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入学式当日その7
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なぜここにオルフェ様が!?
ノエルとの出会いは入学式後の校長室だったか応接室だかで聖女候補だって言われるときのはず。
ノエルとアリアが聖女候補だと知らされて、魔法騎士のオルフェ様と大神官で王弟のロイド様が紹介されるはずなんだけど。
「オルフェというのは、誰のことだ?」
あれ?さっき、わたしのことか?って聞いてなかったっけ?
同じ名前のほかの人かもしれないって思ったのかな。
それよりも、さっきから声も態度も威圧感あって怖いんですけど。
・あなたのことです
・知人のことです
・あなたには関係ありません
え、ナニコレ?選択肢が頭に浮かんだ。
あー、ゲームの選択肢ね。
でもこのシーンは、私は見たことないから正解は知らないってば!
「……あなたのことです。」
気まずいし言いにくいけど、正直に言った。
「会ったことは?」
「お会いしたことはございません。失礼いたしました。申し遅れましたが、わたくしはノエルと申します。このマール王国高等学校の教養科の新入生です。」
初対面でも年上だと分かるので、言葉遣いを変えた。頭を60度くらい下げて謝罪。それから体を起こし、自己紹介をする。この国は日本と同じような自己紹介が普通なので、カーテシーはしなかった。
「なぜ、わたしを?」
ううう、そうよね!自分の名前を誰かがつぶやいていたら気になるよね!
って、さっきから尋問みたいな雰囲気なんですけど!…あ、尋問なの?
・夢でお会いしました
・噂で聞きました
・お告げがありました
また選択肢。
ちょっと、このお告げって、女神様のお告げってことじゃないの?
え、それ選んだら強制的に恋愛モードになっていくんじゃ……。
「…答えられないか…。」
オルフェ様はため息交じりにそう言って、眉間にシワ寄せてる。さらに不機嫌になってしまったのでは!?
ど、どうすれば?あー、もう!ここは正直に…!
「夢でお会いしました。」
言われても困るでしょうけどね!だってノエルは夢で見たんだもの!女神様に会ってお告げ?もあったけど、それより先に夢で見たんだもの!
「…夢?」
ええ、オルフェ様、不審そうですね!眉間によったシワはそのままです。私も言われたらそう思うでしょう!
頭は大丈夫か心配しちゃうでしょうね!
…オルフェ様の機嫌が治ってないから、私は選択肢を間違ったのかな。
「はい、ですのでお名前を存じておりました。」
ゲームと違ってロードはできないので、そのまま突っ走るしかないわね!もう仕方ないわ!あとで、きっとなんとかなるわ!
「どんな夢だ。」
オルフェ様がそう言ったそのとき、キーンコーンと鐘の音が鳴った。
予鈴かしら?本鈴しかないのだとしたら困るわ。
「すみません。もう戻らないと…。」
夢って言ってもそのまま聞いてくれそうだったから、少し残念でもあるけど。
「……そうか。」
オルフェ様は目を伏せた。
気になるよね、夢で見たって言ってくる人物は。夢の内容を問い詰めたくもなるかもしれない。
あ、でも、これだけは!
「あ、あの、いい夢でしたよ!」
大きな声で、そこだけは伝えた。
夢であなたを見ましたって言われたら、悪い夢なんじゃないかって気になるからね!
その辺は大丈夫なので、気に病まないで!
「そうか、ありがとう。」
そう言ってこちらを見たオルフェ様の口角は、少し上がっていて…。
ゲームの中でよく見た微笑みだった。
まさか、今まで怖い雰囲気だったのに、ありがとうって言ってもらえるなんて…!
オルフェ様の笑顔につられて、私も笑顔になった。
「では、失礼いたします!」
「ああ。」
別れ際も、オルフェ様は微笑んでいるように見えた。
ノエルとの出会いは入学式後の校長室だったか応接室だかで聖女候補だって言われるときのはず。
ノエルとアリアが聖女候補だと知らされて、魔法騎士のオルフェ様と大神官で王弟のロイド様が紹介されるはずなんだけど。
「オルフェというのは、誰のことだ?」
あれ?さっき、わたしのことか?って聞いてなかったっけ?
同じ名前のほかの人かもしれないって思ったのかな。
それよりも、さっきから声も態度も威圧感あって怖いんですけど。
・あなたのことです
・知人のことです
・あなたには関係ありません
え、ナニコレ?選択肢が頭に浮かんだ。
あー、ゲームの選択肢ね。
でもこのシーンは、私は見たことないから正解は知らないってば!
「……あなたのことです。」
気まずいし言いにくいけど、正直に言った。
「会ったことは?」
「お会いしたことはございません。失礼いたしました。申し遅れましたが、わたくしはノエルと申します。このマール王国高等学校の教養科の新入生です。」
初対面でも年上だと分かるので、言葉遣いを変えた。頭を60度くらい下げて謝罪。それから体を起こし、自己紹介をする。この国は日本と同じような自己紹介が普通なので、カーテシーはしなかった。
「なぜ、わたしを?」
ううう、そうよね!自分の名前を誰かがつぶやいていたら気になるよね!
って、さっきから尋問みたいな雰囲気なんですけど!…あ、尋問なの?
・夢でお会いしました
・噂で聞きました
・お告げがありました
また選択肢。
ちょっと、このお告げって、女神様のお告げってことじゃないの?
え、それ選んだら強制的に恋愛モードになっていくんじゃ……。
「…答えられないか…。」
オルフェ様はため息交じりにそう言って、眉間にシワ寄せてる。さらに不機嫌になってしまったのでは!?
ど、どうすれば?あー、もう!ここは正直に…!
「夢でお会いしました。」
言われても困るでしょうけどね!だってノエルは夢で見たんだもの!女神様に会ってお告げ?もあったけど、それより先に夢で見たんだもの!
「…夢?」
ええ、オルフェ様、不審そうですね!眉間によったシワはそのままです。私も言われたらそう思うでしょう!
頭は大丈夫か心配しちゃうでしょうね!
…オルフェ様の機嫌が治ってないから、私は選択肢を間違ったのかな。
「はい、ですのでお名前を存じておりました。」
ゲームと違ってロードはできないので、そのまま突っ走るしかないわね!もう仕方ないわ!あとで、きっとなんとかなるわ!
「どんな夢だ。」
オルフェ様がそう言ったそのとき、キーンコーンと鐘の音が鳴った。
予鈴かしら?本鈴しかないのだとしたら困るわ。
「すみません。もう戻らないと…。」
夢って言ってもそのまま聞いてくれそうだったから、少し残念でもあるけど。
「……そうか。」
オルフェ様は目を伏せた。
気になるよね、夢で見たって言ってくる人物は。夢の内容を問い詰めたくもなるかもしれない。
あ、でも、これだけは!
「あ、あの、いい夢でしたよ!」
大きな声で、そこだけは伝えた。
夢であなたを見ましたって言われたら、悪い夢なんじゃないかって気になるからね!
その辺は大丈夫なので、気に病まないで!
「そうか、ありがとう。」
そう言ってこちらを見たオルフェ様の口角は、少し上がっていて…。
ゲームの中でよく見た微笑みだった。
まさか、今まで怖い雰囲気だったのに、ありがとうって言ってもらえるなんて…!
オルフェ様の笑顔につられて、私も笑顔になった。
「では、失礼いたします!」
「ああ。」
別れ際も、オルフェ様は微笑んでいるように見えた。
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