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73話
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夜、門衛の2人が油断なく門を守っていると近付いてくる影が見えた。
「ん?・・・だ、誰だ!?組合員・・・なのか?」
暗闇の中、全身鎧で身を包んだ奴が俯きながら歩いてきたので門衛は武器を構えて警戒しながら問いただした。
「ああ?あー、やっと着いたのか。俺は組合員ではない。だが公爵閣下に世話になっている。通ってもいいか?」
組合員ではなく、しかも総指揮官であるオウルーゼルの知り合いだと名乗る怪しい男に門衛はさらに警戒するが、その怪しい男が取り出して見せてきたものが何であるか分かるとすぐに警戒を解いた。
「し、失礼しました!どうぞお通りください!」
「ああ、ご苦労さん」
そう言って怪しい全身鎧の男は門の中へと入っていった。
その男が見えなくなるまで確認した後、門衛はオウルーゼルへと伝令を近くにいた兵士に頼んだ。
時は遡り同日の夜、戦場の狼が本陣へと戻ってきた後の指揮官テントでは
「ジグレイド殿は見つからなかったと・・・」
「はい・・・どこを探してもあの敵の死体すら見つけられませんでした」
肩を落として報告しているのはモルドだった。
「そう気を落とすものではない。まだ死んでない可能性もある。それで組合員はどうだった?」
「それが・・・組合登録証を回収できたのは86個、遺体を確認したのが114名で、まだ11名は発見できていないです」
悔しそうに拳を力強く握りしめて報告しているモルドを見てオウルーゼルは何も言えなかった。
暫く無言が続いていると指揮官テントに走り寄ってくる兵士がいた。
「失礼します!門衛より伝令がございます!」
「なんだ!?問題でも起きたか?」
「門衛が言うには怪しい男が門へと近づいてきたので問いただしたところ、組合員ではなく閣下に世話になっている者だと名乗ったそうです。そして懐からノストフェレス公爵家の家紋の入ったペンダントを取り出し見せてきたので通した。との報告を確認のために閣下に報告せよとのことでした」
「ふむ・・・儂が家紋付きのペンダントを交付しているのは一人しかいないのだがな。その男はどんな格好をしていたか聞いておるか?」
「はい、確か怪しげな鎧で全身を隠した男だったそうです」
「・・・ふっ、ふははははは!生きておったか!流石だの!モルド殿、カリーナ殿を連れてその怪しい男に会いに行くぞ!」
いきなり笑い出したオウルーゼルに驚いたが、その後の言葉で全てを理解した。そしてカリーナを連れて伝令の兵士にその男の元まで案内させた。
「門衛はこの辺りでその男が見えなくなったそうです」
「なるほど・・・この付近だと儂の貸したテントに戻ったと考えられるな・・・いくぞ」
すぐ近くにはジグレイドが使っていたテントがあったのだ。
「ジグレイド殿、入るぞ!」
返事がないが、寝ているのだろうと判断して入るがそこには誰もいなかった。
「・・・いない」
「腹減って食事しに行ったとかは考えられませんか?」
「ふむ、それもあり得るが・・・今の時間では配給はしてないはずだがな・・・」
テントから出て三人でジグレイドの行きそうな場所を考えているとまたもや兵士が走り寄ってきた。
「どうしたのだ?」
走り寄ってきた兵士は指揮官テントの入り口にいつも控えている兵士だった。
「閣下、ここにいらっしゃいましたか・・・指揮官テントに来客です。今はローレン将軍が相手をしていますので至急お戻りください」
「なに!?この時間に来客の予定などないはずだが・・・」
「・・・ジグ?」
カリーナがそう呟き指揮官テントに向かって走り出した。
「考えていても分からんな・・・モルド殿、戻るぞ!」
2人もカリーナの後に続き走って向かって行った。
「ん?・・・だ、誰だ!?組合員・・・なのか?」
暗闇の中、全身鎧で身を包んだ奴が俯きながら歩いてきたので門衛は武器を構えて警戒しながら問いただした。
「ああ?あー、やっと着いたのか。俺は組合員ではない。だが公爵閣下に世話になっている。通ってもいいか?」
組合員ではなく、しかも総指揮官であるオウルーゼルの知り合いだと名乗る怪しい男に門衛はさらに警戒するが、その怪しい男が取り出して見せてきたものが何であるか分かるとすぐに警戒を解いた。
「し、失礼しました!どうぞお通りください!」
「ああ、ご苦労さん」
そう言って怪しい全身鎧の男は門の中へと入っていった。
その男が見えなくなるまで確認した後、門衛はオウルーゼルへと伝令を近くにいた兵士に頼んだ。
時は遡り同日の夜、戦場の狼が本陣へと戻ってきた後の指揮官テントでは
「ジグレイド殿は見つからなかったと・・・」
「はい・・・どこを探してもあの敵の死体すら見つけられませんでした」
肩を落として報告しているのはモルドだった。
「そう気を落とすものではない。まだ死んでない可能性もある。それで組合員はどうだった?」
「それが・・・組合登録証を回収できたのは86個、遺体を確認したのが114名で、まだ11名は発見できていないです」
悔しそうに拳を力強く握りしめて報告しているモルドを見てオウルーゼルは何も言えなかった。
暫く無言が続いていると指揮官テントに走り寄ってくる兵士がいた。
「失礼します!門衛より伝令がございます!」
「なんだ!?問題でも起きたか?」
「門衛が言うには怪しい男が門へと近づいてきたので問いただしたところ、組合員ではなく閣下に世話になっている者だと名乗ったそうです。そして懐からノストフェレス公爵家の家紋の入ったペンダントを取り出し見せてきたので通した。との報告を確認のために閣下に報告せよとのことでした」
「ふむ・・・儂が家紋付きのペンダントを交付しているのは一人しかいないのだがな。その男はどんな格好をしていたか聞いておるか?」
「はい、確か怪しげな鎧で全身を隠した男だったそうです」
「・・・ふっ、ふははははは!生きておったか!流石だの!モルド殿、カリーナ殿を連れてその怪しい男に会いに行くぞ!」
いきなり笑い出したオウルーゼルに驚いたが、その後の言葉で全てを理解した。そしてカリーナを連れて伝令の兵士にその男の元まで案内させた。
「門衛はこの辺りでその男が見えなくなったそうです」
「なるほど・・・この付近だと儂の貸したテントに戻ったと考えられるな・・・いくぞ」
すぐ近くにはジグレイドが使っていたテントがあったのだ。
「ジグレイド殿、入るぞ!」
返事がないが、寝ているのだろうと判断して入るがそこには誰もいなかった。
「・・・いない」
「腹減って食事しに行ったとかは考えられませんか?」
「ふむ、それもあり得るが・・・今の時間では配給はしてないはずだがな・・・」
テントから出て三人でジグレイドの行きそうな場所を考えているとまたもや兵士が走り寄ってきた。
「どうしたのだ?」
走り寄ってきた兵士は指揮官テントの入り口にいつも控えている兵士だった。
「閣下、ここにいらっしゃいましたか・・・指揮官テントに来客です。今はローレン将軍が相手をしていますので至急お戻りください」
「なに!?この時間に来客の予定などないはずだが・・・」
「・・・ジグ?」
カリーナがそう呟き指揮官テントに向かって走り出した。
「考えていても分からんな・・・モルド殿、戻るぞ!」
2人もカリーナの後に続き走って向かって行った。
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