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聖女候補になりました
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応接室に到着した私とアリアちゃん。
そこにはこのマール王国高等学校の学長のアシュレイ先生、聖女であるジェシカ様、このマール王国の教会のトップである大神官ロイド様、そしてマール王国の騎士団の魔法騎士であるオルフェ様が待っていた。
いきなりこのメンバーに囲まれたら、固まるわよ。こちらはただの新入生なのだ。
「アリアさん、ノエルさん、入学おめでとう。入学式でも挨拶したが、学長のアシュレイだ。呼び出されて驚いただろう。」
アシュレイ先生に椅子をすすめられ、お茶もお菓子も目の前にあるけれど、とても手を伸ばす雰囲気ではないわ。
人のよさそうなグレーの髪と目のおじいさん先生であるアシュレイ先生はにこやかに歓迎してくれた。
ジェシカ様とロイド様は微笑んでるけど、オルフェ様は…。部屋に私が入ったときに目が合った気がしたんだけど……、今は無表情に見えるわ。さっき会ったのは私だと分かってくれているかしら?でもさっきの廊下ではなんだか微妙なやりとりだったけどね。
「お二人を呼んだのは、わたくしです。」
聖女ジェシカ様の、優しく鈴のなるような声が響く。
長くウェーブしている金髪が白いドレスとよく合っているし、優し気に茶色の目で微笑んでいる。
慈愛に満ちたその表情とたたずまいを見ていると、思わず女神様と呼んでしまいそうだ。
「ノエル、そしてアリア。あなたたち二人は、次代の聖女になる素質をもっています。」
「えっ!?わたしが聖女に!?何でですか?聖女様は今三人いらっしゃるでしょう?」
アリアちゃんがそう言うのも無理はない。
この国には、目の前にいらっしゃるジェシカ様を含めて、現在三人の聖女がいる。
私たちのいるマール王国では常に、聖女は三人から五人程度いるのだ。
「私以外の二人は、だんだん力が弱まってきているのです。聖女としての素質である聖属性か光属性を持つ人を聖女候補として教育します。女性ではなく男性の場合は、聖人と呼ばれます。そして、現役の聖女の力が極端に弱まると、聖女を引退するのです。」
「じゃあ、お二人は引退してしまうんですか?」
アリアちゃんは不安そうにしている。
「そうなるでしょう。それがいつであるかは、はっきりとは分かりません。」
「そうですか…。」
アリアちゃん、聖女が引退するってことは知らなかったみたい。少しショックを受けているようね。
「私以外の二人は、今日はほかの場所で仕事をしています。ですので、後日紹介しますね。」
「はい、ありがとうございます。」
「ありがとうございます。」
「あなたたちには、聖女になる素質があります。候補である間も聖女の仕事の一部をしていただきます。ですが、一人で仕事をするのは修行してからですよ。修行には、私やほかの二人の聖女も教育に当たりますし、……教会でも支援していただけるのですよね?」
「もちろん、喜んで支援しますよ。教会で大神官をやっているロイドです。よろしく、アリアさん。ノエルさんも。」
「よろしくお願いします。」
「ノエルと申します。よろしくお願いいたします。」
私はロイド様とは知り合いだけれど、普通に挨拶をする。
私が宰相である父の職場である王城についていったことが何度かあって、当時王城でロイド様にもお会いしたことが何度かあったし、我が屋敷にも何度かいらしていたのよね。
「さて、教会としても、聖女候補の教育にはかかわっていきます。基本的にはあなた達にはマール聖教会…学校のすぐそばのあの大きな教会。あの教会で教育を受けてもらいます。学校の授業日程にもよるけど、たいてい午前中か午後2時には授業が終わるはず。だから、平日なら週2、3回は教会で勉強してもらいます。土日は未定です。教会の仕事は土日に多いですから、まだなんとも。来られる日を前の週くらいまでに伝えておいてもらえるとスムーズに教えられます。いつ来るかを伝えてないと、教える人がいなくて自習してもらうことが多くなってしまうと思います。覚えてもらいたいことは多いから、なるべく協力してもらえるとありがたいですね。」
「分かりました。」
「分かりましたわ。」
「それと、ほかの地域に行ってもらうことも出てくるはずだから。そのときもその地域の教会が仕事や勉強、寝泊まりの拠点になります。そこに行くまでは宿をとるか、野宿もあるでしょうね。そんなときのために騎士団にも協力してもらいます。」
「マール王国騎士団所属、第三騎士団団長のオルフェだ。第三騎士団で普段の聖女候補の警護を行うことになった。」
オルフェ様が自己紹介した。そうね、団長さんだったわね、オルフェ様。
「アリアです。よろしくお願いします。」
「ノエルと申します。よろしくお願いいたします。」
再び私たちも自己紹介。
「第三は最近できたんだよね?」
ロイド様が質問している。
「はい、5年前にできたばかりです。魔法騎士で構成されています。」
あ、オルフェ様が敬語を使っているわ。
「魔法騎士?」
アリアちゃんは不思議そうに言った。
「魔法騎士は剣も魔法も使って多様な任務にあたる。騎士であり、魔法士でもある。騎士として戦えるのはもちろん、宮廷魔法士と同じくらいの攻撃魔法や補助魔法や回復魔法の使い手もいる。魔法騎士は戦闘時の攻守においては遠距離も近距離も得意としている。」
オルフェ様が説明してくれる。つまり、なんでもできてすごいってことね。
「聖女の警護って第一だったよね?王族は第一がやっていたでしょう?」
「はい、聖女の警護は第一騎士団と宮廷魔法士が行っております。王族と同じ扱いです。」
あ、そうなんだ。なんか、ゲームで聞いたことあったような気もするけどちゃんと聞いてなかったわね。
っていうかオルフェ様のイベントなんてほとんど見る前にエンディングになっちゃってたから。
そこにはこのマール王国高等学校の学長のアシュレイ先生、聖女であるジェシカ様、このマール王国の教会のトップである大神官ロイド様、そしてマール王国の騎士団の魔法騎士であるオルフェ様が待っていた。
いきなりこのメンバーに囲まれたら、固まるわよ。こちらはただの新入生なのだ。
「アリアさん、ノエルさん、入学おめでとう。入学式でも挨拶したが、学長のアシュレイだ。呼び出されて驚いただろう。」
アシュレイ先生に椅子をすすめられ、お茶もお菓子も目の前にあるけれど、とても手を伸ばす雰囲気ではないわ。
人のよさそうなグレーの髪と目のおじいさん先生であるアシュレイ先生はにこやかに歓迎してくれた。
ジェシカ様とロイド様は微笑んでるけど、オルフェ様は…。部屋に私が入ったときに目が合った気がしたんだけど……、今は無表情に見えるわ。さっき会ったのは私だと分かってくれているかしら?でもさっきの廊下ではなんだか微妙なやりとりだったけどね。
「お二人を呼んだのは、わたくしです。」
聖女ジェシカ様の、優しく鈴のなるような声が響く。
長くウェーブしている金髪が白いドレスとよく合っているし、優し気に茶色の目で微笑んでいる。
慈愛に満ちたその表情とたたずまいを見ていると、思わず女神様と呼んでしまいそうだ。
「ノエル、そしてアリア。あなたたち二人は、次代の聖女になる素質をもっています。」
「えっ!?わたしが聖女に!?何でですか?聖女様は今三人いらっしゃるでしょう?」
アリアちゃんがそう言うのも無理はない。
この国には、目の前にいらっしゃるジェシカ様を含めて、現在三人の聖女がいる。
私たちのいるマール王国では常に、聖女は三人から五人程度いるのだ。
「私以外の二人は、だんだん力が弱まってきているのです。聖女としての素質である聖属性か光属性を持つ人を聖女候補として教育します。女性ではなく男性の場合は、聖人と呼ばれます。そして、現役の聖女の力が極端に弱まると、聖女を引退するのです。」
「じゃあ、お二人は引退してしまうんですか?」
アリアちゃんは不安そうにしている。
「そうなるでしょう。それがいつであるかは、はっきりとは分かりません。」
「そうですか…。」
アリアちゃん、聖女が引退するってことは知らなかったみたい。少しショックを受けているようね。
「私以外の二人は、今日はほかの場所で仕事をしています。ですので、後日紹介しますね。」
「はい、ありがとうございます。」
「ありがとうございます。」
「あなたたちには、聖女になる素質があります。候補である間も聖女の仕事の一部をしていただきます。ですが、一人で仕事をするのは修行してからですよ。修行には、私やほかの二人の聖女も教育に当たりますし、……教会でも支援していただけるのですよね?」
「もちろん、喜んで支援しますよ。教会で大神官をやっているロイドです。よろしく、アリアさん。ノエルさんも。」
「よろしくお願いします。」
「ノエルと申します。よろしくお願いいたします。」
私はロイド様とは知り合いだけれど、普通に挨拶をする。
私が宰相である父の職場である王城についていったことが何度かあって、当時王城でロイド様にもお会いしたことが何度かあったし、我が屋敷にも何度かいらしていたのよね。
「さて、教会としても、聖女候補の教育にはかかわっていきます。基本的にはあなた達にはマール聖教会…学校のすぐそばのあの大きな教会。あの教会で教育を受けてもらいます。学校の授業日程にもよるけど、たいてい午前中か午後2時には授業が終わるはず。だから、平日なら週2、3回は教会で勉強してもらいます。土日は未定です。教会の仕事は土日に多いですから、まだなんとも。来られる日を前の週くらいまでに伝えておいてもらえるとスムーズに教えられます。いつ来るかを伝えてないと、教える人がいなくて自習してもらうことが多くなってしまうと思います。覚えてもらいたいことは多いから、なるべく協力してもらえるとありがたいですね。」
「分かりました。」
「分かりましたわ。」
「それと、ほかの地域に行ってもらうことも出てくるはずだから。そのときもその地域の教会が仕事や勉強、寝泊まりの拠点になります。そこに行くまでは宿をとるか、野宿もあるでしょうね。そんなときのために騎士団にも協力してもらいます。」
「マール王国騎士団所属、第三騎士団団長のオルフェだ。第三騎士団で普段の聖女候補の警護を行うことになった。」
オルフェ様が自己紹介した。そうね、団長さんだったわね、オルフェ様。
「アリアです。よろしくお願いします。」
「ノエルと申します。よろしくお願いいたします。」
再び私たちも自己紹介。
「第三は最近できたんだよね?」
ロイド様が質問している。
「はい、5年前にできたばかりです。魔法騎士で構成されています。」
あ、オルフェ様が敬語を使っているわ。
「魔法騎士?」
アリアちゃんは不思議そうに言った。
「魔法騎士は剣も魔法も使って多様な任務にあたる。騎士であり、魔法士でもある。騎士として戦えるのはもちろん、宮廷魔法士と同じくらいの攻撃魔法や補助魔法や回復魔法の使い手もいる。魔法騎士は戦闘時の攻守においては遠距離も近距離も得意としている。」
オルフェ様が説明してくれる。つまり、なんでもできてすごいってことね。
「聖女の警護って第一だったよね?王族は第一がやっていたでしょう?」
「はい、聖女の警護は第一騎士団と宮廷魔法士が行っております。王族と同じ扱いです。」
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