おちゆく先に

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115話

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 深緑の森へ入り一日が過ぎた。
やはりというか徒歩だと深層まで一日では辿り着けなかった。
現在は中層の中腹といったところだろうか、流石に夜の探索はめんどくさいのでしない。
一晩休憩してから探索した方が遥かに捗るだろうしな。

野営の準備を整えてから持ってきた携帯食料で食事を済ませる。
野営の準備といってもテントなどの準備ではもちろんなく、底冷え対策の毛皮を地面に敷くだけだが。



翌日の夕方近くには深層までたどり着くことが出来た。
やはり深層は魔素が濃く立ち入った瞬間から違いがハッキリと分かるほどである。
なぜここまでハッキリと中層と深層で分かれているのかは知らないが、探索する身としては有難い事ではあった。

「ほう、どうやら深層では住んでいる魔物は同じみたいだな」

堂々と歩くジグレイドの前に現れたのは前回の戦争の時に活用したインジェクトヘッジホッグだった。
殺意丸出しで放たれた数十の棘が正面からジグレイドを襲うが左手の丸盾で簡単に打ち払い強化された脚力ですぐに接近し大剣とも思える短槍で刺し貫いた。

流石は深層の魔物だ。
刺し貫かれた程度では直ぐには息絶えず、未だに抵抗を続けるようだが…歴戦の猛者となりつつあるジグレイドがそんな事を簡単に許すはずもなく、短槍を手放し燃える剣でその首を刎ねた。

「おおー、トドメの一撃にはこの剣便利だな。何より血を浴びずに済むのがいい!」

どうやら斬り飛ばした首の断面が剣の炎で焼かれて血が噴き出ないようだった。

未だに深層には判明していない部分が多く、まだ見ぬ強力な魔物が生息しているかもしれない。
そんな深層を血の臭いを漂わせながら歩く事は自殺行為に等しいので極力血を浴びたくなかったのである。
では猛毒の領域で敵を皆殺しにすれば良いと思うが…それでは自身の訓練にならない為、囲まれた時などピンチの時以外は使わないようにしているのである。


インジェクトヘッジホッグの素材を回収せずにその場に放置したままジグレイドはその場を立ち去った。
まだまだ深層を探索する身で魔物の素材を担ぐのは嫌だしそれ以上にインジェクトヘッジホッグの素材を今更時間をかけて回収する気にもならなかったからである。

そして深層の探索をする事五日、漸く亜人の手掛かりを発見した。


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