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122話
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その魔法の名は“ゲイルハザード”数多の竜巻を発生させその竜巻による全方位攻撃を可能とする凶悪な風魔法だ。
「よくやったぞ!あれをまともに受けて生きておる筈がない!後は砂塵が収まり遺骸を確認するだけじゃ」
エリックだけでなく他の亜人も歓声を上げ魔法を放ったエルフを激励するが魔法を放ったエルフ本人は魔力切れによる眩暈や吐き気、頭痛などに苛まれながらもヨロヨロと覚束ない足取りでなんとか立ち上がり返事をする程度しか今はできなかった。
そんなエルフの視界の端で揺らめく黒い影が一瞬だが見えた。
そしてその影を確認できたのは自分一人だけで他の仲間は無理して魔法を放った自分を激励する為に族長だけでなくドワーフの仲間迄もが敵から視線を外し此方へと向き直っていた。
「まっ…ずい!まだ…生…きてるっ!」
すぐさま仲間に警戒を促すが魔力切れによる症状の所為で上手く叫べず最悪な事に仲間にその意図は全く伝わらなかった。
そしてそれは仲間の死を意味していた。
──ブォンッ!
そんな音が聞こえた。
突然仲間の一人が消えた。
──ブォンッ!
また同じ音が聞こえた。
また仲間の一人が消えた。
離れた場所から微かに何かが落ちる音が聞こえた。
そして四度音が鳴る時には族長のエリックと自分以外が居なくなっていた。
そこで漸くエリックが異変に気が付いたのだが、凶刃はすぐそこまで迫っていた。
「ぬおっ!」
そんならしく無い素っ頓狂な声を上げてエリックは横へと飛び退いた。
そのすぐ後にエリックの今まで立っていた場所を何かが通り過ぎた。
「ぐっ…!儂の腕がっ!」
「間の悪い奴だ。折角仲間同様に苦しませず楽に死なせてやろうと思ったのに…自分から避けるなんてな」
エリックは声のする方へと振り向き声の主を睨みつけるが、敵の状態を見て愕然としてしまった。
「貴様っ!よもや生きていよう…と、は…?何故じゃ、何故無傷なんじゃ。儂らエルフ族の放った魔法を受けたのじゃぞ…」
「所詮はその程度という事だろ?そもそも魔法特化種族ってのもお前らエルフが自称してるだけだろ?現に自称魔法特化のエルフ様の魔力を振り絞った魔法もこの通り何の被害もないからな」
本当のところはかなりダメージを負っていた。
ダメージと言っても殆どが竜巻の圧力による打撲で殆ど出血を伴う怪我はしていない。
ジグレイドならばほんの数秒で完治する程度でしかなかった。
ジグレイドは決して油断してはいなかったが1人に対してあそこまで大規模の魔法を放つとは思っていなかった。
その上流石の高速移動を得意としているジグレイドもこのような大規模魔法を咄嗟に避けるという事は出来なかった。
「エリック様…私がアレを何とか抑えてみせます。ですからエリック様はアレの情報を他の幹部の皆様へ持ち帰ってください」
「しかし今のお主に何が出来る!?魔力切れでフラフラしておるではないか!」
「確かに魔力はもう有りません。しかしまだ弓が有ります。もし弓が使えなくなってもまだ私の手足が有ります。何としてでも数分、いえ数十秒は稼いでみます!ですからエリック様…お早く!」
「プッ、アハハハハハハハッ!お前ら襲ってきたのにも関わらず尻尾巻いて逃げるのか?…そもそも俺から逃げられると思ってるいるのか?それにまだ気付かないのか?もうお前らは俺が手を下さなくても勝手に死ぬんだぜ?あの猿の亜人みたいに最後まで戦って死のうって気概はないのか?」
その一言にエリックの逃げ出そうとしていた足が止まった。
「あの猿の亜人、だと?まさかとは思うが白銀の体毛を持つ男ではないじゃろうな?」
「確かハヌマエン?って名だったか、奴とは死闘を繰り広げたもんだ。ま、俺が奴を倒す前に時間切れで死んでしまったのが今でも悔やまれるけどな」
「時間切れじゃと…?」
「だから言ったろ?お前らは逃げようが戦おうがどの道そう遠くない未来死ぬって」
「成る程…この体調は貴様のせいだったか…毒を盛る隙なぞなかったはずじゃがな」
その時、エリックの連れて来た精鋭の最後の一人が血を吐きながら倒れた。
「っ!?(もはやここまでか?いや、ククルカであればこの毒も解毒できるか?しかしすでに生きておるのは儂一人…敵が逃してくれるとは思えぬ。彼奴の速さから逃げられる気もせぬし、魔法も放つ余裕すらないじゃろうな…完全に詰んでおらぬか?)」
「良い辞世の句は思いついたか?そろそろ…死ねっ!」
エリックに魔法を放たせない為にジグレイドは油断なく制御出来るギリギリの速度で斬りかかった。
エリックはエルフである為、弓もそれなりに使えるが本来は純粋な後衛である。
基本は前面に盾を立ててその背後で固定砲台となり敵を殲滅する事を得意としているエリックはジグレイドの姿を捉える事が全くできなかった。
しかし長年の勘により辛うじて避ける事は出来たが、今度は左脚が太腿から切断された。
「ぐぬっ!」
苦痛に顔を歪めなんとか片足でジグレイドから距離をとり魔法を放ちたいが、その余裕はなさそうだった。
片足で無理矢理とった距離をすぐ様詰めてきてその禍々しい短槍がエリックを両断せんと目の前まで迫ってきていた。
「よくやったぞ!あれをまともに受けて生きておる筈がない!後は砂塵が収まり遺骸を確認するだけじゃ」
エリックだけでなく他の亜人も歓声を上げ魔法を放ったエルフを激励するが魔法を放ったエルフ本人は魔力切れによる眩暈や吐き気、頭痛などに苛まれながらもヨロヨロと覚束ない足取りでなんとか立ち上がり返事をする程度しか今はできなかった。
そんなエルフの視界の端で揺らめく黒い影が一瞬だが見えた。
そしてその影を確認できたのは自分一人だけで他の仲間は無理して魔法を放った自分を激励する為に族長だけでなくドワーフの仲間迄もが敵から視線を外し此方へと向き直っていた。
「まっ…ずい!まだ…生…きてるっ!」
すぐさま仲間に警戒を促すが魔力切れによる症状の所為で上手く叫べず最悪な事に仲間にその意図は全く伝わらなかった。
そしてそれは仲間の死を意味していた。
──ブォンッ!
そんな音が聞こえた。
突然仲間の一人が消えた。
──ブォンッ!
また同じ音が聞こえた。
また仲間の一人が消えた。
離れた場所から微かに何かが落ちる音が聞こえた。
そして四度音が鳴る時には族長のエリックと自分以外が居なくなっていた。
そこで漸くエリックが異変に気が付いたのだが、凶刃はすぐそこまで迫っていた。
「ぬおっ!」
そんならしく無い素っ頓狂な声を上げてエリックは横へと飛び退いた。
そのすぐ後にエリックの今まで立っていた場所を何かが通り過ぎた。
「ぐっ…!儂の腕がっ!」
「間の悪い奴だ。折角仲間同様に苦しませず楽に死なせてやろうと思ったのに…自分から避けるなんてな」
エリックは声のする方へと振り向き声の主を睨みつけるが、敵の状態を見て愕然としてしまった。
「貴様っ!よもや生きていよう…と、は…?何故じゃ、何故無傷なんじゃ。儂らエルフ族の放った魔法を受けたのじゃぞ…」
「所詮はその程度という事だろ?そもそも魔法特化種族ってのもお前らエルフが自称してるだけだろ?現に自称魔法特化のエルフ様の魔力を振り絞った魔法もこの通り何の被害もないからな」
本当のところはかなりダメージを負っていた。
ダメージと言っても殆どが竜巻の圧力による打撲で殆ど出血を伴う怪我はしていない。
ジグレイドならばほんの数秒で完治する程度でしかなかった。
ジグレイドは決して油断してはいなかったが1人に対してあそこまで大規模の魔法を放つとは思っていなかった。
その上流石の高速移動を得意としているジグレイドもこのような大規模魔法を咄嗟に避けるという事は出来なかった。
「エリック様…私がアレを何とか抑えてみせます。ですからエリック様はアレの情報を他の幹部の皆様へ持ち帰ってください」
「しかし今のお主に何が出来る!?魔力切れでフラフラしておるではないか!」
「確かに魔力はもう有りません。しかしまだ弓が有ります。もし弓が使えなくなってもまだ私の手足が有ります。何としてでも数分、いえ数十秒は稼いでみます!ですからエリック様…お早く!」
「プッ、アハハハハハハハッ!お前ら襲ってきたのにも関わらず尻尾巻いて逃げるのか?…そもそも俺から逃げられると思ってるいるのか?それにまだ気付かないのか?もうお前らは俺が手を下さなくても勝手に死ぬんだぜ?あの猿の亜人みたいに最後まで戦って死のうって気概はないのか?」
その一言にエリックの逃げ出そうとしていた足が止まった。
「あの猿の亜人、だと?まさかとは思うが白銀の体毛を持つ男ではないじゃろうな?」
「確かハヌマエン?って名だったか、奴とは死闘を繰り広げたもんだ。ま、俺が奴を倒す前に時間切れで死んでしまったのが今でも悔やまれるけどな」
「時間切れじゃと…?」
「だから言ったろ?お前らは逃げようが戦おうがどの道そう遠くない未来死ぬって」
「成る程…この体調は貴様のせいだったか…毒を盛る隙なぞなかったはずじゃがな」
その時、エリックの連れて来た精鋭の最後の一人が血を吐きながら倒れた。
「っ!?(もはやここまでか?いや、ククルカであればこの毒も解毒できるか?しかしすでに生きておるのは儂一人…敵が逃してくれるとは思えぬ。彼奴の速さから逃げられる気もせぬし、魔法も放つ余裕すらないじゃろうな…完全に詰んでおらぬか?)」
「良い辞世の句は思いついたか?そろそろ…死ねっ!」
エリックに魔法を放たせない為にジグレイドは油断なく制御出来るギリギリの速度で斬りかかった。
エリックはエルフである為、弓もそれなりに使えるが本来は純粋な後衛である。
基本は前面に盾を立ててその背後で固定砲台となり敵を殲滅する事を得意としているエリックはジグレイドの姿を捉える事が全くできなかった。
しかし長年の勘により辛うじて避ける事は出来たが、今度は左脚が太腿から切断された。
「ぐぬっ!」
苦痛に顔を歪めなんとか片足でジグレイドから距離をとり魔法を放ちたいが、その余裕はなさそうだった。
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