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聖女候補になりましたその2
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「聖女と聖女候補では、警護する騎士団が違うので、注意してください。君たち聖女候補を警護するのは、彼のように黒い制服の人たちの第三騎士団で、ほら、彼のように胸や左腕に国の紋章がついています。聖女を警護するのは白い制服の人たちです。彼らにも同じく紋章がついてます。宮廷魔法士たちは…黒いローブだったり、こんな感じの杖を持っていたりするので、一目で騎士ではないと分かるでしょう。」
ロイド様が説明してくれる。身振り手振りで第三騎士団の服装をオルフェ様を例に教えてくれたり、自分の持っている木の枝の絡まったような形状の杖をかざしてこんな杖だと見せたりしてくれる。それに合わせて彼の金髪の前髪も揺れている。昔は髪を伸ばしてみつあみだったけれど、今はショートカットくらいに短くしている…男性もショートカットっていうのかしら?
説明とか教えるのは昔から得意なようね。
それにしても、第一騎士団と宮廷魔法士で王族や聖女を守るんだっけ。だから警備には宮廷魔法士もいるのね。
「君たちがほかの地域に行くときだけじゃなくて、普段も第三騎士団は警護についていると思っておいてくださいね。黒い服の人たちだけど、怪しくないよ?…きっと。」
ちらりとロイド様がオルフェ様に目線を送る。
「当たり前です。」
憮然としたオルフェ様がこたえた。
「ふふっ、分かりました。」
アリアちゃんが笑って答えた。
私は…また選択肢が浮かんでいた。
・大丈夫です。
・ふふ、頼りにしていますね。
・確かに、ちょっと怪しい…?
「確かに、ちょっと怪しい…?黒づくめだし。」
うん、黒い服はちょっと怪しいのよね。騎士服だとは思うんだけど、全身黒で服の裾に入っているラインも暗めな紺だし。紋章は胸も左の袖も金の刺繍だけど、服のボタンもツヤのない黒。夜の活動には向いていそうだけど、昼間はどう見ても存在感が強い。この選択肢は選んではいけないだろうとは思っているし、たぶんゲームで選んだことはない…と思う。気になってたけど、ここは『大丈夫です。』か『ふふ、頼りにしていますね。』なのよね。
「…!」
え?オルフェ様の切れ長の金色の目が一瞬見開いてた!
そして不機嫌そうな表情で私から目をそらした!
えっ…まさか私、声に出てた!?
「ぷくくくっ!まあ、全身ほぼ黒いからねえ。…ちょっと団長さん、ふてくされないで。…はははっ」
ロイド様、笑ってる場合じゃないのよ!あなたの笑いのツボはどうなってるの、あなた大神官様でしょ!ちょっと!
恥ずかしい!というかでもオルフェ様にひどいことを言ってしまった。どうしよう!ロイド様!?まだ笑ってるの!?当てにならないなー!
「あの、失礼なことを言ってしまい、すみませんでした。皆さんと顔見知りになれば大丈夫だと思います。」
フォローになったかわからないけど、顔見知りなら大丈夫と言ってみる。怪しいの選択肢を選んだことがないので、そのあとどうやってフォローしていたのか、それとも違う話になって終わったのかは知らないわ!でもなんとかしないと!
「ああ、確かに、知ってる人なら大丈夫だね。警護するほうもされるほうも、お互い知ってると知っていないとでは何かと違いがあるだろうから。悪い人も黒い服が多いからね、警戒しちゃうよね。くくくっ」
ロイド様、話を合わせてくれるのはありがたいです。でも言葉遣いが砕けてしまってますよ。あといつまで笑ってるんですか!
「…、あとで全員顔合わせをさせよう。」
オルフェ様が憮然としたまま、そう言った。やけになってませんか?なんか大ごとになってきてしまったかしら?
「何人いらっしゃるんですか?」
私は念のため、一応聞いておくことにした。
「現在私を含めて24名だ。」
「「えっ」」
私とアリアちゃんの驚いた声が同時に出た。
私たちの教養科のクラスの人数は30人だけど、それより少ないとは。教養科自体も2クラスしかないのに。騎士団だからもっと何百人とか何千とかだと思っていたわ。
「騎士のように武器が扱えて礼儀もわきまえられて、なおかつ戦闘に役立つ魔法も使えるってなると、人数は多くないよね。それに、魔法が使えれば宮廷魔法士になったりするし。というわけで、聖女候補の君たち、彼らの宣伝もよろしくお願いしますね…!」
ロイド様は、『彼らの』というところで左手でオルフェ様の右肩をポンポンたたきながら、私たちをいたずらっぽく見ている。
世話好きというか、おせっかいというか、いい人ではあるのよね、ロイド様は。
オルフェ様はからかわれていると思っているのか、ロイド様の左手を軽く払い、まだ不機嫌そうだけれど。
なんというか、オルフェ様の不機嫌な顔を見るのは新鮮な気がするわ。ゲームの時は好かれる選択をするのは基本だけど、それを意識しなくてもオルフェ様はイベントを経験しないで恋愛エンディングになることも多かった。それかライル様のために無視しまくっていたか。そもそも、オルフェ様とはイベントを一つか二つくらいしかできてない。デートもそんな感じ。攻略対象同士のかけあいなんかもゲーム中に見られたけれどね。これからオルフェ様のいろんな表情がみられるのかしら。…なんだか嬉しいような?楽しみができたような感じかしら。
「何を笑っている。」
「あ、す、すみません!」
オルフェ様に注意されてしまった。睨まれてるし!もしかしてニヤニヤしちゃっていたかしら?私ったら、自分のほうが怪しいじゃない!っていうか、さっきの廊下での件も、やっぱり怪しいってまだ思われてるんじゃ…?
ロイド様が説明してくれる。身振り手振りで第三騎士団の服装をオルフェ様を例に教えてくれたり、自分の持っている木の枝の絡まったような形状の杖をかざしてこんな杖だと見せたりしてくれる。それに合わせて彼の金髪の前髪も揺れている。昔は髪を伸ばしてみつあみだったけれど、今はショートカットくらいに短くしている…男性もショートカットっていうのかしら?
説明とか教えるのは昔から得意なようね。
それにしても、第一騎士団と宮廷魔法士で王族や聖女を守るんだっけ。だから警備には宮廷魔法士もいるのね。
「君たちがほかの地域に行くときだけじゃなくて、普段も第三騎士団は警護についていると思っておいてくださいね。黒い服の人たちだけど、怪しくないよ?…きっと。」
ちらりとロイド様がオルフェ様に目線を送る。
「当たり前です。」
憮然としたオルフェ様がこたえた。
「ふふっ、分かりました。」
アリアちゃんが笑って答えた。
私は…また選択肢が浮かんでいた。
・大丈夫です。
・ふふ、頼りにしていますね。
・確かに、ちょっと怪しい…?
「確かに、ちょっと怪しい…?黒づくめだし。」
うん、黒い服はちょっと怪しいのよね。騎士服だとは思うんだけど、全身黒で服の裾に入っているラインも暗めな紺だし。紋章は胸も左の袖も金の刺繍だけど、服のボタンもツヤのない黒。夜の活動には向いていそうだけど、昼間はどう見ても存在感が強い。この選択肢は選んではいけないだろうとは思っているし、たぶんゲームで選んだことはない…と思う。気になってたけど、ここは『大丈夫です。』か『ふふ、頼りにしていますね。』なのよね。
「…!」
え?オルフェ様の切れ長の金色の目が一瞬見開いてた!
そして不機嫌そうな表情で私から目をそらした!
えっ…まさか私、声に出てた!?
「ぷくくくっ!まあ、全身ほぼ黒いからねえ。…ちょっと団長さん、ふてくされないで。…はははっ」
ロイド様、笑ってる場合じゃないのよ!あなたの笑いのツボはどうなってるの、あなた大神官様でしょ!ちょっと!
恥ずかしい!というかでもオルフェ様にひどいことを言ってしまった。どうしよう!ロイド様!?まだ笑ってるの!?当てにならないなー!
「あの、失礼なことを言ってしまい、すみませんでした。皆さんと顔見知りになれば大丈夫だと思います。」
フォローになったかわからないけど、顔見知りなら大丈夫と言ってみる。怪しいの選択肢を選んだことがないので、そのあとどうやってフォローしていたのか、それとも違う話になって終わったのかは知らないわ!でもなんとかしないと!
「ああ、確かに、知ってる人なら大丈夫だね。警護するほうもされるほうも、お互い知ってると知っていないとでは何かと違いがあるだろうから。悪い人も黒い服が多いからね、警戒しちゃうよね。くくくっ」
ロイド様、話を合わせてくれるのはありがたいです。でも言葉遣いが砕けてしまってますよ。あといつまで笑ってるんですか!
「…、あとで全員顔合わせをさせよう。」
オルフェ様が憮然としたまま、そう言った。やけになってませんか?なんか大ごとになってきてしまったかしら?
「何人いらっしゃるんですか?」
私は念のため、一応聞いておくことにした。
「現在私を含めて24名だ。」
「「えっ」」
私とアリアちゃんの驚いた声が同時に出た。
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「騎士のように武器が扱えて礼儀もわきまえられて、なおかつ戦闘に役立つ魔法も使えるってなると、人数は多くないよね。それに、魔法が使えれば宮廷魔法士になったりするし。というわけで、聖女候補の君たち、彼らの宣伝もよろしくお願いしますね…!」
ロイド様は、『彼らの』というところで左手でオルフェ様の右肩をポンポンたたきながら、私たちをいたずらっぽく見ている。
世話好きというか、おせっかいというか、いい人ではあるのよね、ロイド様は。
オルフェ様はからかわれていると思っているのか、ロイド様の左手を軽く払い、まだ不機嫌そうだけれど。
なんというか、オルフェ様の不機嫌な顔を見るのは新鮮な気がするわ。ゲームの時は好かれる選択をするのは基本だけど、それを意識しなくてもオルフェ様はイベントを経験しないで恋愛エンディングになることも多かった。それかライル様のために無視しまくっていたか。そもそも、オルフェ様とはイベントを一つか二つくらいしかできてない。デートもそんな感じ。攻略対象同士のかけあいなんかもゲーム中に見られたけれどね。これからオルフェ様のいろんな表情がみられるのかしら。…なんだか嬉しいような?楽しみができたような感じかしら。
「何を笑っている。」
「あ、す、すみません!」
オルフェ様に注意されてしまった。睨まれてるし!もしかしてニヤニヤしちゃっていたかしら?私ったら、自分のほうが怪しいじゃない!っていうか、さっきの廊下での件も、やっぱり怪しいってまだ思われてるんじゃ…?
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