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124話
しおりを挟む一際大きな屋敷に案内されその屋敷の応接室へとジグレイドは通された。
その後直ぐに幹部であろう二人が部屋へと入ってきた。
「待たせたの、エリック殿からの危急の報せということじゃがどうしたのだ?というよりもじゃ…お前さんのその鎧はドワーフ製じゃな。かなりの腕前の鍛治師だの」
「ドバノン様先ずはこの者の兜を取るのを促すべきでは?」
「あんたらがエリックの言っていた幹部か?俺はジグという流れ者だ。イルルを探してる最中にエリックに出会ってな、丁度いいと体良く伝令役を押し付けられたんだ。あとこの兜を取るつもりはない。ここは俺にとって自陣というわけではないからな」
情報がある程度共有されている幹部であればジグレイドの纏う鎧でハヌマエン、カイチガを殺した件の鎧だと予想出来そうなものだが、亜人からして予想だにしていない事があった。
まさかドワーフ製の鎧を人間が纏っているとは幹部である彼等ですら予想していなかったのである。
不幸だったのはここに残っていた幹部がひと目見て鎧がドワーフ製だと分かってしまう生産組であったことである。
「そうじゃ、儂が幹部の一人ドバノンで、こっちのなよっちいエルフが幹部のククルカじゃ」
「ドバノン様女性になよっちいは如何なものかと…。ククルカと言います。それでジグ様エリック様に押し付けられた伝言をお聞かせ下さいますか?」
「ああ、エリックの伝言は二つ隣の集落が全滅していた。引き続き調査を行うから一つ前の集落の守りを念の為に送っておいてくれ、だそうだ。エリックはもっと傲岸不遜な言葉使いだったが勝手に言い易いように変えたがいいよな?伝わればいいんだし」
「なんじゃとッ!?ククルカ、すぐに送り込める人員はどのくらいじゃ!?」
「記憶している限りですと…中級戦闘員が三十名程かと…」
「何故中級しかいないんじゃ!?…いや、エリック殿が精鋭を連れていったのか…まぁあのエリック殿が森の中で遅れをとるとは思えんからの。調査が終わるまでの繋ぎならば中級でも大丈夫かの」
「ではその様に指示しておきます。ジグ様、私はこれで失礼します」
ククルカはそう告げて足早に何処かへと去っていった。
残る幹部は目の前にいるドバノンだけとなったが、すでにジグレイドが自ら手を下さなくてもドバノンには死ぬ未来しかない。
この部屋に入った瞬間からずっと潜伏性の致死毒を絶えず浴びせていたのだ。
もちろん先程出て行ったククルカも同様に明日には永遠の眠りへと落ちている事だろう。
しかしジグレイドは椅子に立てかけていた短槍を握りそのまま思いっきり振り抜いた。
短槍は間に置かれていた高価そうな机を両断しドバノンをも左右に両断した。
「なん、じゃ、と…」
幹部ではあるが戦闘が得意でないドバノンはジグレイドの凶刃に反応すらできずに両断され、数秒後には骸と化した。
ジグレイドは短槍に付いた血を振り払ってから背負い凄惨な状況となった部屋を後にした。
ジグレイドはすぐに即死の猛毒の領域を限界まで広げこの亜人の砦を落としにかかった。
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