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94話
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救護部隊が詰めているテントには多くの負傷した兵士や冒険者がいたる所に横たわり今もなお回復魔法で治療を受けていた。
「カリーナを!誰でもいい!カリーナを助けてくれ!」
ジグレイドは今にも疲労と魔力不足で倒れそうになりながらも回復魔法を使い続けている救護部隊にカリーナを診てもらおうと駆け寄った。
「今は手が離せません!空いているスペースに…って魔法師団団長様!?」
詰め寄られた回復魔法師はジグレイドが抱いているカリーナを見て驚愕した。
魔法師団はまさしく魔法師のエリート部隊である。そんな部隊の団長ともなればエリート中のエリートで雲の上の存在ともいえる。そんな人が血塗れになり運び込まれてきたのだ。驚くのも必然だった。
「と、とりあえず!あそこで診てみましょう!」
急いで空いているスペースへとカリーナを運び横たえた。
「…っ!誰か!手を貸してくれ!レッドだ!」
回復魔法師がそう叫ぶと重篤でない患者を診ている回復魔法師がこちらに駆け寄ってきた。
「どんな状態だ!」
「辛うじて即死は免れていますが、胸部から背部まで貫通しており、臓器が損傷し出血多量で一刻の猶予もありません!代わる代わる持てる最上の回復魔法を行使し続けなければ命が危ない状態です!」
「よし!二人一組になり持てる回復魔法で最上のものを放て!絶対に助けるぞ!」
救護部隊の健闘のおかげでカリーナの命は何とか繋がった。だがそれは辛うじて命を繋ぐことができたというものでしかなかった。背骨を損傷し神経を傷付けたのである。そのせいでカリーナは足を動かすことができなくなった。幸い麻痺は胴から下で済んで手や腕を動かすことはできるため魔法を行使することには問題はなかったが、今回の戦争への復帰は不可能となってしまった。
亜人族の奇襲があったからといって戦争が中断できるはずもない。バルクド帝国側は合成魔法による被害が前回よりも少なく、さらに合成魔法が途中で消失したため今が攻め時と執拗に攻めてきていた。その為に援軍が来ずにローレンは防戦一方のまま未だに一人で剛鬼と戦い続けていた。
「何があったかは知らんが…どうやら魔法師は死んだようだな」
「くっ!何が起きている!?」
ローレンはジグレイドが魔法師団の方へと走っていったのは気が付いていたが、なぜ合成魔法が動き出す前に消失したのか分からなかった。
後方で守られている魔法師団がそう易々と倒されるはずもないと思うが、魔法の消失ということは術者に何かがあったということしか分からなかった。
未だに両将軍は激しい剣撃をぶつけ合っており、誰もその戦闘に介入出来ずにいた。
いつもであればローレン直属の部下が外から手助けしてくれるのだが、今回は何故だかその手助けがまだなく、苦戦を強いられていた。
「ローレン様!遅くなり申し訳ありません!只今より加勢させていただきます!」
「よし!やるぞ!今日こそ剛鬼を倒すぞ!」
ローレン直属の部下の加勢により戦いの情勢が変わった。流石の剛鬼もローレンとその部下を相手に正面から破るには腕が鈍っている状態でなくともきつい戦力差であり、さらに殿を務めつつ逃げきるのも腕が鈍ってしまっている状態では無理だとログは思えた。
「くっ…ローレン殿!此度は素直に逃げさせてもらおう!撤退だ!退けー!」
ログはそう声を張り上げてすぐさま撤退を開始した。
撤退を開始したバルクド帝国軍に前線のフェイシル王国軍の兵士たちはもちろん追撃を掛けようとしたがローレンはそれを良しとしなかった。
「カリーナを!誰でもいい!カリーナを助けてくれ!」
ジグレイドは今にも疲労と魔力不足で倒れそうになりながらも回復魔法を使い続けている救護部隊にカリーナを診てもらおうと駆け寄った。
「今は手が離せません!空いているスペースに…って魔法師団団長様!?」
詰め寄られた回復魔法師はジグレイドが抱いているカリーナを見て驚愕した。
魔法師団はまさしく魔法師のエリート部隊である。そんな部隊の団長ともなればエリート中のエリートで雲の上の存在ともいえる。そんな人が血塗れになり運び込まれてきたのだ。驚くのも必然だった。
「と、とりあえず!あそこで診てみましょう!」
急いで空いているスペースへとカリーナを運び横たえた。
「…っ!誰か!手を貸してくれ!レッドだ!」
回復魔法師がそう叫ぶと重篤でない患者を診ている回復魔法師がこちらに駆け寄ってきた。
「どんな状態だ!」
「辛うじて即死は免れていますが、胸部から背部まで貫通しており、臓器が損傷し出血多量で一刻の猶予もありません!代わる代わる持てる最上の回復魔法を行使し続けなければ命が危ない状態です!」
「よし!二人一組になり持てる回復魔法で最上のものを放て!絶対に助けるぞ!」
救護部隊の健闘のおかげでカリーナの命は何とか繋がった。だがそれは辛うじて命を繋ぐことができたというものでしかなかった。背骨を損傷し神経を傷付けたのである。そのせいでカリーナは足を動かすことができなくなった。幸い麻痺は胴から下で済んで手や腕を動かすことはできるため魔法を行使することには問題はなかったが、今回の戦争への復帰は不可能となってしまった。
亜人族の奇襲があったからといって戦争が中断できるはずもない。バルクド帝国側は合成魔法による被害が前回よりも少なく、さらに合成魔法が途中で消失したため今が攻め時と執拗に攻めてきていた。その為に援軍が来ずにローレンは防戦一方のまま未だに一人で剛鬼と戦い続けていた。
「何があったかは知らんが…どうやら魔法師は死んだようだな」
「くっ!何が起きている!?」
ローレンはジグレイドが魔法師団の方へと走っていったのは気が付いていたが、なぜ合成魔法が動き出す前に消失したのか分からなかった。
後方で守られている魔法師団がそう易々と倒されるはずもないと思うが、魔法の消失ということは術者に何かがあったということしか分からなかった。
未だに両将軍は激しい剣撃をぶつけ合っており、誰もその戦闘に介入出来ずにいた。
いつもであればローレン直属の部下が外から手助けしてくれるのだが、今回は何故だかその手助けがまだなく、苦戦を強いられていた。
「ローレン様!遅くなり申し訳ありません!只今より加勢させていただきます!」
「よし!やるぞ!今日こそ剛鬼を倒すぞ!」
ローレン直属の部下の加勢により戦いの情勢が変わった。流石の剛鬼もローレンとその部下を相手に正面から破るには腕が鈍っている状態でなくともきつい戦力差であり、さらに殿を務めつつ逃げきるのも腕が鈍ってしまっている状態では無理だとログは思えた。
「くっ…ローレン殿!此度は素直に逃げさせてもらおう!撤退だ!退けー!」
ログはそう声を張り上げてすぐさま撤退を開始した。
撤退を開始したバルクド帝国軍に前線のフェイシル王国軍の兵士たちはもちろん追撃を掛けようとしたがローレンはそれを良しとしなかった。
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