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23話
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「リーダー!生存者がいました!」
モルドにそう報告してきたのは先ほどの戦いで防御魔法を行使した魔法使いのリンダ・プロウラーであった。
「なに!?・・・って、ジグレイドじゃないか!いや、そんなことより早く治療しないと!リーリャ!」
駆け寄ったモルドは生存者をみて驚くが、すぐに我に返り戦場の狼の副リーダーであり回復魔法を行使できるリーリャ・ブランティーを呼び寄せた。
「どうだ?治せそうか?」
「そうですね・・・ここでは応急処置だけにしておいた方が良さそうですね。一刻も早く本陣に戻りジグレイド君の治療に専念するべきです」
回復魔法に含まれる“アナライズ”でジグレイドの状態を診断しすぐに決断をしてからリーリャは回復魔法を行使した。
「“慈悲の女神 サラエイル様 大地の力 恵みの力をもって 癒しを ヒーリング”」
身体のいたるところにあった痣や出血、骨折までもが回復魔法によって治療されたが未だにジグレイドは目を覚まさなかった。
死んでいた組合員の登録証を拾い集め、ジグレイドをモルドが背負ってから再び走り出した。
その後は何事もなく、モルドたちが本陣に辿り着いたのは日が昇ってからであった。
日が昇り始める頃、深緑の森の某所 薄暗い部屋で八角形のテーブルが置かれた部屋に2人のエルフがいた。
「あんの人族風情が!我々エルフを見下しおって!一度ならず二度までも同じことしおって!今度会ったらただではおかんぞ!」
1人のエルフは未だ怒りが治まらず、一気に酒を飲み干してからゴブレットを床に投げ、叩き割ったりと荒れていた。“ガシャーン”ゴブレットを叩き割った音が外に聞こえるくらいの鳴るが気にもせず、再び給仕に新たなゴブレットを用意させるため呼びつけようとするが、
「随分と荒れてますねえー。エルフの皆さんは失敗したみたいですからねえー。そんなに手酷くやられちゃったんですかあー?あ、でも大丈夫ですよおー。私の有能な部下がちゃあーんと尻拭いしておきましたからねえー。感謝してほしいものですねえー」
部屋に入ってきたのは自分たちエルフをゲラゲラと笑いながら見下し中傷してくる龍人のイルル・アナトリアとその従者である竜人のザッハーク・エジュであった。
「ふん、そんなに目を真っ赤にしておるとは・・・手酷く痛めつけられて泣いてでもいたのかもしれないですな」
イルルと同様に中傷するザッハーク。奇しくもザッハークの放った中傷がモルドに言われた言葉と被った。
「き、貴様ら!今なんて言ったのだ!儂は泣いてなどいない!そもそもあの人族が卑怯な真似をしなかったら失敗などしておらぬわ!」
あまりの怒りに冷静さを欠いているエルフにもう1人のエルフが
「少しいいですか?私たちの部隊は誰一人逃がさずに殲滅しましたよ。エリック様の部隊と一緒にしてほしくないですね」
と訂正してきた。
その言葉で今まで怒り狂い怒鳴っていたエルフが途端に大人しくなり未だ真っ赤になっている目を見開きながら口をパクパクさせていた。この目を真っ赤にしているエルフ族の族長がエリックである。エルフ族は一族みな家族という風習があるため性はない。
「あははははは!味方のはずのエルフからも見捨てられてるうー」
爆笑し続けるイルルを誰も止められず・・・いや止めれる人が居らず笑い声が止むのを待った。
一頻り涙が出るほど笑ったイルルは、
「ククちゃん、ごめんねえー。ククちゃんはちゃんと成功してるもんねえー。というか普通失敗しないしいー」
ククちゃんもとい腰まである長い金髪のエルフのククルカに謝罪をして、再びエリックを中傷し始めた。
これは他の仲間が帰ってくるまで続けられていた。
モルドにそう報告してきたのは先ほどの戦いで防御魔法を行使した魔法使いのリンダ・プロウラーであった。
「なに!?・・・って、ジグレイドじゃないか!いや、そんなことより早く治療しないと!リーリャ!」
駆け寄ったモルドは生存者をみて驚くが、すぐに我に返り戦場の狼の副リーダーであり回復魔法を行使できるリーリャ・ブランティーを呼び寄せた。
「どうだ?治せそうか?」
「そうですね・・・ここでは応急処置だけにしておいた方が良さそうですね。一刻も早く本陣に戻りジグレイド君の治療に専念するべきです」
回復魔法に含まれる“アナライズ”でジグレイドの状態を診断しすぐに決断をしてからリーリャは回復魔法を行使した。
「“慈悲の女神 サラエイル様 大地の力 恵みの力をもって 癒しを ヒーリング”」
身体のいたるところにあった痣や出血、骨折までもが回復魔法によって治療されたが未だにジグレイドは目を覚まさなかった。
死んでいた組合員の登録証を拾い集め、ジグレイドをモルドが背負ってから再び走り出した。
その後は何事もなく、モルドたちが本陣に辿り着いたのは日が昇ってからであった。
日が昇り始める頃、深緑の森の某所 薄暗い部屋で八角形のテーブルが置かれた部屋に2人のエルフがいた。
「あんの人族風情が!我々エルフを見下しおって!一度ならず二度までも同じことしおって!今度会ったらただではおかんぞ!」
1人のエルフは未だ怒りが治まらず、一気に酒を飲み干してからゴブレットを床に投げ、叩き割ったりと荒れていた。“ガシャーン”ゴブレットを叩き割った音が外に聞こえるくらいの鳴るが気にもせず、再び給仕に新たなゴブレットを用意させるため呼びつけようとするが、
「随分と荒れてますねえー。エルフの皆さんは失敗したみたいですからねえー。そんなに手酷くやられちゃったんですかあー?あ、でも大丈夫ですよおー。私の有能な部下がちゃあーんと尻拭いしておきましたからねえー。感謝してほしいものですねえー」
部屋に入ってきたのは自分たちエルフをゲラゲラと笑いながら見下し中傷してくる龍人のイルル・アナトリアとその従者である竜人のザッハーク・エジュであった。
「ふん、そんなに目を真っ赤にしておるとは・・・手酷く痛めつけられて泣いてでもいたのかもしれないですな」
イルルと同様に中傷するザッハーク。奇しくもザッハークの放った中傷がモルドに言われた言葉と被った。
「き、貴様ら!今なんて言ったのだ!儂は泣いてなどいない!そもそもあの人族が卑怯な真似をしなかったら失敗などしておらぬわ!」
あまりの怒りに冷静さを欠いているエルフにもう1人のエルフが
「少しいいですか?私たちの部隊は誰一人逃がさずに殲滅しましたよ。エリック様の部隊と一緒にしてほしくないですね」
と訂正してきた。
その言葉で今まで怒り狂い怒鳴っていたエルフが途端に大人しくなり未だ真っ赤になっている目を見開きながら口をパクパクさせていた。この目を真っ赤にしているエルフ族の族長がエリックである。エルフ族は一族みな家族という風習があるため性はない。
「あははははは!味方のはずのエルフからも見捨てられてるうー」
爆笑し続けるイルルを誰も止められず・・・いや止めれる人が居らず笑い声が止むのを待った。
一頻り涙が出るほど笑ったイルルは、
「ククちゃん、ごめんねえー。ククちゃんはちゃんと成功してるもんねえー。というか普通失敗しないしいー」
ククちゃんもとい腰まである長い金髪のエルフのククルカに謝罪をして、再びエリックを中傷し始めた。
これは他の仲間が帰ってくるまで続けられていた。
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