乙女ゲームで女の子同士で仲良くしながら楽しい学校生活を送りたいので攻略対象の皆様はご遠慮ください

高橋 遊

文字の大きさ
上 下
4 / 24

夢で女神様と(その2)

しおりを挟む
※少しシリアスです。
前のお話よりはコメディです。





「それにしても、オルフェにひどくあたりすぎなのよ。」

……へ?
ため息つかれながらおっしゃられていますが、今度は何ですか?

「ライルはイイコよ。でもライルはもっとかわいくて心の優しい子か勝ち気で引っ張ってくれるお姉さんが合うの。」

「はぁー!?女神様ー!?」

なんでライル様のこと?
何の話が始まったの?
てかなんか早口になって勢いが増してきましたよ!?

「まったく、あなたは何を考えているの?せっかくオルフェが来てあげているというのに、おかしなことばかり言って!相性はこれ以上なく最高だし良縁なんだから、逃げてるんじゃないわよ!」

「ひぇぇー!口調がガラリと変わられていますよー!なんかすんごい怒られてるぅぅー!相性最高なのは知ってますけど、なんか違うことも言ってました?あ、聞きたくないからやっぱりいいです!」

女神様の勢いが怖くて、こちらも叫びながら返事をする。
あと聞き逃したのは聞かない方が良さそうだ。
何も聞き逃してない!
ちゃんと聞いてます!
大丈夫!

「でも、でも!オルフェ様じゃない他の攻略対象のファン人だっているでしょう!それにオルフェ様ファンはあのゲームで一番多いじゃないですか!ゲームの話なのに私が怒られるのは理不尽では……!」

「……どこが?」

「うわぁ!」

こ、怖い!
思わず大声で叫んでしまった。
女神様の低い声の迫力がすごすぎるよ!

「あなたは素直さが足りないわ。」

「そ、そうですか?だいぶ素直さには自信がありますが。」

またいきなり話が変わった?
ちょっとビクビクしながら返事をする。

「好きなもの、得意なものを素直にそうだということは得意よね。」

「はい。そうですよね?」

「相手の好意は、受け取れていた?」

「それは…。」

「断るクセがついていたわよね。それに何か相手にしてもらっても、裏があるっていつも思っていた。」

まあ、詐欺に気を付けてたし。
誰かに手伝ってもらったときや頼んだときも、見返りを要求してくるんじゃないかとかって思ってた。

「相手の好意は好意として、一旦受け取りなさい。相手に声をかけるというのも、勇気がいるものよ。」

「あ、確かに。あの人困ってるのかなって思っても、声かけたら迷惑かなとか断られたらやだなとか考えちゃうし。」

「なにかをしてもらったらありがとうと言えばいいのよ。相手が自分を手伝おうとしてくれたなら、まずは自分にそうやって声をかけてくれたことに、ありがとうと礼を言えばいいの。」

「あ、ああー。な、なるほど?それならできそうです。」

なんだか分からないけど、たぶん今まではやってなかったんだろう。
具体的にはちょっと浮かばなくて分からないけど。
寝ぼけてるのかな。

「いいのよ、一人で全てをやらなくても。」

優しく諭すような声がする。

一人で?
前には一人で……えーと。

「それは、もう終わったことだから。」

あ、私の言うことまた遮られた。
なんだかやっぱり前のことがうまく思い出せない。
もしかして、過去よりもこれからってことなのかな。

「もう過ぎたことも、あなたの糧になっているわ。」

かて……糧か。

「女神様……。そのときはそのときで、私も頑張ったってこと?ですよね。」

「ええ」

「!…良かった。ありがとうございます。」

自分を肯定してもらえたのが嬉しかった。
何をしていたか、あんまり思い出せないけれど。
また涙がじんわりと浮かんできた。

「いつでも見守っているわ。………オルフェをよろしく。」

……ん?

「……………え?ちょっと!なんでそこはブレないんですかあぁぁーー?今しんみりしてたじゃないですかぁー!」

ビックリして叫びながら勢いよく上半身を起こした。

ん?
あれ、もともと座ってなかったかな。
……ここ、ノエルの部屋だね。
さっき見たバラとか絵がある。

「私、ベッドで寝てたの?」

あれは夢?

コンコンとノックの音がする。

あ、まさか。

「お嬢様?どうかなさいましたか?」

あー、……またやってしまったのか。


===============
お読みいただき、ありがとうございます!
しおりを挟む
お読みいただきありがとうございます!
感想 0

あなたにおすすめの小説

星の聖女見習い

みこと
ファンタジー
この大陸には「奈落の地」という謎に包まれた広大な土地がある。 大陸の国々は「瘴気」と呼ばれる靄に覆われている。 数年から十数年間隔で「奈落の地」より魔物が溢れ、人の住む領域に侵入してくるのである。 これが「スタンピード」と呼ばれている現象である。 この「スタンピード」によって、大陸に住む人類は滅亡の危機に直面するが、唯一神である女神アストレアによって加護を授けられた「聖女」によって、人類滅亡の危機はひとまず回避した。 大陸の南東の辺境にあるベツレヘム王国は、「奈落の地」からも遠く離れており、100年以上スタンピードの脅威にさらされておらず、貴族との癒着により教会は腐敗した。 その中で真面目に修行に励む聖女見習いの物語。

お嬢様はお亡くなりになりました。

豆狸
恋愛
「お嬢様は……十日前にお亡くなりになりました」 「な……なにを言っている?」

乙女ゲームの悪役令嬢に転生したけど何もしなかったらヒロインがイジメを自演し始めたのでお望み通りにしてあげました。魔法で(°∀°)

ラララキヲ
ファンタジー
 乙女ゲームのラスボスになって死ぬ悪役令嬢に転生したけれど、中身が転生者な時点で既に乙女ゲームは破綻していると思うの。だからわたくしはわたくしのままに生きるわ。  ……それなのにヒロインさんがイジメを自演し始めた。ゲームのストーリーを展開したいと言う事はヒロインさんはわたくしが死ぬ事をお望みね?なら、わたくしも戦いますわ。  でも、わたくしも暇じゃないので魔法でね。 ヒロイン「私はホラー映画の主人公か?!」  『見えない何か』に襲われるヒロインは──── ※作中『イジメ』という表現が出てきますがこの作品はイジメを肯定するものではありません※ ※作中、『イジメ』は、していません。生死をかけた戦いです※ ◇テンプレ乙女ゲーム舞台転生。 ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇なろうにも上げてます。

番から逃げる事にしました

みん
恋愛
リュシエンヌには前世の記憶がある。 前世で人間だった彼女は、結婚を目前に控えたある日、熊族の獣人の番だと判明し、そのまま熊族の領地へ連れ去られてしまった。それからの彼女の人生は大変なもので、最期は番だった自分を恨むように生涯を閉じた。 彼女は200年後、今度は自分が豹の獣人として生まれ変わっていた。そして、そんな記憶を持ったリュシエンヌが番と出会ってしまい、そこから、色んな事に巻き込まれる事になる─と、言うお話です。 ❋相変わらずのゆるふわ設定で、メンタルも豆腐並なので、軽い気持ちで読んで下さい。 ❋独自設定有りです。 ❋他視点の話もあります。 ❋誤字脱字は気を付けていますが、あると思います。すみません。

聖女は魔女の濡れ衣を被せられ、魔女裁判に掛けられる。が、しかし──

naturalsoft
ファンタジー
聖女シオンはヒーリング聖王国に遥か昔から仕えて、聖女を輩出しているセイント伯爵家の当代の聖女である。 昔から政治には関与せず、国の結界を張り、周辺地域へ祈りの巡礼を日々行っていた。 そんな中、聖女を擁護するはずの教会から魔女裁判を宣告されたのだった。 そこには教会が腐敗し、邪魔になった聖女を退けて、教会の用意した従順な女を聖女にさせようと画策したのがきっかけだった。

変な転入生が現れましたので色々ご指摘さしあげたら、悪役令嬢呼ばわりされましたわ

奏音 美都
恋愛
上流階級の貴族子息や令嬢が通うロイヤル学院に、庶民階級からの特待生が転入してきましたの。  スチュワートやロナルド、アリアにジョセフィーンといった名前が並ぶ中……ハルコだなんて、おかしな

【完結】私ですか?ただの令嬢です。

凛 伊緒
恋愛
死んで転生したら、大好きな乙女ゲーの世界の悪役令嬢だった!? バッドエンドだらけの悪役令嬢。 しかし、 「悪さをしなければ、最悪な結末は回避出来るのでは!?」 そう考え、ただの令嬢として生きていくことを決意する。 運命を変えたい主人公の、バッドエンド回避の物語! ※完結済です。 ※作者がシステムに不慣れかつ創作初心者な時に書いたものなので、温かく見守っていだければ幸いです……(。_。///) ※ご感想・ご指摘につきましては、近況ボードをお読みくださいませ。 《皆様のご愛読に、心からの感謝を申し上げますm(*_ _)m》

悪役令嬢は所詮悪役令嬢

白雪の雫
ファンタジー
「アネット=アンダーソン!貴女の私に対する仕打ちは到底許されるものではありません!殿下、どうかあの平民の女に頭を下げるように言って下さいませ!」 魔力に秀でているという理由で聖女に選ばれてしまったアネットは、平民であるにも関わらず公爵令嬢にして王太子殿下の婚約者である自分を階段から突き落とそうとしただの、冬の池に突き落として凍死させようとしただの、魔物を操って殺そうとしただの──・・・。 リリスが言っている事は全て彼女達による自作自演だ。というより、ゲームの中でリリスがヒロインであるアネットに対して行っていた所業である。 愛しいリリスに縋られたものだから男としての株を上げたい王太子は、アネットが無実だと分かった上で彼女を断罪しようとするのだが、そこに父親である国王と教皇、そして聖女の夫がやって来る──・・・。 悪役令嬢がいい子ちゃん、ヒロインが脳内お花畑のビッチヒドインで『ざまぁ』されるのが多いので、逆にしたらどうなるのか?という思い付きで浮かんだ話です。

処理中です...