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118話
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「こいつはテメーの仕業か!?」
ジグレイドに刃を向けながら口から血を流した生き残りの一人がそう問いかけてくる。
すぐさま殺してもいいのだが、どうせなら苦しませてから殺したい。
「そうだと言ったら?」
「ああ!?ぶっ殺すに決まってんだろうが!」
生き残りの四人は問答無用にジグレイドへと飛び掛かってきた。
一人は構えていた弓矢を放ち、二人は弓矢に続いてその手に持った剣を振り下ろし、最後の一人は側面へと回り込み長槍で突きを繰り出す。
日頃から連携していることが伺える程の息の合った攻撃に眼を見張るも、ジグレイドからすればただそれだけである。
カイチガの様な素早さもなくハヌマエンの様に一撃の破壊力もない、ただただ連携が上手いというだけの攻撃など脅威など何もなかった。
四人の中で最初の犠牲者は弓矢を放ったエルフだった。
そのエルフは胸から上下に両断されつつ横に吹き飛んでいった。
背後からの轟音に亜人の三人は何が起きたのか分からず振り返るも、目に入ってきた光景は信じられなかった。
今の今まで目の前にいた敵がいつの間にか移動しており、更に仲間を殺していたのだから。
もちろん特殊な事は何もしていないジグレイドは強化された身体能力で敵の攻撃を躱してそのままエルフの背後に回り込み大剣と見間違う程の短槍をただ力任せに横に振り抜いただけ。
本当にただ過剰に強化された身体能力によるゴリ押しだった。
そんな光景を見た残りの三人はすぐさま悟った。
敵は決して手を出してはいけない化け物だったと…。
もはや抵抗する気配すらなく三人は呆気なくその命を絶たれた。
この惨劇を引き起こしたジグレイドは何の感慨もなくただ一言「呆気ないな」と呟いただけだった。
それからというもののジグレイドは同じ手順で亜人の集落の位置を聞き出し殲滅、移動ということを繰り返した。
抵抗らしい抵抗を受けず述べ六ヶ所の集落を全滅させたのである。
この六ヶ所というのは深緑の森の深層に作られた亜人の集落の三分の一にもなっており、クォムボーラに所属する亜人が三分の一殺されたと同義であった。
こんな事態に陥っているとクォムボーラの幹部の六人は未だ知りもしなかった。
それには逃げる間も無く殲滅されたこともあるが、幹部の意識が殆ど深緑の森の外へ向けられているからであった。
そう簡単に人族が深層へと辿り着くことは出来ないと幹部全員が判断していた上に結界の魔道具まで各集落に設置していたのだから油断するのも仕方ないと言えなくもない。
そしてこの複数の集落の壊滅の報せが幹部の面々に届くのはもう少し後のことになる。
その間にも次々と集落は襲われていき、幹部が駆けつけるまでに三分の二に届くかという所まで亜人を殺され続けていたのである。
ジグレイドに刃を向けながら口から血を流した生き残りの一人がそう問いかけてくる。
すぐさま殺してもいいのだが、どうせなら苦しませてから殺したい。
「そうだと言ったら?」
「ああ!?ぶっ殺すに決まってんだろうが!」
生き残りの四人は問答無用にジグレイドへと飛び掛かってきた。
一人は構えていた弓矢を放ち、二人は弓矢に続いてその手に持った剣を振り下ろし、最後の一人は側面へと回り込み長槍で突きを繰り出す。
日頃から連携していることが伺える程の息の合った攻撃に眼を見張るも、ジグレイドからすればただそれだけである。
カイチガの様な素早さもなくハヌマエンの様に一撃の破壊力もない、ただただ連携が上手いというだけの攻撃など脅威など何もなかった。
四人の中で最初の犠牲者は弓矢を放ったエルフだった。
そのエルフは胸から上下に両断されつつ横に吹き飛んでいった。
背後からの轟音に亜人の三人は何が起きたのか分からず振り返るも、目に入ってきた光景は信じられなかった。
今の今まで目の前にいた敵がいつの間にか移動しており、更に仲間を殺していたのだから。
もちろん特殊な事は何もしていないジグレイドは強化された身体能力で敵の攻撃を躱してそのままエルフの背後に回り込み大剣と見間違う程の短槍をただ力任せに横に振り抜いただけ。
本当にただ過剰に強化された身体能力によるゴリ押しだった。
そんな光景を見た残りの三人はすぐさま悟った。
敵は決して手を出してはいけない化け物だったと…。
もはや抵抗する気配すらなく三人は呆気なくその命を絶たれた。
この惨劇を引き起こしたジグレイドは何の感慨もなくただ一言「呆気ないな」と呟いただけだった。
それからというもののジグレイドは同じ手順で亜人の集落の位置を聞き出し殲滅、移動ということを繰り返した。
抵抗らしい抵抗を受けず述べ六ヶ所の集落を全滅させたのである。
この六ヶ所というのは深緑の森の深層に作られた亜人の集落の三分の一にもなっており、クォムボーラに所属する亜人が三分の一殺されたと同義であった。
こんな事態に陥っているとクォムボーラの幹部の六人は未だ知りもしなかった。
それには逃げる間も無く殲滅されたこともあるが、幹部の意識が殆ど深緑の森の外へ向けられているからであった。
そう簡単に人族が深層へと辿り着くことは出来ないと幹部全員が判断していた上に結界の魔道具まで各集落に設置していたのだから油断するのも仕方ないと言えなくもない。
そしてこの複数の集落の壊滅の報せが幹部の面々に届くのはもう少し後のことになる。
その間にも次々と集落は襲われていき、幹部が駆けつけるまでに三分の二に届くかという所まで亜人を殺され続けていたのである。
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