乙女ゲームで女の子同士で仲良くしながら楽しい学校生活を送りたいので攻略対象の皆様はご遠慮ください

高橋 遊

文字の大きさ
上 下
18 / 24

聖女候補になりましたその4

しおりを挟む
聖属性か光属性がある人が聖女候補になるけれど。私とアリアちゃんはまだステータスの検査を受けていないから、属性は基本的には分からないはずなのよね。

「お二人が選ばれた理由は…。女神さまからのお告げがあったからです。」
ジェシカ様がにこりと笑って教えてくれたけど…忘れてたよー!そうだ、女神さまがもう伝えてあるとかなんとか言ってたー!でもそういえばゲームでも確かお告げだったはずだよー!

「えええ!?め、女神様から…ですか…?」
アリアちゃんも、目が大きく見開いちゃってる。

「はい、女神様からのお告げで聖女や聖女候補が決まることはときどきあるのですよ。ただ、そのときは何か大きな出来事がある場合が多く、それに対応できるものが選ばれると考えられています。」

大きな出来事…。
私とアリアちゃんは顔を見合わせた。大きな出来事があるって……。
山でドラゴンと戦うくらいしかなかったんじゃない?あとは疫病だっけ?ほかはなんだっけ?オルフェ様?オルフェ様を女神さまにすごく勧められてるからあと浮かばないわ。

「まだ分かっている予兆はありません。それに、おそらく聖女になってからだと思います。焦らずに学んでいけば、おのずと力もついていくでしょう。」
ジェシカ様は落ち着いた声で淡々とおっしゃっているけど。聖女になったあとのことはどうだろう。聖女になったところでエンディングだし、後日談みたいなのもあるけど、事件みたいなのはなかったんじゃないかな。ジェシカ様以外の二人の聖女は40歳以上だったよね。私たちが聖女の間に起こることすべてを知ってるわけじゃないし。そこまで考えても仕方ないか。

「分かりました。」
アリアちゃんは真剣な顔になった。

「ノエルさんは?」
ロイド様が私に質問ないかと聞いてくれるけど。えーと、私は。

・質問はありません。
・お休みはいつですか?
・聖女候補は何をするのですか?

「聖女候補は何をするのですか?」
本当は質問はない。知ってるし。それに、この部分は…というか今日は、ゲームではチュートリアルのような部分で、あとのゲーム展開には大きな影響はしない。多少、好感度や相性、ヒロインの考え方には影響はあるんだけど。ただ、今はゲームではないので、やる気がないと思われるとあとで困るかもしれないと思って。

「聖女は、悪しき力や思念を寄せ付けない結界を張ったり、女神や精霊からの祝福が得られるように祈ったり、人や物、土地などの呪いや穢れの浄化、毒や麻痺や精神異常などの状態異常になった人の回復、病気や怪我の回復など多岐にわたります。」
ジェシカ様、うん、聖女はそうですね。

「そして聖女候補は、聖女のそういった術を使えるように修行したり、けがや病気を治療する薬を作ったり、魔石という魔法の力を蓄えられる石に力を込めて守護石を作れるようにします。」

「守護石というと、城にあるような…。」
国を守る守護石が王城にあるのだ。厳重保管されていて、公開されていない。

「そこまでのものは作りませんね。都市の門などにある物理攻撃軽減の守護石や、一般の人が教会で受けられる子供用の病気や怪我の軽減の守護石などです。この子供用のものはよく作ることになりますね。あなた達も持っていませんか?」

「持っています!」
「あります。」
アリアちゃんは元気よく答え、わたしも持っていると伝えた。子供用のお守りは、三センチくらいの楕円形の白や透明、薄紅色など何色かある石を選んで、その場で紐を通してもらい、ペンダントにしてもらうのだ。そのままペンダントとして身に着けるもよし、腕輪にするもよしだが、紐はお守りである石をなくさないように切れないよう魔法で加工をされるので切ることはできない。成人するまではマール王国では必ずみんな身に着けている。そっか、あれも聖女様たちが作っていたのね。

「魔石に力を込めるのは、魔法士もやることです。彼らは主に様々なことを便利に行うために、魔石に力を込めて魔法石にします。すぐに髪を乾かしたり、部屋の明かりをボタン一つですぐつけられるのも、魔法石のおかげですよね。聖女や聖女候補は守るためもの、あるいは誰かや何かを回復させるものが主な用途として、守護石を作ります。」

「なるほど、わかりました。ありがとうございます。」
ジェシカ様の説明で、そういえばそうだったと思った。この世界は、電気はないのよね。だから、特定の魔法をためていて使用可能回数が決まっている魔法石か、魔力だけためてあって、ある程度好きな用途に使える魔力石がある。あまりにも普通に生活していたから、忘れていたわよ。

ほかには質問は何もなかったので、「じゃあ、来週からよろしくお願いします。」というロイド様の言葉で終わり。
さて、教会に行きますか!

しおりを挟む
お読みいただきありがとうございます!
感想 0

あなたにおすすめの小説

星の聖女見習い

みこと
ファンタジー
この大陸には「奈落の地」という謎に包まれた広大な土地がある。 大陸の国々は「瘴気」と呼ばれる靄に覆われている。 数年から十数年間隔で「奈落の地」より魔物が溢れ、人の住む領域に侵入してくるのである。 これが「スタンピード」と呼ばれている現象である。 この「スタンピード」によって、大陸に住む人類は滅亡の危機に直面するが、唯一神である女神アストレアによって加護を授けられた「聖女」によって、人類滅亡の危機はひとまず回避した。 大陸の南東の辺境にあるベツレヘム王国は、「奈落の地」からも遠く離れており、100年以上スタンピードの脅威にさらされておらず、貴族との癒着により教会は腐敗した。 その中で真面目に修行に励む聖女見習いの物語。

強制力がなくなった世界に残されたものは

りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った 令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達 世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか その世界を狂わせたものは

お嬢様はお亡くなりになりました。

豆狸
恋愛
「お嬢様は……十日前にお亡くなりになりました」 「な……なにを言っている?」

乙女ゲームの悪役令嬢に転生したけど何もしなかったらヒロインがイジメを自演し始めたのでお望み通りにしてあげました。魔法で(°∀°)

ラララキヲ
ファンタジー
 乙女ゲームのラスボスになって死ぬ悪役令嬢に転生したけれど、中身が転生者な時点で既に乙女ゲームは破綻していると思うの。だからわたくしはわたくしのままに生きるわ。  ……それなのにヒロインさんがイジメを自演し始めた。ゲームのストーリーを展開したいと言う事はヒロインさんはわたくしが死ぬ事をお望みね?なら、わたくしも戦いますわ。  でも、わたくしも暇じゃないので魔法でね。 ヒロイン「私はホラー映画の主人公か?!」  『見えない何か』に襲われるヒロインは──── ※作中『イジメ』という表現が出てきますがこの作品はイジメを肯定するものではありません※ ※作中、『イジメ』は、していません。生死をかけた戦いです※ ◇テンプレ乙女ゲーム舞台転生。 ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇なろうにも上げてます。

番から逃げる事にしました

みん
恋愛
リュシエンヌには前世の記憶がある。 前世で人間だった彼女は、結婚を目前に控えたある日、熊族の獣人の番だと判明し、そのまま熊族の領地へ連れ去られてしまった。それからの彼女の人生は大変なもので、最期は番だった自分を恨むように生涯を閉じた。 彼女は200年後、今度は自分が豹の獣人として生まれ変わっていた。そして、そんな記憶を持ったリュシエンヌが番と出会ってしまい、そこから、色んな事に巻き込まれる事になる─と、言うお話です。 ❋相変わらずのゆるふわ設定で、メンタルも豆腐並なので、軽い気持ちで読んで下さい。 ❋独自設定有りです。 ❋他視点の話もあります。 ❋誤字脱字は気を付けていますが、あると思います。すみません。

聖女は魔女の濡れ衣を被せられ、魔女裁判に掛けられる。が、しかし──

naturalsoft
ファンタジー
聖女シオンはヒーリング聖王国に遥か昔から仕えて、聖女を輩出しているセイント伯爵家の当代の聖女である。 昔から政治には関与せず、国の結界を張り、周辺地域へ祈りの巡礼を日々行っていた。 そんな中、聖女を擁護するはずの教会から魔女裁判を宣告されたのだった。 そこには教会が腐敗し、邪魔になった聖女を退けて、教会の用意した従順な女を聖女にさせようと画策したのがきっかけだった。

変な転入生が現れましたので色々ご指摘さしあげたら、悪役令嬢呼ばわりされましたわ

奏音 美都
恋愛
上流階級の貴族子息や令嬢が通うロイヤル学院に、庶民階級からの特待生が転入してきましたの。  スチュワートやロナルド、アリアにジョセフィーンといった名前が並ぶ中……ハルコだなんて、おかしな

【完結】私ですか?ただの令嬢です。

凛 伊緒
恋愛
死んで転生したら、大好きな乙女ゲーの世界の悪役令嬢だった!? バッドエンドだらけの悪役令嬢。 しかし、 「悪さをしなければ、最悪な結末は回避出来るのでは!?」 そう考え、ただの令嬢として生きていくことを決意する。 運命を変えたい主人公の、バッドエンド回避の物語! ※完結済です。 ※作者がシステムに不慣れかつ創作初心者な時に書いたものなので、温かく見守っていだければ幸いです……(。_。///) ※ご感想・ご指摘につきましては、近況ボードをお読みくださいませ。 《皆様のご愛読に、心からの感謝を申し上げますm(*_ _)m》

処理中です...