9 / 24
入学式当日その5
しおりを挟む
「ライル様って知ってる?騎士科の二年生ですごくかっこいいの!さっき食堂で会ったんだけど、入学祝ってコレおごってくれたの!」
アリアちゃんがそう言いながら、もう一人の女の子と一緒にビニールの小袋に入ったクッキーを見せてくれる。
「まあ…!」
なんでアリアちゃんにー!
……あ、アリアちゃんとの出会いイベントね。
理由は分かったわ。
ライル様は後輩にはおごってくれるタイプの方だけど、お金には無頓着な気がするのよね。
っていうか、私もクッキー欲しい!
「でも、好きな人って」
そう、アリアちゃんの言葉も気になる。
「だって、気前よく知らない後輩にくれるのよ!?いいお客…いえ、いい人に決まってるわ!」
「お客……」
「うちの商会のカードは渡したんだけど、来てくれるといいなあ…。きっと来てくれるタイプね!フフフ♪」
商会まで来て欲しいってことよね。これはもう、恋愛でなく商売の方よね?商人の娘、スゴいわ!
「ノエル様もぜひ!マールード商会をご贔屓に!」
アリアちゃんはそう言ってマールード商会の名前や地図の入ったカードを私に配り、他の子としゃべり始めた。
うーん。
もしかしたら、アリアちゃんはライル様狙いかもしれないわ。
実家が商会をしているからか、損得勘定でアリアちゃんは動きがちだけど。いいお客さんになりそうと思って接しているうちに気になり出してってパターンも、きっとあるのよね。
教室の席は自由に座れるみたいね。大学みたいなだんだんと高くなっていく席の作り。窓際の中段辺りに自分の席を確保して座り、筆記用具を取り出す。
窓からは見えるのは、この校舎に向かって登校してくる生徒たち。
なんだか、変な感じだわ。
このゲームで一番好きだったライル様が、他の人と恋愛するかもっていうのは。
でも、現実でのライル様は、恋愛相手には厳しいとは思っているの。
どこかで捨て犬や猫がいれば拾ってくる。鳥が怪我をしていれば拾ってきて看病する。そうやって拾ってきたいろんな動物がお屋敷にいるみたい。
お世話はほとんど自分でしているようだけれど、あまりに色々拾ってくるから、ライル様の執事さんは心配してるみたいだわ。
貴族だから屋敷には部屋も庭も十分あるんでしょうけどね。
私もいつの間にか生き物がいたら困る。
そのうち人まで拾いそうだし。
それに人の言うことを疑わないのよね。正直なのはいいことだけど、それでからかわれてるのを見ていると、将来が心配になった。
あと、思い込んだら突っ走ってしまうし。
まあ、今は彼は十六歳なんだから、大人になれば色々また違うのかも知れないけど。
悪口みたいになってるけど、心配してるだけだから!
でも私が心配してたのって、彼より年下の頃からなのよね。長年のファンはそのうち年上にもなってしまうのよ!なんだか悲しいけど!
ともかく、アリアちゃんの好感度と相性を早く見たいわ!
教会に行かないとわからないけど!
私はオルフェ様のはともかく他の人の…。
《オルフェをよろしく》
……いや、オルフェ様をよろしくなんて、この間の夢で見た女神様のお言葉が浮かんだけど、気のせいだよね。疲れてるんだよね?スルーさせて頂けないでしょうか。
《オルフェをよろしく》
…!聞こえてない!
私は何も聞こえてないからー!
アリアちゃんがそう言いながら、もう一人の女の子と一緒にビニールの小袋に入ったクッキーを見せてくれる。
「まあ…!」
なんでアリアちゃんにー!
……あ、アリアちゃんとの出会いイベントね。
理由は分かったわ。
ライル様は後輩にはおごってくれるタイプの方だけど、お金には無頓着な気がするのよね。
っていうか、私もクッキー欲しい!
「でも、好きな人って」
そう、アリアちゃんの言葉も気になる。
「だって、気前よく知らない後輩にくれるのよ!?いいお客…いえ、いい人に決まってるわ!」
「お客……」
「うちの商会のカードは渡したんだけど、来てくれるといいなあ…。きっと来てくれるタイプね!フフフ♪」
商会まで来て欲しいってことよね。これはもう、恋愛でなく商売の方よね?商人の娘、スゴいわ!
「ノエル様もぜひ!マールード商会をご贔屓に!」
アリアちゃんはそう言ってマールード商会の名前や地図の入ったカードを私に配り、他の子としゃべり始めた。
うーん。
もしかしたら、アリアちゃんはライル様狙いかもしれないわ。
実家が商会をしているからか、損得勘定でアリアちゃんは動きがちだけど。いいお客さんになりそうと思って接しているうちに気になり出してってパターンも、きっとあるのよね。
教室の席は自由に座れるみたいね。大学みたいなだんだんと高くなっていく席の作り。窓際の中段辺りに自分の席を確保して座り、筆記用具を取り出す。
窓からは見えるのは、この校舎に向かって登校してくる生徒たち。
なんだか、変な感じだわ。
このゲームで一番好きだったライル様が、他の人と恋愛するかもっていうのは。
でも、現実でのライル様は、恋愛相手には厳しいとは思っているの。
どこかで捨て犬や猫がいれば拾ってくる。鳥が怪我をしていれば拾ってきて看病する。そうやって拾ってきたいろんな動物がお屋敷にいるみたい。
お世話はほとんど自分でしているようだけれど、あまりに色々拾ってくるから、ライル様の執事さんは心配してるみたいだわ。
貴族だから屋敷には部屋も庭も十分あるんでしょうけどね。
私もいつの間にか生き物がいたら困る。
そのうち人まで拾いそうだし。
それに人の言うことを疑わないのよね。正直なのはいいことだけど、それでからかわれてるのを見ていると、将来が心配になった。
あと、思い込んだら突っ走ってしまうし。
まあ、今は彼は十六歳なんだから、大人になれば色々また違うのかも知れないけど。
悪口みたいになってるけど、心配してるだけだから!
でも私が心配してたのって、彼より年下の頃からなのよね。長年のファンはそのうち年上にもなってしまうのよ!なんだか悲しいけど!
ともかく、アリアちゃんの好感度と相性を早く見たいわ!
教会に行かないとわからないけど!
私はオルフェ様のはともかく他の人の…。
《オルフェをよろしく》
……いや、オルフェ様をよろしくなんて、この間の夢で見た女神様のお言葉が浮かんだけど、気のせいだよね。疲れてるんだよね?スルーさせて頂けないでしょうか。
《オルフェをよろしく》
…!聞こえてない!
私は何も聞こえてないからー!
0
お読みいただきありがとうございます!
お気に入りに追加
11
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
星の聖女見習い
みこと
ファンタジー
この大陸には「奈落の地」という謎に包まれた広大な土地がある。
大陸の国々は「瘴気」と呼ばれる靄に覆われている。
数年から十数年間隔で「奈落の地」より魔物が溢れ、人の住む領域に侵入してくるのである。
これが「スタンピード」と呼ばれている現象である。
この「スタンピード」によって、大陸に住む人類は滅亡の危機に直面するが、唯一神である女神アストレアによって加護を授けられた「聖女」によって、人類滅亡の危機はひとまず回避した。
大陸の南東の辺境にあるベツレヘム王国は、「奈落の地」からも遠く離れており、100年以上スタンピードの脅威にさらされておらず、貴族との癒着により教会は腐敗した。
その中で真面目に修行に励む聖女見習いの物語。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
乙女ゲームの悪役令嬢に転生したけど何もしなかったらヒロインがイジメを自演し始めたのでお望み通りにしてあげました。魔法で(°∀°)
ラララキヲ
ファンタジー
乙女ゲームのラスボスになって死ぬ悪役令嬢に転生したけれど、中身が転生者な時点で既に乙女ゲームは破綻していると思うの。だからわたくしはわたくしのままに生きるわ。
……それなのにヒロインさんがイジメを自演し始めた。ゲームのストーリーを展開したいと言う事はヒロインさんはわたくしが死ぬ事をお望みね?なら、わたくしも戦いますわ。
でも、わたくしも暇じゃないので魔法でね。
ヒロイン「私はホラー映画の主人公か?!」
『見えない何か』に襲われるヒロインは────
※作中『イジメ』という表現が出てきますがこの作品はイジメを肯定するものではありません※
※作中、『イジメ』は、していません。生死をかけた戦いです※
◇テンプレ乙女ゲーム舞台転生。
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇なろうにも上げてます。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
番から逃げる事にしました
みん
恋愛
リュシエンヌには前世の記憶がある。
前世で人間だった彼女は、結婚を目前に控えたある日、熊族の獣人の番だと判明し、そのまま熊族の領地へ連れ去られてしまった。それからの彼女の人生は大変なもので、最期は番だった自分を恨むように生涯を閉じた。
彼女は200年後、今度は自分が豹の獣人として生まれ変わっていた。そして、そんな記憶を持ったリュシエンヌが番と出会ってしまい、そこから、色んな事に巻き込まれる事になる─と、言うお話です。
❋相変わらずのゆるふわ設定で、メンタルも豆腐並なので、軽い気持ちで読んで下さい。
❋独自設定有りです。
❋他視点の話もあります。
❋誤字脱字は気を付けていますが、あると思います。すみません。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
聖女は魔女の濡れ衣を被せられ、魔女裁判に掛けられる。が、しかし──
naturalsoft
ファンタジー
聖女シオンはヒーリング聖王国に遥か昔から仕えて、聖女を輩出しているセイント伯爵家の当代の聖女である。
昔から政治には関与せず、国の結界を張り、周辺地域へ祈りの巡礼を日々行っていた。
そんな中、聖女を擁護するはずの教会から魔女裁判を宣告されたのだった。
そこには教会が腐敗し、邪魔になった聖女を退けて、教会の用意した従順な女を聖女にさせようと画策したのがきっかけだった。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
変な転入生が現れましたので色々ご指摘さしあげたら、悪役令嬢呼ばわりされましたわ
奏音 美都
恋愛
上流階級の貴族子息や令嬢が通うロイヤル学院に、庶民階級からの特待生が転入してきましたの。
スチュワートやロナルド、アリアにジョセフィーンといった名前が並ぶ中……ハルコだなんて、おかしな
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
【完結】私ですか?ただの令嬢です。
凛 伊緒
恋愛
死んで転生したら、大好きな乙女ゲーの世界の悪役令嬢だった!?
バッドエンドだらけの悪役令嬢。
しかし、
「悪さをしなければ、最悪な結末は回避出来るのでは!?」
そう考え、ただの令嬢として生きていくことを決意する。
運命を変えたい主人公の、バッドエンド回避の物語!
※完結済です。
※作者がシステムに不慣れかつ創作初心者な時に書いたものなので、温かく見守っていだければ幸いです……(。_。///)
※ご感想・ご指摘につきましては、近況ボードをお読みくださいませ。
《皆様のご愛読に、心からの感謝を申し上げますm(*_ _)m》
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
悪役令嬢は所詮悪役令嬢
白雪の雫
ファンタジー
「アネット=アンダーソン!貴女の私に対する仕打ちは到底許されるものではありません!殿下、どうかあの平民の女に頭を下げるように言って下さいませ!」
魔力に秀でているという理由で聖女に選ばれてしまったアネットは、平民であるにも関わらず公爵令嬢にして王太子殿下の婚約者である自分を階段から突き落とそうとしただの、冬の池に突き落として凍死させようとしただの、魔物を操って殺そうとしただの──・・・。
リリスが言っている事は全て彼女達による自作自演だ。というより、ゲームの中でリリスがヒロインであるアネットに対して行っていた所業である。
愛しいリリスに縋られたものだから男としての株を上げたい王太子は、アネットが無実だと分かった上で彼女を断罪しようとするのだが、そこに父親である国王と教皇、そして聖女の夫がやって来る──・・・。
悪役令嬢がいい子ちゃん、ヒロインが脳内お花畑のビッチヒドインで『ざまぁ』されるのが多いので、逆にしたらどうなるのか?という思い付きで浮かんだ話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる