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ペーター編

65話 男子の仲直りにキュン

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「……だけど、そのプレゼントのおかげで私は命拾いしたんです」

あの時のペンダントを思い出して私は胸元を握りしめた。

「差し支えなければ聞くが、何貰ったんだ?」
ゼイツ准将じゅんしょうが気を遣ってくれた。

「死んだキツネみたいなぬいぐるみが箱に入ってました」
「そりゃあ……プレゼントって言わねえな?」
「その下に、救難信号のペンダントが入っていたんです」

私はニワトリ小屋の方を気にした。ちょうどペーターとマグ太様が喋りながら戻ってきていた。
「なんでニワトリたちオイラを避けるんだろ?」
「マグ太君が腐った卵みたいな臭いはっしてるからじゃない?」
「イワイワ、せめて温泉みたいな香りって言ってくれる?」

走って見に行ったのに歩いて帰ってきたところをみると、二度目のくしゃみも大したことは起きなかったようだ。
その理由、ちょっとわかる気がする。ジャムキングおじい様は心から戦争を憂いていたからこそ、噴火が起きたんじゃないのかな。
ペーターの願いは、控えめにいっても私利私欲だもんね。

それよりも、心配なのは彼の体調である。

「フェルリナちゃんまでオイラをけてる。地味に傷つくんだけど……」
「ごめんなさい、マグ太様を避けたんじゃないの。ペーター、接近禁止魔法が解かれてないって本当なの? 私が近くにいると具合悪いの?」

真剣な口ぶりになってしまい、三人が静まって、するとやっと彼が返事をしてくれた。

「でも早く来たかったからしょーがないんだ」

「それはありがとうだけど……申し訳なくて」

「先にピクシーアイランドへ帰り、ピーナツバター(女王)に魔法を解いてもらうこともできた。でもボクはそうせずにイークアルに直行した。ボクが判断したんだ。フェルが気にすることじゃない」

「イワイワ、ペーター君は自分の体で拷問実験してるくらいだから、ちょっとやそっとの事じゃ負けないんだろうな」

「マグ太君つまらない話しないで」

「見あげた根性だな」

ゼイツ准将が言った。

「知らせを受けて最速で駆けつけたわけか。〝遅い〟と言っちまったのは撤回する」

「キミの方こそいい根性してるよ。ボクの容態に気づきながら、攻撃の手を緩めなかったね。そこだけは感心したよ」

「勘違いすんなよ、プライドを傷つけないようにしたんじゃないぜ? せっかく強ぇ相手に会えたんで全力で行かせてもらった」

私は二人に釘付けになった。え……何この会話。
仲直りしてる……!?

 
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