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92話
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ヤズメが手を降り下ろすと同時に魔法師団を囲っていた竜人たちが一斉に攻撃を開始した。
「くっ!守りを固めろ!“土よ 土よ 我が意の──”ぐはっ!」
「そんなことさせるわけないじゃん。エジュちゃんやっちゃってえー」
守りを固めようとしたフルクトスをイルルの尾が強襲し詠唱の邪魔をする。そしてイルルの隣にいた大柄な竜人ザッハークが突進してきた。
魔法師団はその名のとおり魔法を扱う部隊だが近接戦闘もある程度はできるように訓練はしていた。だがそれはあくまでもある程度だ。一番近接戦闘ができるフルクトスでも一般の兵士程度でしかなかった。
そんな魔法師団が竜人の攻撃に耐えられるはずもなく次々と殺されていった。
「くっくっく、その程度か?貴様はこの部隊の団長なのだろ?ほれ、また一人死んだようだぞ?」
「くっ…!“風よ 刃となりて 敵を切り裂け エアロカッター”!」
カリーナはヤズメの攻撃を受けながらも必死に魔法を放つもヤズメは軽く手で払うだけで魔法をかき消してしまう。
「飽きてきたな…死ね」
ヤズメの強力な蹴りがカリーナを捕らえ骨の砕ける音と共にカリーナを弾き飛ばした。
時は遡り合成魔法が放たれる少し前、
「グガァァアアア!」
カイチガはすでに満身創痍で全身血だらけになっていたが、未だにジグレイドへと飛び掛かるのをやめようとはしていなかった。
「いい加減鬱陶しいぞ!」
ジグレイドはトドメの一撃を放つ為に色々隙を作ろうとしているが、カイチガは中々奮戦していた。といってもジグレイドは無傷なのだが。
再度丸盾を叩きつけバランスを崩したカイチガを切りつけようとするが、地面を転がり回避されてしまった。
するとバルクド帝国軍側から炎の竜巻が発生した。
「チッ、漸クカヨ」
「なんだ?あの魔法を待っていたのか?それは思いもしなかったな」
「グハハハ!勘違イスルナ。アレノ術者ハ今頃殺サレテイル頃ダロウゼ。ザマーミロダナ!」
「なんだと!?どうやらいつまでも雑魚に構っている暇はないようだな!」
ジグレイドは踵を返して魔法師団の方へと向かおうとするが、カイチガがそれを許さなかった。
「オット…イカセネーゼ。テメェハ俺トココデ遊ンデテモラワネートナ!」
ジグレイドの前に立ち塞がるカイチガだが、言葉とは裏腹にすでに立っているのがやっとの状態のように見えた。
「邪魔だ!さっさと死ね!」
立ち塞がるカイチガを短槍で切り裂こうとするが避けられる。そしてカイチガから攻撃を仕掛けてこないようになった。明らかに時間稼ぎをしてくるカイチガだが無視してカリーナの元へと行こうとすると攻撃して邪魔をしてくるため助けに行けない状況になっていた。
そして周囲には一般の兵士が野次馬のごとく集まってきていて本気で戦おうにも戦えない状況だった。
「くそっ!どうすれば…いっそ全力で戦うか?」
ジグレイドは周囲にいる兵士を犠牲にしてでも助けに向かうか悩んでいた。
そう悩んでいる内に事態は急展開を向かえた。
兵士たちが急に逃げ出したのである。
しかも魔法師団の方へではなく、逆方向へと散り散りに逃げ出したのである。
「何が起きた!?」
確認しようにも目の前には巨大な狼となったカイチガがいるため魔法師団の様子を見ることすらできない。
「グガガガガ!気ニナルノカ?教エテヤロウ。兵士ドモヲ俺ラノ仲間ガ殺シ回ッテイルノサ。ダガテメェハココデ俺ノ相手ヲスルコトシカデキネーンダヨ!」
高笑いをしながらそう言ってくるカイチガにジグレイドは本気を出すことに決めた。
もう周囲の兵士を気にしている場合ではなかったのだ。
「くっ!守りを固めろ!“土よ 土よ 我が意の──”ぐはっ!」
「そんなことさせるわけないじゃん。エジュちゃんやっちゃってえー」
守りを固めようとしたフルクトスをイルルの尾が強襲し詠唱の邪魔をする。そしてイルルの隣にいた大柄な竜人ザッハークが突進してきた。
魔法師団はその名のとおり魔法を扱う部隊だが近接戦闘もある程度はできるように訓練はしていた。だがそれはあくまでもある程度だ。一番近接戦闘ができるフルクトスでも一般の兵士程度でしかなかった。
そんな魔法師団が竜人の攻撃に耐えられるはずもなく次々と殺されていった。
「くっくっく、その程度か?貴様はこの部隊の団長なのだろ?ほれ、また一人死んだようだぞ?」
「くっ…!“風よ 刃となりて 敵を切り裂け エアロカッター”!」
カリーナはヤズメの攻撃を受けながらも必死に魔法を放つもヤズメは軽く手で払うだけで魔法をかき消してしまう。
「飽きてきたな…死ね」
ヤズメの強力な蹴りがカリーナを捕らえ骨の砕ける音と共にカリーナを弾き飛ばした。
時は遡り合成魔法が放たれる少し前、
「グガァァアアア!」
カイチガはすでに満身創痍で全身血だらけになっていたが、未だにジグレイドへと飛び掛かるのをやめようとはしていなかった。
「いい加減鬱陶しいぞ!」
ジグレイドはトドメの一撃を放つ為に色々隙を作ろうとしているが、カイチガは中々奮戦していた。といってもジグレイドは無傷なのだが。
再度丸盾を叩きつけバランスを崩したカイチガを切りつけようとするが、地面を転がり回避されてしまった。
するとバルクド帝国軍側から炎の竜巻が発生した。
「チッ、漸クカヨ」
「なんだ?あの魔法を待っていたのか?それは思いもしなかったな」
「グハハハ!勘違イスルナ。アレノ術者ハ今頃殺サレテイル頃ダロウゼ。ザマーミロダナ!」
「なんだと!?どうやらいつまでも雑魚に構っている暇はないようだな!」
ジグレイドは踵を返して魔法師団の方へと向かおうとするが、カイチガがそれを許さなかった。
「オット…イカセネーゼ。テメェハ俺トココデ遊ンデテモラワネートナ!」
ジグレイドの前に立ち塞がるカイチガだが、言葉とは裏腹にすでに立っているのがやっとの状態のように見えた。
「邪魔だ!さっさと死ね!」
立ち塞がるカイチガを短槍で切り裂こうとするが避けられる。そしてカイチガから攻撃を仕掛けてこないようになった。明らかに時間稼ぎをしてくるカイチガだが無視してカリーナの元へと行こうとすると攻撃して邪魔をしてくるため助けに行けない状況になっていた。
そして周囲には一般の兵士が野次馬のごとく集まってきていて本気で戦おうにも戦えない状況だった。
「くそっ!どうすれば…いっそ全力で戦うか?」
ジグレイドは周囲にいる兵士を犠牲にしてでも助けに向かうか悩んでいた。
そう悩んでいる内に事態は急展開を向かえた。
兵士たちが急に逃げ出したのである。
しかも魔法師団の方へではなく、逆方向へと散り散りに逃げ出したのである。
「何が起きた!?」
確認しようにも目の前には巨大な狼となったカイチガがいるため魔法師団の様子を見ることすらできない。
「グガガガガ!気ニナルノカ?教エテヤロウ。兵士ドモヲ俺ラノ仲間ガ殺シ回ッテイルノサ。ダガテメェハココデ俺ノ相手ヲスルコトシカデキネーンダヨ!」
高笑いをしながらそう言ってくるカイチガにジグレイドは本気を出すことに決めた。
もう周囲の兵士を気にしている場合ではなかったのだ。
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