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入学式当日その10
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入学式がやっと始まりました。
濃い一日だわ。まだ式が始まったばかりなのに、もう一日の体力と精神力は使い果たした気分よ。
まだ聖女候補と言われていないわ。ロイド様にも会っていないし。知り合いなんだけど、この人が一番濃かったらどうしよう。
だって、ライル様には先ほど会ってしまうし、たぶん嫌われたし、もしかしたら接点ももうないかもしれないし。
女神さまにライル様と私は(恋愛的に)合わないという主旨のことをバッサリと言われて約一か月。
一応気持ちの整理はできたと思っていた。推しとは言っても、その推しと現実で恋愛するのはまた別の話だし。
で、実際にライル様に会ってしまって、この人を応援したいという気持ちはやっぱりあった。
恋愛するかというのは、ちょっと分からない。
でも、女神さまにはオルフェ様と相性最高だからと言われているし、よろしくとも言われていて。
なんというか、女神さまから見ると、私とオルフェ様は固定カップルと決まっているような言い方に聞こえるのよね。…ま、まあ、それはさておき。
オルフェ様にもう会ってしまったわけなのだけれど、ゲームでの出会いとはタイミングが違っていて、見覚えがないシーンなのになぜか選択肢が出ていた。選択肢が浮かぶのは、ゲームのときの仕様と同じってことなのかしら?
私、不審者扱いされてたわよね?あれでこの後、ゲームの初対面と同じ出会いのシーンがあるの…?
「それでは、聖女ジェシカ様に、新入生へ祝福をしていただきます。」
講堂の舞台上にいる先生のアナウンスに、やっと考え事をやめてそちらに目を向けた。
舞台の中央に向かって、白いドレスの女性が歩いていく。腕も首も靴まで隠れる清楚なドレスを身にまとって、手袋もしている。パーマみたいにウェーブしている腰くらいまである金髪が美しい。舞台の中央にたどり着いた彼女が前を向いた。
「新入生、黙祷を始めてください。」
また、先生によるアナウンスが入る。
先ほど教室でのホームルームでも、聖女による祝福があるから、黙祷と言われたら目を閉じて少し頭を下げておくように言われたのよね。アナウンスに従って、私は目を閉じた。これからの学生生活を無事に過ごせるよう、聖女が祈ってくれるという。この祝福には、これから受けるケガや病気などの災いを軽減してくれたり、自分が危険な考えに染まりにくくしてくれるような効果があるらしい。
「マール王国高等学校の新入生たちの、健やかな成長を願います。」
光ってる!?聖女ジェシカ様の声が聞こえてきてから、目を閉じていても分かるほど、光を感じる。
最初は強く感じたけれど、数秒すると慣れた。でも、なぜか光が行ったり来たりしているような感じがする。あ、さっきも講堂にいっぱいいた妖精さんかしら?
それにしても、この聖女の祝福、私も聖女になったらやるのよね。今どうなっているのか見られないのは残念だわ。
「聖女ジェシカ様に祝福していただきました。新入生、黙祷を終わりにして結構です。」
なんだか、結構時間がたっていたような気がするわ。
一分とか数分なんでしょうけど。
そのあとは新入生の挨拶や校長の話などがあって入学式はつつがなく終わった。
再び教室に戻ってホームルーム。
ジェシカ様、キレイだったわ。エンディング後も一緒に聖女として活動するのは、現役三人の聖女のうち彼女だけ。ほかの二人の聖女は、私とアリアちゃんが聖女になったら引退。私かアリアちゃんどちらか片方だけでも、たぶんお二人とも引退するんでしょうね。力が弱まってしまっているから。ずっと聖女というわけではないのだ。
「では、ホームルームを終わります。気を付けて帰ってくださいね。」
あ、あれ?終わってしまったわ?
「アリアさん、ノエルさん、こちらに来てください。」
あ、大丈夫だったみたい。
「「はい」」
アリアちゃんとハモりながら返事をして、先生の所に行く。
「これから、応接室で二人にお話しがあります。別の先生が迎えに来てくれますので、用意して教室で待っていてください。」
「え!?応接室に?なんでですか?」
驚いたアリアちゃんが先生に質問してる。えーと、ノエルのセリフは…。
・なぜ二人で?
・応接室ですか?
・今日は帰りたいです…
最後の選択肢は無しです!
「応接室ですか?」
私も質問した。『なぜ二人で?』だと、ゲームではアリアちゃんの好感度が下がったはず。あなたと一緒なんて嫌だって言ってるみたいに聞こえるってことなのかな。
「詳しいことは先生も聞いていないんです。すみませんが応接室で聞いてくださいね。」
「はい、分かりました。」
私はうなづいてそう返事をした。
「えええー!?私、何かやらかしちゃったのー!?」
アリアちゃんは動揺してるみたい。普通は呼び出しは驚くよね。
「きっと、大丈夫ですよ。私は恥じるようなことをしていないですから。」
私は自信があるように見せて断言した。まさか自分がこんなことを言うとは!ゲームのノエルちゃんすごいな!
「あ、そっか、ノエル様も一緒だもんね!じゃあ、怒られるときは一緒だね!えへへ!」
怒られる前提なのはなんでなのかしらね。
「褒められることかもしれませんよ?」
「ええ?なんだろうー?」
アリアちゃんの悩み相談、応接室に着くまで続いてました。
濃い一日だわ。まだ式が始まったばかりなのに、もう一日の体力と精神力は使い果たした気分よ。
まだ聖女候補と言われていないわ。ロイド様にも会っていないし。知り合いなんだけど、この人が一番濃かったらどうしよう。
だって、ライル様には先ほど会ってしまうし、たぶん嫌われたし、もしかしたら接点ももうないかもしれないし。
女神さまにライル様と私は(恋愛的に)合わないという主旨のことをバッサリと言われて約一か月。
一応気持ちの整理はできたと思っていた。推しとは言っても、その推しと現実で恋愛するのはまた別の話だし。
で、実際にライル様に会ってしまって、この人を応援したいという気持ちはやっぱりあった。
恋愛するかというのは、ちょっと分からない。
でも、女神さまにはオルフェ様と相性最高だからと言われているし、よろしくとも言われていて。
なんというか、女神さまから見ると、私とオルフェ様は固定カップルと決まっているような言い方に聞こえるのよね。…ま、まあ、それはさておき。
オルフェ様にもう会ってしまったわけなのだけれど、ゲームでの出会いとはタイミングが違っていて、見覚えがないシーンなのになぜか選択肢が出ていた。選択肢が浮かぶのは、ゲームのときの仕様と同じってことなのかしら?
私、不審者扱いされてたわよね?あれでこの後、ゲームの初対面と同じ出会いのシーンがあるの…?
「それでは、聖女ジェシカ様に、新入生へ祝福をしていただきます。」
講堂の舞台上にいる先生のアナウンスに、やっと考え事をやめてそちらに目を向けた。
舞台の中央に向かって、白いドレスの女性が歩いていく。腕も首も靴まで隠れる清楚なドレスを身にまとって、手袋もしている。パーマみたいにウェーブしている腰くらいまである金髪が美しい。舞台の中央にたどり着いた彼女が前を向いた。
「新入生、黙祷を始めてください。」
また、先生によるアナウンスが入る。
先ほど教室でのホームルームでも、聖女による祝福があるから、黙祷と言われたら目を閉じて少し頭を下げておくように言われたのよね。アナウンスに従って、私は目を閉じた。これからの学生生活を無事に過ごせるよう、聖女が祈ってくれるという。この祝福には、これから受けるケガや病気などの災いを軽減してくれたり、自分が危険な考えに染まりにくくしてくれるような効果があるらしい。
「マール王国高等学校の新入生たちの、健やかな成長を願います。」
光ってる!?聖女ジェシカ様の声が聞こえてきてから、目を閉じていても分かるほど、光を感じる。
最初は強く感じたけれど、数秒すると慣れた。でも、なぜか光が行ったり来たりしているような感じがする。あ、さっきも講堂にいっぱいいた妖精さんかしら?
それにしても、この聖女の祝福、私も聖女になったらやるのよね。今どうなっているのか見られないのは残念だわ。
「聖女ジェシカ様に祝福していただきました。新入生、黙祷を終わりにして結構です。」
なんだか、結構時間がたっていたような気がするわ。
一分とか数分なんでしょうけど。
そのあとは新入生の挨拶や校長の話などがあって入学式はつつがなく終わった。
再び教室に戻ってホームルーム。
ジェシカ様、キレイだったわ。エンディング後も一緒に聖女として活動するのは、現役三人の聖女のうち彼女だけ。ほかの二人の聖女は、私とアリアちゃんが聖女になったら引退。私かアリアちゃんどちらか片方だけでも、たぶんお二人とも引退するんでしょうね。力が弱まってしまっているから。ずっと聖女というわけではないのだ。
「では、ホームルームを終わります。気を付けて帰ってくださいね。」
あ、あれ?終わってしまったわ?
「アリアさん、ノエルさん、こちらに来てください。」
あ、大丈夫だったみたい。
「「はい」」
アリアちゃんとハモりながら返事をして、先生の所に行く。
「これから、応接室で二人にお話しがあります。別の先生が迎えに来てくれますので、用意して教室で待っていてください。」
「え!?応接室に?なんでですか?」
驚いたアリアちゃんが先生に質問してる。えーと、ノエルのセリフは…。
・なぜ二人で?
・応接室ですか?
・今日は帰りたいです…
最後の選択肢は無しです!
「応接室ですか?」
私も質問した。『なぜ二人で?』だと、ゲームではアリアちゃんの好感度が下がったはず。あなたと一緒なんて嫌だって言ってるみたいに聞こえるってことなのかな。
「詳しいことは先生も聞いていないんです。すみませんが応接室で聞いてくださいね。」
「はい、分かりました。」
私はうなづいてそう返事をした。
「えええー!?私、何かやらかしちゃったのー!?」
アリアちゃんは動揺してるみたい。普通は呼び出しは驚くよね。
「きっと、大丈夫ですよ。私は恥じるようなことをしていないですから。」
私は自信があるように見せて断言した。まさか自分がこんなことを言うとは!ゲームのノエルちゃんすごいな!
「あ、そっか、ノエル様も一緒だもんね!じゃあ、怒られるときは一緒だね!えへへ!」
怒られる前提なのはなんでなのかしらね。
「褒められることかもしれませんよ?」
「ええ?なんだろうー?」
アリアちゃんの悩み相談、応接室に着くまで続いてました。
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