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入学式当日その5
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「ライル様って知ってる?騎士科の二年生ですごくかっこいいの!さっき食堂で会ったんだけど、入学祝ってコレおごってくれたの!」
アリアちゃんがそう言いながら、もう一人の女の子と一緒にビニールの小袋に入ったクッキーを見せてくれる。
「まあ…!」
なんでアリアちゃんにー!
……あ、アリアちゃんとの出会いイベントね。
理由は分かったわ。
ライル様は後輩にはおごってくれるタイプの方だけど、お金には無頓着な気がするのよね。
っていうか、私もクッキー欲しい!
「でも、好きな人って」
そう、アリアちゃんの言葉も気になる。
「だって、気前よく知らない後輩にくれるのよ!?いいお客…いえ、いい人に決まってるわ!」
「お客……」
「うちの商会のカードは渡したんだけど、来てくれるといいなあ…。きっと来てくれるタイプね!フフフ♪」
商会まで来て欲しいってことよね。これはもう、恋愛でなく商売の方よね?商人の娘、スゴいわ!
「ノエル様もぜひ!マールード商会をご贔屓に!」
アリアちゃんはそう言ってマールード商会の名前や地図の入ったカードを私に配り、他の子としゃべり始めた。
うーん。
もしかしたら、アリアちゃんはライル様狙いかもしれないわ。
実家が商会をしているからか、損得勘定でアリアちゃんは動きがちだけど。いいお客さんになりそうと思って接しているうちに気になり出してってパターンも、きっとあるのよね。
教室の席は自由に座れるみたいね。大学みたいなだんだんと高くなっていく席の作り。窓際の中段辺りに自分の席を確保して座り、筆記用具を取り出す。
窓からは見えるのは、この校舎に向かって登校してくる生徒たち。
なんだか、変な感じだわ。
このゲームで一番好きだったライル様が、他の人と恋愛するかもっていうのは。
でも、現実でのライル様は、恋愛相手には厳しいとは思っているの。
どこかで捨て犬や猫がいれば拾ってくる。鳥が怪我をしていれば拾ってきて看病する。そうやって拾ってきたいろんな動物がお屋敷にいるみたい。
お世話はほとんど自分でしているようだけれど、あまりに色々拾ってくるから、ライル様の執事さんは心配してるみたいだわ。
貴族だから屋敷には部屋も庭も十分あるんでしょうけどね。
私もいつの間にか生き物がいたら困る。
そのうち人まで拾いそうだし。
それに人の言うことを疑わないのよね。正直なのはいいことだけど、それでからかわれてるのを見ていると、将来が心配になった。
あと、思い込んだら突っ走ってしまうし。
まあ、今は彼は十六歳なんだから、大人になれば色々また違うのかも知れないけど。
悪口みたいになってるけど、心配してるだけだから!
でも私が心配してたのって、彼より年下の頃からなのよね。長年のファンはそのうち年上にもなってしまうのよ!なんだか悲しいけど!
ともかく、アリアちゃんの好感度と相性を早く見たいわ!
教会に行かないとわからないけど!
私はオルフェ様のはともかく他の人の…。
《オルフェをよろしく》
……いや、オルフェ様をよろしくなんて、この間の夢で見た女神様のお言葉が浮かんだけど、気のせいだよね。疲れてるんだよね?スルーさせて頂けないでしょうか。
《オルフェをよろしく》
…!聞こえてない!
私は何も聞こえてないからー!
アリアちゃんがそう言いながら、もう一人の女の子と一緒にビニールの小袋に入ったクッキーを見せてくれる。
「まあ…!」
なんでアリアちゃんにー!
……あ、アリアちゃんとの出会いイベントね。
理由は分かったわ。
ライル様は後輩にはおごってくれるタイプの方だけど、お金には無頓着な気がするのよね。
っていうか、私もクッキー欲しい!
「でも、好きな人って」
そう、アリアちゃんの言葉も気になる。
「だって、気前よく知らない後輩にくれるのよ!?いいお客…いえ、いい人に決まってるわ!」
「お客……」
「うちの商会のカードは渡したんだけど、来てくれるといいなあ…。きっと来てくれるタイプね!フフフ♪」
商会まで来て欲しいってことよね。これはもう、恋愛でなく商売の方よね?商人の娘、スゴいわ!
「ノエル様もぜひ!マールード商会をご贔屓に!」
アリアちゃんはそう言ってマールード商会の名前や地図の入ったカードを私に配り、他の子としゃべり始めた。
うーん。
もしかしたら、アリアちゃんはライル様狙いかもしれないわ。
実家が商会をしているからか、損得勘定でアリアちゃんは動きがちだけど。いいお客さんになりそうと思って接しているうちに気になり出してってパターンも、きっとあるのよね。
教室の席は自由に座れるみたいね。大学みたいなだんだんと高くなっていく席の作り。窓際の中段辺りに自分の席を確保して座り、筆記用具を取り出す。
窓からは見えるのは、この校舎に向かって登校してくる生徒たち。
なんだか、変な感じだわ。
このゲームで一番好きだったライル様が、他の人と恋愛するかもっていうのは。
でも、現実でのライル様は、恋愛相手には厳しいとは思っているの。
どこかで捨て犬や猫がいれば拾ってくる。鳥が怪我をしていれば拾ってきて看病する。そうやって拾ってきたいろんな動物がお屋敷にいるみたい。
お世話はほとんど自分でしているようだけれど、あまりに色々拾ってくるから、ライル様の執事さんは心配してるみたいだわ。
貴族だから屋敷には部屋も庭も十分あるんでしょうけどね。
私もいつの間にか生き物がいたら困る。
そのうち人まで拾いそうだし。
それに人の言うことを疑わないのよね。正直なのはいいことだけど、それでからかわれてるのを見ていると、将来が心配になった。
あと、思い込んだら突っ走ってしまうし。
まあ、今は彼は十六歳なんだから、大人になれば色々また違うのかも知れないけど。
悪口みたいになってるけど、心配してるだけだから!
でも私が心配してたのって、彼より年下の頃からなのよね。長年のファンはそのうち年上にもなってしまうのよ!なんだか悲しいけど!
ともかく、アリアちゃんの好感度と相性を早く見たいわ!
教会に行かないとわからないけど!
私はオルフェ様のはともかく他の人の…。
《オルフェをよろしく》
……いや、オルフェ様をよろしくなんて、この間の夢で見た女神様のお言葉が浮かんだけど、気のせいだよね。疲れてるんだよね?スルーさせて頂けないでしょうか。
《オルフェをよろしく》
…!聞こえてない!
私は何も聞こえてないからー!
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