもかも僕に都合のいい話……。まさか、夢?」
「紛うことなき現実ですよ。……それとも、夢にしたくなる程、受け入れ難いことでしたか?」
「まさか! むしろその逆だ! あまりにも僕に都合のいいようにことが運ぶものだから、これは夢ではないかと恐れているだけだ!」
勢い込んで熱弁するオーウェン様。良かった。元気になってきたみたいだ。そう思ったのに、オーウェン様は何かにハッと気がついて、またしおしおと落ち込んでいく。どうしたのかと思っていると、オーウェン様は消え入りそうな小さな声で、不安そうに俺に確かめてきた。
「けれど、サリー。あなたは兄上のことを1番に愛しているのでは……? いや、2番でもあなたに愛してもらえるのなら僕に不満はないのだけれど、でも……」
おや。どうやら俺は、気持ちを疑われているらしい。まあ、無理もないか。これまでの俺の行動は、オーウェン様を不安にさせてしまうには十分過ぎる。これから先、沢山誠心誠意尽くして、分かってしまう他あるまい。
あと、2番でもいいなんて嘘だな。誤魔化す時のいつもの癖で、目が泳いでる。伊達に長くオーウェン様のお世話をしていたわけじゃないんだ。上手く隠したつもりでも、俺にはバレバレである。
口ではどれ程聞き分けのいいことを言っても、オーウェン様はまだそこら辺の抑えが効かない子供。きっと、本心では兄さんを押しのけて俺の1番になりたいに違いない。それなのに俺を困らせないようにか、本心を押隠す。こんな見え見えのいじらしい嘘をつく程、俺に嫌われたくないんだな。
「確かに、兄のことは心から愛しています。私が兄のことを忘れる日は、生涯来ないでしょう」
オーウェン様の表情が曇る。必死に顔に出さないようにしようとしているようだが、隠しきれていない。きっと今、彼の心の中では絶望の嵐が吹き荒れているに違いない。そんな心を晴らすべく、俺は言葉を重ねる。
「けれど、それはあくまでも家族に向ける敬愛や親愛の情です。あなたに向ける絡みつくような欲を含んだ愛情とは比べるべきではありません。私が褥を共にしたいと思うのも、御髪1本に至るまで手に入れたいと思うのも、全てあなた1人だけです、オーウェン様。私は兄弟を相手に欲情したりいたしませんので」
「よ、よくっ……!」
俺の直接的な言葉に、オーウェン様はモゴモゴと口篭り目を伏せた。そうされると長い睫毛がよく分かる。照れたせいか頬が色付き、体温も戻ってきた。いい傾向だ。頬に手を添え、指先で肌をなぞる。
今の言葉で俺の気持ちは分かって貰えたと思ったのだが、オーウェン様の目にはまだ躊躇いの揺らぎが。どうしたのかと思い、話しやすくする為安心させるように微笑みかけると、オーウェン様はおずおずと躊躇いがちに口を開く。
「でも、サリー。あなたの気持ちは嬉しいけど、それは到底無理な話だ。僕はこの国の王子で、しかも今のところ王位継承順位第1位。このままだと王太子にさせられて、そのまま順当に行けば王になる可能性もある。そうなれば当然、世継ぎを沢山残すことを求められるだろう。男の伴侶を持つことは許されない。そしてあなたは士官で軍では高い位の役職に就いているとはいえ、貴族出身でもない一兵士だ。この身分差では愛人関係すら認められるか危うい。なにより他の女と関係を持ちながらサリーと愛し合うなんて、そんなあなたに対して不誠実なこと、僕がしたくない。それならいっそ、今ここでキッパリとあなたに捨てられた方が幾分マシだ。……勿論、そんなの身を切られる程辛くて嫌なことだけれどね」
言いながら自分でその未来を想像してしまったらしい。オーウェン様の表情はどんどんと悲しげなものになっていく。今にもまた泣き出してしまいそうだ。
勿論、それくらい俺だって考えている。とっくの昔に2人の前に立ち塞がる障害については気がついていたさ。当然その解決策も思いついている。
「ええ、ですから、こんな国捨てて、2人で駆け落ちなんていかがかと思いまして」
「か、駆け落ちぃ!?」
オーウェン様の苦しみも、俺を縛る柵も、全部この国の存在に起因していた。それならばいっそ、全部捨てて新天地に愛の逃避行をしてしまえばいい。これまで生きてきて祖国に少しも恩義や愛着がないわけではないが、ここに居ることでこの先俺達に降りかかる不都合から逃れたいという思いは、それにも勝る。なによりこの国や国民達は、オーウェン様1人に魔女の呪いを背負わせることで、その恩恵を享受していた。そんな身勝手な人間達のことなど、捨てても構わないだろう。
どうせ遠くに行くのなら、1人で死にに行くのではなく、愛しい人と生きる為がいい。その方が余っ程生産的だし、兄さんも喜んでくれるだろう。どんな場所でもオーウェン様が着いてきてくれるのなら、そこはこの世の天国だ。俺はオーウェン様が傍に居てくれれば、それだけでいい。
「手始めに同性愛に理解のある、西南の民主主義国家に行きましょう。この国から出さえすれば身分差も気にすることはありません。王家には他にも男子がいらっしゃいますし、1人くらい居なくなったって、きっと他の誰かが喜んで王太子になって義務を果たして下さいますよ」
俺の提案にオーウェン様はポカンとした顔をしていたが、再び暗い表情をする。おや、どうやらまだ不安があるらしい。黙って聞く体勢に入り、目顔で先を促す。
「でも……でも、サリー。それはとても危険な行為だ。一国の王子が国を出奔するなんて、それも、男の恋人と駆け落ちだなんて、前代未聞じゃないか。きっと周囲の人間はあなたが僕を騙して誘拐したのだと思うだろう。そうしたら直ぐに沢山の追っ手がかかって捕まり、僕は連れ戻されてあなたは酷い拷問の末に殺される。そんなの、絶対に嫌だ。あなたを失うなんて、耐えられない。そんな事になるくらいなら、いっそ僕は潔くあなたを諦める! あなたは僕の思いをお情けで叶えようとしてくれているのかもしれないが、それだけで手を差し伸べてもらうには、あまりにもあなたに危険があり過ぎる」
成程、オーウェン様の言うことはもっともだ。彼の言うことには一理ある。概ね正しいと言ってもいい。
大事な第1王子が居なくなったとなれば、直ぐに国を上げての大捜索が始まるだろうし、そうしたら同時にいなくなっているであろう俺のことも直ぐにバレる。同時にいなくなった2人の因果関係なんて、態々考えを巡らせて暴くまでもない。万が一捕まりでもしたら、俺の命はないことは確実。その時楽に死ねるとも思えなかった。だが、それ位俺だって織り込み済みだ。危険は重々承知の上。俺はそれでもオーウェン様と一緒にいたい。それに、オーウェン様は大きな勘違いをしているぞ。それは……。
「ええ、それはもう痛い程に承知しておりますとも。私が言っていることが荒唐無稽で、どれ程実現が困難なことか位、ね。それでも、勝算が無いわけではございません。自分で言うのもおかしな話ですが、私は大変優秀な兵士です。オーウェン様をお守りしながら越境して国を出るのに必要な技術、鍛錬は、皮肉にもこの国に尽くす過程で身につけております。主な追っ手になるであろう国軍の捜索の癖も、その対処法も、全て知り尽くしております。つまり、どういうことか分かりますか? この国でオーウェン様を拐かすのに1番適任なのは、他でもないこの私なのですよ! それに、オーウェン様。私の行動理念はお情けなんかじゃありません。勿論、理由はあなたの境遇に対する同情でも、幼年者に対する庇護欲でもありません。オーウェン様、心して聞いてください。私だって、あなたの事を愛しているんですよ。今更こんなことを言ってもにわかには信じていただけないかもしれませんが、少なくとも他の人間がそういう意味であなたに触れると思っただけで腸が煮えくり返るような錯覚を覚え、思わずこうして幼いあなたに手を出してしまうくらいには、私も焼きが回っています。オーウェン様、どうか私のことを信じて、共に同じ未来を選んでいただけませんか?」
それが本心からの言葉だと分かるよう、真剣な表情を作ってオーウェン様を見つめる。どうかオーウェン様が受け入れてくれるよう、願いを込めて。オーウェン様をこの腕に抱いているだけで、こんなにも暖かく安らいだ気持ちになれる。この人が俺と生きることを選んでくれたら、それはどんなに素晴らしいだろうか。ああ、オーウェン様。早く俺に落ちてくれ。あなたの全てが、俺は欲しい。
「愛、してる……? サリーが、僕のことを……?」
「ええ。私はあなたの事を、心からお慕い申し上げております。この細い指も、柔らかい御髪も、思いやり溢れる心も、全てが愛しくて堪らない」
王族や貴族、使用人達にとってオーウェン様は利用するのに都合のいい『第1王子』でしかないのかもしれないが、俺は違う。俺にとっての彼は、この世にたった1人の愛すべき『オーウェン』という名の少年なのだ。兄さんに向けていた崇拝するような感情とは違う、彼に纏わる何もかもを手に入れ、支配したいという俗っぽい欲を向ける唯一の相手。それがオーウェン様だった。
「オーウェン様、私はあなたには辛い決断を迫らなければなりません。国を、家族を、全てを、私と天秤にかけて、捨ててくれとお願いしなくてはならないのですから。いつか遠くない未来に、あなたはこの日のことを後悔する時が来るかもしれない。私のことを疎ましく……憎く思う日が来るかもしれません。そんな日が来ても、私はきっとあなたを離して差し上げられない。私はそれくらいにはあなたに執着している。その事を踏まえた上で、あなたには全てを捨てて、私に着いてくる覚悟がおありですか?」
オーウェン様が俺について来てくれるかどうか不安で、胸がザワつく。オーウェン様に『サリーと生きたい』と言って欲しいけれど、無理強いはできない。こればっかりはオーウェン様自身に自分の意思で選んでもらわなくては、意味がないからだ。固唾を飲んで、オーウェン様の答えを待つ。
「……当然だ。あなたという相手に執着しているのは、むしろ僕の方だ。だからこそどうしてもあなたのことを諦められなくて、あれこれ手を尽くして今夜ここに来たんだから。ああ、でも、サリー。僕はあなたの手を取ってもいいのだろうか? 僕自身が国や家族、責務を放り出すことには少しの躊躇いもないけれど、全てを捨てなければならないのはあなたも同じこと。僕と共にあろうとすれば、これまでの努力を、立場を、思い出を、あなたは捨てることになるだろう。本当に僕は、そんな事をあなたに迫っていいのだろうか? 結果としてあなたに迷惑をかけてしまうことが、僕は何よりも恐ろしい」
辛そうに眉を顰めるオーウェン様。俺の命や将来、様々な物事を憂いてくれているのだろう。どこまでも優しい人だ。俺だってオーウェン様と同じで、目の前の愛しい人の為ならば、それまで積上げてきたもの全て投げ捨てられるというのに。俺の為を思って躊躇する彼に、俺は背中を押すようなその一言を囁く。
「オーウェン様、どうか遠慮や気兼ねを取り去って、1人の人間として自分がどうしたいのか、よくお考えになってお答え下さい。大丈夫。あなたがどんなお答えを出そうとも、サリーは生涯お傍におりますよ。共に逃げていただけるというのなら喜んでお供いたしますし、関係をこれ切りにしたいというのならそのご意思に従って遠くから見守らせていただきます。どう転んでも、あなたにとって良い結果になるよう尽くすと誓いましょう。どうせあなたに出会って生きる気力をいただかなければ、遠からずなくしていた命です。とことんあなたにつきあわせてくださいまし」
若しもあの時オーウェン様と出会っていなかったら。俺はきっと、兄さんを1人で死なせてしまった罪悪感に押しつぶされ、気が狂ってしまっていたことだろう。オーウェン様は1度は途絶えかけた俺の人生に、再び光を取り戻させ、意味や価値を付加してくれた。兄さんに拾われ、オーウェン様に救われたこの命。兄さんのいない今、オーウェン様の為になるのなら、どんな使い方をしたって構わない。
「……あなたの気持ちはよく分かった。あなたの真摯な言葉に、僕も覚悟を決めたよ。サリー。どうか僕に、あなたの隣にいる権利をおくれ」
「勿論、なんなりと」
ああ、なんということだろう! オーウェン様が、俺を選んでくれた! 俺と共に生きると言ってくれたんだ!
例え2人の未来にどんな苦難が待ち受けていようとも、今は関係ない。ただ、通いあった愛情だけが全てだ。体を屈めて、オーウェン様を抱き締める。オーウェン様もそれに応えて腕を伸ばし、抱き締め返してくれた。しっかりと、離れないよう、きつくきつく抱き合う。
「オーウェン様、必ず迎えに行きます。ですからどうか、それまでは耐えてください」
もう2度と、道は間違えない。
まだ涙の雫が残る目をパチクリと瞬かせ、オーウェン様がマジマジと俺の顔を見つめる。その動きで零れた涙の雫をそっと拭ってやりながら、俺は真剣な声で問いかけに答えた。
「どういうこともなにも、その通りですよ。私はこの1回コッキリではなく、また何度でもオーウェン様と褥を共にしたいと思っている、という意味です。それも、日陰者の愛人として機会を見計らってコソコソとあなたの寝所に忍んで行くことでではなく、あなたの正式な伴侶として堂々と自分に与えられた権利を行使してお会いしていくことによって、です。それだけではありません。私は欲深いので、世の人達と同じように表を手を繋いで歩いたり、一緒のベッドで寝起きしたり、時には軽い喧嘩をしたり、そういうことも沢山あなたとしたいと思っています。私はオーウェン様の全てが欲しいのです。……勿論、オーウェン様にお許しいただけるなら、ですが」
誠意を示す為、オーウェン様の手を持ち上げ、チュッと軽く誠意を込めたキスをする。本当は唇にしたかったのだが、オーウェン様の精を口で受け止めたばかりだったので、流石に遠慮して我慢をした。オーウェン様は俺のその一連の動作にも気がついているのかいないのか。驚愕の二文字を顔面に張りつけて固まっている。やがて、ギシギシと音が立ちそうな程ぎこちない動きで口を動かし、絞り出すように呟く。
「そ、そんな……。あなたとそう言う関係になれるというのなら、僕は諸手を挙げて受け入れるけれど……。それじゃあまるで、恋人みたいじゃないか」
「まるでではなくて、正しく恋人になって下さいとお願い申し上げているのですよ」
俺の答えに今度こそ、オーウェン様は石のように完全に固まってしまった。俺はそんなオーウェン様を無理に急かすことなく、彼が現実を呑み込めるようになるのを大人しく待つ。さっきは本人が許してくれたとはいえ、自制が効かなくてちょっと強引に進めちゃったからな。こういう大事な事こそオーウェン様のペースに合わせてあげるべきだろう。固まったまま俺を凝視し続けるオーウェン様に、ゆっくり言い聞かせるように、分かりやすい言葉を重ねる。
「オーウェン様には、私が自分の気持ちに気がつくのが遅れてしまったせいで、大変なご迷惑をお掛けしてしまいました。このことだけでも十分に、あなたに愛想をつかされても仕方がない事だと思います。それでも、まだ少しでも私に気持ちを残してくださっているのなら、どうかお情けを賜れませんでしょうか? 私は、あなたと一緒に居られる未来が欲しいのです」
あ、オーウェン様動いた。と、思ったらフラッ、とユックリ横に倒れていってしまったので慌てて手を伸ばして受け止める。どうやら現実を受け止めきれずキャパオーバーして一時的に気が遠くなったらしい。
大丈夫かと心配して、引き寄せて頭を抱え顔を覗き込むと、なんだかよく分からない複雑な表情をされてしまう。耐えているような、笑っているような、驚いているような、泣き出しそうな、そんな表情。オーウェンさま、それ、一体どういう感情由来の表情なんですか?
「そんな……信じられない……。こんな、なにもかも僕に都合のいい話……。まさか、夢?」
「紛うことなき現実ですよ。……それとも、夢にしたくなる程、受け入れ難いことでしたか?」
「まさか! むしろその逆だ! あまりにも僕に都合のいいようにことが運ぶものだから、これは夢ではないかと恐れているだけだ!」
勢い込んで熱弁するオーウェン様。良かった。元気になってきたみたいだ。そう思ったのに、オーウェン様は何かにハッと気がついて、またしおしおと落ち込んでいく。どうしたのかと思っていると、オーウェン様は消え入りそうな小さな声で、不安そうに俺に確かめてきた。
「けれど、サリー。あなたは兄上のことを1番に愛しているのでは……? いや、2番でもあなたに愛してもらえるのなら僕に不満はないのだけれど、でも……」
おや。どうやら俺は、気持ちを疑われているらしい。まあ、無理もないか。これまでの俺の行動は、オーウェン様を不安にさせてしまうには十分過ぎる。これから先、沢山誠心誠意尽くして、分かってしまう他あるまい。
あと、2番でもいいなんて嘘だな。誤魔化す時のいつもの癖で、目が泳いでる。伊達に長くオーウェン様のお世話をしていたわけじゃないんだ。上手く隠したつもりでも、俺にはバレバレである。
口ではどれ程聞き分けのいいことを言っても、オーウェン様はまだそこら辺の抑えが効かない子供。きっと、本心では兄さんを押しのけて俺の1番になりたいに違いない。それなのに俺を困らせないようにか、本心を押隠す。こんな見え見えのいじらしい嘘をつく程、俺に嫌われたくないんだな。
「確かに、兄のことは心から愛しています。私が兄のことを忘れる日は、生涯来ないでしょう」
オーウェン様の表情が曇る。必死に顔に出さないようにしようとしているようだが、隠しきれていない。きっと今、彼の心の中では絶望の嵐が吹き荒れているに違いない。そんな心を晴らすべく、俺は言葉を重ねる。
「けれど、それはあくまでも家族に向ける敬愛や親愛の情です。あなたに向ける絡みつくような欲を含んだ愛情とは比べるべきではありません。私が褥を共にしたいと思うのも、御髪1本に至るまで手に入れたいと思うのも、全てあなた1人だけです、オーウェン様。私は兄弟を相手に欲情したりいたしませんので」
「よ、よくっ……!」
俺の直接的な言葉に、オーウェン様はモゴモゴと口篭り目を伏せた。そうされると長い睫毛がよく分かる。照れたせいか頬が色付き、体温も戻ってきた。いい傾向だ。頬に手を添え、指先で肌をなぞる。
今の言葉で俺の気持ちは分かって貰えたと思ったのだが、オーウェン様の目にはまだ躊躇いの揺らぎが。どうしたのかと思い、話しやすくする為安心させるように微笑みかけると、オーウェン様はおずおずと躊躇いがちに口を開く。
「でも、サリー。あなたの気持ちは嬉しいけど、それは到底無理な話だ。僕はこの国の王子で、しかも今のところ王位継承順位第1位。このままだと王太子にさせられて、そのまま順当に行けば王になる可能性もある。そうなれば当然、世継ぎを沢山残すことを求められるだろう。男の伴侶を持つことは許されない。そしてあなたは士官で軍では高い位の役職に就いているとはいえ、貴族出身でもない一兵士だ。この身分差では愛人関係すら認められるか危うい。なにより他の女と関係を持ちながらサリーと愛し合うなんて、そんなあなたに対して不誠実なこと、僕がしたくない。それならいっそ、今ここでキッパリとあなたに捨てられた方が幾分マシだ。……勿論、そんなの身を切られる程辛くて嫌なことだけれどね」
言いながら自分でその未来を想像してしまったらしい。オーウェン様の表情はどんどんと悲しげなものになっていく。今にもまた泣き出してしまいそうだ。
勿論、それくらい俺だって考えている。とっくの昔に2人の前に立ち塞がる障害については気がついていたさ。当然その解決策も思いついている。
「ええ、ですから、こんな国捨てて、2人で駆け落ちなんていかがかと思いまして」
「か、駆け落ちぃ!?」
オーウェン様の苦しみも、俺を縛る柵も、全部この国の存在に起因していた。それならばいっそ、全部捨てて新天地に愛の逃避行をしてしまえばいい。これまで生きてきて祖国に少しも恩義や愛着がないわけではないが、ここに居ることでこの先俺達に降りかかる不都合から逃れたいという思いは、それにも勝る。なによりこの国や国民達は、オーウェン様1人に魔女の呪いを背負わせることで、その恩恵を享受していた。そんな身勝手な人間達のことなど、捨てても構わないだろう。
どうせ遠くに行くのなら、1人で死にに行くのではなく、愛しい人と生きる為がいい。その方が余っ程生産的だし、兄さんも喜んでくれるだろう。どんな場所でもオーウェン様が着いてきてくれるのなら、そこはこの世の天国だ。俺はオーウェン様が傍に居てくれれば、それだけでいい。
「手始めに同性愛に理解のある、西南の民主主義国家に行きましょう。この国から出さえすれば身分差も気にすることはありません。王家には他にも男子がいらっしゃいますし、1人くらい居なくなったって、きっと他の誰かが喜んで王太子になって義務を果たして下さいますよ」
俺の提案にオーウェン様はポカンとした顔をしていたが、再び暗い表情をする。おや、どうやらまだ不安があるらしい。黙って聞く体勢に入り、目顔で先を促す。
「でも……でも、サリー。それはとても危険な行為だ。一国の王子が国を出奔するなんて、それも、男の恋人と駆け落ちだなんて、前代未聞じゃないか。きっと周囲の人間はあなたが僕を騙して誘拐したのだと思うだろう。そうしたら直ぐに沢山の追っ手がかかって捕まり、僕は連れ戻されてあなたは酷い拷問の末に殺される。そんなの、絶対に嫌だ。あなたを失うなんて、耐えられない。そんな事になるくらいなら、いっそ僕は潔くあなたを諦める! あなたは僕の思いをお情けで叶えようとしてくれているのかもしれないが、それだけで手を差し伸べてもらうには、あまりにもあなたに危険があり過ぎる」
成程、オーウェン様の言うことはもっともだ。彼の言うことには一理ある。概ね正しいと言ってもいい。
大事な第1王子が居なくなったとなれば、直ぐに国を上げての大捜索が始まるだろうし、そうしたら同時にいなくなっているであろう俺のことも直ぐにバレる。同時にいなくなった2人の因果関係なんて、態々考えを巡らせて暴くまでもない。万が一捕まりでもしたら、俺の命はないことは確実。その時楽に死ねるとも思えなかった。だが、それ位俺だって織り込み済みだ。危険は重々承知の上。俺はそれでもオーウェン様と一緒にいたい。それに、オーウェン様は大きな勘違いをしているぞ。それは……。
「ええ、それはもう痛い程に承知しておりますとも。私が言っていることが荒唐無稽で、どれ程実現が困難なことか位、ね。それでも、勝算が無いわけではございません。自分で言うのもおかしな話ですが、私は大変優秀な兵士です。オーウェン様をお守りしながら越境して国を出るのに必要な技術、鍛錬は、皮肉にもこの国に尽くす過程で身につけております。主な追っ手になるであろう国軍の捜索の癖も、その対処法も、全て知り尽くしております。つまり、どういうことか分かりますか? この国でオーウェン様を拐かすのに1番適任なのは、他でもないこの私なのですよ! それに、オーウェン様。私の行動理念はお情けなんかじゃありません。勿論、理由はあなたの境遇に対する同情でも、幼年者に対する庇護欲でもありません。オーウェン様、心して聞いてください。私だって、あなたの事を愛しているんですよ。今更こんなことを言ってもにわかには信じていただけないかもしれませんが、少なくとも他の人間がそういう意味であなたに触れると思っただけで腸が煮えくり返るような錯覚を覚え、思わずこうして幼いあなたに手を出してしまうくらいには、私も焼きが回っています。オーウェン様、どうか私のことを信じて、共に同じ未来を選んでいただけませんか?」
それが本心からの言葉だと分かるよう、真剣な表情を作ってオーウェン様を見つめる。どうかオーウェン様が受け入れてくれるよう、願いを込めて。オーウェン様をこの腕に抱いているだけで、こんなにも暖かく安らいだ気持ちになれる。この人が俺と生きることを選んでくれたら、それはどんなに素晴らしいだろうか。ああ、オーウェン様。早く俺に落ちてくれ。あなたの全てが、俺は欲しい。
「愛、してる……? サリーが、僕のことを……?」
「ええ。私はあなたの事を、心からお慕い申し上げております。この細い指も、柔らかい御髪も、思いやり溢れる心も、全てが愛しくて堪らない」
王族や貴族、使用人達にとってオーウェン様は利用するのに都合のいい『第1王子』でしかないのかもしれないが、俺は違う。俺にとっての彼は、この世にたった1人の愛すべき『オーウェン』という名の少年なのだ。兄さんに向けていた崇拝するような感情とは違う、彼に纏わる何もかもを手に入れ、支配したいという俗っぽい欲を向ける唯一の相手。それがオーウェン様だった。
「オーウェン様、私はあなたには辛い決断を迫らなければなりません。国を、家族を、全てを、私と天秤にかけて、捨ててくれとお願いしなくてはならないのですから。いつか遠くない未来に、あなたはこの日のことを後悔する時が来るかもしれない。私のことを疎ましく……憎く思う日が来るかもしれません。そんな日が来ても、私はきっとあなたを離して差し上げられない。私はそれくらいにはあなたに執着している。その事を踏まえた上で、あなたには全てを捨てて、私に着いてくる覚悟がおありですか?」
オーウェン様が俺について来てくれるかどうか不安で、胸がザワつく。オーウェン様に『サリーと生きたい』と言って欲しいけれど、無理強いはできない。こればっかりはオーウェン様自身に自分の意思で選んでもらわなくては、意味がないからだ。固唾を飲んで、オーウェン様の答えを待つ。
「……当然だ。あなたという相手に執着しているのは、むしろ僕の方だ。だからこそどうしてもあなたのことを諦められなくて、あれこれ手を尽くして今夜ここに来たんだから。ああ、でも、サリー。僕はあなたの手を取ってもいいのだろうか? 僕自身が国や家族、責務を放り出すことには少しの躊躇いもないけれど、全てを捨てなければならないのはあなたも同じこと。僕と共にあろうとすれば、これまでの努力を、立場を、思い出を、あなたは捨てることになるだろう。本当に僕は、そんな事をあなたに迫っていいのだろうか? 結果としてあなたに迷惑をかけてしまうことが、僕は何よりも恐ろしい」
辛そうに眉を顰めるオーウェン様。俺の命や将来、様々な物事を憂いてくれているのだろう。どこまでも優しい人だ。俺だってオーウェン様と同じで、目の前の愛しい人の為ならば、それまで積上げてきたもの全て投げ捨てられるというのに。俺の為を思って躊躇する彼に、俺は背中を押すようなその一言を囁く。
「オーウェン様、どうか遠慮や気兼ねを取り去って、1人の人間として自分がどうしたいのか、よくお考えになってお答え下さい。大丈夫。あなたがどんなお答えを出そうとも、サリーは生涯お傍におりますよ。共に逃げていただけるというのなら喜んでお供いたしますし、関係をこれ切りにしたいというのならそのご意思に従って遠くから見守らせていただきます。どう転んでも、あなたにとって良い結果になるよう尽くすと誓いましょう。どうせあなたに出会って生きる気力をいただかなければ、遠からずなくしていた命です。とことんあなたにつきあわせてくださいまし」
若しもあの時オーウェン様と出会っていなかったら。俺はきっと、兄さんを1人で死なせてしまった罪悪感に押しつぶされ、気が狂ってしまっていたことだろう。オーウェン様は1度は途絶えかけた俺の人生に、再び光を取り戻させ、意味や価値を付加してくれた。兄さんに拾われ、オーウェン様に救われたこの命。兄さんのいない今、オーウェン様の為になるのなら、どんな使い方をしたって構わない。
「……あなたの気持ちはよく分かった。あなたの真摯な言葉に、僕も覚悟を決めたよ。サリー。どうか僕に、あなたの隣にいる権利をおくれ」
「勿論、なんなりと」
ああ、なんということだろう! オーウェン様が、俺を選んでくれた! 俺と共に生きると言ってくれたんだ!
例え2人の未来にどんな苦難が待ち受けていようとも、今は関係ない。ただ、通いあった愛情だけが全てだ。体を屈めて、オーウェン様を抱き締める。オーウェン様もそれに応えて腕を伸ばし、抱き締め返してくれた。しっかりと、離れないよう、きつくきつく抱き合う。
「オーウェン様、必ず迎えに行きます。ですからどうか、それまでは耐えてください」
もう2度と、道は間違えない。
32
お気に入りに追加
102
あなたにおすすめの小説
転生令息は冒険者を目指す!?
葛城 惶
BL
ある時、日本に大規模災害が発生した。
救助活動中に取り残された少女を助けた自衛官、天海隆司は直後に土砂の崩落に巻き込まれ、意識を失う。
再び目を開けた時、彼は全く知らない世界に転生していた。
異世界で美貌の貴族令息に転生した脳筋の元自衛官は憧れの冒険者になれるのか?!
とってもお馬鹿なコメディです(;^_^A
祝福という名の厄介なモノがあるんですけど
野犬 猫兄
BL
魔導研究員のディルカには悩みがあった。
愛し愛される二人の証しとして、同じ場所に同じアザが発現するという『花祝紋』が独り身のディルカの身体にいつの間にか現れていたのだ。
それは女神の祝福とまでいわれるアザで、そんな大層なもの誰にも見せられるわけがない。
ディルカは、そんなアザがあるものだから、誰とも恋愛できずにいた。
イチャイチャ……イチャイチャしたいんですけど?!
□■
少しでも楽しんでいただけたら嬉しいです!
完結しました。
応援していただきありがとうございます!
□■
第11回BL大賞では、ポイントを入れてくださった皆様、またお読みくださった皆様、どうもありがとうございましたm(__)m
モフモフになった魔術師はエリート騎士の愛に困惑中
risashy
BL
魔術師団の落ちこぼれ魔術師、ローランド。
任務中にひょんなことからモフモフに変幻し、人間に戻れなくなってしまう。そんなところを騎士団の有望株アルヴィンに拾われ、命拾いしていた。
快適なペット生活を満喫する中、実はアルヴィンが自分を好きだと知る。
アルヴィンから語られる自分への愛に、ローランドは戸惑うものの——?
24000字程度の短編です。
※BL(ボーイズラブ)作品です。
この作品は小説家になろうさんでも公開します。
小学生のゲーム攻略相談にのっていたつもりだったのに、小学生じゃなく異世界の王子さま(イケメン)でした(涙)
九重
BL
大学院修了の年になったが就職できない今どきの学生 坂上 由(ゆう) 男 24歳。
半引きこもり状態となりネットに逃げた彼が見つけたのは【よろず相談サイト】という相談サイトだった。
そこで出会ったアディという小学生? の相談に乗っている間に、由はとんでもない状態に引きずり込まれていく。
これは、知らない間に異世界の国家育成にかかわり、あげく異世界に召喚され、そこで様々な国家の問題に突っ込みたくない足を突っ込み、思いもよらぬ『好意』を得てしまった男の奮闘記である。
注:主人公は女の子が大好きです。それが苦手な方はバックしてください。
*ずいぶん前に、他サイトで公開していた作品の再掲載です。(当時のタイトル「よろず相談サイト」)
異世界に転移したショタは森でスローライフ中
ミクリ21
BL
異世界に転移した小学生のヤマト。
ヤマトに一目惚れした森の主のハーメルンは、ヤマトを溺愛して求愛しての毎日です。
仲良しの二人のほのぼのストーリーです。
【完結】僕の大事な魔王様
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
BL
母竜と眠っていた幼いドラゴンは、なぜか人間が住む都市へ召喚された。意味が分からず本能のままに隠れたが発見され、引きずり出されて兵士に殺されそうになる。
「お母さん、お父さん、助けて! 魔王様!!」
魔族の守護者であった魔王様がいない世界で、神様に縋る人間のように叫ぶ。必死の嘆願は幼ドラゴンの魔力を得て、遠くまで響いた。そう、隣接する別の世界から魔王を召喚するほどに……。
俺様魔王×いたいけな幼ドラゴン――成長するまで見守ると決めた魔王は、徐々に真剣な想いを抱くようになる。彼の想いは幼過ぎる竜に届くのか。ハッピーエンド確定
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/11……完結
2023/09/28……カクヨム、週間恋愛 57位
2023/09/23……エブリスタ、トレンドBL 5位
2023/09/23……小説家になろう、日間ファンタジー 39位
2023/09/21……連載開始
死に戻り騎士は、今こそ駆け落ち王子を護ります!
時雨
BL
「駆け落ちの供をしてほしい」
すべては真面目な王子エリアスの、この一言から始まった。
王子に”国を捨てても一緒になりたい人がいる”と打ち明けられた、護衛騎士ランベルト。
発表されたばかりの公爵家令嬢との婚約はなんだったのか!?混乱する騎士の気持ちなど関係ない。
国境へ向かう二人を追う影……騎士ランベルトは追手の剣に倒れた。
後悔と共に途切れた騎士の意識は、死亡した時から三年も前の騎士団の寮で目覚める。
――二人に追手を放った犯人は、一体誰だったのか?
容疑者が浮かんでは消える。そもそも犯人が三年先まで何もしてこない保証はない。
怪しいのは、王位を争う第一王子?裏切られた公爵令嬢?…正体不明の駆け落ち相手?
今度こそ王子エリアスを護るため、過去の記憶よりも積極的に王子に関わるランベルト。
急に距離を縮める騎士を、はじめは警戒するエリアス。ランベルトの昔と変わらぬ態度に、徐々にその警戒も解けていって…?
過去にない行動で変わっていく事象。動き出す影。
ランベルトは今度こそエリアスを護りきれるのか!?
負けず嫌いで頑固で堅実、第二王子(年下) × 面倒見の良い、気の長い一途騎士(年上)のお話です。
-------------------------------------------------------------------
主人公は頑な、王子も頑固なので、ゆるい気持ちで見守っていただけると幸いです。
ようこそ異世界縁結び結婚相談所~神様が導く運命の出会い~
てんつぶ
BL
「異世界……縁結び結婚相談所?」
仕事帰りに力なく見上げたそこには、そんなおかしな看板が出ていた。
フラフラと中に入ると、そこにいた自称「神様」が俺を運命の相手がいるという異世界へと飛ばしたのだ。
銀髪のテイルと赤毛のシヴァン。
愛を司るという神様は、世界を超えた先にある運命の相手と出会わせる。
それにより神の力が高まるのだという。そして彼らの目的の先にあるものは――。
オムニバス形式で進む物語。六組のカップルと神様たちのお話です。
イラスト:imooo様
【二日に一回0時更新】
手元のデータは完結済みです。
・・・・・・・・・・・・・・
※以下、各CPのネタバレあらすじです
①竜人✕社畜
異世界へと飛ばされた先では奴隷商人に捕まって――?
②魔人✕学生
日本のようで日本と違う、魔物と魔人が現われるようになった世界で、平凡な「僕」がアイドルにならないと死ぬ!?
③王子・魔王✕平凡学生
召喚された先では王子サマに愛される。魔王を倒すべく王子と旅をするけれど、愛されている喜びと一緒にどこか心に穴が開いているのは何故――? 総愛されの3P。
④獣人✕社会人 案内された世界にいたのは、ぐうたら亭主の見本のようなライオン獣人のレイ。顔が獣だけど身体は人間と同じ。気の良い町の人たちと、和風ファンタジーな世界を謳歌していると――?
⑤神様✕○○ テイルとシヴァン。この話のナビゲーターであり中心人物。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる