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 そうして始まった僕の婚活は、最初とても上手くいっていた。将来を見据えた真剣なお付き合いを前提とした恋人探しは、始めて直ぐに相手を見つけられたのだ。御相手は職場近くのレストランのウェイトレスさん。明るい笑顔が可愛くて、いつも一生懸命仕事をしている働き者の女性だった。少しだけ歳下の彼女は僕と同じように機能不全家庭で育ち、学校を卒業して直ぐに実の親から売春宿に売られそうになったのを必死で逃げてきてそのレストランに就職した、という苦労人だ。家族から受けた悲しい仕打ちや子供時代の苦労を話のネタに意気投合した僕達は、トントン拍子でお付き合いをする事になった。
 休みが被ったら必ずデートして、贈り物は欠かさず、愛の言葉は惜しみなく口にする。最初、僕たちのお付き合いはとても順調にいっていたと思う。順調に交際を進めて言った僕達は付き合って一年目には同棲をして、それも上手くいっていたので付き合って一年半後には籍を入れて結婚をする約束までした。ああ、人生最良の時期とはあの日々の事を言うんだろう。正しく、あの頃の僕は毎日が薔薇色で、最愛の彼女と共に幸せな家庭を築いていく未来を、少しも疑いもしなかった。
 しかし、ここで僕が幸せな結婚をして彼女と素晴らしい家庭を作れていたら、話がそこで終わってしまう。現在僕が婚活パーティーに勤しんでいる事からも分かる通り、残念ながら僕は彼女と結婚しなかった。いや、できなかった……と言うべきか。
 始まりはなんという事ない、ブライダルチェックだ。彼女と式場探しをしている時に、ついでにやってみませんか? なんてプランナーさんから言われた僕達は、将来子供も欲しいしやっといて損はないから受けてみようか、なんて軽い気持ちで検査を受けた。それはその場で軽く魔法でスキャンを受ける程度のものだったのだが……。そのブライダルチェックが僕達のその後の運命を大きく狂わせる事になる。
 彼女の方はなんの問題もなかった。体の表面に親から受けた暴力の名残が多少あれど、それ以外は完全な健康体。理論上は可愛い赤ちゃんを沢山埋めますよ、と太鼓判を押して貰えた。……問題は僕だ。彼女に続いて僕のスキャンをした担当者が、サッと顔を青褪めさせた。え、と思ってその人の顔を伺う。そして、担当者はモゴモゴと言い難そうに口を動かして、ちゃんとした医療機関で精密検査を受けてください、と僕に言った。
 言われた通り、その後直ぐに僕は大きな病院で検査を受けたのだが……。結果は残酷なものだった。診断結果は男性不妊。自然妊娠は不可能、不妊治療しても自分の子供を抱ける確率は絶望的らしい。子供の頃酷い熱病に罹りませんでしたかと医者に聞かれたが、正直心当たりがある。五・六歳の時流行病に倒れて高熱を出したことがあったのだ。その時祖父母は我が子の婚家相手に僕の病気の原因を押し付ける喧嘩をするのに夢中で、孫の僕の事なんて気にもかけてくれなかったから、自然に熱が下がるまで僕は地獄の苦しみを味わったのだが……。まさか、あれで? ここまで来て暗い子供時代が足を引っ張るの? そんなぁ……。
 しかし、我が子を抱けないだけで、結婚自体ができない訳ではない。どうしても子供が欲しいなら養子を貰うって手段もある。自分の子供は諦めなくてはならないが、まだ僕には愛する彼女が居るんだ。彼女さえ居てくれれば、幾らだって幸せな家庭を築ける筈。そう固く信じていた。……僕だけは。
 『ごめんなさい、トーリ。私はどうしても愛する相手と自分の血の繋がった子供が欲しいの。血の繋がった親に酷い目に合わされたからこそ、血の繋がった自分の子供を幸せにして、自分も幸せになれると証明したくて……。そうでもして血の繋がりによる負の連鎖を断ち切らないと、私は死ぬまで実の両親から受けた仕打ちに苦しめられる事になるわ。でも、あなたと一緒に居たら私のその夢は叶えられない。だから、お願い。私と別れてちょうだい。……酷い事を言って本当にごめんなさい』。ブライダルチェックを受けてから数日後、彼女にそう言われてしまった。直近の数日間僕以上に思い詰めた様子だった彼女を励まそうと、二人の思い出のレストランでディナーを摂っている最中の事だ。呆然とする僕の前で彼女は婚約指輪を抜き取ってテーブルに置き、席を立ってそのまま戻ってこなかった。こうして、僕の最初の婚約は悲劇に終わったのだ。
 僕の婚約破棄は彼女の働いているレストランが僕の職場の近くで同僚達がよくお昼を食べている所だったという事もあり、瞬く間に広まった。お陰様でそれから僕は腫れ物扱いだ。結婚目前での、婚約破棄。おまけに彼女と街のカフェで僕の不妊について話し合っていたもんだから、そこで話を盗み聞いたらしい下世話な誰かが僕の体の事まで周囲に広めていて、頂戴する哀れみの視線には際限がなかった。
 どうしよう。僕は結婚して幸せな家庭の一員になりたかったのに、あんなにも気があってお互いを尊重し合える女性との縁は虚しくも切れてしまった。気持ちの切り替えができないのはもちろんだが、次の相手を探そうにも男性不妊で自分の子供は抱けないのだという。ただでさえ家庭環境があって訳ありなのに、男性不妊って。あれ程気持ちが通じあって情もあった相手とも、子供ができないからって呆気なく婚約破棄をされてしまったのだ。これから関係を築いていく相手の中から真剣な結婚相手を探すなんて、かなり難しいだろう。これじゃあ結婚相手が見つからないよ。悲しみのどん底に居ると、人間って涙も出ないらしい。僕はこの時初めて知った。
 あんまりにも激しく落ち込む僕に、最初は励まそうと飲みに誘ってくれていた同僚達も可哀想なものを見る目で徐々に離れていく。親切心なのか、直属の上司からはいかず後家の女性の釣り書を渡された。その人にも男性不妊なんて嫌、って返事をする前にフラれたけど。それで益々僕は落ち込んだ。その事で上司は余計な事するな無能、と周りに叱られていた。なんにでも傷ついてしまうナーバスな負のスパイラルに陥った僕は、それも僕のせいだと自己嫌悪してしまう。落ち込んで、落ち込んで、落ち込んで……。そして、落ち込みすぎて一周回って僕はピコーンッ! とある事を閃いた。
 そうだ、僕に妊孕力がないのなら、! 医者からは現代魔法医学の力を持ってしても僕の妊孕力を子供ができるレベルまで高めるのはほぼ不可能だって言われたけど、僕が妊娠する方に回れば話は違ってくるかもしれない。発想の転換ってやつだよ。駄目で元々、どうせなら可能性がゼロの方に賭けるよりも、未知数の方に賭けてやる。幸いな事に僕の研究における専門は魔術の医療応用全般。できないこともないどころか思いっ切り得意分野。これは! やるしか! ない!
 こうして僕は、魔法による男性妊娠の研究を始めた。実験に次ぐ実験。家にも帰らず実験室に篭もり、食事もまともに取らず、不眠不休で頑張る日々。辛かったし、苦しかったし、何より悲しかった。どうして僕がこんな目に、ただ幸せな結婚をして、温かい家庭が欲しかっただけなのに。世間の多くの人は当たり前になんの努力をしなくても手に入れられるそれが、僕はこんなにも努力をしないと手に入らないなんて。それでも僕は頑張った。全てはまだ見ぬ未来の家族の為に。それが、僕なりの悲しみのやり過ごし方だったのかもしれない。
 しかし、僕の頑張りとは裏腹に、実験はちっとも上手くいかなかった。当たり前だ。男性妊娠なんて前代未聞の魔法、何の障害もなくポンポン上手くいく方がおかしい。更に言えば本来の期待された研究や仕事はそこそこに、殆ど私的欲求でしかない研究を繰り返す僕への上からの風当たりは厳しくなる一方。同僚達も婚約破棄と男性不妊のショックでおかしくなったと可哀想なものを見る目で遠巻きに見てくるばかり。パトロンだなんだと言って近づいてきて、実験を止めろと脅してくる奴もいたっけ。そんな辛い毎日が、数年間続いた。
 正直、あの頃の事は辛過ぎて記憶が曖昧だ。私生活なんてなくて、暮らしはボロボロ。上は早いうちから僕の実験に予算を出してくれなくなったので、研究費を捻出する為にその時住んでいた家は解約し家財道具も売れるものは全部売って食費すら節約して実験室に住み込んでいた。周りは僕を狂人とみなし、早く国立魔法研究所から追い出したがっていたのを気が付かないふりをして潤沢な実験機器目当てに居座っていたっけ。今思えばかなり迷惑な奴だな。実際、さっき上げたパトロンみたいに面と向かって僕に実験を止めるように言ってくる奴も居た。全く耳を貸さなかったけど。
 雨ニモマケズ、風ニモマケズ、周囲からの冷たい視線にも耐え、僕は頑張った。頑張って、頑張って、頑張って、頑張って、頑張って……。血の滲むような努力を途方もなく繰り返し、ようやく男性妊娠の魔法を完成させたのが半年前。本当に長い戦いだった。人生破滅の一歩手前まで行ったけど、とうとうやり遂げたんだ。魔法が完成しとき、僕は数年ぶりに笑顔を零し、同時に涙を流した。だって、本当に嬉しかったんだもん!
 魔法の完成を機に、周囲の僕の扱いは様変わりした。稀代の発明に掌返しで僕に擦り寄る上司達。怖いもの見たさで僕を見物に来る同僚。僕の事をお触り厳禁な可哀想な人としか見ていなかったのに、歴代随一の医療魔法の権威だの時代の寵児だのと持て囃すその他諸々。正しく僕は、時の人となった。
 しかし、そんな事僕には関係ない。強いて言えばあれだけ僕の実験を成功しないだの諦めろだの散々言ってきたパトロンの鼻を明かせたのはちょっと嬉しかったけど、それだけ。兎に角僕にとって一番の関心事は、これで僕も自分の子供を授かれる、家族ができるという事だけだった。
 周囲のちょっかいを振り切り、名声目当てに今更コンタクトを取ってきた祖父母を無視して、喜び勇んで早速家族を作ろうとして……そこで僕はハッと我に返る。成程、確かに僕の男性不妊の問題は、男性も妊娠可能となる魔法で克服された。これで僕も結婚して、自分と血の繋がった我が子を育て、暖かな家庭を持つという夢がようやく叶えられる。しかし……大事な事を失念していた。男性妊娠は可能になっても、肝心の相手が居ない、という事を。結婚は可能になってもその相手がいないんなら意味がない。確かに僕は男性妊娠が可能となる魔法を発明したが、それも遺伝子を提供してくれる配偶者がいる事が前提のもの。流石に魔法を持ってしても単性生殖は不可能だった。
 まだ魔法が完成する前、風の噂で元婚約者は今では新しい恋人ができて幸せにしていると聞いた。そうでなくとも今更元彼が出てきて男でも妊娠できるようになったから結婚して! なんて言ったら怖いだろう。彼女はもう巻き込めない。という事は、新しく僕と結婚して一緒に家庭を築いてくれる素敵な女性を探さなくては。奮起した僕は、早速行動を開始した。待ってろ、愛する伴侶! 可愛い子供達!
 だが……現実はそう上手くはいかず。生活を建て直して生涯のパートナー探しを始めたのだが、これがなかなか難しい。まず一番に僕の伴侶に立候補したのは、僕の功績を聞いて寄ってきたミーハーでお金目当てな女性達。申し訳ないけど、この人達は却下。だって、彼女達が好きなのって、僕じゃなくて有名人となった僕のネームバリューとかそこから生まれるお金だし。偏見かもしれないけど、そういう見栄やお金を第一の目当てに寄ってきた人が良き家庭人になってくれるとはちょっと思えない。というか、名誉とお金大好きで僕の人生を滅茶苦茶に引っ掻き回した祖父母を思い出して受け入れられないんだよね。だから、そういう人にはごめんなさいして全員お帰り願った。
 次に寄ってきたのは、入れ代わり立ち代わり色んな部署の上司が連れてくる女性達。中には僕と殆ど関係ないほぼ初対面の部署の上司や、僕の事をキ印だって蔑んでた上司までうちの娘を……とか、姪っ子を……って僕に紹介してきた。成程、僕の上司に伝手があるということは、それなりに魔法研究に縁のある家柄の女性って事だ。そこらの一般人より僕の仕事に理解があるし、子供の元となる配偶子を採取する前提上、どうしても女性側には少しだけ侵襲性のある施術をしなくてはならない僕の男性妊娠の魔法にも協力してくれそう。なかなかいいんじゃないか? と、思ったのだが、これも駄目。
 だって、僕がどの女性を選ぶかで上司がいい歳こいてバッチバチのガチ喧嘩するんだもん。きっと皆自分こそが僕を抱き込んで、僕は自分の派閥だと周囲に自慢したいと思っていたんだろうな。この騒動は次々に起こる揉め事にウンザリしたらしい上層部の采配によって僕が部長直属の研究者という立ち位置になり、部長直々に身辺を管理されるまで続いた。
 あれも駄目、これも駄目。困り果てた僕は、とうとう痺れを切らしまだ見ぬ未来のお嫁さんが向こうからやってくるのを待つのではなく、自分から迎えに行く事にした。要は婚活パーティーに参加する事にしたのだ。受け身では何も始まらないからね。能動的行動、大事! しかし、これも上手くいかなかった。何故なら……。
「所長、どうですか? バークレー君は連れてこられそうですか?」
「あ! お前、こんな所にまで……!」
「ちょ、バークレー君! 大公子殿下をお前なんて呼ばないの!」
 僕の家の立て付けが悪く背の低い玄関扉を身を屈めヒョイッとくぐって姿を現した人物。サラサラの見るからに手触りの良さそうな甘いミルクティー色の長髪はキッチリ編み上げ青いリボンで美しく止められている。貴人らしくその体は頭の天辺から爪先まで惜しみなく磨きあげられており、染み一つ無い肌が眩しい。背は高いのにひょろ長い印象はなく、鍛えられた逞しい体付きは男の僕でも惚れ惚れする程だ。そして、何より目を引くのはその顏。垂れ目がちの深い藍色の瞳を烟るような長いまつ毛が縁取り、高い鼻梁は真っ直ぐで、ホンノリ色付いた瑞々しい唇は柔らかく笑みを形作っている。その一つ一つが完璧で、思わず溜息が出そうな程完璧なハーモニーを作り出していた。
 僕がお前と吐き捨て、その事で所長が卒倒しそうになる程顔を青褪めさせたその相手……ダグラス・ケイン・P・エルシャーナ。エルシャーナ大公家の嫡男であり、現国王陛下の甥っ子で、国立魔法研究所の名誉顧問という名の魔法学会におけるこの国の最高権力者である。とは言ってもお飾りではなく、こいつ見た目だけでなく頭もいいので、確か世界的に有名な難関の学位を持っていたり国際的な役職もいくつも兼任してたっけ。因みに、王位継承権は第五位だ。微妙過ぎて高いんだか低いんだがわかりゃしない。何を隠そう、いや隠しきれてないけど、僕はこいつの事が大っ嫌いだった。その男が、何故か僕の家に居て、ニコニコと人好きのする笑みを僕に向けている。しかし、そんな友好的な態度を向けられたにも関わらず、僕は思いっ切り顔を顰めて見せるのだった。
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