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24話
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「うっ、ここはどこだ・・・」
夜のせいなのか薄暗いが見慣れない天井、ではなく見慣れないテントの内側に少し困惑しつつも徐々になにがあったか思い出してきた。
「・・・っ!サルシャ!サルシャはどこにいる!?」
慌てて立ち上がり探しに行こうとするも身体が上手く動かせず、寝かされていた簡易ベッドから落ちてしまう。
“ドタッ”受け身もとれずに顔から床に落ち鈍い音が鳴る。
「ぐうう、そういえば全力で魔素の吸収をした反動があったか・・・」
悔しそうに倒れ伏しながら呻くジグレイド。
音を聞きつけてかテントに誰かが入ってきた
「ちょっとジグレイド君!?何してるの?動いちゃ駄目よ!あなた死にかけていたのよ!」
そう言ってジグレイドを抱え起こして再びベッドに戻してくれたのはリーリャだった。
「そんなことよりサルシャは、サルシャはどこですか!?」
必死にリーリャに縋り付きサルシャの居場所を聞いてくるジグレイドに
「よく聞いて、サルシャちゃんはもういないの・・・死んでしまったの!・・・ごめんなさい、私たちがもう少し早く到着していれば何か変えれたのかもしれないのだけれど」
リーリャは申し訳なさそうにそう言って謝ってきたが、サルシャの死という未だに信じられない出来事にジグレイドはそれ以外は聞こえていなかった。
あまりのショックで少しの間動けなくなっていたジグレイドはそのまま気絶してしまった。
いきなり気絶したジグレイドに驚いたが布団を被せて、ジグレイドが一時だが目を覚ましたことを報告しにいった。
リーリャは本陣にある司令室もとい司令テントにきていた。
「それで、唯一の生き残りは再び気絶したのか?」
リーリャにそう聞いたのは総大将のオウルーゼル公爵閣下だ。
「はい、私が彼の様子を見に行った時は混乱していたのか寝台から落ちていたところでした。それから私に仲間の安否を問うてきたので・・・はぐらかさずに答えました。そのあとに再び気絶しました」
「ぼかして伝えることもできたのではないのかな?」
「それは・・・ぼかして伝えることが彼のためにはならないと考えたからです。彼は将来有望な組合員です。早く立ち直ってもらうためには正直に伝えることが1番早いと考えました」
「それは未知の敵の情報よりも大事なことなのかね?」
ギロリとリーリャを睨みつけて言う公爵に
「オウルーゼル公爵閣下、組合員は基本組合員優先という考え方をしますのであまり責めないで上げてください それにエルフとその仲間であろう未知の敵がいることが判明しているだけでも良かったではないですか」
将軍が落ち着かせる。
「そうだな、すまない・・・では件の彼が目を覚ましたらすぐに知らせるように。それと念のために見張りの兵士を用意しよう。せっかくの情報源だ、暗殺されては目も当てられんからな」
「ありがとうございます、寛大なご配慮感謝いたします」
頭を下げて感謝の言葉を述べリーリャは司令テントから退出し、ジグレイドが寝ているテントに戻っていった。
「リーリャ、ジグレイドの様子はどうだ?」
ジグレイドのテントに戻り寝台の近くにある机の椅子に腰かけているとモルドが尋ねながらゼクと一緒に入ってきた。
「1回起きたんだけど、サルシャちゃんのこと知ったらまた気絶しちゃった。モルドさん、サルシャちゃんのこと伝えるの早かったと思いますか?」一度首を横に振り、モルドに尋ねてみた。
「さてな、俺の場合はすぐ知りたいからな。早いとは思えんが、ジグレイドはまだ18歳だ・・・そのことを踏まえると何とも言えなくなるな。ゼクはどう思う?まだうちの中では若いだろう?」
「いや、モルドさん・・・もう23歳になりましたからね!拾ってもらった時からだいぶ経ちましたからね!・・・はあ、僕も後で知るより早めに知りたいですね。誤魔化されるのは嫌ですし・・・」
抗議するも相手にされなかったため、ため息を吐き自分の考えを述べた。
「そうですよね・・・」
未だに悩んでいる普段は頼れる副リーダーにモルドが
「あまり思い悩むなとは言わん、だがリーリャも少しは寝ろ。酷い顔してるぞ」
そう言い残しゼクと共にテントから出ていった。
夜のせいなのか薄暗いが見慣れない天井、ではなく見慣れないテントの内側に少し困惑しつつも徐々になにがあったか思い出してきた。
「・・・っ!サルシャ!サルシャはどこにいる!?」
慌てて立ち上がり探しに行こうとするも身体が上手く動かせず、寝かされていた簡易ベッドから落ちてしまう。
“ドタッ”受け身もとれずに顔から床に落ち鈍い音が鳴る。
「ぐうう、そういえば全力で魔素の吸収をした反動があったか・・・」
悔しそうに倒れ伏しながら呻くジグレイド。
音を聞きつけてかテントに誰かが入ってきた
「ちょっとジグレイド君!?何してるの?動いちゃ駄目よ!あなた死にかけていたのよ!」
そう言ってジグレイドを抱え起こして再びベッドに戻してくれたのはリーリャだった。
「そんなことよりサルシャは、サルシャはどこですか!?」
必死にリーリャに縋り付きサルシャの居場所を聞いてくるジグレイドに
「よく聞いて、サルシャちゃんはもういないの・・・死んでしまったの!・・・ごめんなさい、私たちがもう少し早く到着していれば何か変えれたのかもしれないのだけれど」
リーリャは申し訳なさそうにそう言って謝ってきたが、サルシャの死という未だに信じられない出来事にジグレイドはそれ以外は聞こえていなかった。
あまりのショックで少しの間動けなくなっていたジグレイドはそのまま気絶してしまった。
いきなり気絶したジグレイドに驚いたが布団を被せて、ジグレイドが一時だが目を覚ましたことを報告しにいった。
リーリャは本陣にある司令室もとい司令テントにきていた。
「それで、唯一の生き残りは再び気絶したのか?」
リーリャにそう聞いたのは総大将のオウルーゼル公爵閣下だ。
「はい、私が彼の様子を見に行った時は混乱していたのか寝台から落ちていたところでした。それから私に仲間の安否を問うてきたので・・・はぐらかさずに答えました。そのあとに再び気絶しました」
「ぼかして伝えることもできたのではないのかな?」
「それは・・・ぼかして伝えることが彼のためにはならないと考えたからです。彼は将来有望な組合員です。早く立ち直ってもらうためには正直に伝えることが1番早いと考えました」
「それは未知の敵の情報よりも大事なことなのかね?」
ギロリとリーリャを睨みつけて言う公爵に
「オウルーゼル公爵閣下、組合員は基本組合員優先という考え方をしますのであまり責めないで上げてください それにエルフとその仲間であろう未知の敵がいることが判明しているだけでも良かったではないですか」
将軍が落ち着かせる。
「そうだな、すまない・・・では件の彼が目を覚ましたらすぐに知らせるように。それと念のために見張りの兵士を用意しよう。せっかくの情報源だ、暗殺されては目も当てられんからな」
「ありがとうございます、寛大なご配慮感謝いたします」
頭を下げて感謝の言葉を述べリーリャは司令テントから退出し、ジグレイドが寝ているテントに戻っていった。
「リーリャ、ジグレイドの様子はどうだ?」
ジグレイドのテントに戻り寝台の近くにある机の椅子に腰かけているとモルドが尋ねながらゼクと一緒に入ってきた。
「1回起きたんだけど、サルシャちゃんのこと知ったらまた気絶しちゃった。モルドさん、サルシャちゃんのこと伝えるの早かったと思いますか?」一度首を横に振り、モルドに尋ねてみた。
「さてな、俺の場合はすぐ知りたいからな。早いとは思えんが、ジグレイドはまだ18歳だ・・・そのことを踏まえると何とも言えなくなるな。ゼクはどう思う?まだうちの中では若いだろう?」
「いや、モルドさん・・・もう23歳になりましたからね!拾ってもらった時からだいぶ経ちましたからね!・・・はあ、僕も後で知るより早めに知りたいですね。誤魔化されるのは嫌ですし・・・」
抗議するも相手にされなかったため、ため息を吐き自分の考えを述べた。
「そうですよね・・・」
未だに悩んでいる普段は頼れる副リーダーにモルドが
「あまり思い悩むなとは言わん、だがリーリャも少しは寝ろ。酷い顔してるぞ」
そう言い残しゼクと共にテントから出ていった。
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