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秘密の女子会
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「で?オルフェと相性100なんて叩き出したあなたは、オルフェがもともと好きだったわけ?女神さまにでもお願いしたの?」
先程までの深窓の令嬢か女神さまが地上にいるかのような清楚な女性から、飲み会で絡みだした先輩のようになってきた。何を聞かれても私に黙秘権はなさそう。おかしいな?さっきまで私が優勢じゃなかった?
「うっ!100なのは場合によります!っていうか、もともと相性が高かっただけです!」
私たちは場所を移してお話ししましょうということになり、ジェシカ様のお部屋に移動した。前世の話なんて完全にプライベートな話だし、その辺で話してられないものね。
「ふーん?100は滅多に出ないはずなんだけど…」
まだジェシカ様は疑っているみたい。この話は変えたいわ!なんか恥ずかしい!
「そういえば、前世がどうのって話は、こちらではどう考えられるんでしょう。」
「前世?前世は、人によってはあるって言われているよ。前世を覚えている人は今世で何か使命のようなことがある人とも言われているけど、たいていの人は前世がないか、忘れているっていう認識。でも……」
そこまで言って、ジェシカ様はカップに口をつけた。
「この世界での転生が前提みたいね。」
それは…。
「この世界での…ほかの世界からっていうのは…。」
「考えられてないんじゃない?」
そっけなくジェシカ様は言う。私たちがほかの世界から転生したってことは、やっぱり特殊なのかな。今まで誰かに言おうと思ったこともなかったけど、ほかの人には言わない方がいいかもしれない。
「そうですか…。私は一か月くらい前に記憶が戻ったんです。といっても前世のことは少ししか覚えてないんですけど。このゲームのことはよく覚えているみたいで。」
「で、さっきの好感度とか相性を見てもらうときのこともセリフも覚えてたんだ?攻略対象でもないし、こんな最初の部分のこと覚えてるなんて、どんだけやってんだよ。」
笑いながら、クッキーに手を伸ばしたジェシカ様。私も食べてみる。シンプルな丸い形で、ほんのり優しい甘みがあって、少しあった緊張も和らいだ気がする。
「で、本題。」
ジェシカ様の目がギラリと光ったような気がしてびっくりした。びっくりした拍子に、クッキーが私の手の中でパキッと割れてしまった。そして、ずいっと机から乗り出して私に近づいた。
「え?あ、はい?」
迫力に押されて、ちょっとのけぞってしまったわ。今までのはなんだったの?世間話?あと、ジェシカ様の前世や今までのことの話は?
「誰狙い?オルフェ?」
うわー!それかー!
「ええと、そう…ですかね?」
目が泳いでしまう。なんだか疑問形になってしまった。
「え?何それ?何なの?なんか迷ってるの?」
「ええと…」
はあー、言ってしまおうか。どうせ、バレるし。隠し事は苦手なんだよね。
「女神さまに言われたんです。」
「は?」
「ええと、ジェシカ様は女神さまのお告げって。」
「ああ、ノエルとアリアが聖女候補っていうのは聞いたよ。女神さまから。そっちは何を?」
「私は、オルフェをよろしくって。」
「…女神さまが?」
「はい。何度も言われました。」
「何それ?」
何それと言われても、私もよく分かりませんよ。
「推しとか、ほかに好きな人は?リアルで彼氏とか結婚とか。」
「ええと、推しはライル様で…。」
「ええ?ライルー?」
「ライル様だって頑張ってるんです!キラキラしててほっとけなくてかわいいじゃないですか!」
「えっ、あれがかわいい?えー…。」
対象外ですか。そうですか。だからってアレって、何よー!けなさないでー!
「あれ?ってことは推し変、強制?」
「あー、そうですね…。でも、ライル様と私は合わないってバッサリと女神さまが。」
「ふむ…、相性は最悪だよね。」
「さ、最悪ではないけど、悪いです。はい…。あ、でも、恋愛対象にっていうのは、ちょっと違うかなって前から思ってはいたので。」
「なるほど。まあ、実物が目の前にいると、また違うよね。」
「そうなんです!画面の向こうでゲームだからっていうのとは、やっぱり違うので。」
「で、オルフェでは?」
その話題、戻ってきたー!さっきまでのライル様の話題をバッサリ切って戻ってきたー!
「ええと、ゲーム中は逃げ回ってました。」
「逃げるほど嫌いって。一番人気キャラなのに。」
「嫌いというか、相性が高すぎて、すぐエンディングになっちゃって…。」
「あ、そっちか。てか、そんなにすぐエンドになるもの?」
「ええ、最短は1か月ちょっとか2か月だったかなと。」
「ぶふっ!狙ったんじゃなくて?」
私はコクコクとうなづく。ジェシカ様、その吹き方は外ではダメです。飲み物飲んでなくてよかったですね。
「えー、それは逃げるか。1年間のゲームなのにそんな短いんじゃ。えーでも、もったいないな。あれ?それじゃ、イベントも飛ばしてるんじゃないの?」
コクリとまたうなづいてから、私もこたえる。
「オルフェ様のイベントは、ほとんど見てないです。」
「あー、あー…。…うん。…頑張れ。超頑張って。てか、ライルからオルフェ?趣味違いすぎじゃん。女神様、なんで?てか、むしろ全然知らないんじゃ?え、まじか。…ネタバレいる?」
独り言?をつぶやいている間に、何かを察して下さったジェシカ様。攻略のネタバレの心配までして下さっている。
「…いらないです。ありがとうございます。優しさに泣きそうです。少しは知ってるので。」
「ああ、いや…、うん。頑張れ。あとは、相性でなんとでもなるか。」
「おそらく…」
お互いにテンションが落ち着いてきたというか、落ちてきた。
「「はあー……」」
同じタイミングでため息が出てくるくらい、仲良くなった私たちでした。
先程までの深窓の令嬢か女神さまが地上にいるかのような清楚な女性から、飲み会で絡みだした先輩のようになってきた。何を聞かれても私に黙秘権はなさそう。おかしいな?さっきまで私が優勢じゃなかった?
「うっ!100なのは場合によります!っていうか、もともと相性が高かっただけです!」
私たちは場所を移してお話ししましょうということになり、ジェシカ様のお部屋に移動した。前世の話なんて完全にプライベートな話だし、その辺で話してられないものね。
「ふーん?100は滅多に出ないはずなんだけど…」
まだジェシカ様は疑っているみたい。この話は変えたいわ!なんか恥ずかしい!
「そういえば、前世がどうのって話は、こちらではどう考えられるんでしょう。」
「前世?前世は、人によってはあるって言われているよ。前世を覚えている人は今世で何か使命のようなことがある人とも言われているけど、たいていの人は前世がないか、忘れているっていう認識。でも……」
そこまで言って、ジェシカ様はカップに口をつけた。
「この世界での転生が前提みたいね。」
それは…。
「この世界での…ほかの世界からっていうのは…。」
「考えられてないんじゃない?」
そっけなくジェシカ様は言う。私たちがほかの世界から転生したってことは、やっぱり特殊なのかな。今まで誰かに言おうと思ったこともなかったけど、ほかの人には言わない方がいいかもしれない。
「そうですか…。私は一か月くらい前に記憶が戻ったんです。といっても前世のことは少ししか覚えてないんですけど。このゲームのことはよく覚えているみたいで。」
「で、さっきの好感度とか相性を見てもらうときのこともセリフも覚えてたんだ?攻略対象でもないし、こんな最初の部分のこと覚えてるなんて、どんだけやってんだよ。」
笑いながら、クッキーに手を伸ばしたジェシカ様。私も食べてみる。シンプルな丸い形で、ほんのり優しい甘みがあって、少しあった緊張も和らいだ気がする。
「で、本題。」
ジェシカ様の目がギラリと光ったような気がしてびっくりした。びっくりした拍子に、クッキーが私の手の中でパキッと割れてしまった。そして、ずいっと机から乗り出して私に近づいた。
「え?あ、はい?」
迫力に押されて、ちょっとのけぞってしまったわ。今までのはなんだったの?世間話?あと、ジェシカ様の前世や今までのことの話は?
「誰狙い?オルフェ?」
うわー!それかー!
「ええと、そう…ですかね?」
目が泳いでしまう。なんだか疑問形になってしまった。
「え?何それ?何なの?なんか迷ってるの?」
「ええと…」
はあー、言ってしまおうか。どうせ、バレるし。隠し事は苦手なんだよね。
「女神さまに言われたんです。」
「は?」
「ええと、ジェシカ様は女神さまのお告げって。」
「ああ、ノエルとアリアが聖女候補っていうのは聞いたよ。女神さまから。そっちは何を?」
「私は、オルフェをよろしくって。」
「…女神さまが?」
「はい。何度も言われました。」
「何それ?」
何それと言われても、私もよく分かりませんよ。
「推しとか、ほかに好きな人は?リアルで彼氏とか結婚とか。」
「ええと、推しはライル様で…。」
「ええ?ライルー?」
「ライル様だって頑張ってるんです!キラキラしててほっとけなくてかわいいじゃないですか!」
「えっ、あれがかわいい?えー…。」
対象外ですか。そうですか。だからってアレって、何よー!けなさないでー!
「あれ?ってことは推し変、強制?」
「あー、そうですね…。でも、ライル様と私は合わないってバッサリと女神さまが。」
「ふむ…、相性は最悪だよね。」
「さ、最悪ではないけど、悪いです。はい…。あ、でも、恋愛対象にっていうのは、ちょっと違うかなって前から思ってはいたので。」
「なるほど。まあ、実物が目の前にいると、また違うよね。」
「そうなんです!画面の向こうでゲームだからっていうのとは、やっぱり違うので。」
「で、オルフェでは?」
その話題、戻ってきたー!さっきまでのライル様の話題をバッサリ切って戻ってきたー!
「ええと、ゲーム中は逃げ回ってました。」
「逃げるほど嫌いって。一番人気キャラなのに。」
「嫌いというか、相性が高すぎて、すぐエンディングになっちゃって…。」
「あ、そっちか。てか、そんなにすぐエンドになるもの?」
「ええ、最短は1か月ちょっとか2か月だったかなと。」
「ぶふっ!狙ったんじゃなくて?」
私はコクコクとうなづく。ジェシカ様、その吹き方は外ではダメです。飲み物飲んでなくてよかったですね。
「えー、それは逃げるか。1年間のゲームなのにそんな短いんじゃ。えーでも、もったいないな。あれ?それじゃ、イベントも飛ばしてるんじゃないの?」
コクリとまたうなづいてから、私もこたえる。
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「あー、あー…。…うん。…頑張れ。超頑張って。てか、ライルからオルフェ?趣味違いすぎじゃん。女神様、なんで?てか、むしろ全然知らないんじゃ?え、まじか。…ネタバレいる?」
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「ああ、いや…、うん。頑張れ。あとは、相性でなんとでもなるか。」
「おそらく…」
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