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第12話「側室」
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「ディー。ミネルバとアンリエッタを側室に迎えなさい」
我が愛しき人物の第一声がこれだった。
この場には俺とメリルだけでなくてミネルバとアンリエッタもいる。
四人が揃ったこの場でいきなりメリルはそんなことを言いだしたのだ。
「急に何言っているんだ?」
思わずそんな聞き方をしてしまった。
ミネルバとアンリエッタだったら俺とメリルの関係は良く理解しているだろうが、それでも二人がいる時は他人がいる時と同じで取り繕った言動をしている。あまりの発言に素が出てしまった。
「ディー。ミネルバとアンリエッタを側室に迎えなさい」
メリルは綺麗にもう一度そう告げた。どうも伝わっていなかった。
「いや、聞こえなかったから聞き返したんじゃないよ」
俺はメリルに言いたい事が伝わっていなかった事を伝えた。
「どうしてそんな発言になるんだ?」
「言ったでしょう。相手は私が選んであげるって」
たしかにメリルは以前そんなことを言っていた。
でもそれってファーストレディの話じゃなかっただろうか。
前世の知識での俺が知る「ファーストレディ」とは、アメリカの大統領夫人のことだ。もっと別の意味があったかもしれないが俺の認識ではそのくらいだ。
この世界では「ファーストレディ」とは精通した貴族の男子に性行為の手ほどきをする相手を指すそうだ。
身近な未亡人が相手になる事もあれば、自身も経験のない処女が経験者にやり方を説明されてから手ほどきを行うケースもあるという。大抵は年上の女性になるそうだが堂年齢や年下が相手になる場合もあり一概にこうとは言えない単語である。
「ミネルバとアンリエッタ。好きな方をファーストレディにしなさい」
あっ。ファーストレディの話だった。
「ちょっと待って」
俺はメリルを止める。
「メリル。二人の行く末を決めるのはメリルかもしれないけど。誰に嫁ぐかは当人たちでよく話しあいをしてからの方がいい」
もう二人の人生を握っているメリルに人の人生を軽く考えるなうんぬんを言うつもりはないが、誰に嫁ぐかくらいは本人達に納得した上で決めて欲しいのだ。
なんだかんだでミネルバとアンリエッタのことは妹みたいに想っている。ミネルバは一つ年上でアンリエッタは同じ歳で誕生日が俺より早いが、二人とも可愛い存在だ。
「問題ないわ。二人ともちゃんと話は済んでいるから」
そう言われてミネルバを見ると俺に対して微笑みを浮かべていた。
『メリルレージュ様の許可が取れたら、ディゼル様の側室にしてもらいたいです』
『既にメリルレージュ様に下話はしてあります。このまま体型が人並みになったらディゼル様の側室にしてくれると言っていました』
確かに以前そんなことを言っていた。
『い、いや、この事はあとでメリルも一緒にいる時に聞いてみよう』
そう言ってその場は有耶無耶にしたつもりだったが、メリルにこのことを聞く前に今日のこの状況を迎えてしまった次第だ。
「私はディゼル様に嫁ぎます。私の身体を好きにしてください。側室の順番も気にしません。末長く養ってくださいますよう宜しくお願いします」
前半は男として嬉しいことこの上ない発言だったが後半はたくましいくらい養ってもらう気満々のミネルバの発言だった。
元々側室にして欲しいと言っていたミネルバだ。まあこの展開はありなのだろう。
でもミネルバはわかるとしても、問題はアンリエッタだ。
「私も側室にしていただけるのであれば順番は気にしません」
急にそんな声が聞こえた。
俺はアンリエッタを見る。
綺麗になって顔を出すように……なっていない。美少女になったのに男が寄って来るのが嫌になって長い髪で顔を隠したアンリエッタ。それでも呪いは解けて結婚相手など選び放題だと言うのにわざわざ俺の側室になることもないだろう。
『メリルレージュ様。ディゼル様。この恩は、生涯忘れられませぬ』
『いいのよ。今日の出来事をずっと忘れていないでくれればいいわ。私達の仲でしょう』
メリルとアンリエッタの間にそんなやりとりがあったが、だからと言ってこんな恩の返し方はいらない。
「アンリエッタ。せっかく呪いが解けたんだ。好きな相手に嫁げ」
「はい。ありがとうございます。それでは遠慮なく、ディゼル様に嫁ぎます」
アンリエッタのその発言に一瞬時が止まった。
「なぜそうなる?」
「先程も申し上げましたが、側室にしていただけるのであれば順番は気にしません」
「いや、今のは質問に対する回答じゃないよ」
メリルといいどうして俺の質問の意図を理解してくれないのだろうか。
なぜ俺にという問いに対して順番は気にしないと言うのは回答になっていない。
「ディゼル様。私の呪いを解いてくれた恩を返したいという理由でないといえば嘘になりますがそれだけではありません」
アンリエッタが近づいてくる。
「ディゼル様。お慕いしております。どうか側室の一人にお加えください」
アンリエッタがグイっと近づいてくる。髪が風になびいて美しい素顔が近くに見えた。
こんな美少女に迫られてドキドキする。
「私も、宜しくお願いします。ディゼル様」
アンリエッタに近づかれてちょっと後ずさりしたら後ろからミネルバに抱きしめられた。
「どう。ディー。これでも二人は側室にいらないかしら?」
勝ち誇ったような表情でメリルは俺に尋ねて来る。
二人を側室にしていいと言われて本人もそれを臨んでるのだとしたら、俺の答えは一つだ。
「……二人とも我が側室にします」
俺はそう答えたのだった。
*
目を覚ます。
俺は裸だった。
右隣には裸のミネルバ。左隣には裸のアンリエッタがいる・
俺はミネルバとアンリエッタを側室に迎える事にした。まだ正妻は決まっていないが。
俺のファーストレディはミネルバになった。
アンリエッタから「私がファーストレディでは今後が心配でしょう」と言われてしまった。別に心配していないがそう言われるのでついでに三人で話しあって未だ決まっていない正室に続き第二夫人がミネルバで第三夫人がアンリエッタに決まった。
「おはようございます。ディゼル様」
目を覚ましたアンリエッタに軽いキスをされる。
アンリエッタの口数が少ないのは相変わらずだが俺に甘えてくるようになった。
「おはようございます。ディゼル様」
続いて目を覚ましたミネルバに熱い口付けをされる。
こちらは積極的だ。
「おはよう。二人とも」
俺はそう言って二人にそれぞれキスを返した。
こんな美少女二人を侍らせている。
俺の望む世界が、今まさに俺の手の中にあるのだと感じるのだった。
我が愛しき人物の第一声がこれだった。
この場には俺とメリルだけでなくてミネルバとアンリエッタもいる。
四人が揃ったこの場でいきなりメリルはそんなことを言いだしたのだ。
「急に何言っているんだ?」
思わずそんな聞き方をしてしまった。
ミネルバとアンリエッタだったら俺とメリルの関係は良く理解しているだろうが、それでも二人がいる時は他人がいる時と同じで取り繕った言動をしている。あまりの発言に素が出てしまった。
「ディー。ミネルバとアンリエッタを側室に迎えなさい」
メリルは綺麗にもう一度そう告げた。どうも伝わっていなかった。
「いや、聞こえなかったから聞き返したんじゃないよ」
俺はメリルに言いたい事が伝わっていなかった事を伝えた。
「どうしてそんな発言になるんだ?」
「言ったでしょう。相手は私が選んであげるって」
たしかにメリルは以前そんなことを言っていた。
でもそれってファーストレディの話じゃなかっただろうか。
前世の知識での俺が知る「ファーストレディ」とは、アメリカの大統領夫人のことだ。もっと別の意味があったかもしれないが俺の認識ではそのくらいだ。
この世界では「ファーストレディ」とは精通した貴族の男子に性行為の手ほどきをする相手を指すそうだ。
身近な未亡人が相手になる事もあれば、自身も経験のない処女が経験者にやり方を説明されてから手ほどきを行うケースもあるという。大抵は年上の女性になるそうだが堂年齢や年下が相手になる場合もあり一概にこうとは言えない単語である。
「ミネルバとアンリエッタ。好きな方をファーストレディにしなさい」
あっ。ファーストレディの話だった。
「ちょっと待って」
俺はメリルを止める。
「メリル。二人の行く末を決めるのはメリルかもしれないけど。誰に嫁ぐかは当人たちでよく話しあいをしてからの方がいい」
もう二人の人生を握っているメリルに人の人生を軽く考えるなうんぬんを言うつもりはないが、誰に嫁ぐかくらいは本人達に納得した上で決めて欲しいのだ。
なんだかんだでミネルバとアンリエッタのことは妹みたいに想っている。ミネルバは一つ年上でアンリエッタは同じ歳で誕生日が俺より早いが、二人とも可愛い存在だ。
「問題ないわ。二人ともちゃんと話は済んでいるから」
そう言われてミネルバを見ると俺に対して微笑みを浮かべていた。
『メリルレージュ様の許可が取れたら、ディゼル様の側室にしてもらいたいです』
『既にメリルレージュ様に下話はしてあります。このまま体型が人並みになったらディゼル様の側室にしてくれると言っていました』
確かに以前そんなことを言っていた。
『い、いや、この事はあとでメリルも一緒にいる時に聞いてみよう』
そう言ってその場は有耶無耶にしたつもりだったが、メリルにこのことを聞く前に今日のこの状況を迎えてしまった次第だ。
「私はディゼル様に嫁ぎます。私の身体を好きにしてください。側室の順番も気にしません。末長く養ってくださいますよう宜しくお願いします」
前半は男として嬉しいことこの上ない発言だったが後半はたくましいくらい養ってもらう気満々のミネルバの発言だった。
元々側室にして欲しいと言っていたミネルバだ。まあこの展開はありなのだろう。
でもミネルバはわかるとしても、問題はアンリエッタだ。
「私も側室にしていただけるのであれば順番は気にしません」
急にそんな声が聞こえた。
俺はアンリエッタを見る。
綺麗になって顔を出すように……なっていない。美少女になったのに男が寄って来るのが嫌になって長い髪で顔を隠したアンリエッタ。それでも呪いは解けて結婚相手など選び放題だと言うのにわざわざ俺の側室になることもないだろう。
『メリルレージュ様。ディゼル様。この恩は、生涯忘れられませぬ』
『いいのよ。今日の出来事をずっと忘れていないでくれればいいわ。私達の仲でしょう』
メリルとアンリエッタの間にそんなやりとりがあったが、だからと言ってこんな恩の返し方はいらない。
「アンリエッタ。せっかく呪いが解けたんだ。好きな相手に嫁げ」
「はい。ありがとうございます。それでは遠慮なく、ディゼル様に嫁ぎます」
アンリエッタのその発言に一瞬時が止まった。
「なぜそうなる?」
「先程も申し上げましたが、側室にしていただけるのであれば順番は気にしません」
「いや、今のは質問に対する回答じゃないよ」
メリルといいどうして俺の質問の意図を理解してくれないのだろうか。
なぜ俺にという問いに対して順番は気にしないと言うのは回答になっていない。
「ディゼル様。私の呪いを解いてくれた恩を返したいという理由でないといえば嘘になりますがそれだけではありません」
アンリエッタが近づいてくる。
「ディゼル様。お慕いしております。どうか側室の一人にお加えください」
アンリエッタがグイっと近づいてくる。髪が風になびいて美しい素顔が近くに見えた。
こんな美少女に迫られてドキドキする。
「私も、宜しくお願いします。ディゼル様」
アンリエッタに近づかれてちょっと後ずさりしたら後ろからミネルバに抱きしめられた。
「どう。ディー。これでも二人は側室にいらないかしら?」
勝ち誇ったような表情でメリルは俺に尋ねて来る。
二人を側室にしていいと言われて本人もそれを臨んでるのだとしたら、俺の答えは一つだ。
「……二人とも我が側室にします」
俺はそう答えたのだった。
*
目を覚ます。
俺は裸だった。
右隣には裸のミネルバ。左隣には裸のアンリエッタがいる・
俺はミネルバとアンリエッタを側室に迎える事にした。まだ正妻は決まっていないが。
俺のファーストレディはミネルバになった。
アンリエッタから「私がファーストレディでは今後が心配でしょう」と言われてしまった。別に心配していないがそう言われるのでついでに三人で話しあって未だ決まっていない正室に続き第二夫人がミネルバで第三夫人がアンリエッタに決まった。
「おはようございます。ディゼル様」
目を覚ましたアンリエッタに軽いキスをされる。
アンリエッタの口数が少ないのは相変わらずだが俺に甘えてくるようになった。
「おはようございます。ディゼル様」
続いて目を覚ましたミネルバに熱い口付けをされる。
こちらは積極的だ。
「おはよう。二人とも」
俺はそう言って二人にそれぞれキスを返した。
こんな美少女二人を侍らせている。
俺の望む世界が、今まさに俺の手の中にあるのだと感じるのだった。
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