おちゆく先に

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36話

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 バルクド帝国軍が撤退を開始した日の朝 フェイシル王国軍 本陣にて

 「バルクドの奴ら撤退してるらしいぞ、俺らも撤退するのか?」
 「おい、俺ら全く戦争に参加してないけど報酬でるのか?」
 「まだ撤退したって決まった訳じゃないんじゃないの?」
 「確かに・・・陣地を移動しただけかもしれんしな」
 「私が聞いた話では完全に撤退してるらしいけど・・・」
 「その情報どこから聞いたんだよ?」
 とかとか組合員などが話している。

 そんな中ジグレイドは不機嫌そうに歩いていた。なぜなら
 「なー、あたしの話聞いてるのかい?流石にそこまで無反応なのは傷つくよ」
 朝食をとりに補給所へと歩いていたら赤髪のロッテンマイアに出くわして、更にはまとわりつかれているからである。

 「でもね、あたしは思うのよ!まだ戦争は始まったばかりなわけだし今回の撤退は見せかけだけなんじゃないかってね」
 どうだい?と言わんばかりに笑顔を見せつけてくるが、当然ジグレイドは無反応である。

 「おたくは本当に人見知りだね。ジャレッド様がどうやって仲良くなったのか知りたいよ」
 「俺は別にあんたと仲良くなりたいとは思っていない。ジャレッド目当てなら本人に直接話しかければいい。」
 「勘違いしないでほしいな、あたしは別にジャレッド様とそういう仲になりたいとは思っていないしね」
 「ならなぜいちいち構ってくる?」
 「え?友人がいたら話しかけるだろ?普通はさ」
 「俺とあんたは友人ではない、何かと言われれば顔見知り程度だ」
 「相変わらず分厚い壁をつくってるね。あたしは何度か話したら友人だと思うけどな」
 そんな会話が2人の間で食事が終わるまで続いていた。

 「そういえばさあたしはまだ戦争に参加するけどおたくはどうするんだい?よかったらあたしと・・・」
 「俺はここに残っている理由はもうない」
 ロッテンマイアが話している途中にそうジグレイドが被せて言った。

 ジグレイドはモルドからバルクド帝国軍が撤退していることを聞いていたため今日にもここを発つつもりなのだ。

 「そっか、なら仕方ないね・・・次は一緒に戦えるといいな!」
 そう言い残しロッテンマイアは去っていった。


 ジグレイドは今日中にカザフ要塞都市まで行きたかったので、早速本陣でやり残したことを終わらせた。
 主に報酬の受け取りや支給品の返却などである。

 思いのほかすぐに終わり自分の荷物とサルシャの荷物を持って独りでカザフ要塞都市に向かって歩きだした。



  671年 春 フェイシル王国軍とバルクド帝国軍の戦争は一回の衝突だけで終わった。
 戦争での被害は互いに第三者の介入による被害が甚大であった。
  戦争によるフェイシル王国側の被害:67名(殆どログ将軍によるもの)
        バルクド帝国側の被害:389名
 第三者によるフェイシル王国側の被害:179名(夜警に参加したプグナループスとジグレイドを除く組合員)
        バルクド帝国側の被害:645名(その内亜人奴隷は607名)
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